夫婦間の誓約書の書き方|手書き例文と効力(2026年民法改正対応)

夫婦間の誓約書はどんなときに作る?
「もうしない」という口約束が何度も破られているなら、約束を誓約書という書面にする段階です。口約束と違い、何を約束したのか・破ったらどうするのかが本人の署名つきで残るため、本人への心理的な歯止めになり、万一こじれたときの証拠にもなります。夫婦の間では、次のような場面で使われています。
- 飲酒の失敗(深夜の帰宅・酒癖の悪さ)を繰り返す
- パチンコ・競馬などのギャンブルがやめられない
- 無断の借金やクレジットカードの浪費が発覚した
- 生活費を入れない・家計に協力しない
- 家事・育児をまったく分担しない
- 暴言や無視など、生活態度を改めてほしい
なお、浮気・不倫の再発防止だけは、書かせる内容が大きく異なります。不貞の事実の自認・不倫相手との接触禁止・違約金という専用の条項が必要になるため、次の記事を参照してください。

不倫誓約書の書き方と効力|必須条項・違約金の決め方・例文テンプレート
配偶者の不倫・浮気の再発防止に書かせる不倫誓約書の作り方。必須4条項(不貞の事実の自認・接触禁止・違約金・誠実義務)、「夫婦間の契約は取り消せる」の心配が不要になった理由、違約金の相場、公正証書化まで、そのまま使える例文つきでまとめました。
記事を読む条項立ての誓約書ではなく、謝罪と約束を文章で書かせる簡素な念書形式にしたい場合は、こちらが使えます。

不倫・浮気の念書の書き方|夫婦間での効力とそのまま使える例文
配偶者の浮気が発覚し、やり直す前提で再発防止の約束を書面に残したい方へ。浮気の念書に書かせるべき内容、そのまま使える例文、慰謝料請求での証拠価値、「夫婦間の契約は取り消せる」という心配が不要になった理由までまとめました。
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夫婦間の誓約書に法的効力はある?「いつでも取り消せる」は過去の話
本人が自由な意思で署名した誓約書は、夫婦の間で交わしたものでも法的に有効です。「夫婦間の約束は後からいつでも取り消せるから、書かせても無駄」という解説を見かけた方もいるかもしれませんが、その根拠だった民法754条(夫婦間の契約の取消権)は、2026年4月1日施行の民法改正(令和6年法律第33号)で削除されました。現在は、夫婦間の契約だからという理由で誓約書を一方的に取り消す制度そのものが存在しません。削除前の時代でも、最高裁昭和42年2月2日判決が婚姻関係の破綻後の取消しを認めておらず、誓約書が本当に必要になる場面で取消しが機能する余地はもともと限られていました。
一方で、効力には限界もあります。「飲酒しない」「ギャンブルをしない」という行動そのものを法的に強制する手段はありませんし、違約金の約束があっても、誓約書だけでいきなり給与や預金を差し押さえることはできません(裁判などを経る必要があります)。
違約金や生活費のような金銭の約束をどうしても確実にしたい場合は、公証役場で強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、不払いのときに裁判なしで給与や預金の差押えに進めます。ただし、公正証書にしても強制執行の対象にできるのは金銭の支払い部分だけで、「飲酒しない」「家事を分担する」といった行為の約束自体は強制できません。作成には本人の協力と費用も必要なため、まずは夫婦間の誓約書で合意を固めるのが第一歩です。公正証書の作り方・費用・強制執行の条件は、次の記事にまとめています。

