紛失の始末書 例文|社員証・社用携帯・鍵をなくした場合の書き方とNGポイント

紛失の始末書 例文|社員証・社用携帯・鍵をなくした場合の書き方とNGポイント

「会社のものをなくしてしまった」あなたへ

社員証、社用携帯、ノートPC、会社の鍵、契約書類――。会社から預かっていた物を紛失してしまい、「始末書を書いてください」と指示されて、何から手をつければよいか戸惑っている方は多いはずです。

紛失は、ぶつけて壊した「破損」と違い、現時点で物が手元に戻っていない状態です。第三者に拾われて悪用されるリスクが残るため、始末書の中身も「事実報告 + お詫び」だけでなく、初動対応として何をしたか・情報漏洩のリスクをどう抑えたかまで書く必要があります。

本記事では、紛失したものの種類別に5つのケース(社員証/社用携帯/社用ノートPC・タブレット/会社の鍵・セキュリティカード/重要書類・契約書類)について、コピーしてそのまま使える始末書例文を用意しました。あわせて、紛失発覚直後にやるべき初動チェックリスト、書いてはいけないNG表現、再発防止策の書き方もまとめます。

ぶつけて壊した・落として壊したケースは『破損の始末書 例文|会社の備品・社用車を壊したときの書き方』を、社内規定違反(私的利用など)でなくしたケースは『社内規定違反の始末書 例文』をご参照ください。

紛失発覚時の初動チェックリスト(始末書より先にやること)

始末書を書き始める前に、必ず先にやるべきことがあります。順番を間違えると、被害が拡大して始末書1枚では済まなくなる場合があるため、以下のチェックリストを上から順に確認してください。

  1. 上長・所属部署への第一報(この時点で「始末書を書きます」と言わなくてよい。事実を伝えることが優先)
  2. 情報機器の場合は遠隔ロック・データ消去依頼(社用携帯・ノートPCは情報システム部門へ即連絡。MDM導入企業ならリモートワイプを実行)
  3. 社員証・セキュリティカードの場合は無効化処理(人事・総務に連絡し、入退室システムの権限停止)
  4. 警察への遺失届提出(最寄りの交番・警察署または駅・施設の遺失物センター。受理番号を控える)
  5. 心当たりのある場所への問い合わせ(最後に使用した場所、立ち寄った店、タクシー会社、駅事務室など)
  6. 電子マネー機能(Suica付社員証・楽天Edy・社内FeliCa決済など)が紐づいた社員証は、運営会社や社内決済システム管理部署にも停止連絡
  7. 個人情報・顧客情報を含むデータが入っていた場合は、漏洩の可能性を上長と情報セキュリティ責任者に共有
  8. 始末書に書く事実関係(日時・場所・経緯)をメモにまとめる(このあとの始末書作成に使う)

警察への遺失届は、後で始末書に「警察署○○へ遺失届を提出(受理番号 第○○号)」と書く根拠になります。受理番号は必ず控えてください。

個人情報を含むデバイス・書類の紛失は、状況によって個人情報保護法上の漏えい等報告(個人情報保護委員会への報告・本人通知)が必要になる場合があります。判断は会社側で行いますが、本人としては「個人情報がどの程度入っていたか」を正直に上司へ共有することが、その後の始末書評価にも直結します。

紛失の始末書に共通する基本構成

紛失ケースの始末書には、通常の始末書の構成に加えて「初動対応として何をしたか」「情報漏洩リスクへの対応」を盛り込むのが通例です。次の8項目を押さえておけば、ほぼどのケースでも形になります。

