物品受領書の書き方|受領書の必須項目・テンプレート・サイン・印紙・保管

物品受領書(受領書)とは
物品受領書(受領書)は、商品・備品・サンプル・貸与品などの物品を「確かに受け取った」事実を、渡してくれた相手(発送元・売り手)に証明する書類です。納品物に同封されて届いた用紙に署名・押印して返送する形でやり取りされるのが一般的で、単に「受領書」とも呼ばれます。
受領書を発行するのは、物品を受け取った側(買い手・発注者)です。「商品を受け取る側なのに、なぜ自分が書類を出すのか」と戸惑いやすいところですが、受け取った事実を証明できるのは受け取った本人だけなので、買い手が発行して売り手に渡す向きになります。
ややこしいのは、実務では受領書の用紙(フォーマット)は売り手が用意して納品物に同梱していることが多い点です。買い手はその用紙に署名・押印して返すだけ、という流れが一般的なので、「用紙を用意する人(売り手のことが多い)」と「署名・押印して受領を証明する=発行する人(買い手)」は別と整理すると混乱しません。納品書と1枚にまとめた「納品書兼受領書」も同じ仕組みで、売り手が用意し買い手がサインして返します。
受領書そのものに法律上の発行義務はありません。発行するかどうかは取引先との契約や社内ルール次第で、出す・出さないを当事者間で決めて構いません。ただし金銭の受け取りについては、民法第486条により、支払った側から請求があれば、金銭を受け取った側は受取証書を交付する義務があります(出典:e-Gov法令検索 民法第486条(受取証書の交付請求等))。この受取証書が、一般にいう「領収書(金銭の受取書)」です。つまりこの義務は領収書側の話で、物品の受領書は対象ではありません。とはいえ「受け取った/受け取っていない」のトラブルを防ぐために、物品受領書も1通残しておくのが実務上の安全策です。
次のような場面で使われます。
- 仕入品・商品の受領 — 取引先から納入された商品を受け取ったとき
- 備品・消耗品の受領 — オフィス用品・消耗品が届いたとき
- サンプル・見本品の受領 — 提案・検討用のサンプルを受け取ったとき
- 貸与品・委託品の受領 — レンタル機材・支給品・貸与PCなどを預かったとき
- 固定資産の受領 — 機械・設備など資産計上する物品の引き渡し時
- 個人間の物品授受 — フリマの手渡し・贈与・預かりものの受け渡し
迷ったときの覚え方はシンプルで、「自社が受け取る側=受領書を出す」「自社が渡す側=相手から受領書をもらう」です。お金のやり取りを証明する金銭受領書・領収書とは別系統の書類だと押さえておきましょう。
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物品受領書に書くべき必須項目
決まった様式はありませんが、後から見て「いつ・誰が・何を・いくつ受け取ったか」が特定できれば、証拠書類として通用します。次の項目を押さえておけば十分です。
- 表題 — 「受領書」または「物品受領書」
- 受領日 — 物品を実際に受け取った日付(発行日と異なる場合は受領日を優先)
- 宛名 — 物品を渡した相手(発送元・売り手)の会社名や氏名(〇〇株式会社 御中 / 〇〇様)
- 受領品目 — 品名・仕様や型番・数量・単位。納品書や発注書と表記をそろえる
- 状態・検品結果 — 新品/破損なし/要確認など、受け取った時点の状態(任意だがトラブル防止に有効)
- 受領者の情報 — 受け取った側の会社名・部署・担当者名・住所・連絡先
- 署名または押印 — 受領担当者の署名、または認印・社判(角印)

