領収書の収入印紙代はどちらが負担する?発行者と受取人の義務

原則 ── 印紙代は文書の作成者が負担
印紙税法第3条により、課税文書の作成者が納税義務者です。領収書の作成者は「金銭を受け取った側=領収書の発行者」ですから、印紙代は発行者が負担します。
たとえば商品代金100万円を現金で受け取り、領収書を発行する場合、200円の収入印紙を貼る義務があるのは代金を受け取った側(売り手)です。支払った側(買い手)に印紙代を負担させる法的義務はありません。
ただし印紙が必要になるのは、売上代金の受取書(領収書)で記載金額が5万円以上の場合です(印紙税法別表第一 第17号文書 非課税物件欄)。5万円未満の領収書は非課税文書のため印紙は不要です。また、個人が事業とは無関係に発行する受取書(不用品の売却代金など)は「営業に関しない受取書」として金額にかかわらず非課税です(同非課税物件欄2)。
この原則は、個人事業主であっても法人であっても同じです。領収書を発行する以上、印紙税の負担は発行者の責任です。
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「印紙代を上乗せして請求してよいか」
印紙代を取引金額に上乗せして請求すること自体は、法律上禁止されていません。ただし商慣習としては、印紙代は発行者側の経費に含めるのが一般的であり、別途請求するケースは多くありません。
もし印紙代を取引先に負担してもらいたい場合は、見積書や契約書の段階で「印紙代は別途」と明記しておくのが無用なトラブルを避けるコツです。事後に「印紙代を負担してほしい」と申し出ると、取引先との関係悪化につながるおそれがあります。
なお、印紙代を上乗せした場合でも、印紙税の納税義務者はあくまで文書の作成者(発行者)です。印紙の貼付と消印を行う義務は発行者にあります。
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契約書の場合は連帯納付義務
領収書と混同されやすいのが契約書の印紙です。契約書は「当事者双方が署名・押印して作成する文書」のため、双方が作成者として連帯して納税義務を負います(印紙税法第3条第2項)。
実務上は「各自1通ずつ作成し、各自が自分の保管分に印紙を貼る」のが最も一般的です。2通分の印紙代を一方が全額負担するケースもありますが、これは当事者間の合意によるものであり、法律上の義務ではありません。
| 文書の種類 | 作成者 | 印紙代の負担者 |
|---|---|---|
| 領収書 | 金銭の受取人(発行者) | 発行者が単独で負担 |
| 契約書 | 契約の当事者双方 | 連帯納付義務(実務上は各自負担が多い) |
領収書は一方的に作成する文書であるため、連帯納付の問題は発生しません。印紙代は発行者が単独で負担します。
取引先から「印紙代を負担してほしい」と言われたら
領収書を受け取る側が印紙代を負担する法的義務はありません。しかし、取引関係を考慮して応じるかどうかは経営判断です。
印紙代の負担そのものよりも、根本的な解決策として電子領収書(PDF等)への切り替えを提案するのが双方にとって最善です。電子的に発行する領収書は金額にかかわらず印紙税が非課税のため、そもそも印紙代の負担が発生しません。
- 発行者のメリット:印紙代ゼロ、印紙の在庫管理が不要
- 受取人のメリット:電子保存できるため書類の管理が容易
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印紙代の会計処理
収入印紙の購入費用は「租税公課」として経費計上します。印紙税は国税の一種であり、事業に関連して負担する税金は租税公課に分類されます。
仕訳例:200円の収入印紙を現金で購入
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 200 | 現金 | 200 |
まとめ買いした場合の処理
収入印紙をまとめ買いして在庫として保管する場合は、いったん「貯蔵品」で資産計上し、使用時に租税公課へ振り替える方法もあります。少額であれば購入時に全額を租税公課として処理する簡便法も認められています。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 購入時 | 貯蔵品 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
| 使用時 | 租税公課 | 200 | 貯蔵品 | 200 |
なお、郵便局で購入する収入印紙は消費税の非課税仕入です。金券ショップで購入した場合は課税仕入として処理できるため、消費税の仕入税額控除が可能な分だけ実質的なコストが下がります。
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コラム著者・編集者
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