項目書く内容ポイント
1. 紛失日時発覚した日時/最後に使用した日時「○月○日 14時頃」のように具体的に
2. 紛失場所紛失した可能性のある場所断定できなければ「〜と〜の間」と範囲で書く
3. 紛失物物の名称・管理番号・型番社員証番号、端末のIMEI/資産管理番号など
4. 経緯最後に使用してから紛失に気づくまで推測と事実を区別して書く
5. 初動対応上長報告・遠隔ロック・警察届・カード無効化実施日時と受理番号を入れる
6. 影響・被害業務・情報・取引先への影響範囲現時点で漏洩等の確認の有無も
7. 原因なぜ紛失したのか(管理上の不備)他責にせず、自分の管理点に絞る
8. 再発防止策今後同じことを起こさないための具体策行動レベルで書く(後述)
紛失始末書の8項目構成
紛失始末書の8項目構成
紛失始末書の8項目構成

「日時・場所・物・経緯・初動・影響・原因・再発防止」の8項目を箇条書きで埋めるイメージでメモを作り、それを始末書テンプレートに落とし込むと、書き直しが減って早く完成します。

本記事の例文では宛先を「代表取締役 ○○ ○○ 様」としていますが、宛先は会社の規定に従ってください。一定規模以上の企業では、所属部門のトップ(部長・本部長・工場長・支店長など)宛てとなるケースが多くあります。提出前に上司・人事に確認するのが安全です。

紙で提出して押印する場合は、シャチハタなどのゴム印は避け、朱肉を使う認印を使用してください。始末書は処分の根拠資料として人事ファイルに残る書類なので、認印で「本人の意思表示」をきちんと残すのがマナーです。電子ワークフローでの提出時は社内ルールに従います。

ケース1|社員証・身分証を紛失した場合の例文

社員証は、入退室管理・本人確認・場合によっては勤怠打刻と紐づいているため、第三者に拾われると「なりすまし入館」「勤怠不正」のリスクがあります。始末書では、無効化処理を会社側に依頼済みであることを明記してください。

社員証紛失の始末書(オフィス・通勤路で紛失)
始末書 令和○年○月○日 株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様 所属部署:営業部 氏名:山田 太郎 印 この度、貴社より貸与されておりました社員証(社員番号 第○○○○号)を紛失いたしましたこと、深くお詫び申し上げます。下記のとおりご報告いたします。 記 1. 紛失日時  令和○年○月○日 18時頃に紛失したものと推測  翌日 9時 出社時に紛失に気づく 2. 紛失場所  退社時に最寄り駅○○駅で改札を通過した記録があるため、○○駅から自宅までの帰宅経路上で紛失したものと推測 3. 経緯  退社時、社員証を首掛けケースから外して上着の内ポケットに入れ、帰宅途中の電車内で携帯電話を取り出した際にポケットから落としたものと考えられる。当日中の発見には至らず、翌朝出社時にポケットを確認した際に紛失に気づいた。 4. 初動対応  ・同日 9時15分、所属長へ報告  ・同日 9時30分、人事部へ社員証無効化を依頼(同10時に無効化処理完了)  ・同日 12時、○○警察署へ遺失届を提出(受理番号 第○○○○号)  ・帰宅経路の駅事務室、最寄り交番への問い合わせを実施 5. 原因  社員証の取り扱いに対する認識が不十分であり、首掛けケースから外した後の保管方法を慎重にしなかったことが原因です。 6. 再発防止策  ・社員証は社外でも首掛けケースから外さず、退社時もそのまま装着して帰宅する。  ・帰宅後は所定の保管場所(玄関棚)に必ず戻す運用に変更する。  ・週1回、社員証の所在確認をスケジュールに登録する。 このような事態を招いたことを深く反省し、今後はこのようなことのないよう細心の注意を払う所存です。 ここに始末書を提出いたします。 以上
社員証紛失の始末書(オフィス・通勤路で紛失)
社員証紛失の始末書(オフィス・通勤路で紛失)

電子マネー機能(Suica付社員証・楽天Edy・社内FeliCa決済など)が紐づいた社員証の場合は、4. 初動対応に「○○(電子マネー運営会社・社内決済システム管理部署)への利用停止連絡」を追加してください。チャージ残高がある場合の停止依頼や残高保全の手続きも記録します。

