領収書の但し書き一覧|ケース別30例と正しい書き方

但し書きとは ── 「何の代金か」を書く欄
領収書の但し書きとは、受け取った金銭が「何の代金なのか」を示す項目です。たとえば飲食の支払いなら「お食事代として」、コピー用紙の購入なら「事務用品代として」と書きます。
但し書きが曖昧だと、経理担当者がどの勘定科目に振り分ければよいか判断できず、経費精算が差し戻されることがあります。さらに、税務調査で「使途不明金」と扱われるリスクもあるため、領収書を発行・受領するどちらの立場でも、但し書きは具体的に書くことが鉄則です。
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但し書きの基本ルール
但し書きの書き方には法律で定められた厳密な書式はありませんが、実務上守るべきルールがあります。
- 「〇〇代として」の形で締める ── 末尾に「として」を付けることで、後から文字を書き足す改ざんを防止できる
- 品名・サービス名をできるだけ具体的に書く ── 「飲食代」より「会議飲食代」、「備品代」より「モニター購入代」のほうが経理処理しやすい
- 複数品目がある場合は代表的な品目+「他」と書く ── 「コピー用紙他 事務用品代として」のように主要品目を明示し、明細はレシートや納品書で補足する
- 金額の内訳(税抜金額・消費税額・税率)は但し書きとは別の内訳欄に書く ── 但し書きに金額を混ぜると読みにくくなる
- 発行者が記入する ── 受領者が自分で但し書きを書くと私文書偽造にあたる可能性がある
インボイス(適格請求書・適格簡易請求書)として発行する場合、但し書きは「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」に該当します。消費税の仕入税額控除を受けるためにも、取引内容が特定できる記載が不可欠です。
但し書き例文 ── 飲食・接待
飲食の但し書きは、税務上「会議費」と「接待交際費」のどちらに分類されるかで扱いが大きく変わります。1人あたり1万円以下の飲食は会議費として損金算入できるため(税抜経理の会社は税抜額、税込経理の会社は税込額で判定)、打ち合わせを伴う食事なら「会議飲食代」と明記しておくのがポイントです。
1万円基準が適用されるのは、社外の取引先など自社の役員・従業員以外の者が参加する飲食に限られます。従業員だけの社内飲食費はこの基準の対象外で、金額にかかわらず交際費(または福利厚生費)として扱われます。また、1人あたりの金額が1万円を1円でも超えると、超過分だけでなく全額が交際費に該当するため注意してください。
接待飲食費は「いつ・どこで・誰と」の記録が求められます。但し書きだけでなく、領収書の裏面や別紙に参加者名・人数をメモしておくと税務調査で安心です。
但し書き例文 ── 事務用品・備品・消耗品
事務用品や消耗品は「品名+代として」が基本です。金額が10万円未満なら消耗品費、10万円以上なら固定資産として処理が変わるため、何を買ったか分かる但し書きにしておくと経理がスムーズです。
但し書き例文 ── 交通費・宿泊費
交通費・宿泊費は出張精算で頻出する項目です。タクシーの場合は区間(乗車地→降車地)を添えると、経費精算で「どこからどこまで」の確認が不要になり、処理が早まります。
但し書き例文 ── 贈答品・冠婚葬祭
お中元・お歳暮・お祝い品などは交際費に該当します。「何のための贈答品か」がわかるように、御中元・御歳暮・お祝い品・手土産など用途を明記しましょう。
但し書き例文 ── サービス・委託・コンサルティング
役務提供を受けた対価は、サービスの種類と対象月・期間を明記すると勘定科目の判断がしやすくなります。
但し書き例文 ── 家賃・不動産
家賃・敷金・礼金の領収書は高額になりやすく、物件名・部屋番号・対象月を書いておくと、後から照合しやすくなります。
但し書き例文 ── 研修・セミナー・書籍
研修費やセミナー参加費は「研修費」「教育訓練費」として処理されます。研修名・開催日を入れておくと、「本当に業務に必要だったか」の証明にもなります。
但し書き例文 ── 通信・配送・広告
切手・宅配便・広告費など、日常的に発生する支出の但し書き例です。
但し書き例文 ── 医療・衛生・その他
会社として購入する衛生用品や、福利厚生費として処理する医療関連も正確な但し書きが必要です。
但し書き30例 早見表
