時候の挨拶(季節の挨拶)の書き方|月別一覧・ビジネス例文・使い方完全ガイド

時候の挨拶とは
時候(じこう)の挨拶とは、手紙やビジネス文書の書き出しに添える季節感のあるひとことです。「拝啓」などの頭語のすぐあとに置かれ、本題に入る前のクッションとして相手への敬意と季節の便りを同時に伝える役割があります。なお、時候の挨拶は「季節の挨拶」とも呼ばれます。
ビジネス文書では、案内状・招待状・お礼状・挨拶状・お詫び状など、少し改まった場面で必ずと言ってよいほど使われます。一方、要件だけを簡潔に伝える事務連絡や社内メール、お見舞い・お悔やみの手紙では省略するのが一般的です。
時候の挨拶を使う場面/省略する場面
- 使う場面:案内状、招待状、お礼状、挨拶状、年賀状・寒中見舞い、取引先への改まった文書
- 省略する場面:お見舞い状、お悔やみ状、お詫び状、社内メール、急ぎの連絡
- 省略する際は頭語に「前略」「冠省」を用い、結語は「草々」「不一」で受ける
迷ったときの基本ルール:紙の文書=時候の挨拶を入れる/メール=原則省略して「いつもお世話になっております」で代用、と覚えておくと失敗しません。
ビジネス文書の基本構成
ビジネス文書の挨拶部分は、次の6ブロックで組み立てます。時候の挨拶は2つ目のブロックに置き、そのあとに相手の安否を尋ねる定型句を続けるのが王道です。
- 頭語(拝啓・謹啓 など)
- 時候の挨拶(〇〇の候/季節のやわらかい表現)
- 安否の挨拶(貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます など)
- 主文(伝えたい本題。「さて」「このたび」などで書き出す)
- 末文(今後のご支援・ご自愛を願う結び)
- 結語(敬具・謹白 など/頭語と対で使う)
「貴社ますますご清栄」は業種を問わず使える安全牌。相手が個人事業主や公的機関のときは「貴店」「貴所」「貴会」に置き換えます。
漢語調と和語調の使い分け
時候の挨拶には、格調高い「漢語調」と、やわらかい「和語調」の2種類があります。同じ季節を表す場合でも印象が大きく異なるため、相手との関係性・文書の性格で使い分けましょう。
漢語調(〇〇の候)
「新緑の候(しんりょくのこう)」のように、漢字二文字+「の候」で表す形式。格式が高く、ビジネス文書・改まった挨拶状に向きます。「候(こう)」は「〜の時節」という意味で、「〇〇のみぎり」「〇〇の折」と置き換えることも可能です。
和語調(やわらかい表現)
「新緑がまぶしい季節となりました」のように、情景を描写する日常的な言葉遣い。親しい取引先・個人宛て・女性的で丁寧な手紙に向きます。顧客向けDM・お礼状では和語調のほうが温かく伝わることもあります。
迷ったら、社外・改まった相手なら漢語調、個人客・お得意様へのお礼やDMなら和語調が無難です。社内文書では時候の挨拶そのものを省くのが普通です。
頭語と結語の正しい組み合わせ
頭語(とうご)は文書の冒頭、結語(けつご)は末尾に置く挨拶の言葉です。「拝啓ではじめたら敬具で締める」のように、必ずペアで使います。片方だけでは文書として成立しないので注意してください。
シーン別・頭語と結語の組み合わせ
- 一般的な手紙:拝啓(はいけい)― 敬具(けいぐ)/拝呈 ― 敬白
- 改まった手紙・目上の方:謹啓(きんけい)― 謹白(きんぱく)/謹啓 ― 謹言(きんげん)
- 前文を省略する手紙:前略(ぜんりゃく)― 草々(そうそう)/冠省 ― 不一
- 急ぎの手紙:急啓(きゅうけい)― 草々/急啓 ― 不一
- 返信の手紙:拝復(はいふく)― 敬具/復啓 ― 敬具
- 再送の手紙:再啓(さいけい)― 敬具
- 女性の手紙:拝啓 ― かしこ(どの頭語にも使える)
「前略」は時候の挨拶・安否の挨拶を省略する合図です。目上の相手や儀礼的な文書では避け、「拝啓」を使うのが無難です。
月別 時候の挨拶 早見表(1月〜12月)
月ごとに使われる代表的な時候の挨拶を、漢語調と和語調でまとめました。同じ月でも上旬・中旬・下旬で季節感が変わるため、目安となる二十四節気を意識して選びましょう。各月の詳細な例文は月別ガイドをご参照ください。
1月(睦月: 小寒1/5頃・大寒1/20頃)
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1月の時候の挨拶(季節の挨拶)|ビジネス・プライベートで使える例文集
2月(如月: 立春2/4頃・雨水2/19頃)
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2月の時候の挨拶(季節の挨拶)|立春前後で使い分ける漢語調・和語調とビジネス例文集
3月(弥生: 啓蟄3/6頃・春分3/21頃)
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3月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の例文とビジネス書面・メール・卒業送別の文例集
4月(卯月: 清明4/5頃・穀雨4/20頃)
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4月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の例文と結び(新年度・着任の挨拶も)
5月(皐月: 立夏5/6頃・小満5/21頃)