ケース2|社用携帯・スマートフォンを紛失した場合の例文

社用携帯は、社内連絡先・取引先連絡先・メール・チャット・社内システムへのアクセス情報など、業務上の情報資産が集約されています。

紛失は情報漏洩リスクと直結するため、始末書では「リモートロック」「データ消去」「個人情報の有無」を必ず記載します。

社用携帯紛失の始末書(外出先で紛失・遠隔ロック実施済み)
始末書 令和○年○月○日 株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様 所属部署:営業部 氏名:山田 太郎 印 この度、貴社より貸与されておりました業務用携帯電話(資産管理番号 第○○○○号、機種:○○)を紛失いたしましたこと、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。下記のとおり、事実関係および対応状況をご報告いたします。 記 1. 紛失日時  令和○年○月○日 15時頃〜17時頃の間と推測 2. 紛失場所  顧客先である株式会社△△(東京都○○区)訪問後、最寄り駅○○駅まで徒歩で移動した経路、または同駅から弊社まで利用した電車内 3. 経緯  15時に株式会社△△にて打合せを終了し、上着のポケットに端末を入れて退出。17時に帰社後、上長への報告のため端末を取り出そうとした際に紛失に気づいた。打合せ中は机上に置いており、退出時にポケットへ戻したと記憶しているが、確証はない。 4. 初動対応  ・同日 17時05分、所属長へ報告  ・同日 17時10分、情報システム部へ連絡し、リモートロックおよびデータ消去(リモートワイプ)を実施依頼。同17時30分にロック完了の確認を受領  ・同日 17時45分、○○警察署へ遺失届を提出(受理番号 第○○○○号)  ・同日 18時、株式会社△△ご担当者様および○○駅遺失物センターへ問い合わせ  ・通信キャリアへ回線停止を依頼(同日 18時30分完了) 5. 端末内データの状況  ・社内メール、社内チャット、業務アプリ(○○)にログイン状態であった  ・連絡先には取引先担当者の氏名・電話番号・メールアドレスを保存  ・ロック解除には生体認証および6桁パスコードを設定済みであり、リモートワイプ完了をもってデータアクセスは無効化された  ・現時点で第三者によるアクセス・情報漏洩の事実は確認されていない 6. 原因  業務用携帯電話の取り扱いに対する管理意識が不足していたこと、特に移動中の保管方法(鞄ではなく上着ポケットに入れていた点)が直接の原因です。 7. 再発防止策  ・移動時は必ず社用鞄の専用ポケットに収納し、ポケットには入れない運用に変更する。  ・顧客先退出時に「鞄・端末・PC・名刺入れ」の4点を声に出して確認する習慣をつける。  ・端末位置情報サービスを常時オンにし、毎朝始業時に位置確認を行う。 貴社および取引先の皆様にご心配・ご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、今後二度とこのような事態を起こさぬよう細心の注意を払う所存です。 ここに始末書を提出いたします。 以上

個人情報・顧客情報が大量に入っていた場合、会社側で個人情報保護委員会への漏えい等報告や本人通知の検討が必要になることがあります。判断は会社が行いますが、本人としては「どの情報がどの程度入っていたか」を正確に共有することが、漏洩リスクの最小化と始末書の信頼性の両方につながります。

ケース3|社用ノートPC・タブレットを紛失した場合の例文

ノートPCやタブレットは、携帯以上に大量の業務データ(資料・顧客リスト・メール履歴・社内システムの認証情報)が保存されている可能性があります。

在宅勤務・出張・カフェ作業などでの紛失は特に情報漏洩リスクが高いため、始末書では暗号化の有無・リモート消去の状況・社内システムの認証停止状況まで記載すると説得力が増します。

