誓約書の印鑑はどれを使う?シャチハタNGの理由・実印が要る場面・押す位置

誓約書の印鑑は「朱肉を使う認印」が基本
誓約書にどのハンコを押すか迷ったら、答えはシンプルです。朱肉を使う認印(三文判で可)を氏名の右横に押すのが基本で、ほとんどの誓約書はこれで足ります。実印が必要になるのは限られた場面だけで、シャチハタ(インク内蔵のスタンプ印)だけは避けます。
そして意外に思われがちですが、押印そのものは必須ではありません。自筆の署名があれば、押印がなくても誓約書は有効です。それでも実務でハンコを押すのには理由があります。順番に見ていきましょう。
| 印鑑の種類 | 誓約書での扱い |
|---|---|
| 認印(朱肉を使うもの・三文判を含む) | ○ 標準。迷ったらこれ |
| 実印+印鑑証明書 | ◎ 高額の違約金つき・公正証書化の予定がある場合に |
| 銀行印 | △ 押せるが、口座用の印影を外部の書類に残さないほうが無難 |
| シャチハタ・インク内蔵スタンプ印全般 | × 避ける(理由は後述) |
| 拇印(指印) | △ 印鑑がないときの代替。証明力は限定的(後述) |

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押印なしでも誓約書は有効(それでも押す理由)
法律上、誓約書に押印の義務はありません。民事訴訟法228条4項は「本人又はその代理人の署名又は押印があるとき」に私文書が真正に成立したと推定すると定めており、署名か押印のどちらかがあれば足りる建て付けです。2020年6月に内閣府・法務省・経済産業省が公表した「押印についてのQ&A」でも、押印がなくても契約の効力に影響は生じないことが明確にされています。
それでも押印が通例なのは、証拠としての強さが変わるからです。本人の印鑑による印影があると、「二段の推定」という仕組みで「本人が作った文書」と認められやすくなります。印影が本人の印鑑のものと一致すれば、本人の意思で押されたと推定され(最高裁昭和39年5月12日判決)、その押印によって文書全体が真正に成立したと推定される(民訴法228条4項)、という二段構えです。
認印でもこの推定が働かないわけではありません。ただし大量生産の三文判は「この印影=本人の印鑑」という最初の立証が弱くなりがちです。重要な誓約書ほど、印鑑証明書で印影を証明できる実印が選ばれるのはこのためです。
実印+印鑑証明書で固めるべき場面
入社時の誓約書や日常業務で交わす誓約書は、認印で十分です。実印を使い、印鑑証明書も添えるべきなのは、破られたときのダメージが大きい誓約書に限られます。
- 高額の違約金・損害賠償の定めがある(後から「本人が押していない」と争われると痛い)
- 公正証書にする予定がある(公証役場の本人確認でも実印+印鑑証明書が代表的な方法)
- 個人間の重要な約束で、相手が本人であることを確実に押さえたい
受け取る側として実印を求めるなら、印鑑証明書もセットで出してもらって初めて意味があります。印鑑証明書がなければ、その印影が本当に実印かどうか確かめようがないからです。発行後3か月以内のものを求めるのが通例です。
シャチハタがNGな理由
ここで言うシャチハタとは、特定の商品名に限らず、インクが内蔵された浸透印・スタンプ印の全般です(100円ショップのスタンプ印も同じ扱いです)。誓約書に不向きな理由は2つあります。ゴム製の印面が押し方や経年劣化で変形し、印影が安定しないこと。そして同じ印面が大量に生産されていて、「本人が押した」ことの裏付けにならないことです。誓約書は長期間保管され、トラブルの際には印影が照合される書類なので、この2点は致命的です。
朱肉を使う認印であれば、三文判でも問題ありません。値段ではなく「朱肉を使うかどうか」が分かれ目です。今後も書類に押す機会が続くなら、文具店やはんこ店で1本きちんとした認印を用意しておくと安心です。
押す位置は「氏名の右横」
押す場所は、署名(氏名)のすぐ右横、または氏名の末尾に少しかかる位置が基本です。「印」「㊞」の枠が印刷されていれば、その枠の中央に収まるように押します。
- ㊞枠がある → 枠の中央に押す
- 枠がない → 氏名の右隣に押す(氏名の文字に少しかかっても問題ない)
- 縦書きの書式 → 氏名の下(行の下端)に押す
