紛失の始末書 例文|社員証・社用携帯・鍵をなくした場合の書き方とNGポイント

「会社のものをなくしてしまった」あなたへ
社員証、社用携帯、ノートPC、会社の鍵、契約書類――。会社から預かっていた物を紛失してしまい、「始末書を書いてください」と指示されて、何から手をつければよいか戸惑っている方は多いはずです。
紛失は、ぶつけて壊した「破損」と違い、現時点で物が手元に戻っていない状態です。第三者に拾われて悪用されるリスクが残るため、始末書の中身も「事実報告 + お詫び」だけでなく、初動対応として何をしたか・情報漏洩のリスクをどう抑えたかまで書く必要があります。
本記事では、紛失したものの種類別に5つのケース(社員証/社用携帯/社用ノートPC・タブレット/会社の鍵・セキュリティカード/重要書類・契約書類)について、コピーしてそのまま使える始末書例文を用意しました。あわせて、紛失発覚直後にやるべき初動チェックリスト、書いてはいけないNG表現、再発防止策の書き方もまとめます。
ぶつけて壊した・落として壊したケースは『破損の始末書 例文|会社の備品・社用車を壊したときの書き方』を、社内規定違反(私的利用など)でなくしたケースは『社内規定違反の始末書 例文』をご参照ください。
紛失発覚時の初動チェックリスト(始末書より先にやること)
始末書を書き始める前に、必ず先にやるべきことがあります。順番を間違えると、被害が拡大して始末書1枚では済まなくなる場合があるため、以下のチェックリストを上から順に確認してください。
- 上長・所属部署への第一報(この時点で「始末書を書きます」と言わなくてよい。事実を伝えることが優先)
- 情報機器の場合は遠隔ロック・データ消去依頼(社用携帯・ノートPCは情報システム部門へ即連絡。MDM導入企業ならリモートワイプを実行)
- 社員証・セキュリティカードの場合は無効化処理(人事・総務に連絡し、入退室システムの権限停止)
- 警察への遺失届提出(最寄りの交番・警察署または駅・施設の遺失物センター。受理番号を控える)
- 心当たりのある場所への問い合わせ(最後に使用した場所、立ち寄った店、タクシー会社、駅事務室など)
- 電子マネー機能(Suica付社員証・楽天Edy・社内FeliCa決済など)が紐づいた社員証は、運営会社や社内決済システム管理部署にも停止連絡
- 個人情報・顧客情報を含むデータが入っていた場合は、漏洩の可能性を上長と情報セキュリティ責任者に共有
- 始末書に書く事実関係(日時・場所・経緯)をメモにまとめる(このあとの始末書作成に使う)
警察への遺失届は、後で始末書に「警察署○○へ遺失届を提出(受理番号 第○○号)」と書く根拠になります。受理番号は必ず控えてください。
個人情報を含むデバイス・書類の紛失は、状況によって個人情報保護法上の漏えい等報告(個人情報保護委員会への報告・本人通知)が必要になる場合があります。判断は会社側で行いますが、本人としては「個人情報がどの程度入っていたか」を正直に上司へ共有することが、その後の始末書評価にも直結します。
紛失の始末書に共通する基本構成
紛失ケースの始末書には、通常の始末書の構成に加えて「初動対応として何をしたか」「情報漏洩リスクへの対応」を盛り込むのが通例です。次の8項目を押さえておけば、ほぼどのケースでも形になります。
| 項目 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 紛失日時 | 発覚した日時/最後に使用した日時 | 「○月○日 14時頃」のように具体的に |
| 2. 紛失場所 | 紛失した可能性のある場所 | 断定できなければ「〜と〜の間」と範囲で書く |
| 3. 紛失物 | 物の名称・管理番号・型番 | 社員証番号、端末のIMEI/資産管理番号など |
| 4. 経緯 | 最後に使用してから紛失に気づくまで | 推測と事実を区別して書く |
| 5. 初動対応 | 上長報告・遠隔ロック・警察届・カード無効化 | 実施日時と受理番号を入れる |
| 6. 影響・被害 | 業務・情報・取引先への影響範囲 | 現時点で漏洩等の確認の有無も |
| 7. 原因 | なぜ紛失したのか(管理上の不備) | 他責にせず、自分の管理点に絞る |
