領収書を書き間違えて渡したら|訂正・再発行・お詫びの対処法

間違いに気づいたらまず何をするか
領収書を書き間違えて渡してしまったことに気づいたら、すぐに先方へ連絡し、正しい領収書を再発行するのが原則です。「次回の取引のときに差し替えよう」と後回しにすると、先方がすでに経費精算を済ませてしまい、訂正対応が複雑になります。
対応の流れは、(1) 電話で謝罪と状況説明 → (2) 誤った領収書を回収 → (3) 正しい領収書を再発行して渡すの3ステップです。メールだけで済ませず、まず電話でお詫びするのがビジネスマナーとして適切です。電話後に経緯と再発行の段取りをメールで送ると、先方も社内で共有しやすくなります。
間違いの内容が軽微(但し書きの一字脱字など)であっても、先方に渡した後であれば自己判断で放置せず、必ず連絡を入れましょう。先方の経理処理に影響する可能性があります。
領収書
領収書の面白い間違い事例集|なぜ起きる?原因と防止策
間違いの種類別の対処法
領収書の記載ミスは、間違えた項目によって対処法が異なります。項目ごとに「訂正で対応できるか」「再発行が必要か」を整理します。
金額の間違い → 再発行が必須
金額の訂正は、二重線+訂正印であっても実務上認められません。金額は領収書の中で最も重要な項目であり、訂正跡があると改ざんを疑われるリスクが高いためです。法律で明文の禁止規定があるわけではありませんが、税務調査や経理実務では金額を訂正した領収書は信頼性を疑われるため、再発行で対応するのが確立した実務慣行です。金額に誤りがある場合は、必ず旧領収書を回収したうえで正しい金額で再発行してください。
受領者が領収書の金額を勝手に書き換えると、有印私文書変造罪(刑法第159条第2項)に問われるおそれがあります。既存の領収書の内容を書き換える行為は「偽造」ではなく「変造」にあたり、法定刑は3か月以上5年以下の拘禁刑です。金額の訂正は必ず発行者側が再発行で対応してください。
宛名の間違い → 再発行が望ましい
宛名は「誰が支払ったか」を証明する項目です。法人格の書き間違い(前株・後株の逆転、「(株)」と略してしまったなど)や、社名そのものの誤りは経費精算で差し戻される原因になるため、再発行で対応するのが確実です。
領収書
領収書の宛名を訂正する方法|二重線・訂正印の手順と再発行の依頼例文
但し書きの間違い → 軽微なら訂正可、大幅なら再発行
但し書きの一字脱字や送り仮名の誤り程度であれば、二重線+訂正印で訂正して問題ありません。ただし、品目名がまったく異なる場合や、但し書きの趣旨が変わるほどの修正は再発行で対応しましょう。
インボイス(適格簡易請求書)として発行した領収書の場合、但し書きの軽微な誤りでも二重線訂正は使えません。消費税法上、適格請求書発行事業者には修正インボイスの交付義務があり、誤りがあった場合は正しい記載事項で再交付する必要があります(国税庁インボイスQ&A問25)。インボイスとして発行した領収書に記載ミスがあった場合は、必ず再発行で対応してください。
日付の間違い → 再発行が原則
日付は会計期間(どの事業年度に計上するか)に直結するため、実際の取引日と異なる日付が記載された領収書は税務上の問題になりえます。とくに月末・期末をまたぐ日付の誤りは、先方の決算処理に影響するおそれがあるため、速やかに再発行してください。
領収書
領収書の日付ルール|いつの日付を書く?訂正・日付なし・遡り発行の対処法
| 間違いの項目 | 訂正の可否 | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 金額 | 実務上不可 | 再発行が必須 |
| 宛名 | 可(ただし非推奨) | 再発行が望ましい |
| 但し書き(軽微) | 可 | 二重線+訂正印で訂正 |
| 但し書き(大幅) | 非推奨 | 再発行 |
| 日付 | 可(ただし非推奨) | 再発行が原則 |
再発行の手順
領収書の再発行は、二重発行による不正利用を防ぐために正しい手順で行う必要があります。以下の流れに沿って対応してください。
- 先方に連絡し、誤った領収書を回収する(郵送・手渡しいずれでも可)
- 回収した旧領収書に大きく「×」印または「VOID」印を押し、「再発行済」と記入して社内で保管する(破棄しない)
- 正しい内容で新しい領収書を作成し、余白に「再発行」と明記する
- 通し番号を付番している場合は、新しい番号を振り、旧番号との対応を記録しておく
- 再発行した領収書を先方に渡す(郵送の場合はお詫び状を同封すると丁寧)