氏名の末尾に少しかかるように押す慣行には、印影と文字が重なっていると、印影だけを写し取ったり氏名部分を切り貼りしたりする偽造・複製がしにくくなる、という理由があります。一方で、氏名がはっきり読め、印影も欠けずに残るよう、重ねずに押すのがよいとするビジネスマナーもあります。どちらも間違いではないので、迷ったら重ねずに氏名のすぐ右横に押せば十分です。実印を押す場合だけは、印鑑証明書の印影と照合しやすいよう文字に重ねないのが確実です。
きれいに押すコツは、捺印マットなど少し弾力のあるものを下に敷き、朱肉を印面全体に均一につけて、垂直に当てたまま軽く「の」の字を描くように圧をかけることです。本番の前に裏紙で試し押しをしておくと失敗が減ります。
訂正印・捨印・割印・契印の使いどころ
誓約書まわりでは、署名に添える押印のほかに4種類の押印が登場します。役割がまったく違うので混同しないようにしましょう。
| 種類 | いつ使う | 押し方 |
|---|---|---|
| 訂正印 | 書き損じを直すとき | 誤記に二重線を引き、線にかかる位置に署名と同じ印鑑で押す |
| 捨印 | 訂正をあらかじめ相手に委ねるとき | 書面上部の余白に押しておく |
| 割印 | 正本と控えなど2通以上を作るとき | 2通を少しずらして重ね、両方にまたがるように押す |
| 契印 | 1通が2ページ以上になるとき | 見開きの境目に、署名と同じ印鑑で両ページにまたがるように押す |
訂正印には署名欄に押したものと同じ印鑑を使います。違う印鑑だと「誰が訂正したのか」を示せません。修正液・修正テープは使えません。
捨印は「訂正が必要になったら、この印を訂正印として使ってよい」という予備の押印です。便利な反面、差し入れる側が安易に押すのは危険です。受け取った側が文面を訂正できる状態を自分から作ることになるため、求められても内容が確定してから押す、あるいは「訂正があればその都度連絡してほしい」と断っても構いません。
割印は、控えを手元に残すために正副2通を作った場合に、2通が同じ内容であることを示すため両方にまたがって押す印です。誓約書は1通だけ作って差し入れる形が多いので、必須ではありません。
割印と混同されやすいのが契印です。割印は「別々の2通」の関連を、契印は「1通のなかのページのつながり」を証明するという違いがあります。誓約書が2ページ以上になるときは、ホチキス留めした各見開きの境目に、署名欄と同じ印鑑で両ページにまたがるように押します。後からページを抜き取られたり差し替えられたりするのを防ぐ役割です。
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拇印(指印)は印鑑の代わりになる?
印鑑が手元にない場面で「拇印でもいいか」と迷うことがあります。拇印が直ちに無効というわけではなく、遺言書については最高裁が「押印は指印をもって足りる」と判断した例もあります(最判平成元年2月16日)。指紋は本人固有のものなので、本人が押したことの痕跡にはなります。
ただし印鑑の印影と違って、指紋の照合には専門的な鑑定が必要で、実務上の証明力は限定的です。誓約書では朱肉を使う認印を用意するのが確実です。どうしても印鑑がないなら、拇印より自筆の署名を丁寧に書くことを優先してください。前述のとおり、自筆の署名さえあれば押印なしでも誓約書は有効です。外国人の従業員など、そもそも印鑑を持っていない人の場合も同様に、署名のみで問題ありません。
電子契約・データ提出なら押印は不要
電子契約サービスを通じて誓約書を取り交わす場合、紙のハンコは一切不要です。電子署名法3条により、本人による電子署名が行われた電子文書は真正に成立したものと推定されます。紙の署名・押印に与えられているのと同じ推定が、電子の世界にも用意されているということです。
一方、「PDFに印影の画像を入れて提出してほしい」と言われるケースもあります。その場合は、TEMPLEXの電子印鑑作成ツールで、名前を入力するだけで透過PNGの印影(認印タイプ)を無料で作成できます。ただし印影画像の貼り付け自体に本人を証明する力はありません。電子印影は提出先が認めている場合に使い、指定がなければ署名のみ、または印刷して朱肉で押すのが確実です。
押印欄つきの誓約書テンプレートで即PDF作成
TEMPLEX の誓約書テンプレートなら、宛先・誓約事項・差出人をフォームに入力するだけで、登録不要・無料でPDFをダウンロードできます。氏名の横に押印欄(印枠)つきでレイアウトされるので、印刷して署名し、認印を押せばそのまま提出できます。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。