| 8. 再発防止策 | 今後同じことを起こさないための具体策 | 行動レベルで書く(後述) |

「日時・場所・物・経緯・初動・影響・原因・再発防止」の8項目を箇条書きで埋めるイメージでメモを作り、それを始末書テンプレートに落とし込むと、書き直しが減って早く完成します。
本記事の例文では宛先を「代表取締役 ○○ ○○ 様」としていますが、宛先は会社の規定に従ってください。一定規模以上の企業では、所属部門のトップ(部長・本部長・工場長・支店長など)宛てとなるケースが多くあります。提出前に上司・人事に確認するのが安全です。
紙で提出して押印する場合は、シャチハタなどのゴム印は避け、朱肉を使う認印を使用してください。始末書は処分の根拠資料として人事ファイルに残る書類なので、認印で「本人の意思表示」をきちんと残すのがマナーです。電子ワークフローでの提出時は社内ルールに従います。
ケース1|社員証・身分証を紛失した場合の例文
社員証は、入退室管理・本人確認・場合によっては勤怠打刻と紐づいているため、第三者に拾われると「なりすまし入館」「勤怠不正」のリスクがあります。始末書では、無効化処理を会社側に依頼済みであることを明記してください。

電子マネー機能(Suica付社員証・楽天Edy・社内FeliCa決済など)が紐づいた社員証の場合は、4. 初動対応に「○○(電子マネー運営会社・社内決済システム管理部署)への利用停止連絡」を追加してください。チャージ残高がある場合の停止依頼や残高保全の手続きも記録します。
ケース2|社用携帯・スマートフォンを紛失した場合の例文
社用携帯は、社内連絡先・取引先連絡先・メール・チャット・社内システムへのアクセス情報など、業務上の情報資産が集約されています。
紛失は情報漏洩リスクと直結するため、始末書では「リモートロック」「データ消去」「個人情報の有無」を必ず記載します。
個人情報・顧客情報が大量に入っていた場合、会社側で個人情報保護委員会への漏えい等報告や本人通知の検討が必要になることがあります。判断は会社が行いますが、本人としては「どの情報がどの程度入っていたか」を正確に共有することが、漏洩リスクの最小化と始末書の信頼性の両方につながります。
ケース3|社用ノートPC・タブレットを紛失した場合の例文
ノートPCやタブレットは、携帯以上に大量の業務データ(資料・顧客リスト・メール履歴・社内システムの認証情報)が保存されている可能性があります。
在宅勤務・出張・カフェ作業などでの紛失は特に情報漏洩リスクが高いため、始末書では暗号化の有無・リモート消去の状況・社内システムの認証停止状況まで記載すると説得力が増します。
ノートPCの場合、ストレージが暗号化されているか・ログインパスワードが設定されているかは、漏洩の影響度評価に直結します。事実として確認できる範囲で記載してください(推測で「漏洩はないと思います」と書くのは避ける)。
ケース4|会社の鍵・セキュリティカードを紛失した場合の例文
会社の鍵・入退室カードの紛失は、会社全体のセキュリティに直接影響します。多くの場合、鍵交換・カード再発行・入退室システムの権限再設定など、会社側で実費が発生します。始末書では、セキュリティリスクへの認識と、会社側で実施されるであろう対応への協力姿勢を明記してください。
鍵交換費用などの弁償については、就業規則・賃金規程の定めや過失の程度によって扱いが分かれます。始末書では「ご指示に従う所存です」と書くにとどめ、弁償の金額・割合を自分から先行記載しない方が安全です。
弁償・損害賠償の割合や法的な考え方は『始末書で弁償・損害賠償を求められたら?割合と判断軸』にまとめています。
ここまで読んだら、テンプレートを開いて手早く整える
ここまでで自分のケースに近い例文が見つかった方は、フォーマットで悩む前に、まずテンプレートを開いて事実関係を流し込んでしまうのが最短です。日付・宛先・差出人・本文の各欄に、本記事の例文をベースに整形して入力できます。
ケース5|重要書類・契約書類を紛失した場合の例文
契約書原本、稟議書、顧客から預かった本人確認書類のコピー、社外秘資料など、紙の重要書類の紛失は、再発行・再締結が必要になるだけでなく、個人情報を含む場合は個人情報保護法上の対応(漏えい等報告・本人通知)が必要になる可能性があります。
