物品破損の始末書 書き方・例文|備品・社用品・商品を壊したときの謝罪文

物品を壊してしまった人が、まず最初に確認したいこと
会社のPCを落として液晶を割ってしまった、倉庫で取扱商品を落として破損させた、お客様からお預かりした物を壊してしまった――こうした「物品破損」で始末書を求められたとき、多くの人が同時に抱える不安は2つあります。
- どう書けば角が立たないのか(書き方・フォーマットの不安)
- 全額弁償させられるのか(金銭的責任の不安)
本記事では、業務用機器、社用什器、取扱商品、顧客の預かり品、業務用車両(社用車以外)の5パターンの例文をそのまま使えるかたちで掲載しつつ、過失の程度ごとに弁償義務がどう変わるかを実務的に整理します。書面のフォーマットで悩む時間を減らし、提出後の不利益も最小化することを目的にしています。
ここでは「物品を壊した」ケースを扱います。物品をなくした(紛失)の始末書は『紛失の始末書 書き方・例文集』、社用車での事故・破損は『社用車の交通事故・物損始末書の書き方』をご参照ください。
始末書を書く前に:まず口頭で第一報・謝罪する
破損が発生したら、始末書の作成より前に、その場で上司や責任者へ口頭で第一報を入れて謝罪するのが最優先です。報告が遅れて後から発覚すると、本来は軽い処分で済んだ事案でも「隠蔽しようとした」と受け取られ、処分が一気に重くなります。
順序は「①現場での安全確保(電源・水・ガラスなど)→②口頭での第一報・謝罪→③暫定対応(代替機の手配・出荷停止など)→④始末書の作成・提出」が基本です。始末書はあくまで事後の記録であって、初動の口頭報告を代替するものではありません。
物品破損の始末書に必ず入れる5つの要素
破損対象が機器でも商品でも顧客の預かり品でも、始末書に入れる要素は基本的に同じです。逆に言えば、この5要素さえ揃っていれば、フォーマットで大きく外すことはありません。
| 要素 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 発生日時・場所 | 令和○年○月○日 ○時頃/○○倉庫内など | 曖昧な日付(先週など)は避け、特定可能な情報で書く |
| 破損物の特定 | 品名・型番・資産番号・数量 | 後の弁償・保険請求の根拠資料となるため正確に |
| 破損の状況 | 落下/衝突/水濡れ/操作ミスなど、客観的事実 | 感情語(うっかり・つい)は最小限に |
| 原因 | 確認不足/持ち運び方法の不適切/設備の不具合など | 他責にせず、ただし事情があるなら事実として淡々と |
| 再発防止策 | 具体的な行動・仕組み(持ち運び方法の変更、ケース利用など) | 「気をつけます」だけはNG。動詞で書く |

破損物の品名・型番・資産番号は、提出前に経理・総務・上司に確認しておくと安全です。後日「資産番号が違っていた」となると、再提出を求められたり、報告内容の信憑性が下がったりします。
物品破損ならではの書き方注意点
①「壊しました」だけで済ませず、影響範囲を一文添える
物品破損は、業務にどの程度の影響が出たか(業務停止時間・代替手段の有無・修理見込み)まで併記すると、報告書としての完成度が一段上がります。逆に、影響範囲を書かないと「事実報告が不完全」と判断され、再提出を求められやすくなります。
② 弁償の意思は、書きすぎない
「全額弁償いたします」「給与から差し引いていただいて結構です」のような表現を自分から書きすぎるのは避けてください。後述しますが、過失の程度によっては会社が労働者に全額請求できない場面が多く、自分から「全額負担します」と書面に残すと不利な合意になりかねません。
「会社の指示に従い、適切に対応いたします」程度の控えめな表現が無難です。
③ 「故意ではない」が伝わるよう事実を時系列で書く
故意か過失か、過失の中でも軽過失か重過失か、で会社からの請求可能範囲が変わります。後で振り返ったときに「故意ではない」「重過失でもない」ことが文面から読み取れるよう、時系列で淡々と事実を並べることが大切です。
始末書全般の書き方の基本は『始末書の書き方完全ガイド』、手書き/PCの選び方や封筒・便箋のマナーは『始末書は手書き?パソコン?』を参照してください。
ケース1|業務用機器(PC・スマートフォン・タブレット・プリンタ・計測器)の破損
