領収書の日付ルール|いつの日付を書く?訂正・日付なし・遡り発行の対処法

領収書の日付ルール|いつの日付を書く?訂正・日付なし・遡り発行の対処法

領収書の日付はいつを書くか

領収書に記載する日付は「実際に金銭を受け取った日」です。商品の引き渡し日でも、契約の締結日でも、請求書の発行日でもなく、代金の支払いが完了した日が領収書の日付になります。

領収書は「金銭の授受があった事実」を証明する書類です。税務上、経費として計上するには「いつ・誰に・何のために・いくら支払ったか」を明確にする必要があり、日付はその中核を担います。実際の支払日と異なる日付が記載されていると、取引がいつ行われたのか不明確になり、証拠としての信頼性が大きく下がります。

なお、2023年10月に開始したインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、「取引年月日」が適格請求書の必須記載事項の一つに定められています。仕入税額控除を受けるためにも、日付の正確な記載がこれまで以上に重要です。

日付の正しい書き方

  • 和暦は「R」「H」と略さず「令和○年○月○日」と正式に書く
  • 西暦なら「2026年5月28日」のように4桁で年を記載する(下2桁省略はNG)
  • 「2026/5/28」のようなスラッシュ区切りも実務上は許容されるが、手書きの場合は「1」と「7」の誤読を防ぐため丁寧に記入する
  • ボールペンなど消えないインクで書く(鉛筆・フリクションは改ざんリスクがあるため不可)

「発行日」と「領収日」が異なるケースの扱い

通常、領収書は代金を受け取ったその場で発行するため、発行日=領収日になります。しかし実務では、後日になってから領収書の発行を依頼されるケースが少なくありません。この場合でも、記載すべき日付は「発行した日」ではなく「実際に金銭を受け取った日(=領収日)」です。

発行日と領収日がずれる代表的なケース

  1. 後日発行 ── 飲食店で個人名のレシートを受け取り、後日あらためて会社名義の領収書を依頼する場合。記載日付はレシートの日付(=実際の支払日)にする
  2. 分割払い ── 10万円の取引を6月25日に3万円、7月10日に7万円と分けて支払った場合、領収書は各支払日ごとに1枚ずつ発行し、それぞれの支払日を日付として記載する
  3. 掛取引の入金日 ── 月末締め翌月払いで7月31日に振込入金があった場合、領収書の日付は入金日の7月31日。商品を引き渡した日(納品日)ではない
  4. 前払い ── ホテルの宿泊費を予約時に全額支払った場合、支払いが完了した日が領収日。チェックイン日やチェックアウト日ではない

いずれのケースでも、領収書の日付は「お金が動いた日」と覚えておけば迷いません。後日発行を依頼された発行者側は、レシートや入金記録など取引の裏付け資料を確認してから日付を記載しましょう。

銀行振込の場合、振込明細書が支払いの証拠として税務上認められるため、そもそも領収書の発行を省略するケースも多くあります。振込時の領収書発行については、関連記事で詳しく解説しています。

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日付がない領収書は有効か

結論から言えば、日付がない領収書も「法的には有効」です。金銭の支払いと領収書の発行という事実がある以上、日付の記載がないだけで領収書そのものが無効になるわけではありません。

ただし、実務上は以下のリスクがあるため、日付なしの領収書はそのまま使わず対処が必要です。

日付なしの領収書が問題になる場面

  • 経費精算の差し戻し ── 多くの会社では日付のない領収書は経費精算の対象外として差し戻される
  • 税務調査での指摘 ── 日付が空欄だと「いつの取引か不明」として証拠能力が疑われる。改ざんの余地があると見なされるリスクもある
  • 消費税の仕入税額控除 ── インボイス(適格請求書)の必須記載事項に「取引年月日」が含まれるため、日付なしではインボイスの要件を満たさず、仕入税額控除が認められない可能性がある

日付がない領収書をもらったときの対処法

  1. その場で気づいた場合 ── 発行者にその場で日付を記入してもらう
  2. 後日気づいた場合 ── 発行者に連絡して日付を追記してもらうか、正しい日付入りで再発行を依頼する
  3. 発行者に連絡がつかない場合 ── 領収書とは別の紙やメモに支払日を記録し、レシート・クレジットカード明細・振込記録など日付が分かる補完資料と一緒に保管する

受領者が自分で領収書に日付を書き込むのは厳禁です。領収書は発行者が作成する書類であり、受領者が加筆すると私文書偽造(刑法第159条)に該当するおそれがあります。日付の追記・訂正は必ず発行者に依頼してください。

日付を間違えたときの訂正方法

領収書の日付を書き間違えた場合、理想は新しい用紙で書き直す(再発行する)ことです。訂正跡のある領収書は税務調査で「改ざんではないか」と疑われる可能性があるため、再発行できる状況なら再発行を優先しましょう。

とはいえ、相手方がすでに帰ったあとに気づいたなど、すぐに再発行できない場合もあります。その場合は、以下の手順で訂正します。

二重線+訂正印の手順

  1. 誤った日付に二重線を引く ── 元の文字が読める状態にすること。塗りつぶしや修正液は改ざんを疑われるため使わない
  2. 二重線の上(または近く)に訂正印を押す ── 発行者の印鑑を使用する。会社の角印があれば信頼性が増す
  3. 正しい日付を近くの余白に記載する ── 二重線を引いた箇所のすぐ上や横など、読み取りやすい位置に書く