ここまで紹介した30例を一覧にまとめました。経費精算の際の「どう書けばいい?」にすぐ答えられるよう、手元に置いておくと便利です。
| No. | 場面 | 但し書き例 |
|---|---|---|
| ① | 社内打ち合わせの飲食 | 会議飲食代として |
| ② | 商談ランチ | 打合せ飲食代として |
| ③ | 接待会食 | 接待飲食代として |
| ④ | ケータリング・弁当 | 会議用弁当代として |
| ⑤ | 文房具 | 文房具代として |
| ⑥ | コピー用紙 | コピー用紙代として |
| ⑦ | 事務用品まとめ買い | コピー用紙他 事務用品代として |
| ⑧ | パソコン・PC周辺機器 | ノートパソコン代として |
| ⑨ | プリンター消耗品 | プリンタートナー代として |
| ⑩ | タクシー | タクシー代として |
| ⑪ | タクシー(区間入り) | 東京駅〜新宿駅 タクシー代として |
| ⑫ | 駐車場 | 駐車場利用料として |
| ⑬ | 宿泊 | 宿泊費として |
| ⑭ | 宿泊(期間入り) | 宿泊費として(〇月〇日〜〇月〇日 〇泊) |
| ⑮ | 手土産・菓子折り | 菓子折り代として |
| ⑯ | お中元・お歳暮 | 御中元代として |
| ⑰ | お祝い品 | お祝い品代として |
| ⑱ | 供花・お花代 | 供花代として |
| ⑲ | 修理・メンテナンス | 〇〇修理代金として |
| ⑳ | クリーニング | クリーニング代として |
| ㉑ | 業務委託料 | 令和〇年〇月分 業務委託料として |
| ㉒ | コンサルティング | 〇〇コンサルティング料として |
| ㉓ | 月額賃料 | 〇〇ビル〇〇号室 〇月分賃料として |
| ㉔ | 敷金・礼金 | 〇〇マンション〇〇号室 敷金として |
| ㉕ | セミナー参加費 | 〇〇セミナー参加費として |
| ㉖ | 書籍・専門誌 | 書籍代として |
| ㉗ | 宅配便・配送料 | 宅配便送料として |
| ㉘ | 広告掲載料 | 〇〇広告掲載料として |
| ㉙ | 衛生用品 | 衛生用品代として |
| ㉚ | 健康診断 | 健康診断料として |
「お品代」がNGとされる理由
店頭で「但し書きはどうしますか?」と聞かれ、つい「お品代で」と答えてしまう方は多いはずです。しかし、「お品代」は税務上のリスクが高い表現です。
「お品代」が問題になる3つの理由
- 勘定科目が特定できない ── 「お品代」では食品なのか事務用品なのか消耗品なのか判断できず、経理担当者が確認のために差し戻す原因になる
- 税務調査で使途不明金を疑われる ── 「お品代」の領収書が大量にあると、架空経費や私的流用を疑われやすい。特に金額が大きい場合や不自然に枚数が多い場合はチェック対象になる
- インボイスの記載要件を満たさない可能性 ── インボイス(適格請求書・適格簡易請求書)には「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」の記載が必要。「お品代」では取引内容が特定できず、仕入税額控除を否認されるおそれがある
「お品代」が直ちに違法になるわけではありませんが、実務上のデメリットが大きいため、具体的な品名に書き換えてもらうのが安全です。店頭で迷ったら「文房具代として」「飲食代として」など、ざっくりでもいいので品目カテゴリを指定しましょう。
領収書
領収書に「お品代」「商品代」は使える?|税務リスクと具体的な書き換え例
インボイス制度と但し書きの関係
2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、消費税の仕入税額控除を受けるために、所定の記載事項を満たした「適格請求書」または「適格簡易請求書」が必要になりました。
但し書きに関わるインボイスの記載要件
インボイスの必須記載事項のうち、但し書きに直接関係するのは「取引の内容(軽減税率の対象品目はその旨を含む)」の項目です。つまり、但し書きを見ただけで「何を売った・買ったか」「軽減税率対象かどうか」が分からなければ、インボイスの要件不備として仕入税額控除を否認されるリスクがあります。
インボイス対応で但し書きに気を付けるポイント
- 「お品代」「雑費」などの曖昧な表現は避ける ── 取引内容が特定できないとインボイスの要件を満たさない