ノートPC・社用スマートフォン・タブレット・プリンタ・計測器・カメラなど、社員に貸与・割当されている業務用機器を破損させたケースです。近年は社用スマートフォンやタブレットの落下による画面割れが特に多く、落下・水濡れ・操作中の物理的損傷が代表的です。資産番号の記載と、データ復旧可否(PC・スマホ・タブレットの場合)まで触れておくと、報告として過不足ありません。
PC破損では「データの保全状況」「業務影響の有無」「修理/交換の選択」を併記すると、評価面での印象が良くなります。データ消失の有無は会社にとっても最大の関心事です。
社用スマートフォン・タブレットの場合は、上記の例文を「ノートパソコン」→「業務用スマートフォン(機種:○○、資産番号:○○○○)」に置き換えれば流用できます。落下・水濡れに加え「画面ロック・端末暗号化の状況」「業務アプリへのログイン状態」「リモートワイプの可否」を一文添えると、情報漏洩リスクの観点も含めた報告になり、会社側の判断がスムーズになります。
ケース2|社用什器・家具の破損
椅子・デスク・キャビネット・パーティション・冷蔵庫など、社内の什器・家具を破損させたケースです。日常的な使用で破損したのか、不適切な使い方で壊したのかで、過失の評価が変わります。事実を淡々と書き、原因の自己分析を1行添えるのが定型です。
ケース3|取扱商品・在庫品の破損
倉庫・店舗・現場で、自社が扱う商品・在庫品を破損させたケースです。販売前の商品は会社の資産であり、破損は直接的に在庫評価額・売上に影響します。「流通前に発見・回収できたか」「他の在庫への波及はないか」まで報告するのが標準です。
店舗で商品を破損したケース(陳列棚から落とした等)は、上記の「倉庫」を「○○店舗」に置き換え、「お客様に怪我等のご迷惑がなかった旨」を1行添えると、より実態に沿った報告になります。
ケース4|顧客から預かった物品の破損
修理・クリーニング・運送・保管などで、お客様からお預かりした物品を破損させたケースは、社内の物品破損とは性質が異なります。お客様への謝罪と弁償・代替の提案が必須となるため、始末書には「お客様への対応状況」を必ず含めます。
顧客預かり品の破損は、社内処分よりも「お客様対応」が優先されます。始末書はあくまで社内向けの報告書で、お客様への謝罪文(詫び状)とは別に作成・送付するのが通例です。
ケース5|業務用車両(社用車以外)の破損
フォークリフト、構内運搬車、ハンドリフト、農機・建機など、社用車以外の業務用車両を破損させた/破損物にぶつけたケースです。一般道での社用車事故は別記事で扱うため、本ケースは「構内・現場での車両破損」に絞ります。
公道での社用車事故・物損は法的論点が異なるため、『社用車の交通事故・物損始末書の書き方』を参照してください。
弁償は必要?故意・重過失・軽過失で責任はどう変わるか
始末書を書くとき、もう一つ気になるのが「結局いくら払うのか」という弁償の問題です。結論から言うと、業務中の物品破損で会社が労働者に対して全額の損害賠償を請求できるケースは、実は限定的です。
報償責任の原則|利益を得る側がリスクも負う
労働者を使って利益を得ている使用者(会社)は、その業務に伴って生じるリスクも一定程度負担すべきだという考え方があります(報償責任の原則)。一般に、業務中の通常の不注意(軽過失)で発生した損害について、会社が労働者に全額を請求することは、損害の公平な分担という観点から相当でないと整理されることが多いとされています。
| 過失の程度 | 典型例 | 労働者の責任範囲(実務的目安) |
|---|---|---|
| 軽過失 | 通常業務中の単純な不注意による破損 | 労働者への請求が認められないか、ごく一部に限られることが多い |
| 重過失 | 明らかな安全確認義務違反・酩酊状態での操作・繰り返しの不注意 | 事情を考慮したうえで一部負担を求められることがある |
| 故意 | わざと壊した・私的利用での破損・規程違反を承知の上での行為 | 全額請求が認められうる |
労基法16条|あらかじめ「壊したら○万円」と決めるのはNG
労働基準法16条は「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。たとえば「備品を壊したら一律1万円」のようなルールを就業規則や雇用契約で先に定めることは認められていません。実際に発生した損害について、過失の程度・状況・会社側の管理体制などを踏まえて事後的に判断する、というのが原則です。
賃金からの天引きも原則NG
