内定承諾書はとりあえず出すべき?|出した後に辞退できるかと注意点

「とりあえず出して」キープしていいか迷っている人へ
第一志望の選考結果がまだ出ていない。でも先に出た企業から内定承諾書の提出を求められ、期限も迫っている――この板挟みで「とりあえず出しておいて、後で決めればいいのでは」と考える人は少なくありません。
結論を先に言うと、内定承諾書を提出した後でも辞退すること自体は可能です。その意味で「とりあえず出す」は致命傷にはなりません。ただし、何も考えずに出すと後で気まずい思いをしたり、まれに内定を取り消されたりするリスクもあります。出すかどうかを落ち着いて判断できるよう、押さえるべき材料をこのページで整理します。
「いつまでに出せばいいか」「もう少し待ってほしい」といった期限そのものの相談は別ページで扱っています。このページは「出すべきか・出して大丈夫か」という判断に絞ります。
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前提:「内々定」と「内定承諾書」は重さが違う
判断の前に、自分が今どの段階にいるかを確認してください。内々定の段階と、内定承諾書を出す段階では意味の重さが違うからです。
| 段階 | 意味 | 「とりあえず」の感覚 |
|---|---|---|
| 内々定(口頭・メール) | 正式内定の前段階。企業側の囲い込みの意味が強い | 口頭で「お受けします」程度ならまだ軽い |
| 内定承諾書を提出 | 「入社します」という意思を書面で示す行為 | 労働契約を受け入れたと評価されうる、最も重い意思表示 |
「最も重い」と書いたのには、法律上の裏づけがあります。最高裁は、会社の採用内定通知と、内定者が提出する誓約書(いまの内定承諾書にあたる書面)が「あいまって」、入社日を始期とする労働契約が成立すると判断しました(大日本印刷事件・最高裁 昭和54年7月20日判決/厚生労働省の解説)。提出は単なる口約束ではなく、労働契約の成立にかかわる正式な意思表示と評価されうる行為です。だから内々定の口頭返事より重く扱われます。くわしい効力は内定承諾書の法的効力の記事で確認できます。
口頭やメールでの内々定に「とりあえずお受けします」と答えるのと、署名・押印した内定承諾書を提出するのとでは、相手に伝わる本気度がまったく違います。書面を出す=入社の意思を正式に表明したと受け取られることを、まず前提として理解しておきましょう。とはいえ、これは「出したら絶対に断れない」という意味ではありません。次でその点を整理します。
出した後でも辞退はできる(最大の安心材料)
「とりあえず出す」を後押しする最大の事実がこれです。内定承諾書を提出した後であっても、辞退する権利は法律で守られています。
正社員の内定は、期間の定めのない労働契約にあたります。期間の定めのない雇用は、働く側からいつでも解約を申し入れることができ、申入れの日から2週間を経過すると契約が終了すると定められています(民法627条1項)。入社前であれば、この「2週間前まで」のルールに沿って辞退すれば、法的には問題なく辞退できるということです。承諾書に署名したからといって、入社を強制されることはありません。
ただし「2週間前」はあくまで法律上の最低ラインです。会社は制服やPCの手配、研修の手続きなどを進めているため、マナーとしては入社の1ヶ月以上前(例:2月中〜3月上旬)までに伝えるのが事実上のリミットと考えておきましょう。入社式直前や入社後すぐの辞退は、法的に可能でも相手への影響が大きく避けたいところです。
つまり「内定承諾書を出したら一生その会社に縛られる」という心配は不要です。辞退できるかどうかと、辞退してもよいか(マナー)は別の話として切り分けて考えましょう。入社を強制されることはありませんし、原則として企業から損害賠償を請求されることもありません。辞退の可否や進め方、損害賠償を求められないかといった詳しい点は、辞退に特化したページにまとめています。