単価や金額の記載は必須ではありません。物品受領書は「物が届いたこと」を示す書類なので、金額がなくても役割は果たせます。納品書と数量を突き合わせやすくするために金額を併記しても構いませんが、「代金を受け取りました」などお金の受領を示す文言は入れないのが原則です(入れると領収書扱いになり、印紙の論点が出てきます。詳細は後述)。
「状態・検品結果」は、後日不良品が見つかったときのトラブルを防ぐための欄です。受領した時点でどこまで確認したかを正確に書くのがコツで、開梱して中身まで見たなら「異常なし」、外箱だけ確認した段階なら「外観に異常なし・動作未確認」、その場で開けられなければ「後日検品」のように、確認できた範囲だけを記録します。実際より広く「異常なし」と書いてしまうと、あとで不良が判明したときに「受領時に確認済み」と扱われかねません。
発注書番号や納品書番号などの関連書類番号を1つ入れておくと、どの取引に対する受領かが一目で分かり、経理側の突き合わせがスムーズになります。
物品受領書のテンプレート(コピペ可・5例)
下の文例は「コピー」ボタンでそのまま貼り付けて使えます。宛名・品名・数量・日付などは適宜書き換えてください。署名欄は手書き、押印は受け取った側の認印または社判(角印)を押します。
フォームに入力するだけで上記の体裁の物品受領書をPDFで作れるテンプレートを用意しています。品名・仕様・数量・単位・状態(新品〜要確認)・検品結果・用途まで欄が分かれており、受領印欄つきで印刷できます。→ 物品受領書テンプレートを開く
個人向け・手書き併用の詳しい書き方は、それぞれ専用の記事にまとめています(このあとの各セクションからリンクします)。
サイン・押印は必須?認印・角印・電子印の使い分け
受領書の押印は法律上の必須要件ではありません。署名(サイン)だけでも受領の意思は示せますが、実務では会社が発行する場合は社判(角印)、個人や担当者レベルでは認印を押すのが慣習で、押印があるほうが書類としての信頼性は高く扱われます。受領担当者の署名と認印の併用でも問題ありません。
PDFでやり取りする場合は電子サイン・電子印鑑で対応できます。シャチハタ(インク浸透印)の可否や、認印・角印の使い分けといった押印まわりの細かい実務は、受領書のサイン・押印を扱う記事で具体的に整理しています。

受領書はサイン・印鑑どちらが必要?|ハンコの種類・押す位置・電子化
受領書にサインや印鑑(ハンコ)は必要かを解説。押印は法的に必須ではなくサインのみでも有効、会社は角印・個人は認印が慣習、シャチハタの実務的な扱い、押す位置、電子受領書の電子サイン・電子印鑑まで受領書を書く側・受け取る側の両視点でまとめました。
記事を読む領収書側の押印(認印でいいか・印鑑なしで有効か・シャチハタ可否)は別記事にまとまっています。電子印鑑そのものの作り方は次の記事を参照してください。

領収書に印鑑は必要?|角印の位置・種類・押し方ガイド
領収書に印鑑は必要か、法的根拠から解説。角印・丸印の使い分け、正しい押す場所、収入印紙の割印(消印)、電子印鑑の有効性、シャチハタがNGとされる理由まで、押印の実務を網羅。
記事を読む
電子印鑑の作り方|無料で作る手順と、用途別の選び方・サービス比較
電子印鑑を無料で作る方法を、文字から作る・手持ちの印鑑をスキャンするの2通りで解説。法人の角印や個人の丸印を無料ツールで作る手順、印影画像で足りる場合と本人性・改ざん防止まで要る場合の選び方、主要サービスの比較表まで。
記事を読む収入印紙は原則不要(例外は金銭の受取書)
物品受領書に収入印紙は不要です。印紙税の課税対象となる受取書は第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に限られ、物品の受け取りはこれに含まれないためです(出典:国税庁 タックスアンサー No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書)。国税庁も、物品の受取書などは課税文書にならないという趣旨を示しています(出典:国税庁 金銭又は有価証券の受取書とは)。
ここだけは見落とし注意。例外は、受領書に「代金を領収しました」「代金として受領」などお金の受け取りを示す文言を加えた場合です。このときは実質が領収書(金銭の受取書)とみなされ、税抜5万円以上で印紙税の課税対象になります。物品の受領だけを記載するなら非課税/金銭の受領を併記すると課税対象、と覚えておけば判断を誤りません。なお電子データ(PDF・メール)で交付した受取書は紙ではないため印紙不要です。
金銭受領書・返金受領書・給与受領書など、お金を受け取る側の受領書も含めて、印紙の要否と金額区分は次の記事に集約しています。

受領書に収入印紙は必要?物品は不要・金銭は5万円以上で課税【種類別の早見】
受領書に収入印紙が要るかは「何を受け取ったか」で決まります。物品受領書は非課税、金銭・売上代金の受取書は5万円以上で200円〜、返金など売上代金以外は一律200円、個人・給与は非課税、電子交付は不要。国税庁の区分に沿って種類別に即答します。
記事を読む受領書の保管期間
受領書は取引関係書類として、税法上の保存義務があります。法人は原則7年(欠損金の繰越控除を受ける事業年度は最大10年)、個人事業主は青色・白色とも5年(消費税の課税事業者は仕入税額控除の証憑として7年)が目安です。起算日はその事業年度の確定申告期限の翌日から数えます(出典:国税庁 タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間)。
メール添付PDFなど電子データで授受した受領書は、電子帳簿保存法により電子のまま保存するのが原則です(2024年1月から)。保存期間の数え方・電子化の要件・受領サイン入り原本の扱いは、保管を専門に扱う記事で詳しく解説しています。