社用ノートPC紛失の始末書(出張先で紛失)
始末書 令和○年○月○日 株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様 所属部署:営業部 氏名:山田 太郎 印 この度、貴社より貸与されておりました業務用ノートパソコン(資産管理番号 第○○○○号、機種:○○)を出張中に紛失いたしましたこと、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。下記のとおりご報告いたします。 記 1. 紛失日時  令和○年○月○日 21時頃に紛失したものと推測 2. 紛失場所  出張先○○県○○市内のホテルから最寄り駅までの移動中、もしくは新幹線車内 3. 経緯  出張先ホテルをチェックアウト後、ノートPC収納用の鞄に入れた状態で駅へ移動。新幹線乗車中は座席上の網棚に鞄を置いていた。下車時に鞄ごと網棚に置き忘れたものと推測される。下車後、改札を出た時点で鞄ごと無いことに気づいた。 4. 初動対応  ・同日 21時10分、所属長へ電話で報告  ・同日 21時15分、情報システム部へ連絡し、リモートロックおよびデータ消去を依頼。同22時にロック完了の確認を受領  ・同日 21時30分、JR忘れ物センターへ照会、○○駅遺失物窓口へ問い合わせ  ・同日 22時、○○警察署へ遺失届を提出(受理番号 第○○○○号)  ・社内システム(○○、○○)の認証情報を全てリセット(同22時30分完了) 5. 端末内データの状況  ・ハードディスクは全領域暗号化(BitLocker/FileVault相当)が有効  ・OSログイン時にパスワード必須、5回連続失敗で自動ロック  ・主な格納データ:営業資料○件、顧客リストExcel○件、メールデータ  ・現時点で第三者によるアクセス・情報漏洩の事実は確認されていない 6. 原因  移動中の鞄の管理が不十分であり、新幹線網棚への一時収納後、下車前の確認動作を怠ったことが直接の原因です。 7. 再発防止策  ・移動中、ノートPCを含む業務用鞄は必ず手元(足元または膝上)に置き、網棚等を使用しない。  ・公共交通機関の下車前に「鞄・PC・携帯・名刺入れ・ICカード」の所持を声出し確認する。  ・出張時は端末位置情報サービスを常時オンにする。  ・社外作業時はクラウド経由のみで業務を行い、ローカル保存を最小化する運用に切り替える。 貴社および関係各位にご心配・ご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、今後二度とこのような事態を起こさぬよう細心の注意を払う所存です。 ここに始末書を提出いたします。 以上

ノートPCの場合、ストレージが暗号化されているか・ログインパスワードが設定されているかは、漏洩の影響度評価に直結します。事実として確認できる範囲で記載してください(推測で「漏洩はないと思います」と書くのは避ける)。

ケース4|会社の鍵・セキュリティカードを紛失した場合の例文

会社の鍵・入退室カードの紛失は、会社全体のセキュリティに直接影響します。多くの場合、鍵交換・カード再発行・入退室システムの権限再設定など、会社側で実費が発生します。始末書では、セキュリティリスクへの認識と、会社側で実施されるであろう対応への協力姿勢を明記してください。

