請求書に但し書きは必要?件名・品目の書き方と領収書との違い

請求書に但し書きは必要? ── 結論は「原則不要」
領収書では当たり前のように書く「但し書き」。請求書を作っていて「請求書にも『但し、〇〇代として』と入れるべき?」と迷う方は多いはずです。結論から言うと、請求書に但し書き欄を設ける必要は原則としてありません。
理由はシンプルで、請求書には品目(明細)欄があり、何を・いくつ・いくらで請求するかがそこに書かれているからです。取引内容は明細を見れば分かるため、領収書のように「何の代金か」を別途一文で補う必要がないのです。請求書で取引内容を示す主役は、但し書きではなく「件名」と「品目」だと考えてください。

請求書を受け取る側として確認している方も、但し書きがなくても明細で取引内容が分かれば、有効な請求書として処理して問題ありません。但し書きは法律やインボイス制度で求められる記載事項ではないため、その有無で請求書の効力が変わることはないからです。
「但し書きの例文を一覧で探している」方は、その用途は領収書であることがほとんどです。ケース別の文例はこのあとの関連記事(領収書の但し書き)にまとめています。
なぜ請求書には但し書きが要らないのか
領収書の但し書きは、受け取った経理担当者が「どの勘定科目で計上するか」「経費にできるか」を判断するための手がかりになります。領収書には明細欄がないことも多く、「但し、〇〇代として」が取引内容を示す唯一の情報になりがちだからです。
一方の請求書は構造が違います。品名・数量・単価・金額が明細として並ぶため、その明細自体が「何の代金か」を語っています。ここに「但し、システム開発費として」と重ねて書いても、明細と同じことを繰り返すだけで情報は増えません。だからこそ、市販の請求書フォーマットや会計ソフトのテンプレートには、そもそも但し書き欄が用意されていないのが一般的です。
やるべきことは、但し書きをひねり出すことではなく、品目欄を「第三者が読んでも分かる」具体性で書くことです。「作業一式」「コンサル費用」だけでは内容が伝わりません。「コーポレートサイト制作費(5ページ)」「〇〇プロジェクト 6月分 業務委託料」のように、対象・期間・範囲が分かるように書くのが基本です。
請求書の「件名・品目」と領収書の「但し書き」── 役割の違い
同じ「何の代金か」を示す情報でも、どの書類のどの欄が担うかは書類ごとに違います。整理すると次のとおりです。
| 書類 | 「何の代金か」を示す欄 | 但し書き欄の要否 |
|---|---|---|
| 請求書 | 件名 + 品目(明細) | 原則不要(明細でわかる) |
| 領収書 | 但し書き(「但し、〇〇代として」) | 必要(明細がないため) |
| 納品書 | 品目(明細) | 原則不要 |
つまり、領収書では但し書きが取引内容を示す主役、請求書では件名と品目が主役という役割分担です。請求書を発行したあとに同じ取引で領収書も出す場合は、領収書側に但し書き(例:「〇〇制作費として」)を書きます。請求書と領収書の両方が必要かどうかは、別記事で詳しく整理しています。

請求書と領収書は両方必要?|役割の違いと二重発行・経費精算の扱い
同じ取引で請求書と領収書の両方を発行・保存すべきか迷う方へ。法的に両方必須ではない理由、銀行振込・現金・掛取引の取引形態別の使い分け早見、民法486条の領収書発行義務、インボイス制度では適格書類が1種でよい点、両方ある場合の二重計上・二重発行の注意までを整理します。
記事を読む請求書の件名(タイトル)の書き方
請求書で「何の代金か」を真っ先に伝えるのが件名です。ここでいう件名には2つの意味があるので、分けて押さえておきましょう。
1. 書類名としての「請求書」
用紙の上部中央または左上に、その書類が請求書であることを示す表題を大きく入れます。「請求書」「ご請求書」「御請求書」のいずれでも問題ありませんが、迷ったら最もシンプルな「請求書」で十分です。どの表記が正しいか気になる方は関連記事もご覧ください。
2. 案件名としての件名
表題とは別に、「どの案件の請求か」を一行で示す件名(案件名)を入れておくと、受け取った相手が一目で内容を把握できます。複数の取引が並行している取引先ほど効果的です。これが、領収書でいう但し書きに最も近い役割を果たします。
件名は必須項目ではありません。1案件=1請求書で品目を見れば内容が明らかなときは、無理に件名を付けなくても構いません。
品目(明細)で取引内容を具体的に書く
請求書で取引内容を示す本体は品目欄です。品名・数量・単価・金額をセットで書き、品名は勘定科目を判断できる具体性にするのが基本です。曖昧な品名は、受け取った相手の経理を止め、問い合わせや差し戻しの原因になります。特に、領収書の感覚で品名に「お品代」と書くのはNGです。「お品代」は何を売買したかが分からず、インボイス制度で求められる「取引の内容」を満たさないうえ、受け取った相手の経費処理でも使途不明として扱われかねません。
| 避けたい品名 | おすすめの品名 |
|---|---|
| お品代 | コピー用紙(A4)10冊 |
| 作業一式 | ECサイト改修作業(カート機能追加) |
| コンサル費用 | 〇〇事業 マーケティング支援 6月分 |
| 備品 | オフィスチェア 5脚 |
インボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとでは、この品目の具体性が相手の仕入税額控除に直結します。適格請求書には「取引の内容(軽減税率の対象品目はその旨)」の記載が求められるため、品名が曖昧だと要件不備として扱われるおそれがあります(国税庁 No.6625 適格請求書等の記載事項)。軽減税率(8%)対象の品目がある場合は、その旨が分かるように記載してください。明細欄そのものの書き方は、明細の記事でさらに詳しく解説しています。

請求書の明細(内訳)の書き方|明細書・請求明細書との違い
請求書の明細(内訳)の書き方を、品名・数量・単価・金額の分け方から解説。「一式」を使ってよい場面、明細書と請求書の違い、請求明細書を別紙にするケースまで、そのまま使える記載例つきで整理します。
記事を読む補足したいことは「備考欄」に書く
「但し書きで一言添えたい」と感じる内容の多くは、請求書では備考欄(摘要欄)に書くのが正解です。品目欄では伝えきれない条件や連絡事項は、但し書きではなく備考欄で補います。
- 支払期日・振込先・振込手数料の負担に関する案内
- 「追加作業分を含む」「次月へ繰越分あり」など金額の補足
- 発注番号・契約番号など相手の社内処理に必要な番号
- 源泉徴収税額を差し引いている場合のその旨
備考欄はあくまで補足です。取引内容そのものは件名と品目で示し、備考欄に長文を書き込みすぎないのがすっきり伝わるコツです。
領収書を発行するときの但し書きは別物
請求書とは逆に、領収書を発行するときは但し書きが欠かせません。領収書には明細がないことが多く、但し書きが「何の代金か」を示す唯一の情報になるためです。空欄の領収書は、受け取った相手が経費処理に困るうえ、税務上も使途が不明な証憑とみなされかねません。
領収書側の但し書きは、「お食事代として」「事務用品代として」のように末尾を「〇〇代として」で締め、品目が分かる具体性で書くのが原則です。ケース別の文例は、領収書の但し書きの記事にまとめています。

領収書の但し書き一覧|ケース別30例と正しい書き方
領収書の但し書きをケース別30例で解説。飲食代・交通費・備品・贈答品・サービス料など業種別の書き方、「お品代」がNGな理由、インボイス対応の注意点まで、すぐ使える実例を網羅。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。