労働基準法24条は賃金の全額払いを定めています。会社が一方的に「壊した分を給料から引きます」とすることは原則違反です。労働者が個別に同意した場合に限り相殺が認められうるとされていますが、その同意は「自由な意思に基づくもの」と認められる必要があり、ハードルは高いと解されています。
始末書の文面で「給与から差し引いていただいて結構です」と自分から書くと、後から争いにくくなる点には注意してください。
弁償の割合・自己負担の考え方は『始末書 弁償の割合と相場』でより詳しく整理しています。
物品破損の始末書で やるべきこと・避けるべきこと
やるべきこと
- 破損を発見・発生させた直後に、上長へ口頭で第一報を入れる(書面より先)
- 破損物の写真を残す(角度を変えて複数枚/日付がわかる形で)
- 関係する作業手順書・チェックリストの控えを保存しておく
- 始末書のコピーを自分でも1部保管する(提出後の控え)
- 再発防止策は「動詞」で書く(〇〇する、〇〇しない)
避けるべきこと
- 「全額弁償いたします」「給与から引いていただいて結構です」と自分から書面に残す
- 事実と異なる経緯(特に他人の指示・関与)を曖昧に書く
- 破損物の品名・型番・数量を「○○など」とぼかす
- 原因を「気の緩み」「慢心」だけで済ませる(再発防止につながらない)
- 感情的表現(本当にすみません等)を本文中に多用する
物品破損の始末書 よくある質問
Q1. 自分から「弁償します」と書いておいた方が誠意が伝わる?
誠意は再発防止策と影響への配慮で伝えるのが原則です。金銭弁償の意思を先回りで書く必要はありません。「会社の指示に従い、適切に対応いたします」程度の表現にとどめ、具体的な金額・支払い方法は会社からの提示を待ってから個別に協議するのが安全です。
Q2. 高額な機器・商品を壊した場合、必ず全額弁償?
金額の大きさだけで全額負担が決まるわけではありません。過失の程度・会社側の管理体制・業務の性質などを総合的に見て、損害の公平な分担という観点から金額が調整されるのが一般的です。高額破損の場合ほど、自分一人で結論を出さず、必要なら労働組合や専門家に相談する余地があります。
また、会社が動産総合保険・賠償責任保険などに加入している場合、修理・買替の費用が保険でカバーされ、結果的に個人の弁償にはならないケースも実務上珍しくありません。一人で「いくら払えばいいのか」と抱え込まず、まずは事実を正確に報告し、保険適用の有無を会社側で確認してもらうのが先決です。
Q3. 始末書と「設備故障報告書」はどう違う?
始末書は「人為的なミスがあったこと」を前提に、謝罪と再発防止を含めた文書です。設備故障報告書は「事実としてどう故障したか」を客観的に記録する文書で、経年劣化や機器自体の不良が原因の場合に使われます。原因が自分の不注意ではないと考えられる場合は、まず故障報告書で報告し、過失の評価が固まってから始末書の要否を確認するのが順序として安全です。
Q4. 顧客の物を壊した場合、お客様に直接渡す謝罪文と社内の始末書は同じ文面でいい?
別物として作成してください。社内の始末書は会社宛ての報告書で、原因と再発防止策に重点があります。お客様への謝罪文は詫び状(外部向け)として、丁寧な言い回し・代替提案・補償方針を中心にまとめます。
Q5. 始末書を書いただけで弁償も求められない場合、何を残しておけばいい?
始末書のコピー、破損物の写真、上長とのやり取り(メール等)の控えを残してください。後日「やはり弁償を」と話が変わった場合や、再発防止策の運用状況を問われた場合に、自分の側で根拠を示せるようにするためです。
Q6. 反省文と始末書、どちらで提出するのが正解?
会社が「始末書」と指定しているならそれに従うのが基本です。違いと使い分けは別記事で整理しています。
詳しくは『始末書と反省文の違い』をご覧ください。
事実関係が固まったら、テンプレートで素早く整える
破損の経緯と再発防止策が見えてきたら、フォーマットの整え方で時間を取られるのは得策ではありません。テンプレートを使えば宛先・日付・本文の体裁が即座に整い、内容の精度に集中できます。手書きで提出する必要がある場合も、一度テンプレートで構成を固めてから清書すると、書き直しを最小化できます。
▶ 始末書・顛末書テンプレートを開く(社内・社外、始末書/顛末書の切り替えに対応)
用紙・封筒・便箋など物理的なフォーマットは『始末書の用紙・封筒・便箋』、手書きとPCの選択は『始末書は手書き?パソコン?』を参照してください。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








