不動産取引の領収書と印紙税|手付金・売買代金の印紙代ガイド

不動産取引で領収書に印紙が必要な場面
不動産売買では、取引の各段階で金銭のやり取りが発生し、そのたびに領収書を発行します。領収書1通ごとに、その記載金額に応じた印紙税が課税されます。
- 手付金の受領時 ── 売買契約の締結と同時に支払われる。売買代金の5〜10%が相場。
- 中間金(内金)の受領時 ── 手付金と残代金の間に支払われるケース。取引によっては発生しない。
- 残代金(決済金)の受領時 ── 物件の引渡し・所有権移転登記と同時に行われる最終決済。
- 仲介手数料の受領時 ── 不動産会社が売主・買主から受け取る仲介手数料の領収書にも印紙が必要。
いずれも「5万円以上の金銭の受領を証する文書」に該当するため、第17号文書として印紙税が課税されます。
領収書
5万円以上の領収書に収入印紙は必要?非課税ラインと判定ルール
手付金の領収書に必要な印紙代
手付金の領収書の印紙税は、売買代金の総額ではなく手付金の金額(=その領収書に記載された受取金額)で判定します。
たとえば5,000万円の物件で手付金が500万円の場合、手付金の領収書の印紙税は500万円に対する1,000円です(「300万円超500万円以下」の区分)。5,000万円に対する1万円ではありません。
| 手付金の金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税(印紙不要) |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
手付金の相場は売買価格の5〜10%です。たとえば3,000万円の物件なら150万〜300万円程度が一般的です。
不動産売買代金の領収書の印紙代
残代金(決済金)の領収書は金額が大きいため、印紙代も高額になります。記載金額がそのまま印紙税額の判定基準です。
| 領収書の記載金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1,000万円超 2,000万円以下 | 4,000円 |
| 2,000万円超 3,000万円以下 | 6,000円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 2万円 |
| 1億円超 2億円以下 | 4万円 |
具体例で見ると、売買代金3,000万円の残代金(手付金500万円を除く2,500万円)の領収書なら印紙税は6,000円、売買代金5,000万円の残代金4,500万円なら1万円です。
領収書
領収書の印紙代はいくら?印紙税額一覧表と金額の調べ方【2026年版】
個人の自宅売却は印紙不要
マイホーム(居住用財産)の売却代金を受け取る際に個人が発行する領収書は、「営業に関しない」受取書に該当するため非課税です(印紙税法別表第一 第17号文書 非課税物件欄2)。印紙税法上、個人が営業目的でなく発行する受取書は課税文書に該当しません。
ただし、次のケースは「営業」に該当する可能性があるため注意が必要です。
- 投資用マンション・収益物件の売却 ── 賃貸収入を目的に保有していた物件の売却は「営業」と判断される可能性がある。
- 個人事業主が事業用不動産を売却 ── 事業用の店舗・倉庫・駐車場などの売却代金は「営業に関する」受取書に該当。
- 不動産業を営む個人 ── 不動産の売買を反復継続して行っている場合は営業に該当。
「個人の自宅売却=非課税」と覚えるのは正しいですが、投資用・事業用の不動産には当てはまらないため、物件の用途を確認してから判断してください。
領収書
5万円以上でも収入印紙が不要な場合とは?貼らなくていいケースを解説
領収書
個人の領収書に収入印紙は不要?「営業に関しない」の判断基準
不動産会社が発行する領収書
不動産会社(法人)が発行する領収書は、常に「営業に関する」受取書です。売買代金・仲介手数料を問わず、5万円以上であればすべて課税文書に該当します。
- 売買代金の領収書 ── 売主が不動産会社の場合、手付金・残代金それぞれの領収書に印紙が必要。
- 仲介手数料の領収書 ── 仲介会社が売主・買主から受け取る手数料の領収書も課税文書。たとえば3,000万円の物件で仲介手数料が105.6万円(税込)なら、印紙税は400円。
なお、仲介手数料の領収書では消費税の区分記載によって印紙税額が変わる場合があります。たとえば仲介手数料105万6,000円(税込)の場合、「金額105万6,000円」とだけ記載すると100万円超の区分で印紙税は400円ですが、「金額105万6,000円(税抜96万円、消費税等9万6,000円)」と区分記載すれば税抜96万円で判定されるため、100万円以下の区分で200円になります。領収書の書き方ひとつで印紙代が半額になるケースがあるため、消費税額を明記する書式がおすすめです。
法人は個人と異なり「営業に関しない」という例外がないため、受領金額が5万円以上であれば必ず印紙が必要です。
領収書
領収書の印紙は税抜き金額で判定できる?税込・税抜の正しいルール
電子発行・電子契約で印紙代を節約する方法
不動産取引は金額が大きいため印紙代も高額になりがちですが、領収書をPDF等の電子データで発行すれば、課税文書に該当せず印紙税は非課税です。印紙税法上、課税対象となるのは「紙の文書」であり、電子データは文書の「作成」に当たらないとされています。メールやクラウドストレージで領収書を交付すれば、数千円〜数万円の印紙代がかかりません。
同様に、売買契約書を電子契約で締結した場合も印紙税は不要です。電子契約サービスを利用して契約を締結すれば、契約書に貼付する印紙代(軽減後でも数千円〜数万円)を節約できます。近年は不動産取引でも電子契約の利用が広がっており、印紙代の削減は大きなメリットのひとつです。
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電子領収書に収入印紙は不要?PDF・メール発行と印紙税のルール
売買契約書の印紙税との違い
不動産取引では「売買契約書」と「領収書」の両方に印紙税がかかりますが、文書の種類が異なるため税額表も別です。
| 項目 | 売買契約書(第1号文書) | 領収書(第17号文書) |
|---|---|---|
| 税額の決まり方 | 契約金額(売買代金の総額) | 各領収書の記載金額 |
| 軽減税率 | あり(令和9年3月31日まで) | なし |
| 納税義務者 | 契約当事者双方(連帯納付) | 領収書の作成者(発行者のみ) |
不動産売買契約書には租税特別措置法第91条による軽減税率が適用されます(令和9年〈2027年〉3月31日までに作成される契約書が対象)。たとえば契約金額1,000万円超5,000万円以下の場合、本則税額2万円が軽減後1万円になります。
一方、領収書(第17号文書)には軽減税率の適用がありません。領収書の印紙税額は印紙税法の本則税額がそのまま適用されます。
不動産売買契約書の印紙税額(軽減後)
| 契約金額 | 本則税額 | 軽減後税額 |
|---|---|---|
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
不動産取引の印紙代を計算する際は、契約書と領収書を混同しないよう注意してください。契約書は軽減後の税額、領収書は本則の税額表で計算します。
領収書
領収書の収入印紙代はどちらが負担する?発行者と受取人の義務
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








