請求書の日付はいつにする?発行日・締め日・検収日との関係

請求書の日付はいつにする?発行日・締め日・検収日との関係

請求書に書く日付は「発行日」

請求書の右上に入れる日付は、請求書を発行する「発行日(請求日)」です。支払期日でも、相手に届く日でもなく、こちらが請求書を作って相手に渡す日を書きます。請求書は「いくら払ってください」と通知する書類なので、その通知を出した日が日付欄の中心になります。

請求書に書く日付は「発行日」
請求書に書く日付は「発行日」

ただし、ここで多くの人がつまずきます。「発行日に何日を入れるか」は、請求のしかた(都度請求か、月締めの一括請求か)で変わるからです。さらに、日付欄とは別に明細側へ「取引日(納品日・サービス提供日)」を書く場面もあります。まずはこの2つの日付を分けて考えると、迷わずに済みます。

日付の種類意味どこに書くか
発行日(請求日)請求書を発行した日。日付欄の中心請求書の右上など
取引年月日(取引日)商品を引き渡した日・サービスを提供した日明細の各行、または「○月分」
支払期日入金してほしい期限。発行日とは別物「お支払期限」欄
請求書に登場する日付。発行日と取引日は別の役割

「請求書の発行日=売上が立った日」と思い込みがちですが、それは誤解です。売上をいつ計上するか(=取引日)は、請求書を出したかどうかとは関係なく、納品やサービス完了のタイミングで決まります。この点は後半で詳しく扱います。

都度請求と月締め一括で日付が変わる

発行日に何日を入れるかは、取引先との請求の取り決めで決まります。大きく分けて、取引のたびに請求する「都度方式」と、ひと月分などをまとめて請求する「掛売方式(月締め)」の2つがあります。

都度方式(取引のたびに請求)

納品やサービス提供のたびに1件ずつ請求する方式です。この場合、発行日は「納品日・サービス提供完了日」と同じか、その直後にするのが一般的です。納品したその日に請求書を切るなら、発行日=取引日になり、日付の悩みはほとんど起きません。

掛売方式(月締めで一括請求)

ひと月分の取引をまとめ、決まった締め日で区切って請求する方式です。同じ取引先と月に何度も取引があるなど、そのつど請求書を出すのが手間な場合に使われます。この場合の発行日は、取引先が指定した締め日(月末締めなら月末日)に合わせるのが慣習です。たとえば月末締めなら、請求書の発行日を「2026年6月30日」とし、6月中の取引をすべてその1枚にまとめます。

なぜ締め日に合わせるかというと、相手の経理が「いつ締めの請求か」で支払いをまとめて処理しているからです。締め日とずれた日付で出すと、相手の支払いサイクル(例:月末締め翌月末払い)の計算が合わなくなり、入金が一か月ずれる原因にもなります。締め日が20日なら発行日も20日、というように、相手のルールに揃えるのが基本です。締め日が土日祝に当たっても、あらかじめ決めた締め日の日付(20日なら20日)でそのまま発行するのが原則です(取引先によっては前営業日にそろえる取り決めもあるので、ルールを確認しておくと安心です)。

相手側の事情も知っておくと、なぜ日付がそろっている必要があるのかが腑に落ちます。受取側の経理では、請求書の日付を起点に支払期日を自動計算しているケースがあるからです。請求書受領システムでは「請求日+○日」「請求日の翌月末」といったルールで支払予定日を割り出す設定が一般的で、発行日が締め日からずれていると、自動計算の結果が狂って差し戻しや手修正が発生します。相手の手間を増やさないためにも、締め日に合わせた発行日にしておくのが無難です。

実務では「月末で締めて、翌月1〜5日ごろに請求書を発行・送付する」流れも多くあります。この場合でも、発行日は締め日(月末日)に合わせるのが通例です。作業した日と発行日が数日ずれても、相手の締め基準に揃えておけば処理がスムーズです。

取引日(納品日)と発行日がずれるとき

月締めで請求すると、ひと月の間に何度も納品・サービス提供があり、それぞれの取引日と、月末の発行日がずれます。このとき問題になるのが、インボイス(適格請求書)の必須項目である「取引年月日」をどう書くかです。

