振込受領書とは?銀行の振込明細が領収書代わりになる理由と発行・印紙のルール

「振込受領書」は銀行の振込明細(振込の控え)を指す
「振込受領書」「振り込み受領書」は、実務では主にATMの利用明細票・ネットバンキングのご利用明細・窓口の振込受付書など、金融機関が発行する「振込の控え」を指して使われることがほとんどです。「振込明細」「振込明細書」「振込受付書」「振込控え」と呼ばれるものと中身は同じで、決まった正式名称があるわけではありません。
これらには「振込日・振込先・振込金額(手数料)」が記載されており、振り込んだ(受け取った)という事実を客観的に証明する証憑(しょうひょう)になります。そのため、後述のとおり実務上は領収書の代わりとして扱われる場面が多いのです。
なお、お金を「受け取った側」が振込に対して相手へ渡すために作る書類を「受領書(受取書)」と呼ぶこともあります。同じ「振込受領書」でも、①銀行が出す控えを指すケースと、②受け取った側が発行する書面を指すケースの2つがあり、収入印紙などの扱いが変わります。
スポンサーリンク
振込明細(振込受領書)は領収書の代わりになる
【支払った側向け】結論から言うと、銀行が発行する振込明細(振込受領書)は、実務上は領収書の代わりとして経費精算や帳簿の証憑に使えます。別途、相手から領収書をもらわなくても、支払いの事実を示す書類として保管しておけます。
ただし注意したいのは消費税の扱いです。仕入税額控除(インボイス制度)では、振込明細だけでは適格請求書の要件(登録番号・適用税率・消費税額など)を満たさず、控除の根拠としては原則認められません。課税仕入れの消費税を控除したい場合は、振込明細とは別に取引先の適格請求書(インボイス)を保存しておく必要があります。
振込明細が証憑として通用する理由
- 取引日・取引先・金額が明記されている ── 証憑として最低限必要な情報が揃っている
- 金融機関が発行している ── 当事者ではない第三者(銀行)の書面なので客観性が高い
- 改ざんしにくい ── ATMの利用明細票や振込受付書は金融機関側の記録と一致する
ATMで振り込んだときに出力される利用明細票、窓口の振込受付書の控えは、そのまま保管すれば証憑になります。ネットバンキングの場合は紙が出ないため、取引明細画面のPDFやスクリーンショットを保存してください。なお、ネットバンキングの明細は「電子取引」に当たるため、電子帳簿保存法に沿って電子データのまま保存する必要があります(2024年1月以降、紙に印刷しただけの保存は原則認められません)。
具体的には、取引年月日・金額・取引先で検索できるようファイル名や管理方法を整える(検索要件)ことと、タイムスタンプの付与、または訂正・削除の事務処理規程を定めるなどで改ざんを防ぐ(真実性の確保)ことが必要です。保存年数や要件の詳細は、受領書の保管の記事で解説しています。

受領書の保管期間は何年?法人7年・個人5年と起算日・電子保存のルール
受領書の保管期間は、法人が原則7年(赤字の年は最大10年)、個人事業主は青色・白色とも原則5年です。受け取った側も発行した側も保存が必要で、起算日は申告期限の翌日。電子取引データは2024年1月から電子のまま保存、受領サイン入り原本の扱いやスキャナ保存要件まで、国税庁の情報をもとに整理しました。
記事を読むただし、振込明細と領収書は法律上まったく同じものではありません。支払った側が正式な領収書を求めた場合、受け取った側は「振込明細があるから」という理由で発行を断ることはできない、という点だけ押さえておきましょう(次の項で解説します)。
振込で受け取った側に領収書の発行義務はある?
【受け取った側向け】代金を振込で受け取った側が、必ずしも自分から領収書を発行する必要はありません。振込であれば前項のとおり振込明細が証憑として機能するため、実務では「振込明細でご確認ください」と案内されるケースが多くあります。
ただし、支払った側から領収書の発行を求められた場合は、受け取った側に交付する義務が生じます。根拠は民法第486条で、弁済をした者は受領した者に対して受取証書(領収書)の交付を請求できると定められています(出典:e-Gov法令検索 民法第486条)。
つまり、「振込明細があるから領収書は出せない」とは言えません。請求があれば、振込で受け取った側も領収書(または振込に対する受取書)を発行することになります。トラブルを避けるには、契約や請求書の段階で「振込明細書をもって領収書の発行に代える」と取り決めておく方法もよく使われます。
受け取った側が発行する場合、表題は「領収書」でも「受領書(受取書)」でもかまいません。タイトルではなく、金銭を受け取った事実を証明する書面かどうかで判断されます。
振込の受取書(受領書)を発行するときの収入印紙
【受け取った側向け】受け取った側が振込に対して受取書(受領書)を発行する場合、その書面は印紙税法上の「金銭又は有価証券の受取書」(第17号文書)に当たり、収入印紙が必要になる場合があります(出典:国税庁 タックスアンサー No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書)。ただし振込の場合は、相手に渡す受取書かどうかで扱いが変わる点に注意が必要です。
「相手に渡す受取書」かどうかで課税・非課税が分かれる
国税庁の質疑応答事例では、振込を受けた側(被振込人)が作る受取書について、振込をした相手に「振込を証明するための受取書」として交付するものは課税文書(第17号文書)に該当するとされています。一方で、自社の記録用に作成して相手に渡さないものは課税対象になりません(出典:国税庁 質疑応答事例 被振込人が作成する受取書)。同じ振込でも、相手に渡す受取書かどうかで扱いが変わる点に注意してください。
課税される場合の金額の目安
| 受取書の区分 | 5万円未満 | 5万円以上(紙) | 電子交付(PDF・メール) |
|---|---|---|---|
| 売上代金の受取書(第17号の1) | 非課税 | 200円〜(金額に応じて増加) | 不要 |
| 売上代金以外の受取書(貸付返済・敷金など/第17号の2) | 非課税 | 一律200円 | 不要 |
| 営業に関しない受取書(個人として受け取る場合など) | 非課税 | 非課税 | 不要 |
表のとおり、PDFやメールなど電子データで作成・交付した受取書には、収入印紙は不要です。紙で発行すると印紙代がかかる金額でも、電子で発行すればコストを抑えられます。金額別の税額表(5万円以上の段階的な税額)や個人・法人の文例は、受領書の印紙・金銭受領書の記事で詳しく解説しています。

受領書に収入印紙は必要?物品は不要・金銭は5万円以上で課税【種類別の早見】
受領書に収入印紙が要るかは「何を受け取ったか」で決まります。物品受領書は非課税、金銭・売上代金の受取書は5万円以上で200円〜、返金など売上代金以外は一律200円、個人・給与は非課税、電子交付は不要。国税庁の区分に沿って種類別に即答します。
記事を読む
金銭受領書の書き方|個人・法人の文例とテンプレート(領収書との違い・印紙税も解説)
金銭受領書(受取書)の書き方を個人・法人の両形式で解説。必須記載項目・領収書との違い・収入印紙の判断・書き換え可能な無料テンプレートと実用例文を網羅したガイドです。
記事を読む振込で受け取ったときの受領書をテンプレートで作る
TEMPLEXの金銭受領書テンプレートは、受領方法に「振込」を選んで、振込に対する受取書(受領書)をそのまま作成できます。金額・但し書き・受領者情報を入力するだけでPDFが完成し、印刷・メール送付のどちらにも対応します。
PDFで発行すれば収入印紙も不要です。→ 「金銭受領書」テンプレートを開く
スポンサーリンク
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。










