退職願の書き方完全ガイド|退職届との違い・撤回ルール・本文・封筒・例文

退職願とは?退職届との違いと提出の前提
退職願は退職を会社に申し入れる「お願い」の文書です。提出した時点ではまだ退職は確定せず、人事権限を持つ人(社長・人事部長など)が承諾してはじめて効力が発生します。これが、一方的に通告する「退職届」との決定的な違いです。
なお実務では、退職願と退職届のどちらを出すかは会社の手続きで決まることが多いです。会社所定の様式が用意されていたり、就業規則や上司・人事から「退職届を出して」「退職願に書いて」と指定されたりするケースが少なくありません。書き始める前に、まず就業規則と上司・人事への確認を済ませるのが安全です。本記事は、退職願を出す(または出すように指示された)場合の書き方・封筒・撤回ルールを詳しく解説します。
退職願ならではのポイントは、退職届よりも撤回が認められやすい余地が残ることです。退職届は会社到達後の撤回が認められにくいのに対し、退職願は法律上「合意退職の申込み」と位置づけられ、承諾権者が承諾する前であれば撤回できる可能性が高いとされています。ただし実務上は最終的に会社の判断次第なので、書類タイトルだけで撤回可否が決まるわけではありません。
この記事で分かること
- 退職届との決定的な違い(法的位置づけ・撤回可能性・文末表現)
- 退職願の封筒の表面・裏面の書き方
- 退職願の本文の書き方(願い出る文末で締める)
- 縦書き・横書きの全文コピペ例文
- 提出のタイミングと退職届への切り替え方
本記事は退職願に特化した詳細記事です。封筒・入れ方・郵送など退職届と共通のマナーは退職届の封筒についての完全ガイドに詳しくまとめています。
退職届・退職願・辞表
退職届の封筒|選び方・書き方・入れ方・郵送まで完全ガイド
退職届と退職願の決定的な違い
退職願と退職届はどちらも「会社を辞めたい」と伝える書類ですが、法的な位置づけ・撤回可能性・本文の文末表現がまったく違います。一覧で比較します。
| 項目 | 退職願 | 退職届 |
|---|---|---|
| 意味 | 退職を「お願い」する申し入れ | 退職を「通告」する確定届 |
| 法的位置づけ | 合意退職の申込み | 辞職の意思表示(民法627条) |
| 効力発生 | 会社の承諾があったとき | 意思表示の到達から2週間後 |
| 撤回 | 承諾権者の承諾前なら可能 | 原則不可(会社到達後は撤回不可) |
| 提出タイミング | 退職予定日の1〜3か月前 | 退職日が確定した後(または同時) |
| 本文の文末 | 「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」 | 「退職いたします」 |
| 封筒の表面 | 「退職願」 | 「退職届」 |
| 用途 | 意思を打診したい・引き止め余地を残したい | 退職が確定し、事務手続きを進めるとき |
「お願い」と「通告」の違いが本質
退職願は「合意退職の申込み」、退職届は「辞職の意思表示」と法律上整理されています。前者は会社が承諾しないと効力が生じない一方、後者は労働者の一方的な意思表示でも民法627条により2週間後に効力が発生します。この性格の違いから、退職届よりも退職願のほうが撤回が認められやすいとされています。ただし実務では書類タイトルだけで撤回可否が決まるわけではなく、最終的には会社の対応次第です。
会社が様式や提出書類を指定している場合は、まずその指示に従うのが第一です。指定がなく自分で判断する場面では「気持ちが揺れているかもしれない・引き止め余地を残したい」段階で退職願、「完全に決断した・引き止めも受けない」段階で退職届、という使い分けが目安になります。
辞表との違い(会社員は使わない)
ドラマや映画で印象的な「辞表」ですが、実は会社員(一般社員)が使う書類ではありません。辞表は雇用契約にない人が任命された役職を辞めるときに提出する書類で、具体的には以下の人が対象です。
- 会社の役員(取締役・監査役など)が任期途中で役職を辞するとき
- 国家公務員・地方公務員が辞職するとき
- 公立学校の教職員が辞職するとき
通常の会社員(雇用契約にある社員)が会社を辞めるときに提出するのは、退職願または退職届のいずれかです。会社員が辞表を提出するのはマナー上の誤りなので、ドラマのイメージに引きずられないように注意しましょう。
