受領書と領収書の違い|発行者・印紙・経費・受領証との違い

結論:お金かモノかで変わる
受領書は「受け取った事実を証明する書類」の総称で、お金を受け取った金銭受領書と、モノを受け取った物品受領書の両方を含みます。そのため「受領書と領収書の違い」は、お金の話かモノの話かで答えが変わります。
お金を受け取った受領書(金銭受領書)と領収書は、民法上の受取証書・印紙税の第17号文書としての扱いがほぼ同じで、法的効力も印紙の要否も実質で判断されます。違うのは呼び名と使われる場面だけで、領収書は商品・サービスの代金(売上代金)の定番、金銭受領書は貸付金の返済・敷金・立替金の精算など売買以外の金銭でよく使われます。一方、モノを受け取った受領書(物品受領書)はお金のやり取りを伴わないため、領収書とは別物です。
| 比較軸 | 領収書 | 金銭受領書(受領書) | 物品受領書(受領書) |
|---|---|---|---|
| 証明する対象 | 代金(金銭)を受け取った事実 | 金銭を受け取った事実 | 物品・書類など「モノ」を受け取った事実 |
| 発行する人 | お金を受け取った側(売り手) | お金を受け取った人 | モノを受け取った側(買い手・発注者) |
| よく使う場面 | 商品・サービスの代金(売上代金) | 貸付返済・敷金・立替精算・寄付など売買以外の金銭 | 納品物・備品・書類の受け渡し |
| 収入印紙 | 5万円以上で課税(200円〜) | 営業なら5万円以上で課税/営業に関しないもの(個人間など)は非課税(後述) | 非課税(不要) |
| 経費の証憑 | 支払いの証憑として有効 | 金銭の受領を示すため証憑になり得る | 金銭授受がなく単独では不可 |
| 法的な扱い | 弁済者の請求があれば交付義務(民法486条) | 同じく金銭の受取証書として扱われる | 受取証書ではない(商慣習・契約による) |
迷ったら「お金=領収書、モノ=受領書」が便宜的な目安になります。ただしお金を受け取った受領書(金銭受領書)も存在し、その場合は領収書とほぼ同じ扱いです。「受領書だから領収書とは別物」とは限らない点に注意してください。発行するのは、どれも「受け取った側」です。
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受領書と領収書、それぞれが証明するもの
受領書=「受け取った事実」の証明(お金にもモノにも使う)
受領書は、お金や物品などを「確かに受け取りました」と相手に示すための書類の総称です。何を受け取ったかによって、お金を受け取った事実を証明する金銭受領書と、商品・部品・書類・備品などモノを受け取った事実を証明する物品受領書に分かれます。物品受領書はその一種で、実務では売り手が用紙(フォーマット)を用意して納品物に同梱し、買い手はそこに署名・押印して返すだけ、という運用も多くあります。発行する(受領を証明する)のは受け取った買い手ですが、用紙そのものは売り手が作成していることが多い、と押さえておくと混乱しません。
領収書=代金を受け取った証明
領収書は、代金(金銭)を受け取った事実を証明する書類です。お金を受け取った売り手が、支払った買い手に対して発行します。民法では代金の受け取りを証明するこの書類を「受取証書」と呼び、弁済をした人から請求があれば、受け取った側は受取証書を交付する義務があります(民法486条1項)。受領書と違い、こちらは法的な交付請求権が定められています(出典:e-Gov法令検索 民法第486条(受取証書の交付請求等))。
お金を受け取った受領書(金銭受領書)は、領収書とほぼ同じ役割を果たします。一方、物品受領書は代金のやり取りそのものは証明しません。物品と代金の両方を1枚で証明したいときは、後述のとおり書き方次第で印紙の扱いが変わる点に注意してください。金銭受領書の文例・但し書き・印紙の税額や領収書との細かな使い分けは、後述の関連記事で詳しく解説しています。
物品受領書と領収書は発行する人が逆になる
物品受領書と領収書は、取引の中で動く「モノ」と「お金」のどちらを受け取ったかで発行者が決まります。モノは買い手が受け取り、代金は売り手が受け取るため、それぞれの「受け取った側=発行者」が逆になるわけです(お金を受け取った受領書=金銭受領書は、お金を受け取った人が発行する点で領収書と同じ向きになります)。
