誓約書の書き方|法的有効性・必須項目・シーン別例文集とNG条項チェック

誓約書の書き方|法的有効性・必須項目・シーン別例文集とNG条項チェック

誓約書とは(読み方・同意書との違い)

誓約書(せいやくしょ)は、差出人が相手方に対して「これを守ります」と約束する内容を書面にした書類です。差出人だけが署名・押印し、相手方は署名しない「一方差入れ型」の文書である点が最大の特徴です。入社時の秘密保持誓約、取引先への支払い履行の約束、個人情報の取扱いに関する誓約など、ビジネスのさまざまな場面で使われます。

混同されやすい「同意書」は、相手方が提示した条件に対して本人が「了解しました」と意思表示する書類です。誓約書が「自分から約束を差し入れる」のに対し、同意書は「相手の提案に同意する」という方向の違いがあります。法的効力に優劣はなく、場面に応じて使い分けます。

誓約書同意書
方向差出人 → 相手方提案者 ← 本人
署名する人差出人のみ同意する本人のみ
典型的な場面入社時・退職時・秘密保持手術前・個人情報利用・イベント参加
法的効力あり(民法上の意思表示)あり(民法上の意思表示)
誓約書と同意書の違い

誓約書・同意書

誓約書・念書・確約書・契約書の違い|法的拘束力と使い分けマトリクス

誓約書に書く必須項目

誓約書には法定の書式はありませんが、以下の7つの項目が揃っていないと、いざという時に「何を誰が約束したのか不明」と判断され効力が争われるリスクがあります。

  1. 表題 —「誓約書」と大きく記載
  2. 宛先 — 誓約を受ける側(会社名・代表者名など)
  3. 本文(前文) — 誓約の趣旨を簡潔に述べる導入文
  4. 誓約事項 — 箇条書きで具体的に列挙(最重要)
  5. 違反時の効果 — 損害賠償・契約解除などの取り決め
  6. 日付 — 誓約書の作成日
  7. 差出人の署名・押印 — 住所・氏名・押印(自署が原則)
誓約書に書く必須項目
誓約書に書く必須項目
誓約書 共通フォーマット
誓約書 ○○株式会社 御中 私 ○○ ○○ は、貴社に対し、下記事項について遵守することを誓約いたします。 1. ○○○○○○○○○○○○○ 2. ○○○○○○○○○○○○○ 3. ○○○○○○○○○○○○○ 上記事項に違反した場合、貴社が被った損害を賠償する責任を負うことを承諾いたします。 2026年5月25日 住所: 東京都○○区○○ 1-2-3 氏名: ○○ ○○(印)

宛先は「○○株式会社 御中」のように会社宛てにするのが一般的です。代表者個人を名指しにすると、代表者が交代した際に効力の解釈が曖昧になるため、法人名で受けるのが安全です。

誓約事項の書き方(具体的・限定的に書くコツ)

誓約書の核心は「誓約事項」の欄です。ここが曖昧だと、違反があっても「何を守るべきだったのか不明」と反論される余地が生まれます。次の3つのコツを押さえれば、実効性のある誓約事項を書けます

  • 対象を具体的に書く:「秘密情報」だけでは範囲が不明確。「技術情報、営業情報、顧客情報、人事情報、その他貴社が秘密として指定した情報」のように列挙する。
  • 期間・範囲を限定する:競業避止なら「退職後○年間」「対象業務: ○○」「対象地域: ○○」を明記する。無限定の競業避止は無効と判断されやすい。
  • 1項目1義務の原則:複数の義務を1つの項に詰め込むと、どの部分に違反したのか判別しにくくなる。「秘密保持」「競業避止」「資料返却」はそれぞれ別項目にする。
NG例(曖昧)OK例(具体的)
会社の秘密を漏らさない業務上知り得た技術情報、営業情報、顧客情報を第三者に開示・漏洩しないこと
退職後に競業しない退職後2年間、対象業務(○○)について、貴社と競合する事業を営む第三者に雇用されないこと
迷惑をかけない就業規則および貴社の諸規程を遵守し、職場の秩序を維持すること
誓約事項の曖昧な表現と具体的な表現の比較