旧領収書を回収せずに再発行すると、同じ取引に対して領収書が2枚存在することになり、二重計上(経費の水増し)を疑われる原因になります。先方が旧領収書を紛失してしまった場合は、その旨を記録に残し、再発行した領収書に「旧領収書(No.〇〇)は回収不能のため本書を再発行」などと付記しておくと安全です。
収入印紙を貼った領収書を再発行する場合、再発行分にも改めて収入印紙が必要です。旧領収書の印紙は税務署に「印紙税過誤納確認申請」を行えば還付を受けられますが、申請には印紙が貼付された原本の提出が必須です(文書作成日から5年以内)。旧領収書は絶対に破棄せず、社内で保管してください。
電子領収書(PDF)を間違えた場合
PDF等の電子データで発行した領収書に誤りがあった場合は、システム上で旧データを無効化し、新しい番号で再発行して先方に再送します。電子データは印紙税法上の「文書」に該当しないため、収入印紙は不要です(国税庁質疑応答事例)。紙の再発行と比べて印紙コストがかからない点は電子領収書のメリットです。
先方へのお詫びの連絡方法
書き間違いに気づいたら、まず電話でお詫びし、その後メールで経緯と今後の対応を伝えるのが基本です。電話で状況を説明してから再発行の段取りを伝えると、先方も安心して対応できます。
電話でのお詫びトーク例
電話では、要点を簡潔に伝えることが大切です。以下のトーク例を参考にしてください。
お詫びメール例文
電話のあと、記録として以下のようなメールを送ります。
メールだけで済ませると事務的な印象になりがちです。金額の間違いなど重大なミスの場合は、電話でのお詫びを先にしたうえで、メールは記録と段取りの共有として送りましょう。
訂正が認められるケース・認められないケース
領収書の訂正がすべてNGというわけではありません。ただし、金額の訂正は原則不可、それ以外の項目も再発行が望ましいというのが実務上の基本スタンスです。やむを得ず訂正で対応する場合のルールを確認しておきましょう。
訂正が認められるケース
但し書きの軽微な誤字や、敬称の書き間違い(「様」と「御中」の取り違えなど)は、発行者が二重線+訂正印で修正すれば有効です。訂正の手順は以下のとおりです。
- 誤った箇所に二重線を引く(修正液・修正テープは使わない)
- 二重線の上に訂正印を押す(発行者の認印または社印。シヤチハタは避ける)
- 余白に正しい内容を記入する
訂正が認められないケース
- 金額の訂正 — 改ざんリスクが高く、実務上認められていない。法律で明文の禁止規定はないが、税務・経理の現場では訂正済みの金額は信頼されないため、必ず再発行で対応する
- 受領者による訂正 — 訂正できるのは発行者のみ。受領者が勝手に修正すると有印私文書変造罪(刑法第159条第2項)にあたるおそれがある
- 修正液・修正テープでの訂正 — 訂正前の記載が確認できなくなるため、改ざんと見なされる
- 「訂正したものは無効」と印刷されている領収書 — 市販の領収書用紙に多い。この文言がある場合は訂正すると無効になるため再発行が必要
- 複数箇所の訂正 — 訂正は基本的に1箇所まで。2箇所以上の誤りがある場合は再発行する
訂正印にシヤチハタ(インク浸透印)を使うのは避けましょう。シヤチハタは同一の印面が大量に流通しているため、訂正者の特定ができず、税務調査や監査で信頼性を疑われることがあります。朱肉を使う認印または社印を使用してください。
書き間違いを防ぐためのチェックリスト
領収書の書き間違いは、発行前のダブルチェックで大半を防げます。以下のチェックリストを発行のたびに確認する習慣をつけましょう。
- 金額は請求書・レジ記録と一致しているか(桁の間違い、税込み・税抜きの取り違えに注意)
- 宛名は正式名称で書かれているか(「(株)」と略していないか、前株・後株は正しいか)
- 日付は実際の取引日と一致しているか(特に月初・月末は前月の日付を書きやすい)
- 但し書きは取引の内容を正しく反映しているか(「お品代」で済ませず具体的に)
- 収入印紙は必要か(税抜5万円以上100万円以下の領収書には200円の印紙が必要。消費税額を別記していない場合は税込金額で判定される)
- 発行者の住所・氏名・押印に漏れはないか
- 通し番号は連番になっているか(手書きの場合は特に注意)
手書きの領収書はミスが起きやすいため、TEMPLEX のような領収書テンプレートを使って入力・印刷する方法もおすすめです。フォームに入力するだけでレイアウトが整った領収書を作成でき、書き間違いのリスクを大幅に減らせます。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