ただし、使用人兼務役員(取締役と部長などを兼ねる人)が辞めるときは、役員としての辞任届と従業員としての退職届の両方が必要なケースがあります。会社の規定を確認してください。
退職願の封筒の書き方(表面に「退職願」と書く)
退職願を入れる封筒は、退職届の封筒とほぼ同じ作法ですが、表面に書く文字だけが違います。「退職届」ではなく「退職願」と書く点だけ間違えなければ、選び方・サイズ・裏面の書き方は退職届と共通です。
封筒の選び方
- 色:白色・無地(茶封筒は事務的に見えるためNG)
- 二重封筒:中身が透けないよう、内側が紫や薄色で二重になっているものが理想
- 郵便番号枠:手渡しが原則なので、郵便番号枠のないものを選ぶ
- サイズ:用紙がB5なら長形4号(90×205mm)、A4なら長形3号(120×235mm)
- 筆記具:黒のボールペンまたは万年筆。筆ペン・サインペン・摩擦で消えるペンはNG
封筒の表面:「退職願」と縦書き
封筒の表面中央のやや上に、少し大きめに「退職願」と縦書きします。退職届と書く封筒との違いはこの3文字だけです。宛先(会社名や役職名)は表面には書かず、中央の3文字のみで完結させます。

封筒の裏面:所属部署と氏名
封筒の裏面の左下に、自分の所属部署名とフルネームを縦書きで記入します。部署名を上の行、氏名をその下の行に書くのが一般的です。手渡しする場合は封の必要はなく、糊付けせずに渡せるようにしておきます(受け取った上司がすぐ中身を確認するため)。

封の仕方
- 手渡しの場合:糊付けは不要。すぐに開けるよう開いた状態で渡す
- 郵送の場合:糊付けして封をし、フタの中央に「〆」マークを記入
- 本人保管・記録目的のコピーは提出前に必ず取っておく
退職願の封筒は退職届の封筒とほぼ同じです。違うのは表面の文字(「退職願」or「退職届」)だけ。封筒選び・裏面・折り方・封の仕方を間違えないようにすれば、表記の違いだけで両方の書類に対応できます。
退職願の本文の書き方(「お願い申し上げます」で締める)
退職願の本文と退職届の本文の最大の違いは、最後の文末表現です。退職届が「退職いたします」と断言形で締めるのに対し、退職願は「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」と願い出る形で締めます。これは「会社の承諾を求める書類」という退職願の性格を反映しています。
本文を構成する8つの要素
- タイトル:1行目の中央付近に「退職願」
- 書き出し:本文の右上または1行下げた位置に「私儀」または「私事」(行末に下詰め)
- 退職理由:「このたび、一身上の都合により」(自己都合の場合)
- 退職希望日:「令和○年○月○日をもって」(年・月・日を明記)
- 文末:「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」
- 提出日:本文の下に1行空けて記入
- 所属部署と氏名:提出日の下の行に下詰めで記入し、氏名の下に押印(認印・シャチハタ不可)
- 宛名:左端(縦書きの場合は最終行)に会社名・代表者の役職・氏名・敬称「殿」または「様」

退職届と並べた文末の違い
| 書類 | 本文末尾 | 意味 |
|---|---|---|
| 退職願 | 退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。 | 「退職させてほしい」と願い出ている |
| 退職届 | 退職いたします。 | 「退職する」と確定通告している |
| 辞表 | 辞任いたしたく、ここにお届け申し上げます。 | 役職を辞すると届け出ている |
「私儀」と「私事」の使い分け
本文の冒頭に置く「私儀(わたくしぎ)」「私事(わたくしごと)」は、いずれも「私事ではございますが」というへりくだった切り出しの定型です。意味も使い方もほぼ同じで、どちらを使っても問題ありません。書類の性格上、よりかしこまった印象を与える「私儀」を選ぶ人が多めです。本文の右上または独立した1行に下詰めで配置するのが慣例です。
「私儀」は単独の1行として右下端に書き、その下から本文を改行するのが一般的です。横書きの場合は氏名の下、本文の上に1行で配置します。
退職願の日付は「退職希望日」と「提出日」、どっちを書く?
