請求書は手書きでもいい?|手書きの書き方・テンプレートとインボイス対応

請求書は手書きでもいい?|手書きの書き方・テンプレートとインボイス対応

請求書は手書きでも有効

結論から言うと、請求書は手書きで作っても問題ありません。請求書には法律で定められた様式や作成方法の決まりがないため、必要な項目さえ正しく書かれていれば、手書きでもパソコンで作ったものと同じ正式な請求書として通用します。

よくある疑問結論
手書きでもいい?有効。請求書に法律上の様式・作成方法の決まりはない
インボイス(適格請求書)は手書きでも?必須項目を満たせば適格請求書として有効
印鑑は必要?必須ではない。押すなら会社の角印・個人の認印で十分
収入印紙は必要?原則不要(領収書を兼ねる用紙に「領収」等と書く場合を除く)
手書き請求書のよくある疑問と結論

ここで多い不安が「手書きだとインボイス(適格請求書)として認められないのでは?」というものですが、手書きでもインボイスの必須項目さえ満たせば適格請求書として有効です。国税庁の取り扱いでも、適格請求書は様式が定められておらず、必要事項が書かれていれば書類の名称や作成方法(手書きかどうか)を問わないとされています(国税庁 適格請求書の様式(問25))。つまり手書きでも、書くべき項目はパソコン作成とまったく同じです。

少額の取引、その場ですぐ渡したいとき、訪問先で対応するときなどは、手書きのほうが早いこともあります。印鑑も手書きだから特別に必要になるわけではなく、そもそも請求書への押印は法的な必須ではありません。押すなら会社の角印や個人の認印で十分です。同じ理由で、手書きであっても収入印紙は原則として不要です。請求書は代金の請求を伝える書類で、金銭の受領を証明する領収書とは違うため、印紙税の課税文書には当たりません(請求書と領収書が一体になった用紙に「領収」「代済」などと書く場合を除く。国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。詳しくは 請求書に収入印紙は必要? を参照してください。個人事業主・フリーランスが屋号や個人名で発行する書き方は 個人事業主の請求書の書き方 にまとめています。

ただし「手書きだから簡単に書いていい」わけではありません。金額を間違えない・改ざんされない書き方を押さえる必要があり、件数が増えると手間や計算ミスの面でデメリットも出てきます。以下で順に見ていきます。

手書きで書くときの項目と注意点

手書きでも、書く項目はパソコン作成と同じです。必要なのは次の項目で、各項目の詳しい書き方は 請求書の書き方 を参照してください。ここでは手書きならではの注意点だけを取り上げます。

  • 基本項目 — 宛名/発行日/請求書番号/明細(品名・数量・単価・金額)/合計金額/支払期日/振込先/発行者情報(会社名・住所・連絡先)
  • インボイスなら追加 — 登録番号(T+13桁)/税率ごとに区分した合計額と適用税率/税率ごとの消費税額

宛名の敬称は、会社名・部署名宛てなら「○○株式会社 御中」、担当者個人宛てなら「○○株式会社 △△様」と使い分けます。「御中」と「様」を一つの宛名に併記しない点に注意してください(担当者名が分からないときは「ご担当者様」とします)。

金額は改ざんされない書き方にする

手書きで最も気をつけたいのが合計金額の欄です。あとから数字を書き足されないよう、金額の頭に「¥」または「金」を付け、3桁ごとにカンマ(,)を打ち、末尾に「-」(ハイフン)や「也」を付けるのが基本です。「¥」を使うなら「¥120,000-」、「円」で書くなら「金120,000円也」のように書きます。

  • 頭に「¥」「金」 — 数字の前に「1」やゼロを書き足されるのを防ぐ
  • 3桁ごとのカンマ — 桁を一目で読めるようにし、桁の追加を防ぐ(例:1,200,000)
  • 末尾に「-」「也」 — 数字を後ろに付け足せないようにする
  • 数字の前後に余白を作らない — 右詰めで書き、空いたスペースには斜線を引いて埋める

筆記具は黒のボールペンか万年筆を使い、鉛筆や消せるペン(フリクション等)は使いません。消せる筆記具は摩擦熱や高温で文字が消えるおそれがあり、証憑として残す請求書には向きません。ボールペンなら、水濡れで滲む水性インクより油性やゲルインクのものが滲みにくく安心です。金額が大きく改ざんが心配なときは、「壱・弐・参・拾・萬」などの大字(だいじ/画数の多い漢数字)で書くとさらに安全です。