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5月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の例文とビジネス書面・メール・プライベート文例集
6月(水無月: 芒種6/6頃・夏至6/21頃)
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6月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の書き出しと結び【ビジネス・プライベート例文】
7月(文月: 小暑7/7頃・大暑7/23頃)
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7月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の書き出しと結び・暑中見舞い例文集
8月(葉月: 立秋8/8頃・処暑8/23頃)
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8月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の例文と残暑見舞い全文
9月(長月: 白露9/8頃・秋分9/23頃)
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9月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬の例文集(ビジネス・プライベート対応)
10月(神無月: 寒露10/8頃・霜降10/23頃)
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10月の時候の挨拶(季節の挨拶)|上旬・中旬・下旬のビジネス例文とプライベート文例
11月(霜月: 立冬11/7頃・小雪11/22頃)
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11月の時候の挨拶(季節の挨拶)|ビジネス・プライベートで使える例文集
12月(師走: 大雪12/7頃・冬至12/22頃)
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12月の時候の挨拶(季節の挨拶)|ビジネス・プライベートで使える例文集
二十四節気の切り替わりを意識すると「春なのに冬の挨拶」といったズレを防げます。立春(2/4頃)を過ぎたら春の挨拶、立秋(8/8頃)を過ぎたら秋の挨拶に切り替えるのが目安です。
季節を問わず使える挨拶文
急いで文書を仕上げたい、複数月にまたがって配布する、季節感を出したくない——そんなときは「時下」を使った汎用表現が便利です。1年中使えて失礼にもならないため、事務的な案内状やビジネス文書で重宝します。
「時下(じか)」は「このごろ」という意味で、季節にかかわらず使える便利な表現。ただし個人宛ての私信や温かみを出したい場面には不向きです。
結びの挨拶(末文)の型
文書の最後には、相手への気遣いや今後のお願いを伝える「結びの挨拶」を置きます。季節に合わせた結びを添えると、冒頭の時候の挨拶と呼応して文書全体がまとまります。
季節を問わず使える結び
季節を感じさせる結び
「ご自愛ください」は「お体を大切に」の意味。「お体をご自愛ください」は二重表現になるため誤りです。
ビジネスメールでの時候の挨拶
メールでは「拝啓」「敬具」などの頭語・結語は基本的に使いません。時候の挨拶も同様で、ほとんどの社外メールは「いつもお世話になっております」で始めるのが標準です。ただし季節の節目に送る挨拶メールや、しばらくご無沙汰していた相手へのメールでは、短い時候の挨拶を添えると丁寧な印象になります。
メールで「拝啓〜敬具」を無理に使うと堅苦しくなります。紙の挨拶状を送れない代わりにメールで挨拶する場合は「略儀ながらメールにて失礼いたします」の一文で十分です。
よくある間違い・注意点
時候の挨拶は定型的に見えて、誤用すると「マナーを知らない人」という印象を与えてしまいます。うっかりやりがちなミスをまとめました。
NG例とその理由
- 季節外れの挨拶:8月に「新緑の候」、1月に「向暑の候」などは季節感がズレていてNG。
- 頭語と結語のミスマッチ:「拝啓」で始めて「謹白」で締めるのは誤り。必ずペアで使う。
- 「前略」と時候の挨拶の併用:「前略」は時候の挨拶を省く合図なので、一緒に書かない。
- 頭語のみ・結語のみ:片方だけの使用はNG。どちらか入れるなら両方入れる。
- 「お体をご自愛ください」:「自愛」に「お体」の意味が含まれるため二重表現。
- 「貴社」と「御社」の混用:書き言葉は「貴社」、話し言葉は「御社」。文書では「貴社」。
- 「〇〇の候」の読み違い:「薫風(くんぷう)」「向暑(こうしょ)」など読みづらい語は確認を。
時候の挨拶は、文書を受け取った時期の気候感に合わせて選ぶのが基本です。4月上旬なのにすでに「新緑の候」を使うなど、暦ではなく実際の季節感とのズレにも注意しましょう。
送付タイミングとのズレに注意
- 月末に投函する文書:翌月の挨拶を使うほうが自然な場合もある
- 地域差:北海道と沖縄では季節感が約1か月ずれる。相手の所在地を考慮する
- 配布期間の長いDM:特定の季節に依存せず「時下」を使うと安全
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。