シーン別の誓約事項 文例集

誓約書の「誓約事項」欄にそのまま貼り付けられる文例です。自社の状況に合わせて、対象・期間・固有名詞を書き換えてご利用ください。

入社時の汎用誓約事項

新入社員・中途社員の入社時に提出してもらう誓約書の定番項目です。就業規則の遵守・秘密保持・経歴詐称がないこと・反社チェックの4点を押さえれば、多くの企業で使える汎用的な内容になります。

入社時の汎用誓約事項(コピペ用)
1. 就業規則および貴社の諸規程を遵守し、業務に従事すること 2. 業務上知り得た秘密情報を、在職中および退職後も第三者に開示・漏洩しないこと 3. 業務上知り得た個人情報を、業務目的以外に使用しないこと 4. 貴社に提出した履歴書・職務経歴書等の記載内容が真実であること 5. 反社会的勢力と関係を持っていないこと

誓約書・同意書

入社誓約書の書き方|必須項目・例文10種・無効になる条項チェック

高校生・大学生など未成年者(18歳未満)を雇用する場合、未成年者が単独で行った法律行為は親権者の同意がなければ取り消せます(民法5条)。入社誓約書を取得する際は、親権者(法定代理人)の同意署名欄を設け、連署でもらうのが安全です。

秘密保持の誓約事項(退職時想定)

退職する社員に提出を求める秘密保持誓約書です。秘密情報の範囲・競業避止の期間と対象業務・貸与物の返却を明記するのがポイントです。競業避止期間は、判例上2年程度が合理的とされるケースが多く、それを大きく超える期間は無効リスクが高まります。

秘密保持の誓約事項(コピペ用・退職時想定)
1. 私が在職中に知り得た貴社の技術情報、営業情報、顧客情報、人事情報、その他一切の秘密情報を、退職後も第三者に開示・漏洩しないこと 2. 退職後3年間、貴社と競合する事業を営む第三者に雇用されないこと(対象業務: ○○) 3. 退職に際し、貴社から貸与された資料・データ・端末を返却すること

誓約書・同意書

退職誓約書の書き方|秘密保持・競業避止・貸与品返却の例文と拒否する場合の対応

誓約書・同意書

秘密保持誓約書の書き方|NDAとの違い・業務委託先・取引先のテンプレ

支払い遅延時の誓約事項(取引先向け)

代金の支払いが遅れた取引先から受け取る誓約書です。具体的な金額・期限・遅延損害金の利率を明記し、再度の遅延時の措置(契約解除)まで盛り込むのが実務上の定石です。

支払い遅延時の誓約事項(取引先向け・コピペ用)
1. 2026年4月分の代金 ○○○円について、2026年7月31日までに全額を貴社指定口座に振り込むこと 2. 上記期日までに支払いを完了できない場合は、貴社からの請求に応じて、遅延損害金(年14.6%)を併せて支払うこと 3. 今後、再度の支払い遅延が発生した場合は、貴社が取引契約を解除することに異議を申し立てないこと

誓約書・同意書

支払い誓約書の書き方(取引先・売掛金向け)|分割払い・遅延損害金の文例

個人情報の取扱いに関する誓約事項

業務委託先や派遣社員など、自社の個人情報を取り扱う外部人材に提出してもらう誓約書です。目的外利用の禁止・第三者提供の禁止・業務終了時の返却/廃棄・漏洩時の報告義務の4点を網羅すれば、個人情報保護法の安全管理措置としても機能します。