| 受け取ったもの | 受け取った側=発行者 | 発行する書類 | 渡す相手 |
|---|---|---|---|
| 商品・物品 | 買い手(発注者) | 受領書(物品受領書) | 売り手 |
| 代金(お金) | 売り手(受注者) | 領収書 | 買い手 |
標準的な取引では、売り手が商品を納品(納品書)→ 買い手が受け取って物品受領書を返す → 買い手が代金を支払う → 売り手が領収書を発行する、という流れになります。物品受領書は取引の前半(モノの受け渡し)、領収書は後半(お金の受け渡し)で登場すると押さえると、タイミングの違いも整理できます。
「商品は自社が受け取るのに、受領書は自社が出す側」という点が混乱の元になりがちです。受領書は「受け取った人が、受け取ったことを証明して相手に渡す」書類なので、受け取る側=発行側で正しいのです。
印紙税は「お金の受領書か、物品受領書か」で分かれる
収入印紙の要否は、お金を受け取った受領書か、モノを受け取った受領書かで分かれます。お金を受け取った金銭受領書は、領収書と同じく金銭の受取書なので、5万円以上で第17号文書として印紙税の対象になります。一方、物品受領書はモノの受領だけで金銭の受取書に当たらないため、金額にかかわらず非課税(不要)です。「受領書だから印紙は不要」と一律に考えると誤りになります。
課税対象となる第17号文書は「金銭又は有価証券の受取書」とされ、物品の受領はここに含まれません。金銭の受取書は、商品・サービスの代金(売上代金)なら第17号の1文書として5万円以上で金額に応じた税額、貸付金の返済・敷金など売買以外の金銭なら第17号の2文書として5万円以上で一律200円になります。いずれもタイトルが「受領書」でも「領収書」でも、記載内容が金銭の受領を示すなら同じルールで判断されます(出典:国税庁 タックスアンサー No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書)。
ただし、受け取る側が事業(営業)として受け取るのでなければ、金銭の受取書でも金額にかかわらず非課税です。個人間の貸し借りの返済や、給与・私的なお金の受け取りなどは「営業に関しない受取書」に当たり、印紙は不要です(出典:国税庁 タックスアンサー No.7125 営業に関しない受取書)。金銭受領書は売買以外・個人間の場面で使われることが多く、このケースに当てはまることも少なくありません。
| 書類 | 印紙税 |
|---|---|
| 物品受領書(モノの受領のみ) | 非課税(不要) |
| 金銭受領書・領収書(金銭の受取書)・5万円未満 | 非課税(不要) |
| 金銭受領書・領収書(売上代金)・5万円以上 | 課税(200円〜・金額で変動) |
| 金銭受領書(貸付返済・敷金など売買以外)・5万円以上 | 課税(一律200円) |
| 個人間など営業に関しない金銭の受取書(金額問わず) | 非課税(不要) |
| 物品受領書に「代金を領収」等の金銭文言を併記 | 金銭の受取書扱い/5万円以上で課税 |
| 電子データ(PDF)で交付 | 課税文書でも非課税(電子交付は対象外) |
注意したいのは、物品受領書でも文面に「代金を領収しました」など金銭受取を示す文言を加えると、金銭の受取書とみなされて課税対象になりうる点です。印紙の要否は書類のタイトルではなく記載内容で判断されるため、モノの受領だけを書くなら非課税、金銭受領を併記すると課税側に寄る、と覚えておきましょう。なお、PDFなど電子データで交付・授受する場合は、金額が5万円以上でも印紙税はかかりません(非課税)。受領書の印紙の判断軸(種類別の要否・税額の目安)は次の記事にまとめています。

受領書に収入印紙は必要?物品は不要・金銭は5万円以上で課税【種類別の早見】
受領書に収入印紙が要るかは「何を受け取ったか」で決まります。物品受領書は非課税、金銭・売上代金の受取書は5万円以上で200円〜、返金など売上代金以外は一律200円、個人・給与は非課税、電子交付は不要。国税庁の区分に沿って種類別に即答します。
記事を読む経費の証憑になるかは「金銭の授受があるか」で決まる
経費精算や税務の証拠書類になるかどうかは、書類の名前ではなく金銭の授受が示されているかで決まります。代金の支払いを示す領収書はもちろん、金銭を受け取った事実を金額付きで示す金銭受領書も、領収書と同様に支払いの証憑になり得ます。一方、「モノを受け取った」ことしか示さず、いくら支払ったか分からない物品受領書は、単独では経費の証憑になりません。