会社の鍵・セキュリティカード紛失の始末書
始末書 令和○年○月○日 株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様 所属部署:総務部 氏名:山田 太郎 印 この度、貴社より貸与されておりました通用口の鍵(鍵番号 第○○号)および入退室セキュリティカード(カード番号 第○○○○号)を紛失いたしましたこと、深くお詫び申し上げます。下記のとおりご報告いたします。 記 1. 紛失日時  令和○年○月○日 19時頃に紛失したものと推測  翌日 8時30分 出社時に紛失に気づく 2. 紛失場所  退社時に最寄り駅○○駅から自宅最寄り駅○○駅までの帰宅経路上、または立ち寄った○○店内のいずれかと推測 3. 経緯  退社時、鍵およびセキュリティカードを所定のキーケースに入れて鞄の外ポケットに収納。帰宅途中に○○店へ立ち寄り、店内で鞄から携帯電話を取り出した際に、外ポケットから落下したものと考えられる。当日中の発見には至らず、翌朝出社時にキーケースの不在に気づいた。 4. 初動対応  ・同日 8時35分、所属長へ報告  ・同日 8時45分、総務部へ連絡し、当該セキュリティカードの権限停止を依頼(同9時に停止完了)  ・同日 9時30分、○○警察署へ遺失届を提出(受理番号 第○○○○号)  ・帰宅経路の○○店、○○駅遺失物センターへ問い合わせ  ・建物管理会社へ通用口の鍵交換手配について相談 5. 影響  通用口の鍵交換、セキュリティカード再発行および入退室システムの権限再設定が必要となる見込み 6. 原因  会社の鍵・セキュリティカードの取り扱いに対する管理意識が不十分であり、外ポケットという落下リスクのある場所に収納していたことが直接の原因です。 7. 再発防止策  ・会社の鍵・セキュリティカードは、鞄内部の専用ファスナー付きポケットに収納し、外ポケットは使用しない運用に変更する。  ・キーケースに紛失防止タグを装着し、スマートフォンとの距離が一定以上離れた際に通知を受け取る運用に変更する。  ・退社時・帰宅時の2回、鍵・カードの所持を声出し確認する習慣をつける。 会社のセキュリティに関わる重大な事案を引き起こしましたことを深く反省し、必要な対応費用についてはご指示に従う所存です。今後二度とこのような事態を起こさぬよう細心の注意を払う所存です。 ここに始末書を提出いたします。 以上

鍵交換費用などの弁償については、就業規則・賃金規程の定めや過失の程度によって扱いが分かれます。始末書では「ご指示に従う所存です」と書くにとどめ、弁償の金額・割合を自分から先行記載しない方が安全です。

弁償・損害賠償の割合や法的な考え方は『始末書で弁償・損害賠償を求められたら?割合と判断軸』にまとめています。

ここまで読んだら、テンプレートを開いて手早く整える

ここまでで自分のケースに近い例文が見つかった方は、フォーマットで悩む前に、まずテンプレートを開いて事実関係を流し込んでしまうのが最短です。日付・宛先・差出人・本文の各欄に、本記事の例文をベースに整形して入力できます。

始末書・顛末書テンプレートを開く(社内・社外、始末書/顛末書の切り替えに対応)

ケース5|重要書類・契約書類を紛失した場合の例文

契約書原本、稟議書、顧客から預かった本人確認書類のコピー、社外秘資料など、紙の重要書類の紛失は、再発行・再締結が必要になるだけでなく、個人情報を含む場合は個人情報保護法上の対応(漏えい等報告・本人通知)が必要になる可能性があります。