あなたが適格請求書発行事業者なら、インボイスには取引年月日の記載が欠かせません。とはいえ、月締めで何十件も取引がある場合、1件ずつ日付を書くのは現実的ではありません。そこで国税庁は、一定期間分の取引をまとめて「○月分」のように記載することを認めています。ひと月分をまとめた請求書なら、取引年月日の欄に「2026年6月分」と書けば、各取引日を1件ずつ並べなくてもインボイスの要件を満たします(国税庁 一定期間分の取引のまとめ記載)。

「○月分」とまとめる請求書の例
「○月分」とまとめる請求書の例

ポイントは、「○月分」とまとめられるのは同じ課税期間(事業年度)の範囲内に限られることです。期をまたいで「○年○月〜○年○月分」とまとめると、どの期の売上か分からなくなります。実務では、月締め請求書は1か月単位で区切るのが無難です。

請求のしかた発行日(請求日)取引年月日の書き方
都度請求(1件ずつ)納品日・提供日と同日が基本その取引の日付を記載
月末締め一括締め日(月末日)「2026年6月分」とまとめてOK
発行日と取引年月日の関係(月締め一括は「○月分」記載が可能)

なお、納品書を別に発行している場合は、納品書側に取引日を書いておけば、請求書とセットで取引年月日を示すことも認められます。ただしこの方法を使うときは、請求書と納品書の相互の関連が明確であること(たとえば請求書に対応する納品書番号を記載するなど)が条件です。どの請求書とどの納品書が対になるか分からないと、2枚あわせて1つのインボイスとは認められません。請求書だけで完結させるなら「○月分」、納品書とセットなら納品書番号でひも付ける、と決めておくと運用が安定します。各項目の基本的な書き方は請求書の書き方の記事にまとめています。

請求書の書き方|インボイス対応の必須項目・端数処理・源泉徴収まで
請求書

請求書の書き方|インボイス対応の必須項目・端数処理・源泉徴収まで

請求書を発行する側のための実務ガイド。適格請求書(インボイス)の必須6項目、免税事業者の請求書の書き方(登録番号は書かない)、消費税の端数処理、源泉徴収の要否と計算、押印・印紙の扱い、振込手数料の負担、支払期日の決め方、送付前チェックリストまでをまとめました。

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検収基準のとき、日付は検収日に寄せる

ここが「請求書 日付」で発行側が最も迷うところです。納品・サービス提供と「検収(相手が中身を確認してOKを出すこと)」のタイミングがずれる取引では、売上を計上する日(=請求の根拠になる取引日)が、契約で決めた基準によって変わります。代表的なのが次の2つです。

  • 出荷基準 ── 商品を出荷した日に売上を計上する考え方。出荷=取引日とするので、検収を待たずに請求できる
  • 検収基準 ── 相手から検収の通知(検収書・作業完了通知など)が届いた日に売上を計上する考え方。納品から検収まで日が空くと、取引日も後ろにずれる

システム開発や工事の請負、業務委託のように、相手の確認をもって完了とする取引では検収基準がよく使われます。この場合、売上の計上日は「検収日」になり、請求書も検収が済んでから発行するのが筋です。納品しただけ・出荷しただけで先に請求書を出すと、相手の経理処理と計上時期がかみ合わず、月をまたぐと売上の期ずれを指摘される原因になります。

どちらの基準を採るかは、契約書や取引の取り決めで決まります。自社がどの基準で売上を立てているかを確認し、その基準の日付に請求書を合わせるのが正解です。税務調査では「いつ売上を計上したか」を裏付けるために、検収日が分かる書類(検収書・納品書など)の提示を求められることがあります(東京法人会連合会「税務調査で確認される売上の日付」)。請求書の日付と検収日が大きく食い違っていると、説明を求められやすくなります。

迷ったら「請求書の発行日は、自社が売上を計上する日に合わせる」と覚えておくと外しません。都度請求なら納品日・検収日、月締めなら締め日。いずれも「売上の計上時期と矛盾しない日付か」を一度確認するだけで、ほとんどのトラブルは避けられます。

和暦・西暦と日付の書き方

発行日を「令和○年○月○日」と書くか「20××年○月○日」と書くかは、和暦・西暦のどちらでも問題ありません。請求書の様式に法律上の決まりはなく、年号の表記にもルールはありません。大切なのは、1枚の請求書の中、そして請求書・納品書・領収書をまたいで表記を統一することです。発行日が西暦なのに支払期日が和暦、といった混在は読み手を混乱させます。