消費税の仕入税額控除まで見据えると、領収書は記載事項を満たせばインボイス(適格簡易請求書)として使える一方、金銭の授受がない物品受領書は単独ではインボイス(適格請求書)になりません。控除のためには、支払いの証跡として登録番号や税率の入った領収書・請求書等(適格請求書)をあわせて保管する必要があります。適格請求書の要否は書類の名称ではなく登録番号・適用税率などの記載事項で判断されます(出典:国税庁 タックスアンサー No.6625 適格請求書等の記載事項)。
逆にいえば、受領書でも支払金額・支払済みの記載があれば、領収書の代わりとして扱える場合があります。実務上は、支払いの証拠が必要な場面ではできるだけ領収書を受け取り、受領書はモノの受け渡しの証跡として使い分けるのが安全です。「受領書を領収書の代わりに使えるか」やインボイスの要件は、独立した記事で詳しく扱っています。

受領書は領収書の代わりになる?経費精算・インボイスでの扱いを解説
受領書は領収書の代わりに使えるかを解説。支払金額・受領済みなど必要事項があれば経費の証憑になり得る一方、物品の受領書(金銭の授受なし)は単独では支払の証拠にならない点、インボイス(適格請求書)として使うための要件、税務調査・社内規程での注意点まで整理します。
記事を読む「領収書」と「受領書」はどう使い分ける?
金銭の受領書(金銭受領書)と領収書は実質ほぼ同じ書類ですが、どちらの言葉を選ぶかには慣習的な傾向があります。領収書は、商品・サービスを売った代金(売上代金)を受け取ったときの定番で、商取引の対価を受け取った証明という色が濃い言葉です。
一方の「受領書(金銭受領書・受取書)」は、売上代金以外の事情でお金を受け取ったときに選ばれやすい言葉です。たとえば次のような場面です。
- 貸付金の返済を受け取ったとき
- 敷金・保証金・前受金など、預かる性格のお金を受け取ったとき
- 立替金の精算を受け取ったとき
- 返金・返品代金を受け取ったとき
- 寄付・会費など非商売のやり取り、個人間の受け渡し、給与の現金受取
- モノを受け取ったとき(物品受領書)
ざっくり言えば、売上の代金そのものより、それ以外の事情で受け取った/預かり的なお金/返却・返金を受け取った、というニュアンスのときに「受領書」が選ばれやすい傾向があります。ただしこれは慣習・場面の差にすぎず、法的効力や印紙の要否は呼び名ではなく記載内容(実質)で判断されるため、金銭の受領であればどちらのタイトルでも扱いは同じです。
なお、一時的に預かって後で返す前提のお金・モノは、厳密には別書類の「預り証(あずかりしょう)」が近いです。受領書・領収書が「受け取って自分の手元に残す」のに対し、預り証は「所有権は相手に残したまま、返す前提で預かる」点が違います。敷金・保証金や修理品の預かりなど、返還を前提にする場合はこちらを検討してください。
返金・返品代金の受領に特化した文例や注意点は、専用の記事にまとめています。

返金受領書の書き方|返品・過払い・二重請求の文例とテンプレート(印紙の扱いも解説)
返品・解約・過払い・二重請求で返金を受け取った側が出す返金受領書の書き方を解説。必須項目・返金理由別の文例(個人・法人)・収入印紙は売上代金以外の受取書として5万円以上一律200円という判断まで、書き換え可能な無料テンプレートとあわせて紹介します。
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「受領証」と「受領書」はほぼ同じもの
受領書を調べると「受領証」という表記も出てきますが、受領証と受領書は表記・呼び方の違いで、ほぼ同じ意味です。どちらも「確かに受け取った」ことを証明する書類を指し、法律で両者を別物として区別している事実はありません。どちらを使っても、書類としての効力は変わりません。
これは「領収書」と「領収証」の関係とまったく同じです。「証」と「書」は表記の慣習が違うだけで、意味も効力も同じものを指します。市販の用紙や窓口では「〜証」、ビジネス文書のひな形やソフトの項目名では「〜書」が使われやすい、という傾向があるだけです。「証」と「書」の表記差については、領収書側の記事でも同じ整理をしています。

領収書と領収証の違い|「証」と「書」はどっちが正しい?