受領書の保管期間は何年?法人7年・個人5年と起算日・電子保存のルール
受領書の保管期間は、法人が原則7年(赤字の年は最大10年)、個人事業主は青色・白色とも原則5年です。受け取った側も発行した側も保存が必要で、起算日は申告期限の翌日。電子取引データは2024年1月から電子のまま保存、受領サイン入り原本の扱いやスキャナ保存要件まで、国税庁の情報をもとに整理しました。
記事を読む領収書・受領証との違い(要点)
受領書と領収書の一番の違いは「発行する向き」と「証明する対象」です。受領書は物品などの受け取りを買い手→売り手に証明する書類、領収書は代金の受け取りを売り手→買い手に証明する書類で、発行者の方向が逆になります。印紙の扱いも違い、物品受領書は非課税、領収書(金銭の受取書)は税抜5万円以上で課税対象です。
なお「受領証」と「受領書」は表記が違うだけでほぼ同義で、法律上の区別はありません。領収書を「領収証」と書くのと同じ関係です。違いの詳細と「受領証・受取書」との表記差は、違いを扱う記事にまとめています。

受領書と領収書の違い|発行者・印紙・経費・受領証との違い
受領書は「受け取った事実の証明」の総称で、お金を受け取った金銭受領書とモノを受け取った物品受領書を含みます。金銭の受領書は領収書と法的効力・印紙の扱いがほぼ同じで違いは呼び名と場面だけ、物品の受領書は領収書とは別物。発行者・印紙税・経費の証憑性・「受領証」との表記差まで実務目線で整理します。
記事を読む「受領書を領収書の代わりに使えるか」という疑問は別の論点です。物品の受領書(金銭授受なし)は単独では経費の証憑になりません。代わりに使えるかどうかは次の記事で確認してください。

受領書は領収書の代わりになる?経費精算・インボイスでの扱いを解説
受領書は領収書の代わりに使えるかを解説。支払金額・受領済みなど必要事項があれば経費の証憑になり得る一方、物品の受領書(金銭の授受なし)は単独では支払の証拠にならない点、インボイス(適格請求書)として使うための要件、税務調査・社内規程での注意点まで整理します。
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誰が発行し、控えはどちらが持つか(要点)
物品の受領書は受け取った買い手が発行し、渡してくれた売り手がそれを受け取ります。署名・押印した原本は相手(売り手)に渡し、控えは発行した側(買い手)が保管するのが基本です。双方とも保存義務の対象なので、原本・控えのどちらを持つ立場でも一定期間は残しておきます。
「商品は受け取るのに書類は自分が出すのが腑に落ちない」「渡す側・控えはどっち?」という混乱は、発行者・受領者・控えの持ち主を整理した記事で一気に解消できます。

受領書は誰が発行・もらう?原本を準備するのはどちら・控えはどっち
受領書は受け取った側が署名して発行し、渡した側がもらう書類です。原本(用紙)を準備するのは証拠が欲しい渡す側のことが多く、納品なら売り手が用紙を用意して買い手が署名、自分が渡す側なら自分で用意して相手に署名してもらう、と場面で変わります。発行者・原本の準備・控えの向き・金銭受領書の場合まで整理します。
記事を読む納品書との役割の違いや、取引フロー(見積→発注→納品→受領→検収)の中での位置づけは、納品書と受領書の違いの記事で図解しています。

納品書と受領書の違い|発行者の方向・取引フロー・兼用書類の運用
納品書は売り手→買い手、受領書は買い手→売り手と発行者の方向が逆になる書類です。役割・タイミング・必須項目の対比表、納品書兼受領書の運用、検収書との段階差、印紙税の扱い、受領サインが取れない場合の代替証跡まで、実務目線で解説します。
記事を読む届いた受領書を返送するとき(要点)
納品物に同封されて届いた受領書に署名・押印して送り返す場合は、宛名の「行」を二重線で消して「御中」に直すのがマナーです。返信用封筒があればそれを使い、返送期日が指定されていれば期日内に返します。FAX・郵送・PDFのどれで返すかは、相手の指定や取引慣習に合わせます。
返送の具体的な手順・敬称の直し方・送付状の一文・返送できないときの代替は、返送を扱う記事にまとめています。

受領書の返送方法と封筒の書き方|署名押印・「受領書在中」・「行」を「御中」に
署名・押印して返すよう同封されてきた受領書(物品受領書・納品書兼受領書・返金受領書など)を送り返す側(受け取った側)の手順をまとめました。返信用封筒の「行」を二重線で消して「御中」に直す方法、「受領書在中」の封筒の書き方、署名・押印の位置、郵送・FAX・PDFでの返送の可否、返送期日の守り方、添える送付状の一文と署名押印済み受領書の体裁(コピペ可)まで解説します。
記事を読む書き方をもっと詳しく(個人・手書き・金銭の受領書)
立場や作り方ごとに、踏み込んだ書き方を別記事で用意しています。
個人(非事業者)が物品や金銭の受領書を書くときの氏名・住所の書き方や、営業に関しない取引は金額にかかわらず印紙不要という点は、個人向けの記事で具体例つきに解説しています。