誓約書は公正証書にできる?強制執行の条件・作り方・費用|2025年10月改定後の手数料
誓約書の内容は、相手の協力があれば強制執行認諾文言付きの公正証書にでき、不払い時に裁判なしで差押えができます。強制執行の対象が金銭の支払いに限られる理由と違約金条項での対処、作成の流れ・必要書類、2025年10月改定後の公証人手数料までまとめました。
記事を読むそれでも書かせる価値が大きいのは、問題行動の事実を本人が認めて署名した書面が、離婚調停や裁判で「婚姻関係が壊れた経緯」を示す証拠になるからです。無断の借金や生活費の不払いは、時間が経つと「そんな事実はない」「了解済みだった」と争われがちです。本人に認めさせた誓約書が1枚あれば、その言い逃れを防げます。
書き方|手書きでよい・入れる項目は6つ
誓約書は手書きでもパソコン作成でも有効です。用紙は便箋でもコピー用紙でもかまいません。手書きにする場合は、消せるボールペンを避け、黒のボールペンなど消えない筆記具で書かせてください。パソコンで作る場合も、日付と氏名の署名だけは必ず本人の自筆にし、押印(認印で可)をもらいます。自筆の署名が、本人が約束した事実の何よりの裏付けになります。
- 表題:「誓約書」とする。
- 宛名:受け取る側(自分)の氏名。「○○ ○○ 殿」と書かせる。
- 問題行動の事実と謝罪:いつ・何をしたか、借金なら金額まで特定して認めさせる。「迷惑をかけた」だけの曖昧な書き方では証拠の価値が下がる。
- 守る約束:行動のレベルで具体的に書かせる。「お酒を控える」ではなく「平日は飲酒しない」「飲み会の日は午後11時までに帰宅する」。
- 破った場合の取り決め:小遣いの減額・家計管理を任せる・離婚の話し合いに応じる、など(決め方は後述)。
- 日付・自筆署名・押印:書いた日の日付、本人の自筆署名と押印。
長時間問い詰めたり脅したりして無理に書かせた誓約書は、強迫(民法96条)を理由に取り消されるリスクがあり、後から「書かされた」と争われる原因にもなります。冷静に話せる場で、内容を本人に理解させたうえで署名させてください。
そのまま写せる手書き例文9本(飲酒・ギャンブルから家事・暴言・浮気まで)
便箋を渡して、そのまま写させて使える例文をシーン別に8本用意しました。氏名・日付・金額を実際の内容に置き換えてください。全文を本人の手で書かせると、「書いた覚えはない」という言い逃れを防ぐ効果が高まります。書かせた原本は自分の手元で保管します。あわせて、コピーかスマートフォンで撮影した画像を本人にも渡しておくと、「約束を忘れた」「そんな内容ではなかった」という言い訳を防げます。
飲酒・ギャンブル・借金・生活費の例文
生活費については、誓約書がなくても夫婦には婚姻費用の分担義務(民法760条)があり、渡さない相手には家庭裁判所の調停(婚姻費用分担請求)で支払いを求められます。誓約書の役割は、毎月の金額と支払日を本人の署名つきで固定し、「いくら渡すかは決めていない」という反論を封じることにあります。
家事・浪費・外泊・喫煙の例文
「家事を手伝う」「育児に協力する」という書き方では、守れたかどうかを判定できません。担当する家事を曜日・時間まで特定して列挙するのがコツです。
買い物やゲーム課金は、全面禁止より「1回○円以上は事前に相談」という金額のラインを決めるほうが守られやすい約束になります。利用明細を毎月見せるルールをセットにすると、違反にすぐ気づけます。
外泊や深夜帰宅は、行動そのものの禁止より「いつまでに・どう連絡するか」という連絡のルールに落とすほうが現実的で、破ったかどうかも明確になります。
いきなり全面禁煙を誓わせると、隠れて吸ってすぐ破られる約束になりがちです。吸ってよい場所と1日の本数を決めて、子どもの受動喫煙を止めることを最優先にします。
暴言・モラハラ的な言動の例文
暴言は後から「言っていない」と否認されやすいため、実際に言われた言葉をそのまま書かせて認めさせることが何より重要です。やめるべき言動も、具体的な言葉のレベルで挙げさせます。
この例文が使えるのは、対等に話し合える関係が残っている場合だけです。怒鳴られるのが怖くて反論できない、身の危険を感じるといった状況は、誓約書で解決する段階ではありません。最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながるDV相談ナビ「#8008」か、緊急時は110番で警察に相談してください。
浮気・不倫の例文(シンプル版)
浮気・不倫は本来、不貞の事実の特定や違約金まで条項を組んだ専用の誓約書で残すべき場面です。発覚した直後など、その場でまず一筆書かせて約束を固定したいときのシンプル版として、次の例文を写してください。
不貞の事実は「△△氏と」のように相手を特定して認めさせるほど、後の慰謝料請求や離婚協議での証拠価値が上がります。相手・時期の特定の書き方、違約金の決め方、条項を組んだフル版の全文は、冒頭で紹介した不倫誓約書の記事で詳しく解説しています。
違約金・ペナルティの現実的な決め方
離婚を前提にしない夫婦間の誓約書では、高額の違約金を書かせても、同じ家計の中でお金が動くだけで実効性が乏しいのが実情です。機能しやすいのは、小遣いの減額・家計管理を任せる・キャッシュカードを預けるなど、行動を縛る現実的なペナルティです。例文のように「違反したら○○することに同意します」という形で書かせます。
金額を書く場合は水準に注意してください。実害とかけ離れた高額の違約金は、公序良俗(民法90条)に反して無効・減額と判断されるおそれがあります。無断の借金額や使い込んだ金額など、実害と釣り合う範囲にとどめるのが安全です。
「違反したら離婚に応じる」という条項もよく使われます。離婚は届出の時点で双方の意思が必要なため、この一文だけで離婚を強制する効力まではありませんが、本人への強い歯止めになり、実際に違反があったときには離婚調停・裁判を進める際の材料になります。
誓約書が守られなかったときにできること
違反があったら、まず再発の記録(日付・状況・レシートや利用明細)を誓約書とセットで残してください。「いつの誓約に対して、いつ違反したか」が揃うと、次の話し合いでも調停でも強い材料になります。違約金やペナルティの条項があれば、誓約書を示してその実行を求めます。
改善が見られず離婚を決めた場合、誓約書は婚姻関係が壊れた経緯と相手の責任を示す証拠として役立ちます。離婚にあたって取り決める条件(財産分与・慰謝料など)の書面の残し方は、次の記事を参照してください。