始末書では、書類の種類・記載されていた情報の範囲・取引先への連絡状況まで含めて記載してください。

重要書類・契約書類紛失の始末書
始末書 令和○年○月○日 株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様 所属部署:営業部 氏名:山田 太郎 印 この度、株式会社△△様との業務委託契約書(原本、令和○年○月○日締結分)を紛失いたしましたこと、深くお詫び申し上げます。下記のとおりご報告いたします。 記 1. 紛失書類  株式会社△△様 業務委託契約書(原本)1通  契約締結日:令和○年○月○日 2. 紛失日時  令和○年○月○日 16時頃に紛失したものと推測  翌日 10時 ファイル整理時に紛失に気づく 3. 紛失場所  株式会社△△様への訪問後、社内に持ち帰った際、自席または会議室○○の間で紛失したものと推測 4. 経緯  契約書原本を株式会社△△様より受領後、クリアファイルに収め、社用鞄に保管して帰社。帰社後、自席で別件対応を行った後、16時から会議室○○での打合せに参加。打合せ後に資料を整理した際、契約書原本のみ所在不明となっていた。社内・自席・会議室○○を徹底的に捜索したが発見に至らず、紛失と判断した。 5. 初動対応  ・同日 10時05分、所属長および法務部へ報告  ・社内(自席、会議室○○、シュレッダー周辺、共有ファイリング)の徹底的な捜索を実施  ・株式会社△△様ご担当者様へ事実を報告し、契約書再締結のご相談を実施(11時 連絡完了)  ・法務部・コンプライアンス部門へ、当該契約書に含まれていた情報の範囲を共有 6. 書類に記載されていた情報の範囲  ・契約当事者の社名・所在地・代表者氏名  ・契約金額および支払条件  ・業務範囲に関する記載  ※個人情報(個人の氏名・住所・連絡先等)は含まれていない 7. 原因  重要書類の取り扱いに対する管理意識が不十分であり、受領後直ちに法務部の指定保管庫へ収納するルールを守らず、自席や会議室を経由させたことが直接の原因です。 8. 再発防止策  ・取引先から契約書原本を受領した場合は、帰社後最初の業務として法務部指定の保管庫へ収納するルールを徹底する。  ・原本受領時はその場で写真記録を残し、所在をクラウド管理表に登録する。  ・自席での書類保管は、当日中に必ず指定キャビネットへ移動する運用に変更する。 株式会社△△様および関係各位にご心配・ご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、今後二度とこのような事態を起こさぬよう細心の注意を払う所存です。 ここに始末書を提出いたします。 以上

個人情報を多く含む書類(顧客名簿・本人確認書類のコピーなど)の紛失は、個人情報保護委員会への漏えい等報告および本人通知が必要となる場合があります。判断は会社の個人情報保護管理者が行うため、本人としては 「どの種類の個人情報が、何件分含まれていたか」 を正確に共有することが最重要です。

紛失始末書でやりがちなNGポイント5つ

紛失始末書は、書き方を間違えると「反省していない」と取られたり、逆に「重大な過失を自白した」と扱われて評価・処分が重くなることがあります。よくあるNGポイントを5つに絞って整理します。

NG1|「気づいたら無くなっていた」だけで終わる

経緯が「気づいたら無くなっていました」しか書かれていない始末書は、原因不明=再発防止策も書きようがない、という印象を与えます。最後に使用した日時・場所・その後の行動を時系列で書き、「ここで紛失した可能性が高い」まで踏み込みましょう。確証がなければ「〜と推測される」と推測である旨を明記すれば問題ありません。

NG2|情報漏洩リスクに触れない

社用携帯・ノートPC・社員証など情報を含む物の紛失で、リモートロック・無効化・遺失届の有無に触れていない始末書は「危機意識がない」と判断されがちです。実施した対応を箇条書きで明記してください。

NG3|「絶対に漏洩していません」と断定する

確認できないことを断定すると、後で漏洩が判明した場合に「事実と異なる始末書を提出した」として扱いが重くなります。「現時点で第三者によるアクセス・情報漏洩の事実は確認されていない」のように、事実として確認できる範囲で書くのが正解です。

NG4|原因を「忙しかった」「疲れていた」にする

他責・環境責にすると、再発防止策に説得力がなくなります(忙しさ・疲労は本人がコントロールできない要素なので)。原因は「自分の管理上の不備」(保管場所の選び方・確認動作の不足など、自分が変えられる要素)に絞り込みます。

NG5|再発防止策が「以後気をつけます」だけ

「気をつけます」は具体的な行動を含んでおらず、運用しようがありません。「鞄の専用ポケットに収納する」「退社時に声出し確認する」「位置情報サービスを常時オンにする」など、行動レベルで書きます。原因と再発防止策が1対1で対応していると説得力が増します。

原因が「外ポケットに入れていた」なら、再発防止策は「外ポケットを使わない」、原因が「下車時の確認漏れ」なら、再発防止策は「下車前の声出し確認」と、必ずペアで書きます。

NG6|「見つかるかもしれない」と報告・提出を遅らせる

紛失で最も多いミスが、「見つかるかもしれない」と期待して報告や始末書の提出を遅らせることです。報告が遅れた分だけ情報漏洩・不正利用のリスク窓が開いたままになり、後で発覚したときには「隠そうとした」と評価されかねません。

