見積書の書き方|記載項目・消費税・有効期限とそのまま使える文例

見積書の書き方|記載項目・消費税・有効期限とそのまま使える文例

見積書に書く項目|基本の構成

見積書を初めて作るとき、最初に迷うのは「何を・どの順番で書くか」です。実は見積書には、法律で定められた決まった様式はありません。とはいえ、取引先が金額・条件・期限を一目で判断できるよう、商習慣として定着した定番の構成があります。

覚え方のコツは、用紙を「上部・中央・下部」の3ブロックに分けて考えることです。上部に発行情報、中央に金額の内訳、下部に取引条件をまとめると、項目の抜け漏れがなくなります。

  • 上部(発行情報) — タイトル(見積書/御見積書)、宛先、発行日、見積書番号、発行者の会社名・住所・連絡先、(必要に応じて)角印
  • 中央(金額の内訳) — 件名、見積金額(税込合計)、明細(品名・数量・単位・単価・金額)、小計・消費税・合計
  • 下部(取引条件) — 有効期限、納期、支払条件、備考(前提条件・送料など)
見積書の例
見積書の例

宛先で迷いやすいのが敬称です。会社名・部署名で止めるなら「御中」、担当者名まで書くなら「様」を付けます。「御中」と「様」は併用しないのがルールなので、担当者名を書くときは「株式会社○○ 御中 □□様」ではなく「株式会社○○ □□様」とします。担当者名が分からないとき・個人宛のときなど、宛名で迷うケースは見積書の宛名の書き方 にまとめています。

タイトルは「見積書」「御見積書」のどちらでもかまいません(「見積書」と「御見積書」の違い)。発行日は、原則として見積書を作成・送付する日を入れます(見積書の日付の決め方)。あわせて見積書番号(管理番号)を振っておくと、後から請求書と突き合わせるときや、修正版(再見積もり)を出したときに「どれが最新か」のトラブルを防げます。

様式によっては、納期・支払条件・送料に専用の記入欄がないこともあります。その場合は、これらを備考欄にまとめて記載すれば問題ありません(後述の文例をそのまま使えます)。

これらに法的な必須項目はありませんが、宛先・発行日・見積金額・明細・有効期限 の5つが欠けると、相手が発注を判断できなかったり後でトラブルになったりします。この5点は省略しないつもりで作りましょう。

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明細・金額の書き方|「一式」で済ませない

見積書の中心は明細です。品名・数量・単位・単価・金額を1行ずつ分けて記載し、「数量 × 単価 = 金額」を誰でも追えるようにします。

やりがちなのが、内容をまとめて「○○一式」とだけ書くことです。一式は手軽ですが、何にいくらかかっているかが伝わらず、金額の根拠を聞かれたときに答えられなくなります。相手も社内で稟議を通しにくいため、できる限り項目を分けましょう。「一式」を使ってよい場面の見極めや内訳の書き分けは、見積書の内訳・明細の書き方 で具体的に説明しています。

品名・摘要数量単位単価金額
Webサイト デザイン制作1200,000200,000
コーディング(5ページ)5ページ20,000100,000
お値引き(継続発注のため)-20,000
小計280,000
消費税(10%)28,000
合計(税込)308,000
明細・値引き行・小計/消費税/合計の記載例

結論となる合計金額(税込)は、見積書の上部に大きく記載するのが基本です。相手がまず知りたいのは総額なので、明細で内訳を示しつつ、合計は見やすい位置に置きます。

値引きをするときは、単価を黙って下げるのではなく、「お値引き」の行をマイナス金額で立てると誠実な印象になります。数量や継続取引など値引きの理由を添えると、相手も社内で説明しやすくなります。値引き行の立て方・端数の調整・書き方の文例は 見積書の値引きの書き方 に、相手から値引きを求められたとき・こちらから依頼するときの進め方は 見積書の値引き交渉メール例文 にまとめています。

消費税の書き方|税抜・税込と軽減税率

見積書への消費税の記載は税法上の義務ではありません。ただし税込価格だけだと内訳が分からず誤解を招くため、「小計(税抜)・消費税・合計(税込)」を分けて書くのが実務の定番です。

税率は標準が10%、飲食料品など軽減税率の対象は8%です。両方が混在する場合は税率ごとに小計と消費税額を分けて記載します。明細に税率の列を設けて各行に「8%」「10%」と書けば、記号や欄外の注記がなくても税率を区別できます。

端数が出たときの処理は、切り捨て・四捨五入・切り上げのどれを選んでもかまいません。大切なのは、社内で処理方法を統一し、見積書から請求書まで同じルールで一貫させることです。税抜・税込どちらで出すか、軽減税率が混在するときの分け方は 見積書の消費税の書き方 で詳しく扱っています。

なお、請求書(インボイス)では、消費税の端数処理は「1つの書類につき税率ごとに1回」と決められています。明細の行ごとに消費税を計算して合算するのはNGです。見積書の段階から税率ごとにまとめて計算しておくと、請求書でもそのまま使えます。

なお、見積書にインボイスの登録番号(T+13桁)を書く義務はありません。任意で入れておくとメリットがある程度です。詳しくは次の「よくある疑問」で説明します。

有効期限・納期・支払条件の書き方

見積書には有効期限を必ず入れます。期限がないと、原材料費・為替・人件費が変わっても当時の金額で発注を求められるおそれがあります。期限を区切ることで、価格変動のリスクから自社を守れます