離婚の念書に効力はある?養育費・慰謝料を念書だけで残すリスクと公正証書
養育費・慰謝料・財産分与の約束を念書で残して大丈夫か不安な方へ。念書と離婚協議書・公正証書の違い、強制執行できない念書が役立つ場面と例文、2026年4月施行の改正民法による請求期限の延長までまとめました。
記事を読む子どもがいる場合、毎月の養育費の支払い約束には専用の書き方があります。2026年4月施行の改正で、金額と期間を明確に書いた書面の価値が大きく上がっています。

養育費の誓約書の書き方|そのまま使える例文と効力(2026年4月改正対応)
養育費の支払い約束を誓約書に残したい方へ。誓約書でいいのか(合意書・公正証書との使い分け)と書かせるタイミング、書くべき項目とそのまま使える全文例文、2026年4月施行の改正民法(先取特権・法定養育費)で書面の価値が上がった理由、不払い時の動き方までまとめました。
記事を読む夫婦間の誓約書をTEMPLEXのテンプレートで作る
整った書式で作るなら、TEMPLEXの誓約書テンプレートが使えます。宛先・誓約事項・氏名をフォームに入力するだけで、A4の誓約書PDFを登録不要・無料でダウンロードできます。誓約事項は自由に追加・書き換えできるので、この記事の例文を貼り付けて夫婦の実情に合わせてください。
印刷したら、日付と署名だけ本人の自筆にして押印させれば完成です。全文を手書きさせたい場合も、印刷したものを手本として見せながら写させると、項目の抜け漏れを防げます。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