事実関係が確認でき、初動対応(無効化・リモートロック・遺失届など)が一段落したら、見つかる/見つからないにかかわらず、速やかに(目安として数日以内に)始末書を提出してください。後日見つかった場合は『発見・回収のご報告』を別書面で添えれば足ります。

「紛失」と区別すべきケース(破損・規定違反・交通事故)

「会社のものをなくした」と一括りにしがちですが、状況によって書くべき始末書の種類は変わります。本記事の対象は「紛失(現時点で物が手元にない状態)」です。次のケースは別の記事で扱っています。

そもそも始末書を手書きで書くべきか・パソコンでよいかは『始末書 手書き/パソコン|どちらが正解か』を、用紙サイズや縦書き・横書きの判断は『始末書 用紙の選び方』をご参照ください。

紛失始末書のよくある質問

Q1. 紛失したものが後から見つかったら、始末書は撤回できる?

原則として、提出済みの始末書を「撤回」することはできません。ただし「先日提出した始末書の件、紛失物が○月○日に発見された」旨を別途報告書として提出することは可能です。発見の事実そのものは、再発防止策の運用評価にもプラスに働きます。

Q2. 紛失で会社に弁償しなければいけない?

業務上の通常の過失による紛失について、会社が損害の全額を従業員に弁償させることは判例上制限されており、過失の程度・労働者の収入・会社の損害保険等を踏まえて減額されるのが通例です。

重大な過失(故意に近い)が認められない限り、全額負担は通りにくい運用です。詳細は『始末書で弁償・損害賠償を求められたら?割合と判断軸』を参照してください。

Q3. 紛失でクビになる可能性は?

1回の紛失(業務上の通常の過失)だけで懲戒解雇が認められる可能性は低いとされています。ただし、繰り返しの紛失、悪質な過失(私的に持ち出した/飲酒中の紛失など)、重大な情報漏洩を引き起こした場合は処分が重くなる可能性があります。レベル別の判断軸は『始末書はやばい?書くとどうなる・クビになる可能性を判例も踏まえて解説』をあわせてご確認ください。

Q4. 警察に遺失届を出さずに始末書だけ書いたら問題?

警察への遺失届は法律上の義務ではありませんが、始末書の信頼性・初動対応の証拠・拾得時の連絡経路という3つの観点で出しておく価値が高いです。会社からも「遺失届を出してください」と言われるのが通例です。受理番号は始末書に必ず記載しましょう。

Q5. 個人情報が含まれる端末・書類を紛失した場合、本人として何をすべき?

「どの個人情報が、何件分、どの程度のリスクで含まれていたか」を、可能な限り正確に上司・情報セキュリティ担当者に共有することが最重要です。会社側はこれをもとに、個人情報保護委員会への漏えい等報告(一定の要件に該当する場合)や本人通知の要否を判断します。本人として「漏れていないと思います」と推測で言うのではなく、事実に基づく情報共有に徹してください。

Q6. 紛失始末書はパソコンで書いてよい?

現在は、A4用紙にパソコンで横書きという形が主流です。会社に指定がある場合はそれに従い、指定がなければパソコンで作成して問題ありません。手書きを求められた場合の判断軸は『始末書 手書き/パソコン|どちらが正解か』を参照してください。

テンプレートで素早く整えて、提出する

本記事の例文をベースに、自分のケースの事実関係(日時・場所・物・経緯・初動対応・原因・再発防止策)を埋めていけば、紛失始末書はおおむね完成します。フォーマットや見た目で悩む時間が長いほど提出が遅れ、「報告が遅い」という印象を与えてしまうため、事実が固まったらすぐにテンプレートで整えて提出しましょう。

始末書・顛末書テンプレートを開く(社内・社外、始末書/顛末書の切り替えに対応)

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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