- 軽減税率(8%)対象の品目は「※」マークなどで明示する ── 飲食料品・新聞が対象。「お弁当代として ※軽減税率対象」のように記載する
- 10%と8%の品目が混在する場合は分けて記載する ── 「飲食料品代(8%)〇〇円・飲食サービス代(10%)〇〇円」と内訳を区分する
- 登録番号(T+13桁)は但し書きとは別欄に記載する ── 但し書きの中に番号を混ぜると見落とされやすい
小売業・飲食店・タクシーなど不特定多数の顧客と取引する業種は「適格簡易請求書」(宛名省略可)の発行が認められます。ただし、但し書きの具体性が求められる点は同じです。
切手・印紙・商品券などは購入時点では非課税取引のため、インボイスの発行義務はなく、消費税の税率区分を但し書きに記載する必要もありません。但し書きは「切手代として」「商品券代として」とシンプルに書けばOKです。なお、切手は郵便として使用した時点で課税仕入れになります(継続適用を条件に購入時に課税仕入れとして計上する方法もあります)。
税務調査で否認されやすい但し書きの特徴
税務調査では、領収書の但し書きは「経費の実態を裏付ける証拠」としてチェックされます。以下のような特徴がある領収書は重点的に確認される傾向があります。
否認リスクが高い但し書きのパターン
- 「お品代」「品代」が大量にある ── 数枚ならともかく、年間を通じて多数あると使途不明金の疑いを持たれる
- 「諸経費として」「雑費として」など漠然とした表現 ── 何に使ったか特定できないため、事業との関連性を証明できない
- 事業内容と無関係に見える但し書き ── IT企業なのに「園芸用品代」が頻出するなど、業種とのミスマッチがある場合
- 金額が不自然にキリがよい ── 毎回ちょうど1万円・3万円など、実態と合わない金額パターン
- 但し書きが空欄・未記入 ── 記載なしの領収書は証憑能力が著しく低い
否認を防ぐコツは「第三者が見ても支出の中身がわかる」レベルに書くことです。「誰が読んでも何に使ったか分かる」但し書きであれば、調査官の心証も良くなります。可能であれば但し書きだけでなく、レシート・納品書・契約書など補完書類を一緒に保管しておくと万全です。
複数品目を購入したときの但し書き
ホームセンターやAmazonなどで一度に複数の品目を購入した場合、すべてを但し書きに列挙するのは現実的ではありません。
実務で使われる3つの書き方
- 代表品目+「他」方式 ── 「コピー用紙他 事務用品代として」のように、最も金額が大きい品目を先頭に書き、あとは「他」でまとめる。最も一般的
- カテゴリ名でまとめる方式 ── 品目がすべて同じカテゴリなら「事務用品代として」「消耗品代として」でOK。ただし異なるカテゴリが混在する場合は避ける
- 「別紙明細のとおり」方式 ── 但し書きに「別紙明細のとおり」と書き、レシートや納品書を添付する。品数が多い場合に有効
いずれの場合も、レシートや明細書は必ず領収書と一緒に保管してください。但し書きだけでは品目の全容がわからないため、補完資料がないと経費否認のリスクが高まります。
但し書きは誰が書くのか
領収書の但し書きは、原則として発行者(お金を受け取った側)が記入します。受領者(お金を支払った側)が自分で但し書きを書き込むのは、私文書偽造(刑法第159条)に該当する可能性があるため、やってはいけません。
- 店頭で「但し書きはどうしますか?」と聞かれたら、「文房具代としてお願いします」のように口頭で伝える
- 何も聞かれずに「お品代」と書かれた場合は、具体的な品名への書き換えを依頼してよい
- ネット通販やキャッシュレス決済で領収書を後から発行する場合も、発行者側のシステムで但し書きが設定される
- 白紙の但し書き欄がある領収書をもらった場合でも、受領者が自分で記入するのは厳禁
Amazonなどのネット通販で発行されたPDF領収書に、PDF編集ソフトで但し書きを追記するのもNGです。電子帳簿保存法(電帳法)では電子取引データの改ざんが禁止されており、違反すると重加算税にさらに10%が上乗せされるペナルティがあります。電子領収書の但し書きを変更したい場合は、発行元に再発行を依頼しましょう。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
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