退職願にも日付が2か所登場します。本文中の「○月○日をもって退職いたしたく」は退職希望日(雇用契約を終わらせたい日)、本文の下の日付は提出日(実際に上司に渡す日)です。混同して書くと「いつ退職したいのか」が曖昧になり、受理が遅れる原因になります。
| どの日付 | 書く場所 | 何を書くか |
|---|---|---|
| ①退職希望日 | 本文中(『〜年〜月〜日をもって退職いたしたく』の部分) | 上司と相談して合意した、退職を希望する日。最終出社日ではなく、有給消化後の最終日 |
| ②提出日 | 本文の下、所属・氏名の上 | 実際に退職願を上司に渡す日。郵送なら投函する日 |
退職願は「お願いする」書類なので、退職希望日は提出日から1〜3ヶ月先の日付で書くのが一般的です。退職届と違い『2週間後』のように直近にすると、社内調整が間に合わず会社側との関係が悪化する恐れがあります。
退職願の全文例(縦書き・横書きコピペ可)
退職願の全文例を、縦書き・横書きの両方で用意しました。下記のテンプレートをコピーして、日付・会社名・代表者名・所属・氏名を自分の情報に書き換えるだけで使えます。本文は縦書き・横書きで内容は同じで、書く向きと行送り方向が変わるだけです。
退職願(自己都合・基本形)

退職願(より丁寧な表現)
退職願(短縮版・必要最小限)
退職願(横書き・洋封筒に入れる場合)
退職願(家族の介護・健康などやむを得ない事情を含めたい場合)
退職願でも具体的な事情は書かないのが慣例ですが、引き止めを避けたい・事情を上司に理解してもらいたい場合に、簡潔に1行添えるパターンもあります。詳細を書きすぎないのがコツです。
「家庭の事情」「健康上の理由」など、具体性を抑えた表現を入れると、引き止めを最小限にしつつ事情も伝えられます。「人間関係」「給与への不満」など会社が改善できそうな理由は引き止めのきっかけになるので避けます。
退職願に使う用紙・便箋の選び方
退職願は手書きで作成するのが伝統的なマナーですが、最近はパソコンで作成する人も増えています。用紙のサイズ・色・罫線の有無は、退職届と共通の選び方でOKです。
- サイズ:A4またはB5(B5のほうが封筒に入れやすい)
- 色:白の無地が基本。罫線入りなら黒・グレーの目立たない罫線
- 種類:白のコピー用紙、白い便箋、市販の退職届専用紙のいずれか
- 罫線:イラスト・色付き罫線・キャラクターものは絶対NG
- 筆記具:黒のボールペンまたは万年筆(消せるペン・鉛筆はNG)
市販の「退職願・退職届」テンプレートが文具店や100均で売られています。あらかじめタイトルや書式が入っているので、初めて書く人はテンプレートから始めるのが失敗が少なくおすすめです。
退職願の提出タイミング
退職願は「退職予定日の1〜3か月前」に提出するのが一般的です。退職届よりも早い段階で提出するのがポイントで、提出 → 上司との合意形成 → 退職日確定 → 退職届提出、という流れが理想形です。なお、会社所定の様式が退職届だけ用意されているケースや、退職願1通で完結するケースもあるため、就業規則や人事への確認を先に済ませておきましょう。
提出タイミングの目安
| ステップ | 目安時期 | やること |
|---|---|---|
| 1. 直属上司に口頭で意思表示 | 退職予定日の2〜3か月前 | 上司と二人で話す場を設ける |
| 2. 退職願を提出 | 退職予定日の1〜2か月前 | 上司の合意を得たうえで提出 |
| 3. 退職日確定・引継ぎ | 退職予定日の1か月前 | 後任者選定・引継ぎ計画 |
| 4. 退職届を提出 | 退職日が確定した後 | 会社規定の書式があれば従う |
| 5. 退職 | 退職日当日 | 備品返却・退職手続き完了 |
就業規則と民法のどちらを優先するか
民法627条では「退職の意思表示から2週間で雇用契約が終了する」と定められています。一方、多くの会社の就業規則は「退職希望日の1か月前までに申し出る」としています。法律上は民法が優先しますが、円満退職するためには就業規則に従うのがベストです。退職願はあくまで「合意退職の申込み」なので、就業規則と異なる時期に出すと会社との関係がこじれやすくなります。
退職願を提出する前に、必ず就業規則の「退職」関連条項を確認しましょう。「退職を希望する者は、退職希望日の◯か月前までに退職願を提出するものとする」と書かれていることが多いです。
退職願は撤回しやすい?退職届との違いと注意点