内定承諾書を出した後でも辞退できる?|可否・進め方・損害賠償の有無
内定承諾書を提出した後でも辞退は可能です。民法627条・労働基準法16条・採用内定の判例を根拠に、入社承諾書を出した後の辞退の可否、連絡から退職までの進め方、損害賠償が請求されるかの目安を整理しました。
記事を読むそれでも「とりあえず」に潜むリスク
辞退できるとはいえ、入社する気がほとんどないのに「とりあえず」で出すと、次のような落とし穴があります。出す前に、自分がこれらを許容できるかを確認してください。
- 入社前研修・面談に呼ばれる:承諾書を受け取った企業は、その人が入社する前提で動き出します。内定者懇親会・入社前課題・健康診断などに参加を求められ、断り続けると気まずさが増していく。
- 辞退の連絡が後ろめたくなる:書面で意思を示した後の辞退は、口頭の内々定を断るより心理的なハードルが高い。時間が経つほど、相手にかける迷惑も自分の気まずさも大きくなる。
- 複数社に承諾していることが知られると角が立つ:後述のとおり、同じ時期に複数の内定を承諾している事実が相手に伝わると、入社の意思を疑われる。
これらは「絶対に起きる」わけではありませんが、辞退するつもりが強いほど、後の負担も大きくなるという傾向は知っておく価値があります。逆に「行く可能性が十分ある会社」であれば、これらは入社準備として自然なものなので、過度に恐れる必要はありません。
複数内定をキープしたいときのマナー
「第一志望が決まるまで滑り止めをキープしたい」という気持ちはごく自然です。複数の内定を比較検討すること自体に問題はありません。ただし、複数社に対して内定承諾書を出してキープするのは避けるのが無難です。
理由は、内定承諾書が「入社します」という約束だからです。複数社に同じ約束を同時に出している状態は、どこかで必ず辞退することが前提になっており、それが相手に知られると入社意思を疑われ、まれに内定を取り消されることもあります。やむを得ず時間が欲しい場合は、二重に承諾書を出すのではなく、次のいずれかで対応するのが誠実です。
- 本命の結果が出るまで提出を待ってもらう:「他社の選考が残っており、結果を見てから誠実に判断したい」と正直に伝え、提出期限を延ばしてもらえないか相談する。
- 承諾は1社に絞り、見込みの薄い内定は早めに辞退する:入社する気がほぼない会社を抱え込まず、早い段階で辞退すれば、相手も次の採用に動けて角が立たない。
「他社の選考を待っている」と正直に伝えること自体は失礼ではありません。黙って複数キープするより、事情を話して待ってもらうほうがずっと誠実に受け止められます。
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「とりあえず出す」より先に検討したい選択肢
迷っているなら、いきなり承諾書を出す前に「待ってもらう」交渉を試す価値があります。承諾を保留して提出期限を延ばしてもらうほうが、後から辞退するより気持ちの面でも楽だからです。
- 本命の結果が出る時期が近い → 提出を待ってもらえないか相談する(延長依頼)。延ばしてもらえる長さは一般的に1週間程度、長くても2週間程度が目安
- 提出期限がいつなのか曖昧 → まず期限を確認し、いつまでに決めればよいかを把握する
- 行く気が十分ある → 迷わず提出してよい。準備(封筒・押印など)に進む
延長を申し出ると内定を取り消されるのでは、と不安になるかもしれませんが、正当な理由のない内定取消しは認められにくいのが原則です(採用内定の法的性質については別ページで解説しています)。期限を延ばしてほしいときの具体的な伝え方は、メール・電話の文例つきのページを参考にしてください。

内定承諾の返答期限を延長したい|メール・電話の例文と伝え方
内定承諾書の返答期限を延ばしてほしい人へ。延長依頼のメール例文と電話のトークスクリプトを、そのまま使える形で用意しました。どのくらい延ばせるか、いつ・どう伝えると角が立たないかも具体的に解説します。
記事を読む出すか待つか、判断のまとめ
ここまでを踏まえると、判断は「その会社に行く可能性がどれくらいあるか」でほぼ決まります。行く気が半分以上あるなら出す、ほぼ無いなら出さずに保留か辞退が基本線です。
| あなたの状況 | おすすめの対応 |
|---|---|
| ここに入社する気が十分ある | 提出してよい。準備に進む |
| 本命待ちだが、ここも有力候補 | 提出を待ってもらえないか相談(延長依頼)。難しければ承諾も可 |
| 本命が第一志望で、ここは滑り止め | 二重承諾は避け、期限を確認しつつ保留交渉。本命確定後に判断 |
| ここに行く気はほぼ無い | とりあえず出さず、早めに辞退するのが誠実 |
繰り返しになりますが、提出後でも辞退はできるので、出してしまったこと自体を過度に悔やむ必要はありません。気持ちが固まったら、誠実に・早めに連絡することだけ意識すれば十分です。
提出時の送付状をTEMPLEXで作成
「この会社に行く」と決まり、内定承諾書を郵送で返すことになったら、一緒に同封する送付状(添え状)は自分で用意する必要があります。書類だけを封筒に入れて送るのは失礼にあたるため、御礼と入社への意欲を一言添えた送付状を付けるのがマナーです。
TEMPLEX の内定承諾書の送付状テンプレートは、内定者本人が出す体裁で挨拶文があらかじめ入っています。宛先・日付・氏名を入力するだけで、登録不要・無料でPDFをダウンロードでき、印刷してそのまま同封できます。
内定承諾書そのものは会社から送られてくる様式に署名・押印して返すのが基本ですが、用紙が届かず自分で用意するよう言われた場合は内定承諾書テンプレートも使えます。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。