訂正時の注意点

  • 訂正できるのは発行者のみ ── 受領者が訂正すると改ざんになる
  • 金額の訂正は再発行が原則 ── 日付と異なり、金額の訂正は税務上のリスクが特に高いため、訂正印での対応は避けて再発行する
  • 訂正箇所が多い場合も再発行 ── 二重線だらけの領収書は証拠能力が低下する

再発行する場合は、誤った領収書を必ず回収し、「再発行」と明記した新しい領収書を発行します。元の領収書と再発行した領収書の控えを両方保管しておくと、二重計上の疑いを防げます。

過去の日付で発行を頼まれたら

取引先や社内から「先月の日付で領収書を出してほしい」と頼まれることがあります。実際に先月に代金を受け取っていて、その事実をレシートや入金記録で確認できるなら、実際の支払日(過去の日付)を記載した領収書を後日発行することは問題ありません。

問題になるのは、取引の事実がないのに領収書を発行するケースや、実際の取引日とは異なる日付を意図的に記載するケース(いわゆるバックデート)です。

バックデートの法的リスク

  • 有印私文書偽造罪・変造罪(刑法第159条) ── 事実と異なる日付を意図的に記載して発行すると、3か月以上5年以下の拘禁刑の対象になりうる
  • 詐欺罪(刑法第246条) ── 偽造した領収書を使って経費精算や保険金請求で金銭を得た場合、10年以下の拘禁刑
  • 脱税幇助 ── 取引先が決算期の経費計上を操作する目的でバックデートを依頼してきた場合、応じた側も脱税に加担したと見なされる可能性がある
  • 重加算税 ── 税務調査で悪質な日付操作(隠蔽・仮装)と認定されると、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%の重加算税が課される

頼まれたときの正しい対処

  1. 実際の取引日を確認する ── レシート・入金記録・売上データなど、金銭の授受があった日付を裏付ける資料があるか確認する
  2. 裏付け資料があれば、実際の支払日を日付として記載して発行する ── これは「バックデート」ではなく、正当な後日発行
  3. 裏付け資料がない場合は発行を断る ── 「取引の記録が確認できないため発行できません」と伝える
  4. 日付を変えてほしいと言われたら断る ── 実際の取引日以外の日付を記載する合理的な理由はない

「前の期に経費を入れたいから日付を変えてほしい」という依頼は、決算操作・脱税につながる典型パターンです。善意で応じたつもりでも、自社にまで税務調査が及ぶリスクがあります。事実と異なる日付での発行は、いかなる事情があっても引き受けないのが鉄則です。

決算期をまたぐ領収書の注意点

3月決算の会社で3月31日に支払いを行い、領収書を受け取った場合、その経費は当期(3月決算期)の費用として計上します。一方、4月1日に支払った場合は翌期の費用です。領収書の日付が決算日の前後どちらに当たるかで、経費の帰属する期が変わります。

決算期をまたぐときに注意すべきポイント

  • 経費は「発生主義」が原則 ── 法人税法では、費用は「債務が確定した日」に計上するのが原則(発生主義)。ただし、領収書の日付が異なると帰属期の判断材料がずれるため、日付の正確性が一層重要になる
  • 期末に集中する領収書は要注意 ── 決算直前に日付の集中した領収書が大量にあると、経費の前倒し計上を疑われやすい
  • クレジットカード決済のタイムラグ ── カードの利用日と引き落とし日がずれる場合、原則として「利用日(役務の提供日・商品の引き渡し日)」を基準に経費計上する。領収書にはカード利用日が記載されていることを確認する。なお、クレカ払いの領収書には「クレジットカード利用」と明記すれば印紙税が非課税になる(詳細は関連記事を参照)
  • 年末年始・期末の立替精算 ── 従業員が3月中に立替払いし、経費精算書の提出が4月になった場合でも、支払日が3月なら当期の経費。領収書の日付が正しければ、精算書の提出日は関係ない

決算期をまたぐ領収書は税務調査で重点的にチェックされる項目の一つです。経費を正しい期に計上するためにも、領収書の日付が実際の支払日と一致しているかを経理担当者が確認する運用を徹底しましょう。

領収書

クレジットカード払いで領収書はもらえる?|利用明細との違いと経費精算

クレジットカード決済の領収書の日付

クレジットカードで支払った場合、領収書の日付はカードを利用した日(購入日・サービス提供日)を記載します。カード会社からの引き落とし日や、店舗にカード会社から入金される日ではありません。

クレカ決済では「利用日」「締め日」「引き落とし日」の3つの日付が登場するため、経費計上のタイミングで混乱しがちです。

  • 利用日(例:5月10日) ── 商品を購入した日。領収書の日付はこの日
  • 締め日(例:5月末) ── カード会社が利用額を集計する日。経費処理には直接関係しない
  • 引き落とし日(例:6月27日) ── 銀行口座から引き落とされる日。この日付で経費計上するのは誤り

経費は「利用日」基準で計上するのが原則です。仕訳では利用日に「未払金」で計上し、引き落とし日に未払金を消し込む二段階の処理を行います。

クレカ払いの領収書に記載すべき注意点

クレカ払いの領収書を発行する側は、但し書きや備考欄に「クレジットカード利用」と必ず明記してください。この記載がないと、現金取引と区別がつかず、5万円以上の場合に収入印紙の貼付が必要になってしまいます。クレカ払いであることが明記されていれば、金額にかかわらず印紙は不要です。

領収書

クレジットカード払いで領収書はもらえる?|利用明細との違いと経費精算

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