  • 和暦は「R8」「H」などと略さず「令和8年6月30日」と正式に書く
  • 西暦なら「2026年6月30日」と年を4桁で書く(下2桁省略は避ける)
  • 「2026/6/30」のスラッシュ区切りも実務上は許容されるが、手書きなら数字を丁寧に
  • 発行日と支払期日は同じ表記方式(和暦か西暦か)でそろえる

毎月の請求で日付の入れ間違いを防ぐには、前月の請求書をコピーして使い回す前に、必ず発行日・支払期日・取引月をすべて当月に直すことです。日付だけ古いまま送ってしまうと、相手の支払処理が狂います。

過去の日付で発行を頼まれたら

取引先や社内から「先月の日付で請求書を出してほしい」と頼まれることがあります。まず押さえたいのは、実際に先月の取引で、納品や検収が先月のうちに済んでいるなら、当時の日付で後から請求書を作ること自体は問題ないということです。請求書の発行が遅れただけで、売上の計上時期が先月であることが納品書や検収記録で裏付けられるなら、その締め日(取引月)に合わせて発行するのは正当です。

問題になるのは、実際には先月に取引が成立していないのに、事実と違うと分かったうえで過去の日付を書くバックデートです。たとえば「今月の売上を、相手の予算消化や自社の前期の数字合わせのために先月付にしてほしい」といった依頼がこれにあたります。

事実と異なる日付にするリスク

よく「私文書偽造罪になる」と言われますが、自社名義の請求書に事実と違う日付を書く行為だけで、ただちに私文書偽造罪(刑法第159条)が成立するわけではありません。同罪が罰するのは他人の名義を勝手に使う「有形偽造」で、自社名義の書類に虚偽の内容を書く「無形偽造」は原則として処罰の対象外だからです。とはいえ、事実と異なる日付には次のような重い実務リスクがあります。

  • 税務上のペナルティ ── 売上の計上時期を意図的にずらす目的だと評価されると、決算操作・脱税への加担と見なされる。隠蔽・仮装と認定されれば、過少申告で35%、無申告で40%の重加算税が課される対象になりうる
  • 詐欺罪などの共犯・幇助 ── 取引先が金融機関や第三者を欺く道具として日付を使う場合、それと知って協力した側が共犯・幇助に問われるおそれがある
  • 信用の失墜 ── 日付の改ざんが発覚すると、その後の取引で書類全体の信頼性を疑われる

頼まれたときの対処はシンプルです。売上の計上時期と一致する日付なら、その日付で発行する。取引の事実が確認できない過去日付を求められたら、「実際の取引日でしか発行できません」と断る。これが発行側を守る基本姿勢です。なお、契約の効力を過去にさかのぼらせたいだけなら、日付を偽るのではなく、契約書側で「効力発生日」を別に定めるのが正しいやり方です(freee「バックデートとは?」)。

取引先からの依頼を真正面から断ると角が立つこともあります。個人の判断ではなく社内ルールを理由にすると、相手の顔を立てつつ穏やかに辞退できます。下の一文はそのまま使えます。

過去日付での発行をやんわり断る一文
ご依頼の件、あいにく弊社の経理規程により、実際の取引日と異なる日付での請求書発行ができかねます。恐れ入りますが、本来の取引日である○月○日の日付で発行させていただきます。 計上時期のご都合などございましたら、差し支えない範囲で調整方法をご相談させていただきますので、お気軽にお申し付けください。

日付なしの請求書と、支払期日との違い

結論から言うと、発行日がない請求書も、それだけで無効になるわけではありません。請求書は様式が法律で決まっていないため、日付欄が空でも「代金を請求した」という意思表示の効力は残ります。ただし実務では、相手の経理で受け付けてもらえなかったり、いつの請求か特定できず処理が止まったりするので、発行日は必ず入れます。

最後に混同しやすい点を整理します。発行日と支払期日はまったくの別物です。発行日は「請求書を出した日」、支払期日は「入金してほしい期限」。請求書には両方を書きます。支払期日のほうは、「○日以内」ではなく「2026年7月31日」と具体的な日付で書くのがトラブル防止の鉄則です。

支払期日を何日後に設定するか(月末締め翌月末払いなどの目安)や、請求書への具体的な書き方は、支払期日の決め方の記事 にまとめています。期日の決め方で迷ったらそちらをご覧ください。

請求書の支払期日の決め方|発行側が設定する期日の目安と記載例
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