始末書では、書類の種類・記載されていた情報の範囲・取引先への連絡状況まで含めて記載してください。
個人情報を多く含む書類(顧客名簿・本人確認書類のコピーなど)の紛失は、個人情報保護委員会への漏えい等報告および本人通知が必要となる場合があります。判断は会社の個人情報保護管理者が行うため、本人としては 「どの種類の個人情報が、何件分含まれていたか」 を正確に共有することが最重要です。
紛失始末書でやりがちなNGポイント5つ
紛失始末書は、書き方を間違えると「反省していない」と取られたり、逆に「重大な過失を自白した」と扱われて評価・処分が重くなることがあります。よくあるNGポイントを5つに絞って整理します。
NG1|「気づいたら無くなっていた」だけで終わる
経緯が「気づいたら無くなっていました」しか書かれていない始末書は、原因不明=再発防止策も書きようがない、という印象を与えます。最後に使用した日時・場所・その後の行動を時系列で書き、「ここで紛失した可能性が高い」まで踏み込みましょう。確証がなければ「〜と推測される」と推測である旨を明記すれば問題ありません。
NG2|情報漏洩リスクに触れない
社用携帯・ノートPC・社員証など情報を含む物の紛失で、リモートロック・無効化・遺失届の有無に触れていない始末書は「危機意識がない」と判断されがちです。実施した対応を箇条書きで明記してください。
NG3|「絶対に漏洩していません」と断定する
確認できないことを断定すると、後で漏洩が判明した場合に「事実と異なる始末書を提出した」として扱いが重くなります。「現時点で第三者によるアクセス・情報漏洩の事実は確認されていない」のように、事実として確認できる範囲で書くのが正解です。
NG4|原因を「忙しかった」「疲れていた」にする
他責・環境責にすると、再発防止策に説得力がなくなります(忙しさ・疲労は本人がコントロールできない要素なので)。原因は「自分の管理上の不備」(保管場所の選び方・確認動作の不足など、自分が変えられる要素)に絞り込みます。
NG5|再発防止策が「以後気をつけます」だけ
「気をつけます」は具体的な行動を含んでおらず、運用しようがありません。「鞄の専用ポケットに収納する」「退社時に声出し確認する」「位置情報サービスを常時オンにする」など、行動レベルで書きます。原因と再発防止策が1対1で対応していると説得力が増します。
原因が「外ポケットに入れていた」なら、再発防止策は「外ポケットを使わない」、原因が「下車時の確認漏れ」なら、再発防止策は「下車前の声出し確認」と、必ずペアで書きます。
NG6|「見つかるかもしれない」と報告・提出を遅らせる
紛失で最も多いミスが、「見つかるかもしれない」と期待して報告や始末書の提出を遅らせることです。報告が遅れた分だけ情報漏洩・不正利用のリスク窓が開いたままになり、後で発覚したときには「隠そうとした」と評価されかねません。
事実関係が確認でき、初動対応(無効化・リモートロック・遺失届など)が一段落したら、見つかる/見つからないにかかわらず、速やかに(目安として数日以内に)始末書を提出してください。後日見つかった場合は『発見・回収のご報告』を別書面で添えれば足ります。
「紛失」と区別すべきケース(破損・規定違反・交通事故)
「会社のものをなくした」と一括りにしがちですが、状況によって書くべき始末書の種類は変わります。本記事の対象は「紛失(現時点で物が手元にない状態)」です。次のケースは別の記事で扱っています。
- ぶつけて壊した・落として壊したケース → 『破損の始末書 例文|会社の備品・社用車を壊したときの書き方』
- 私的利用が原因でなくしたケース → 『社内規定違反の始末書 例文』
- 社用車の事故・物損でなくした・壊したケース → 『交通事故の始末書 例文』
- 顛末書として事実報告だけを求められた場合 → 『顛末書 社内向けの書き方』
そもそも始末書を手書きで書くべきか・パソコンでよいかは『始末書 手書き/パソコン|どちらが正解か』を、用紙サイズや縦書き・横書きの判断は『始末書 用紙の選び方』をご参照ください。
紛失始末書のよくある質問
Q1. 紛失したものが後から見つかったら、始末書は撤回できる?
