「請求書」「御請求書」「ご請求書」どれが正しい?タイトルの表記

「請求書」「御請求書」「ご請求書」どれが正しい?タイトルの表記

結論:書類のタイトルは「請求書」でよい

先に結論をいうと、書類の上部に置くタイトルは 「請求書」のままで失礼にはなりません。請求書の名称に法律で定まった正式名称はなく、「請求書」「御請求書」「ご請求書」のどれも日本語として間違いではありません。そのうえで、迷ったときに最も無難で実務でも標準なのは、敬語を付けないシンプルな「請求書」です。

会計ソフトや受発注ツールのテンプレートは、ほぼすべて「請求書」をタイトルに採用しています。「御請求書」と印刷された市販用紙も昔から存在しますが、どちらが正解ということはなく、社内で1つに統一しておけば十分です。タイトルだけで取引先の心証が大きく変わることはありません。

インボイス制度との関係を気にする方も多いのですが、適格請求書(インボイス)にも法令で定められた様式はなく、タイトルが「請求書」であれば制度上はまったく問題ありません国税庁も、登録番号や適用税率といった必要な記載事項さえそろっていれば、書類の名称は問わないとしています。「御請求書」にしないとインボイスとして認められない、ということはありません。

迷ったら、タイトルは「請求書」、丁寧にしたい気持ちは送付状やメール本文の言い回しで表す、と切り分けるのがいちばんすっきりします。次の章で理由を説明します。

なぜ自社の請求書に「御・ご」は付けないほうが無難なのか

「お見積書」のように丁寧表現がしっくりくる書類もあるのに、請求書では「請求書」が無難とされるのには理由があります。「請求」は、代金の支払いを求めるという自社側の行為だからです。自分の行為に「御・ご」を付けることになるため、受け取った相手がややへりくだりすぎ・大げさだと感じる場合がある、というのが「ご請求書」を避ける側の言い分です。

とはいえ、「ご請求書」を使う発行側も実際にいます。ここでの「ご」は自分を高めているのではなく、書類を受け取る相手への敬意を表す丁寧表現として使われているものだからです。「ご案内」「ご連絡」と同じ感覚で相手に差し出すものに添えていると考えれば、間違いとまではいえません。

逆に、請求書を受け取った側が、社内で「○○社からのご請求書」と呼ぶのは一般的ではありません。「ご」は相手に差し出すときに添える丁寧表現なので、自分のところに届いたものは素直に「請求書」と呼ぶほうが自然です。送る側が丁寧に「ご請求書」と書くことはあっても、受け取った側がそれをそのまま「ご請求書」と呼ぶ必要はない、と整理しておくと迷いません。

つまり、「ご請求書」でも失礼ではないが、自分の行為への敬語と受け取られて違和感を持たれる余地がある。そのリスクをゼロにできる「請求書」が、最も安全な選び方になります。

「御請求書」「ご請求書」どちらの表記がいい?読み方も確認

あえて丁寧表現を付ける場合、漢字の「御請求書」とひらがなの「ご請求書」のどちらでも構いません。傾向としては、メールや画面で読む文章ではひらがなの「ご請求書」のほうがやわらかく現代的な印象になります。かしこまった印刷物では「御請求書」が選ばれることもありますが、必須ではありません。

読み方にも触れておくと、「御請求書」は「ごせいきゅうしょ」と読みます。接頭語の「御」は、漢語(音読みの言葉)に付くときは「ご」、和語(訓読みの言葉)に付くときは「お」と読むのが原則です。「請求」は音読みの漢語なので「ご」が正しく、「おせいきゅうしょ」とは読みません。日常的に「お」を付けがちなので、つい「おせいきゅうしょ」と言ってしまっても無理はないのですが、改まった場では「ごせいきゅうしょ」が正解です。「お見積書(おみつもりしょ)」が「お」になるのは「見積」が訓読みだからで、請求書とは事情が逆になります。

また、書類のタイトルとして書くときは送り仮名なしの「請求書」「御請求書」が標準です。「御請求し書」のように送り仮名を入れる書き方はしません。タイトルは熟語として固まった名詞だからです。

書類タイトルの敬語と、宛名の敬称(様・御中)は別物

ここを混同しないことが大切です。「請求書」のタイトルに敬語を付けないことと、宛名を敬称で書くことは、まったく別の話です。タイトルが「請求書」でそっけなく見えても、相手への敬意は宛名の「様」「御中」と本文の言い回しできちんと示せます。

宛名は、会社・部署あてなら「御中」、担当者個人あてなら「様」を使います。「御中」と「様」を同時に付けないのが原則で、「株式会社○○ 御中 △△様」のような重ね付けは誤りです。タイトルの「御」の有無に関係なく、宛名の敬称はこのルールで付けます。宛名の詳しい書き方は次の記事にまとめています。

請求書の宛名の書き方|御中・様の使い分けと個人名宛のルール
請求書

請求書の宛名の書き方|御中・様の使い分けと個人名宛のルール

請求書の宛名の書き方を発行側の視点で網羅。御中と様の使い分け(併用は不可)、個人名・個人事業主・屋号宛の書き方、担当者名がわからないときの宛名、役職への敬称、インボイスでの宛名要件まで、そのまま使える記載例とNG例つきで解説します。

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封筒の表記も同じ考え方です。郵送時に書く「在中」表示は「請求書在中」で、「御請求書在中」とは書きません。中身が一目で分かることが目的の事務的な表示なので、ここに敬語は不要です。なお請求書では赤字が「赤字(損失)」を連想させるとして青色で書く会社も多く、色のルールは厳密ではありません。

丁寧にしたいなら、書類名ではなく送り状の言い回しで

タイトルを「請求書」にしても、そっけない会社だと思われるわけではありません。丁寧さは書類名ではなく、メールや送付状の言い回しで十分に伝わるからです。請求書を送るときの動詞は「ご請求申し上げます」「ご請求いたします」とすれば、書類名に「御・ご」を付けなくても丁寧な印象になります。

添える一文も、「ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」と相手の動作に「ご」を付ける形にすると自然です。自分の行為である「請求」そのものより、相手にしてもらう「査収」に敬語を寄せるイメージで考えると、過不足のない丁寧さに収まります。

請求書を送るときのメール文例(タイトルは「請求書」のまま)
お世話になっております。 標記の件につき、請求書を添付にてお送りいたします。 金額は下記のとおりご請求申し上げます。 ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。

郵送やFAXで請求書だけを送るのは味気ない、というときは、「拝啓」で始まり「敬具」で結ぶ送付状(添え状)を一枚添えると丁寧です。ここでも書類名は「請求書」のままにして、丁寧さは挨拶文と「ご査収」で表します。

請求書を郵送・FAXするときの送付状(添え状)文例
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、下記のとおり請求書を送付いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。 ご不明な点がございましたら、お手数ですが担当までご連絡くださいますようお願い申し上げます。 敬具

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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