退職届の退職理由の書き方|「一身上の都合」と「会社都合」の違い・例文・失業給付への影響

退職届の退職理由の書き方|「一身上の都合」と「会社都合」の違い・例文・失業給付への影響

退職届の退職理由は「一身上の都合」と「会社都合」の2種類

退職届を書くとき、多くの人が迷うのが「退職理由をどう書くか」です。結論から言うと、退職届に書く退職理由には大きく「一身上の都合(=自己都合退職)」または「会社都合」の2種類しかありません。自己都合か会社都合かは、失業給付の受給条件・給付日数・国民健康保険料の軽減などに直結する重要な区分で、書き方を誤ると経済的に数十万円の差がつくこともあります。

この記事では、自己都合と会社都合の違い、該当する具体的なケース、失業給付への影響、そして退職届の退職理由欄にそのまま使える例文(横書き・縦書き両対応)をまとめて解説します。

  • 「一身上の都合」とは何か、どんな理由が該当するか
  • 「会社都合」とは何か、どんな理由が該当するか
  • 自己都合と会社都合で失業給付がどれだけ変わるか
  • 退職届・退職願にそのまま書ける例文(コピー可)
  • 会社都合なのに自己都合扱いにされそうなときの対処法

「一身上の都合」とは?(自己都合退職)

「一身上の都合」とは、労働者側の事情で退職するときに使う定型表現です。雇用保険の区分では「自己都合退職」にあたります。退職届に書く退職理由は、具体的な事情(転職・結婚・介護など)を書かず、「一身上の都合により」の一言で統一するのが慣例です。

「一身上の都合」に該当する具体例

  • 転職・キャリアアップのため
  • 結婚・出産・育児のため
  • 配偶者の転勤に同行するため
  • 家族の介護に専念するため
  • 自身の病気・療養のため
  • 独立・起業のため
  • 進学・留学のため
  • 通勤困難(引越し・家庭事情など)
  • 仕事内容・人間関係など個人的な不満

たとえば「人間関係が悪くて辞める」「給料が低くて辞める」といった不満が退職理由でも、退職届に書くときはすべて「一身上の都合により」と記載します。本音や詳細を書く必要はありませんし、書かないのがマナーです。

退職届本文に「一身上の都合」とだけ書いても、別途ハローワークに提出する離職証明書の「離職理由」欄で、会社が具体的な自己都合の種類(転職・結婚・介護など)を選択します。退職届の記載が失業給付の計算に直接影響するわけではありません。

「会社都合」とは?

「会社都合」とは、会社側の事情で労働者が退職を余儀なくされる場合を指します。雇用保険上は「特定受給資格者」または一部「特定理由離職者」に該当し、自己都合退職よりも失業給付の条件が大幅に有利になります。

会社都合に該当する具体例

  • 倒産・事業所の廃止による退職
  • 解雇(懲戒解雇を除く)
  • 経営不振・人員整理に伴うリストラ
  • 希望退職・早期退職(会社側の募集に応じたもの)
  • 会社からの退職勧奨を受け入れた退職
  • 給与が支払われない・一定以上の減額があった
  • 労働契約に明示された労働条件と実態が著しく異なる
  • 長時間労働(月45時間超の時間外労働が3か月以上連続など)
  • 上司・同僚からのハラスメントによる退職
  • 事業所の移転により通勤が著しく困難になった(通勤時間おおむね片道2時間以上)

重要なのは、会社都合で退職する場合、退職届そのものを提出する必要がないケースが多いという点です。解雇・倒産・リストラなどは会社側が「解雇通知書」「退職勧奨通知」などを出すのが本来の形です。それでも会社から「退職届を出してほしい」と求められた場合は、書き方を間違えると自己都合扱いに変わってしまう危険があります(次セクション参照)。

会社から「円満に辞めたいので『一身上の都合』で退職届を書いてほしい」と言われることがあります。これを鵜呑みにすると失業給付で大きく損をするので、実態が会社都合ならば会社都合と明記するか、そもそも退職届を書かない選択肢を検討しましょう。

失業給付(基本手当)への影響|自己都合 vs 会社都合

自己都合退職と会社都合退職では、失業給付(雇用保険の基本手当)の条件が大きく違います。受給できる総額が数十万円単位で変わるため、退職届の書き方は経済的にも重要です。

主な違い(2025年4月以降の制度)

  • 給付制限期間:自己都合は原則1か月(5年以内に3回以上の自己都合退職は3か月)、会社都合は7日の待期のみで制限なし
  • 所定給付日数:自己都合は90〜150日、会社都合は90〜330日(年齢・被保険者期間で変動し会社都合のほうが長い)
  • 受給資格の被保険者期間:自己都合は離職前2年間に通算12か月以上、会社都合は離職前1年間に通算6か月以上でOK
  • 国民健康保険料:会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)は前年所得の30%で算定する軽減措置の対象
  • 離職票の区分:自己都合は「4」「5」、会社都合は「1」「2」「3」で表記される

たとえば勤続10年・月給30万円の人が会社都合で退職した場合、最大240日分の給付が受けられるのに対し、自己都合だと120日分しか受けられず、総額で100万円以上の差がつく計算になります。

2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職者が離職期間中または離職日前1年以内に、自ら雇用の安定・再就職に役立つ教育訓練を受けた場合は、給付制限自体が解除され、7日の待期満了後すぐに基本手当を受給できるようになりました。詳細はハローワークで確認してください。

「一身上の都合」の退職届・退職願 例文(コピペ可)