有効期限の目安は発行日から2週間〜半年(6か月)程度。材料相場の動きが大きいものや大型案件は短めに、安定した商材は長めに設定します。納期は「ご発注後○営業日」のように発注を起点とした条件付きで書くと、着手の遅れによるトラブルを防げます。支払条件では、振込手数料をどちらが負担するか記載しておくと、相手が手数料を差し引いて振り込んだときの入金額のズレを防げます。期限の決め方や「○日間/○年○月○日まで」の書き分けは 見積書の有効期限の書き方、振込手数料の負担や締め日・支払日の書き方は 見積書の支払条件の書き方 を参考にしてください。

見積条件の記載例(有効期限・納期・支払条件)
【お見積条件】 有効期限:発行日より30日間 納期:ご発注後 約2週間(営業日ベース) お支払条件:月末締め 翌月末払い(銀行振込) 振込手数料:貴社にてご負担をお願いいたします 送料:別途実費

仕様がまだ固まっていない案件では、「何を前提に作った見積りか」を備考に明記しておくと、後の「言った・言わない」を防げます。下記をベースに、案件に合わせて書き換えてください。

前提条件・備考の文例
【前提条件・備考】 ・本見積は、現時点でうかがった仕様にもとづくものです。仕様変更が生じた場合は、改めてお見積りいたします。 ・想定数量は○○個です。数量の増減により単価が変わる場合があります。 ・本見積に含まれない作業:○○○○ ・有効期限を過ぎた場合は、改めてお見積りをご依頼ください。

印鑑・収入印紙・インボイス・保存|よくある疑問

書き方そのもの以上に迷いがちなのが、印鑑や収入印紙といったルール面です。先に結論をまとめます。

印鑑(角印)は必要?

押印は法的には必須ではありません。ただし日本の商習慣では、会社の角印を押すことで「正式に発行した書類」という安心感を与えられます。電子データで送る場合は、PDFの印影や電子署名で代用するのが一般的です。角印を押す位置や会社名への重ね方は 見積書の印鑑の押し方 で解説しています。

収入印紙は必要?

見積書に収入印紙は原則として不要です。見積書は印紙税法の課税文書にあたらないためです。例外は、署名・押印欄を設けて契約書(注文請書など)として使う場合で、このときは記載金額に応じた印紙が必要になることがあります。

インボイスの登録番号は書くべき?

見積書に登録番号を書く義務はありません。見積書は適格請求書(インボイス)そのものではないからです。それでも任意で登録番号を載せておくと、①あとで請求書を作るときの転記が楽になる、②取引先に「仕入税額控除を受けられる相手だ」と伝えられる、というメリットがあります。

ただし正式な仕入税額控除は、請求書や領収書などの適格請求書で行う点は変わりません。見積書はあくまで取引前の書類だと押さえておきましょう。登録番号を載せる判断やメリットの詳細は 見積書とインボイス(登録番号) にまとめています。

例外は、見積書を請求書や納品書の代わりとして使う運用です。インボイス(適格請求書)は書類の名称を問わないため、「見積書」という名称でも必要事項をすべて満たせばインボイスとして扱えます。その1枚で取引を確定・請求する場合は、登録番号などの記載が必要になります。

見積書は何年保存する?

発行した控えの保存期間は、法人は原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)、個人事業主は原則5年(消費税の課税事業者は7年)です。

メールやPDFなど電子データでやり取りした見積書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷しただけの保存は原則認められないため、受発注ツールやクラウドでの保管を整えておくと安心です。電子データの保存要件は 見積書と電子帳簿保存法 で詳しく扱っています。

個人事業主・フリーランスの見積書

個人事業主やフリーランスでも、屋号がなくても個人名で見積書を発行できます。法的にも実務的にも有効です。発行者欄には屋号(あれば)・氏名・住所・連絡先を書きます。

会社の角印がなくても問題はなく、押すなら個人の印鑑(認印で可)で十分です。インボイス発行事業者として登録している場合は、登録番号を任意で記載しておくと取引先の安心につながります。屋号の書き方や個人名での発行例は 個人事業主・フリーランスの見積書の書き方 でまとめています。

見積書の作り方|手書き・Excel・無料ツール

見積書の作り方は大きく手書き・Excel・専用ツールの3つで、それぞれ向き不向きがあります。

  • 手書き — すぐ作れますが、計算ミスや訂正の手間が出やすく、件数が増えると管理が大変です。
  • Excel・Word — 一度ひな形を作れば使い回せますが、関数の崩れ・レイアウト崩れや、消費税計算の修正に時間を取られがちです。
  • 専用ツール — 項目を入力するだけで体裁の整ったPDFが作れ、消費税や合計の計算も自動です。

手書きで作るときの罫線・訂正のコツは 見積書を手書きで作る方法、ExcelやWordから PDFで作って送る手順 は、それぞれの記事で具体的に解説しています。

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見積書を送るときに添える一文

完成した見積書をメールや郵送で送るときは、短い挨拶文を添えるのがマナーです。メールなら本文に、郵送なら送付状に書きます。

見積書送付メールの文例
件名:お見積書送付のご案内(株式会社○○) ○○株式会社 △△部 □□様 いつもお世話になっております。 株式会社○○の△△でございます。 ご依頼いただきました件につきまして、 お見積書を作成いたしましたのでお送りいたします。 ご不明な点やご要望がございましたら、 お気軽にお申し付けください。 ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

郵送する場合は送付状を添えます。書き方は 送付状の書き方と例文 を参考にしてください。反対に、取引先へ見積りを依頼する側のメール文例は別の記事にまとめています。

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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