退職願ならではの大きな特徴は「退職届と比べて撤回が認められやすい」点です。退職願は会社の承諾があってはじめて効力が発生するとされるため、承諾権者が承諾する前であれば本人の意思で取り下げられる可能性が高いです。一方、退職届は会社到達時点で確定する一方的な意思表示なので、撤回は原則認められません。ただし最終的には会社の対応次第なので、撤回は『必ずできる権利』ではなく『認められる可能性がある余地』と理解しておくのが安全です。
撤回が認められるケース
- 人事権限を持つ人(社長・人事部長・人事担当役員など)がまだ承諾していない
- 提出から間がなく、後任者の選定や採用などの手続きが始まっていない
- 直属上司に提出しただけで、人事部や役員にまだ回付されていない
撤回が難しくなるケース
- 人事権限者がすでに承諾している
- 後任者の採用活動が始まっている、または採用が決まっている
- 他の社員に退職の事実が告知されている
- 提出から相当期間(数週間以上)が経過し、会社が退職前提で動いている
- 退職願ではなく「退職届」のタイトルで提出してしまった
撤回したい場合は、できるだけ早く直属上司に書面で「退職願撤回のお願い」を提出します。口頭だけでなく、撤回した記録を残すことが重要です。
「承諾権限を持つ人」が誰かは会社によって違います。裁判例では人事部長や人事担当取締役が承諾権を持つとされ、関係のない他部署の常務には権限がないとされた例もあります。承諾されたかどうかが微妙なケースは弁護士・労働組合に相談しましょう。
退職願から退職届への切り替え
退職願を提出して上司・人事と話し合い、退職日が確定したら、最後に「退職届」を提出して締めくくります。退職願と退職届の両方を出すか、退職願1通で完結するかは、会社の手続き次第です。実務では会社所定の様式や人事の指示で運用が決まることが多いため、退職願を出した段階で「退職届も別途必要ですか」と確認しておくとスムーズです。
両方を提出するケース(フル工程)
- 口頭で退職意思を上司に伝える
- 退職願を提出(承諾前なら撤回しやすい・引き止め余地あり)
- 上司・人事と話し合い、退職日を確定
- 退職日が決まったら退職届を提出(原則撤回不可・確定)
- 引継ぎを進めて退職日を迎える
退職願1通で完結するケース
会社によっては退職届の提出を求めず、退職願1通で退職手続きを進めるケースもあります。会社所定の様式がある場合や、退職願に記載した日付がそのまま退職日として確定する場合がこれにあたります。事前に人事担当に「退職届も別途必要ですか」と確認しておくと確実です。
切り替え時の本文の違い
退職届に切り替える際は、本文末尾の文末表現を「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」から「退職いたします」に書き換えます。タイトルも「退職願」→「退職届」に変更します。本文の他の要素(理由・日付・氏名・宛名など)は基本的に同じです。
退職届を提出するタイミングは「退職日が完全に確定し、引き止めを受ける可能性がなくなった後」です。退職届は原則として撤回が認められにくいので、気持ちが揺れている段階で出すのは避けましょう。
退職願でやりがちなNG・失敗例
退職願は「お願い」の書類なので、相手への配慮を欠くと印象を損ねます。実務でやりがちな失敗を避けるためのチェックリストです。
- 文末を「退職いたします」と書く:それは退職届の文末。退職願は「お願い申し上げます」で締める
- 封筒の表面に「退職届」と書く:退職願なら表面は「退職願」と書く
- 上司の頭越しに人事や社長に直接出す:必ず直属の上司に手渡しが原則
- メール・LINEで送る:退職願は紙の手渡しが基本(やむを得ない場合は郵送)
- ネガティブな退職理由を書く:「人間関係」「給与不満」などは書かず「一身上の都合」で統一
- シャチハタを使う:認印を使う。シャチハタはマナー違反
- 鉛筆や消せるボールペンで書く:黒のボールペンまたは万年筆を使う
- 修正液・修正テープで直す:間違えたら最初から書き直す
- 提出前にコピーを取らない:いつ・誰に提出したか記録を残すために必ずコピーを取る
- 退職日が確定する前に退職届を出す:退職届は原則撤回不可なので、迷いがあるならまず退職願から出すのが安全
会社からの様式指定や人事の指示が最優先です。指定がなく自分で判断する場合に限って、迷ったときは「退職届」ではなく「退職願」を選ぶのが安全策です。退職願なら撤回余地があり、引き止め交渉や条件すり合わせの時間も確保できます。退職届に切り替えるのは、退職日が完全に確定してからで問題ありません。
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