計算は税率ごとに区分して検算する

手書きは「数量×単価」や小計・消費税・合計を自分で計算するため、桁ずれや足し忘れが起きやすいところです。発行する前に、明細の縦計と税率ごとの小計を電卓で必ず検算しましょう。インボイスでは消費税の端数処理を、一つの適格請求書につき税率ごとに1回行うと決められています(国税庁 適格請求書に記載する消費税額等の端数処理(問57))。明細の1行ごとに消費税を計算して合算するのではなく、税率ごとの小計を出してから消費税を1回だけ計算する順序にすると、検算もしやすく端数のズレも防げます。10%と8%の取引がある場合は、行を分けて別々に集計します。

手書き請求書の記載例

実際の並びをイメージできるよう、10%のみの取引と、10%・8%が混在する取引の2パターンで記載例を用意しました。市販の用紙に書くときも、空欄を残さずこの並びで埋めていけば項目漏れを防げます(金額の頭の「¥」と末尾の「-」も忘れずに)。

手書き請求書の記載例(10%のみ・標準的なパターン)
請求書 No. 2026-001 発行日:2026年6月10日 株式会社○○ 御中 下記のとおりご請求申し上げます。 品名      数量 単価   金額 ○○作業一式   1  100,000  100,000 ○○費      2  15,000  30,000 小計(10%対象)    130,000 消費税(10%)     13,000 合計        ¥143,000- お支払期日:2026年6月30日 お振込先:○○銀行 △△支店 普通 1234567 カ)○○ 発行者:○○商事株式会社 登録番号:T0000000000000 〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3 TEL:03-0000-0000 担当:営業部 ○○
手書き請求書の記載例(10%・8%混在・軽減税率あり)
請求書 No. 2026-002 発行日:2026年6月10日 株式会社○○ 御中 下記のとおりご請求申し上げます。 品名       数量 単価  金額 ○○作業一式    1  50,000  50,000 ○○(食品)※   10  1,000  10,000 10%対象 小計 50,000 消費税 5,000 8%対象 小計 10,000 消費税  800 合計       ¥65,800- ※は軽減税率(8%)対象 お支払期日:2026年6月30日 お振込先:○○銀行 △△支店 普通 1234567 カ)○○ 発行者:○○商事株式会社 登録番号:T0000000000000 〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3 TEL:03-0000-0000 担当:営業部 ○○

登録番号は「T」の大文字+13桁の数字(例:T0000000000000)で、桁を1つでも間違えると相手が消費税の控除を受けられなくなります。毎回手書きするなら登録番号のゴム印(スタンプ)を作っておくと、書き間違いを防げて速いです。複写式なら1枚目に押せば控えにも転写されます。番号は国税庁の公表サイトで確認でき、自社の通し番号(請求書番号)との違いは 請求書番号の付け方 で解説しています。

書き間違えたときの訂正の仕方

書き損じたときは、修正液・修正テープは使わず、原則として用紙ごと書き直すのが基本です。元の記載が読めなくなり、あとから書き換えたと疑われるためです。気づいたタイミングで対応が変わります。

気づいたタイミング対応
相手に渡す前書き損じた用紙は「書損」と記して控えに残し(連番のまま綴じる)、新しい用紙に書き直す
渡したあと(特に金額の誤り)相手に連絡し、正しい内容で作り直して差し替える。二重線では直さない
金額以外の軽微な誤字・宛名など二重線+訂正印で直す方法もあるが、認めない取引先もあるため再発行が無難
手書き請求書を書き間違えたときの対応(修正液・修正テープは使わない)

金額の訂正は二重線では行わず、必ず書き直すのが鉄則です。複写式の場合は、相手用と控えの両方に同じ訂正を入れます。再発行のやり方や日付の扱いは 請求書の訂正方法 にまとめています。

用紙・テンプレートの選び方|市販の複写式と空欄テンプレート

用紙に決まりはなく、項目さえ満たせば無地のコピー用紙でも有効です。ただし実務では、文具店や100円ショップ、通販で売っている市販の請求書用紙(請求書綴り)を使うのが手軽です。金額・明細・支払期日などの記入欄があらかじめ印刷されているので、項目の書き忘れが起きにくいのが利点です。インボイス対応で登録番号欄が付いた新版も流通しています。なかには10%用と8%用の集計欄があらかじめ分かれて印刷された用紙もあり、税率列に沿って金額を書き込めるので、手書きでも税率ごとの計算がしやすくなっています。こうした税率欄のある様式では、各欄に「10%」「8%」と税率を記入すれば足り、軽減税率を示す「※」マークや欄外注記は不要です。