領収書と領収証は表記が違うだけで、意味・法的効力・税務上の扱いはまったく同じです。なぜ2つの書き方があるのか、市販用紙やレジが「領収証」表記な理由、受領書・支払証明書など紛らわしい書類との違いまで、発行者・受領者の疑問に簡潔に答えます。
記事を読む同じように、「受取書」「受取証」も受領書・受領証とほぼ同じ意味で使われる言葉です。印紙税法では金銭の受取書を「金銭又は有価証券の受取書」と呼びますが、これは「受領書」「領収書」と書かれていても、その記載文言・内容で課税かどうかを判断するという建て付けです。呼び名が違っても、書いてある中身が同じなら扱いも同じになります。
| 呼び名 | 意味 | ほかの呼び名との関係 |
|---|---|---|
| 受領書 / 受領証 | 受け取った事実の証明(金銭なら金銭受領書、物品なら物品受領書) | 表記違いで同じもの |
| 受取書 / 受取証 | 受け取った事実の証明(金銭にも物品にも使う) | 受領書・受領証とほぼ同義 |
| 領収書 / 領収証 | 代金(金銭)を受け取った事実の証明 | 「証」と「書」は表記違いで同じもの |
受け取った書類のタイトルが「受領証」でも「受領書」でも、直してもらったり発行し直してもらう必要はありません。表記が違うだけの同じ書類なので、そのまま保管・処理に使えます。
よくある質問
Q. お金を受け取ったのですが、領収書と受領書どちらを出せばいいですか?
どちらでも構いません。お金を受け取った受領書(金銭受領書)と領収書は、法的効力も印紙の扱いも実質で判断され、ほぼ同じです。慣習として、商品・サービスの代金(売上代金)には「領収書」、貸付返済・敷金・立替精算など売買以外の金銭には「金銭受領書(受取書)」が使われやすい、という違いがあるだけです。
Q. 受領書は領収書の代わりになりますか?
支払金額・支払済みであることが記載されていれば、領収書の代わりとして扱える場合があります。ただし、モノの受け取りだけを示す物品受領書は金額が分からないため、単独では経費の証憑になりません。詳しくは「受領書は領収書の代わりになる?」の記事で解説しています。
Q. 受領書に収入印紙は必要ですか?
受領書の中身によります。モノの受領だけを証明する物品受領書は課税文書に当たらず収入印紙は不要ですが、お金を受け取った金銭受領書は領収書と同じく金銭の受取書なので、5万円以上で課税対象です。物品受領書でも「代金を領収しました」など金銭受取を示す文言を加えると、金銭の受取書とみなされ5万円以上で課税されます。なお、電子データ(PDF)で交付する場合は、金銭受領文言を含んでいても印紙は不要です。
Q. 受領証と受領書はどちらを使えばいいですか?
どちらでも構いません。受領証と受領書は表記が違うだけで意味・効力は同じです。取引先や社内の慣習に合わせて統一すれば問題ありません。受取書・受取証も同じ意味で使われる言葉です。
Q. 受領書と領収書、どちらが自社の発行になりますか?
「自社が何を受け取ったか」で決まります。商品を受け取ったなら受領書を発行して相手に渡し、代金を受け取ったなら領収書を発行して相手に渡します。どちらも「受け取った側が発行する」点は共通です。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。