受領書の書き方【個人向け】|個人間の物品・お金の受け取りに使える文例とテンプレート
会社名のない個人が受領書を書くときの書き方を、物品・金銭の両方で解説。氏名と住所の書き方、認印で足りる理由、個人間の取引は金額を問わず収入印紙が不要な根拠、後日のトラブルを防ぐ受け取り内容の特定まで、コピーして使える文例つきで紹介します。
記事を読む手書きで作るときの書式・金額の改ざん防止(金・¥・也・カンマ・消えない筆記具)・訂正のしかたは、手書きの記事にまとめています。

受領書の手書きの書き方|手書きでも有効・金額の改ざん防止・訂正方法と記入例
受領書を手書きで作る人向けに、書式と書き方を解説。手書きでも有効である理由、金額の改ざん防止(金・也・カンマ・隙間を作らない)、書き間違いの訂正方法、縦書き・横書き、空欄テンプレートを印刷して手書きで埋める方法と記入例をまとめました。
記事を読む現金・振込・小切手などお金を受け取った事実を証明する金銭受領書は、但し書き・受領方法別の文例・印紙税の金額表まで含めて専用の記事で扱っています。

金銭受領書の書き方|個人・法人の文例とテンプレート(領収書との違い・印紙税も解説)
金銭受領書(受取書)の書き方を個人・法人の両形式で解説。必須記載項目・領収書との違い・収入印紙の判断・書き換え可能な無料テンプレートと実用例文を網羅したガイドです。
記事を読むよくある質問
Q. 受領書は誰が書くのですか?
物品を受け取った側(買い手・発注者)が署名・押印して発行します。ただし用紙(フォーマット)は売り手が用意して納品物に同梱していることが多く、買い手はそこに署名・押印して返すだけ、という形が一般的です。受け取った事実を証明できるのは受け取った本人なので、発行者は買い手で、署名・押印した原本を相手(売り手)に渡し、控えを手元に残します。
Q. 物品受領書に収入印紙は必要ですか?
不要です。印紙税の対象は「金銭又は有価証券の受取書」に限られ、物品の受け取りは課税文書になりません。ただし「代金を領収しました」などお金の受領を示す文言を加えると領収書扱いとなり、税抜5万円以上で課税対象になります。電子データで交付すれば印紙は不要です。
Q. 押印は必須ですか?サインだけでもいいですか?
押印は法律上の必須要件ではなく、署名(サイン)だけでも受領の意思は示せます。実務では会社なら社判(角印)、個人や担当者なら認印を押すのが慣習で、押印があるほうが信頼性は高く扱われます。PDFなら電子サイン・電子印鑑で対応できます。
Q. 受領書と領収書は何が違いますか?
発行する向きと対象が逆です。受領書は物品などの受け取りを買い手→売り手に証明する書類、領収書は代金の受け取りを売り手→買い手に証明する書類です。物品受領書は印紙非課税、領収書は税抜5万円以上で課税対象という違いもあります。
Q. 受領書はいつまで保管すればよいですか?
法人は原則7年(欠損金繰越時は最大10年)、個人事業主は青色・白色とも5年(消費税の課税事業者は7年)が目安です。起算日はその事業年度の確定申告期限の翌日からです。
物品受領書をテンプレートで作る
TEMPLEXの物品受領書テンプレートは、フォームに入力するだけで受領印欄つきのPDFが完成する無料テンプレートです。品名・仕様や型番・数量・単位・状態(新品〜要確認)・検品結果・受領用途(仕入/備品/サンプル/貸与・委託品/固定資産)まで欄が分かれており、納品書や発注書と突き合わせやすい体裁で印刷・メール送付できます。→ 物品受領書テンプレートを開く
- 受領用途の選択 — 仕入・備品・サンプル・貸与品・固定資産から選択
- 物品テーブル — 品名・仕様/型番・数量・単位・状態を行ごとに記入
- 検品結果欄 — 異常なし/一部不備あり/後日検品を選択
- 関連書類番号欄 — 納品書番号・発注書番号を参照
- 受領印欄つき — 受け取った側の社判・認印を押せる
金額や但し書き欄のないシンプルな受け取り証明だけが欲しいときは、基本の受領書テンプレートも用意しています。用途に合わせて使い分けてください。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
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