手書きで作るなら、控えが手元に残る複写式(2枚綴り)を選ぶのがおすすめです。1枚目を相手に渡し、2枚目が自社控えとして残ります。複写の主流は、用紙そのものに筆圧で写るノーカーボン式(NCR紙)で、手やインクが汚れず使いやすいタイプです。しっかり写るよう、細字より中字以上のボールペンで強めに書きます。

  • 単票(1枚もの) — 控えが残らないため、発行時にコピーや写真で記録するか、控え用にもう1枚書く手間がかかる
  • 2枚複写(控え付き) — 相手用と自社控えが同時に作れる。日常の手書き運用はこれで十分
  • 無地の用紙 — 項目欄を自分で配置する必要があり、書き忘れや控えの取り忘れに注意

感熱紙(レシート用ロール紙)に手書きすると、保管期間の途中で印字が退色して読めなくなることがあります。手書き請求書は普通紙かノーカーボン紙の専用用紙を使い、感熱紙は使わないでください。

市販の用紙を買い置きしていないときは、発行者情報や項目名だけを印刷した「空欄テンプレート」を自宅プリンターで刷って手書きする方法もあります。必要な分だけその場で用意でき、日付・宛名・明細を空欄にしておけば、印刷した紙にそのままボールペンで記入できます。TEMPLEX の請求書テンプレートは、登録不要・無料でブラウザから使え、フォームに入力して印刷する使い方も、項目だけ印刷して手書きする使い方もできます → TEMPLEX 請求書テンプレート

控えの保管|手書きでも保存義務は同じ

請求書の控えには保存義務があり、これは手書き・パソコン作成を問いません。保存期間は法人が原則7年(欠損金の繰越控除がある事業年度は最大10年)、個人事業主が原則5年です(消費税の課税事業者は仕入税額控除の関係で7年。国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間)。インボイスとして交付した請求書は、控えの作成・保存も求められます。

複写式なら控えが自然に残るので保管がラクです。単票や無地の用紙を使うときは、渡す前に必ずコピーや写真で控えを残すようにしましょう。なお、紙で発行した控えは紙のまま保管すれば問題ありません。電子データで保存するルール(電子帳簿保存法)は、メールやデータでやり取りした請求書が対象です。保存年数や電子保存の詳細は 請求書の保管期間 で解説しています。

手書きのデメリット

手書きは手軽な一方で、請求書を繰り返し作る場面では次のような弱点があります。1件だけ・少額・急ぎなら手書き、件数が多いならパソコン、と使い分けるのが現実的です。

  • 計算ミスが起きやすい — 小計・消費税・合計を手で計算するため、桁ずれや足し忘れが発生しやすい。出した金額の責任はそのまま発行者に残り、合計の誤りは入金額のトラブルに直結する
  • 控えの管理が手間 — 単票だと控えを別に残す必要があり、紙の保管・検索も手間がかかる
  • 再利用・修正がしにくい — 毎月同じ取引先に出す請求書でも毎回ゼロから書き直し。1か所間違えると用紙ごと書き直しになる
  • 見た目が整いにくい — 文字の崩れや行のずれで印象が左右される。金額の大きい取引では特に気になる

とくに消費税や合計の計算ミスは、そのまま入金トラブルや再発行につながりやすいので注意が必要です。金額が大きい取引や、同じ取引先に毎月出す請求書は、計算を自動化できる手段に切り替えたほうが安全です。

効率化の選択肢|PDF・スマホで作る

「手書きはミスや手間が気になるけれど、請求書はすぐ作りたい」というときは、フォームに入力するだけで請求書をPDF化できるツールが便利です。品名・数量・単価を入れれば小計・消費税・合計が自動計算され、税率ごとの区分や端数処理のミスがなくなります。

作ったデータは控えとしてそのまま保存でき、毎月の請求書は前回分を直して使い回せます。メールにPDFを添付して送れば、印刷・押印・郵送も省けるので、手書きの手間の多くを一度になくせます。PDFでの作り方・送り方や電子帳簿保存法での保存は 請求書を電子化・PDFで作る方法、パソコンを使わずスマホだけで作る手順は スマホで請求書を作る方法 で詳しく解説しています。

TEMPLEX の請求書テンプレートは、登録不要・無料でフォームに入力するだけで請求書をPDF出力でき、項目ごとの消費税表示(インボイス対応)にも対応しています。スマホのブラウザでもそのまま使え、角印を入れたいときは電子印影をPDFに重ねて出力できます。手書きと同じ感覚で項目を埋めるだけなので、急ぎの1件にも、毎月の請求にも使えます。

請求書テンプレートはこちら → TEMPLEX 請求書テンプレート

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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