一身上の都合による退職届・退職願の例文です。横書きはそのままコピーして使えます。縦書きの場合も文章は同じで、用紙の向きと行送り方向が変わるだけです。

退職願(会社の承認を求める、撤回可能)

退職願(一身上の都合)
退職願 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 営業部 山田 太郎 私儀 このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
退職願(一身上の都合)の例
退職願(一身上の都合)の例

退職届(退職日を確定通知、撤回不可)

退職届(一身上の都合)
退職届 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 ○○部 山田 太郎 私儀 このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
退職届(一身上の都合)の例
退職届(一身上の都合)の例

辞表(役員・公務員・教職員が役職を辞するとき)

辞表(一身上の都合)
辞表 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 取締役 山田 太郎 私儀 このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって辞任いたしたく、ここにお届け申し上げます。
辞表(一身上の都合)の例
辞表(一身上の都合)の例

「退職願」は承認前なら撤回可能、「退職届」は受理された時点で撤回不可です。転職先が決まっておらず気持ちが揺れている段階なら退職願、完全に決断して引き止めも受けない覚悟があるなら退職届を選びましょう。

「会社都合」の退職届 例文(コピペ可)

会社都合で退職する場合は、原則として退職届を書く必要はありません。会社側の「解雇通知書」「退職勧奨受諾書」などが正式な書類になります。それでも会社から「書式を整えたいので退職届を書いてほしい」と求められた場合は、理由を「会社都合により」と明記してください。「一身上の都合」と書くと自己都合扱いにされ、失業給付で大きく損をします。

会社都合の退職届(一般)

退職届(会社都合・汎用)
退職届 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 ○○部 山田 太郎 私儀 このたび、会社都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
退職届(会社都合・汎用)の例
退職届(会社都合・汎用)の例

会社都合の退職届(退職勧奨を受諾した場合)

退職届(退職勧奨受諾)
退職届 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 ○○部 山田 太郎 私儀 このたび、貴社からの退職勧奨を受諾し、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
退職届(退職勧奨受諾)の例
退職届(退職勧奨受諾)の例

会社都合の退職届(希望退職・早期退職に応募)

退職届(希望退職応募)
退職届 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 ○○部 山田 太郎 私儀 このたび、貴社が募集する希望退職制度に応募し、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
退職届(希望退職応募)の例
退職届(希望退職応募)の例

会社都合の退職届(事業所閉鎖・倒産)

退職届(事業所閉鎖)
退職届 令和〇年〇月〇日 株式会社△△△△ 代表取締役社長 鈴木 一郎 様 ○○部 山田 太郎 私儀 このたび、貴社事業所閉鎖に伴い、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。

退職勧奨・希望退職・事業所閉鎖の場合は、具体的な事情を1行添えておくと、後日ハローワークや労基署でトラブルになったときの証拠として役立ちます。提出前に必ず写し(コピー)を取っておきましょう。

退職届(事業所閉鎖)の例
退職届(事業所閉鎖)の例

会社都合なのに「一身上の都合」と書かされそうな時の対処

実務でもっとも多いトラブルが、本来は会社都合にあたるのに、会社から「一身上の都合」での退職届を求められるケースです。会社側は助成金の受給条件(解雇者を出していないこと)などの事情で自己都合扱いにしたがることがあります。以下の順で対処しましょう。

  1. 退職届を書かない — 会社都合退職は本来、解雇通知書・退職勧奨通知書で足りる。退職届を求められても「会社都合なら必要ない認識です」と断れる
  2. 書くなら「会社都合により」と明記する — 会社からテンプレートを渡されても、理由欄だけは書き換えるか、署名前に確認する
  3. 会話の記録を残す — 退職勧奨・解雇の経緯をメール・メモ・録音で残す
  4. 離職票の「離職理由」欄を確認 — 離職票が届いたら会社記入欄を必ず確認。自己都合と書かれていたら署名しない
  5. ハローワークで異議申し立て — 離職票の離職理由に異議があるときは、ハローワークで「異議あり」として申し出ると、ハローワーク側で事実確認のうえ区分が変更されることがある

退職届に「会社都合により」と書いても、最終的な離職区分を決めるのはハローワークです。会社と主張が食い違っても、給与明細・就業規則・退職勧奨の証拠を揃えて申し出れば、後から区分変更が認められる可能性は十分あります。

退職理由を書く前のチェックリスト

退職届を書き始める前に、下記をチェックしてから退職理由を決めましょう。

  • 自分の退職が「自己都合」か「会社都合」か客観的に判断したか
  • 会社都合の可能性がある場合、退職勧奨の有無・減給・ハラスメントなど証拠を確認したか
  • 失業給付・国民健康保険料の軽減を受けられる可能性を検討したか
  • 退職願(撤回可)と退職届(撤回不可)のどちらを出すか決めたか
  • 就業規則で定められた提出期限(通常は退職希望日の1〜3か月前)を満たしているか
  • 直属の上司に事前相談を済ませたか(頭越しは関係を悪化させる)
  • 提出前に退職届の写し(コピー)を取ったか

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まとめ

  • 退職届の退職理由は「一身上の都合(自己都合)」か「会社都合」の2択
  • 自己都合の場合は理由の詳細は書かず「一身上の都合により」で統一する
  • 会社都合の場合は本来、退職届は不要。求められたら「会社都合により」と必ず明記
  • 自己都合と会社都合で失業給付の総額は数十万〜百万円単位で変わる
  • 会社から一身上の都合にすり替えを求められたら、証拠を残して離職票でも確認
  • 退職願は撤回可・退職届は撤回不可。書き方・流れは同じでも性質が違う
  • 迷ったら退職願から出すのが無難

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コラム著者・編集者

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