原則として、提出済みの始末書を「撤回」することはできません。ただし「先日提出した始末書の件、紛失物が○月○日に発見された」旨を別途報告書として提出することは可能です。発見の事実そのものは、再発防止策の運用評価にもプラスに働きます。
Q2. 紛失で会社に弁償しなければいけない?
業務上の通常の過失による紛失について、会社が損害の全額を従業員に弁償させることは判例上制限されており、過失の程度・労働者の収入・会社の損害保険等を踏まえて減額されるのが通例です。
重大な過失(故意に近い)が認められない限り、全額負担は通りにくい運用です。詳細は『始末書で弁償・損害賠償を求められたら?割合と判断軸』を参照してください。
Q3. 紛失でクビになる可能性は?
1回の紛失(業務上の通常の過失)だけで懲戒解雇が認められる可能性は低いとされています。ただし、繰り返しの紛失、悪質な過失(私的に持ち出した/飲酒中の紛失など)、重大な情報漏洩を引き起こした場合は処分が重くなる可能性があります。レベル別の判断軸は『始末書はやばい?書くとどうなる・クビになる可能性を判例も踏まえて解説』をあわせてご確認ください。
Q4. 警察に遺失届を出さずに始末書だけ書いたら問題?
警察への遺失届は法律上の義務ではありませんが、始末書の信頼性・初動対応の証拠・拾得時の連絡経路という3つの観点で出しておく価値が高いです。会社からも「遺失届を出してください」と言われるのが通例です。受理番号は始末書に必ず記載しましょう。
Q5. 個人情報が含まれる端末・書類を紛失した場合、本人として何をすべき?
「どの個人情報が、何件分、どの程度のリスクで含まれていたか」を、可能な限り正確に上司・情報セキュリティ担当者に共有することが最重要です。会社側はこれをもとに、個人情報保護委員会への漏えい等報告(一定の要件に該当する場合)や本人通知の要否を判断します。本人として「漏れていないと思います」と推測で言うのではなく、事実に基づく情報共有に徹してください。
Q6. 紛失始末書はパソコンで書いてよい?
現在は、A4用紙にパソコンで横書きという形が主流です。会社に指定がある場合はそれに従い、指定がなければパソコンで作成して問題ありません。手書きを求められた場合の判断軸は『始末書 手書き/パソコン|どちらが正解か』を参照してください。
テンプレートで素早く整えて、提出する
本記事の例文をベースに、自分のケースの事実関係(日時・場所・物・経緯・初動対応・原因・再発防止策)を埋めていけば、紛失始末書はおおむね完成します。フォーマットや見た目で悩む時間が長いほど提出が遅れ、「報告が遅い」という印象を与えてしまうため、事実が固まったらすぐにテンプレートで整えて提出しましょう。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