個人情報の取扱いに関する誓約事項(コピペ用)
1. 業務遂行のため貴社から開示される個人情報を、業務目的以外に使用しないこと 2. 個人情報を第三者に開示・提供しないこと(書面による承諾がある場合を除く) 3. 業務終了時には、提供を受けた個人情報を貴社に返却または貴社の指示に従い廃棄すること 4. 個人情報を漏洩・紛失した場合は、直ちに貴社に報告し、被害拡大の防止に努めること

違反時の効果(損害賠償・解除)

誓約書に「違反した場合は損害を賠償します」と書いてあれば、相手方は民法415条(債務不履行)または709条(不法行為)を根拠に損害賠償を請求できます。誓約書がなくても請求自体は可能ですが、誓約書があれば「何を守る義務があったか」の立証が格段に容易になります。

違反時の効果として書くことが多い項目は次の3つです。

  • 損害賠償:「貴社が被った損害を賠償する」が定番の文言。賠償額の上限を設けるかどうかは後述のNG条項チェックも参照。
  • 契約解除・取引停止:支払い誓約書では「再度の遅延時には契約を解除する」、入社誓約書では「内定取消しまたは懲戒処分の対象となる」などと書く。
  • 差止め:秘密保持違反の場合は「秘密情報の使用・開示の停止を求める」と書いておくと、裁判での仮処分申立ての根拠になる。

違約金の定めは有効ですが、実損害と著しく乖離した高額の違約金は公序良俗違反で減額される可能性があります。「損害賠償額の予定」として合理的な範囲で設定しましょう。

無効になりやすい NG 条項

誓約書に盛り込んでも、裁判で無効と判断されやすい条項があります。以下のチェックリストに該当する項目が含まれていないか、作成段階で必ず確認してください。

無効になりやすい NG 条項(チェックリスト)
× 退職後の競業避止期間が5年を超え、対象業務・地域も限定されていない × 違反時に「貴社が被った一切の損害および逸失利益を賠償する」のみで、合理的な上限がない × 私生活全般にわたる行動制限を一律に課す(婚姻・出産・住居 等) × 個人情報の利用目的が「貴社が必要と認める一切の業務」のような包括的記載 × 本人の自己決定権を全面的に放棄させる条項(撤回権の留保なし)

特に競業避止条項は裁判例の蓄積が多い分野です。期間・地域・対象業務・代償措置(退職金の上乗せ等)の4要素で合理性が判断されます。期間だけを短くしても、対象業務が「一切の業務」のように無限定だと無効リスクが残ります。

また、労働基準法16条は「違約金・損害賠償額の予定」を禁止しています。「研修費用を3年以内に退職した場合は全額返還する」のような条項は、実態が違約金と評価されると無効になるため注意が必要です。

印鑑の種類と使い分け

誓約書への押印は法律上の義務ではありませんが、「本人の意思で作成した」ことの証拠力を高めるために押印するのが実務上の慣例です。使う印鑑の種類によって証拠力が変わります。

印鑑の種類証拠力使う場面
実印(印鑑登録済み)最も高い不動産取引・公正証書・高額な損害賠償を伴う誓約
認印(三文判)高い入社誓約書・秘密保持誓約・支払い誓約など一般的な業務
シャチハタ(インク内蔵印)低い(原則不可)社内の確認印程度。誓約書には不適切
誓約書に使う印鑑の種類と証拠力の比較

シャチハタはゴム製の印面のため経年劣化で印影が変わりやすく、「本人が押したか」の鑑定が困難です。誓約書には朱肉を使うタイプの印鑑(三文判でも可)を使いましょう。実印を使う場合は、印鑑証明書の添付を求めることで本人確認の精度がさらに上がります。

電子署名の有効性

電子署名法(2001年施行)により、一定の要件を満たす電子署名は手書きの署名・押印と同等の法的効力を持ちます。クラウドサインやドキュサインなどの電子契約サービスを使えば、紙に印刷して押印する手間なく誓約書を取り交わすことが可能です。

電子署名には大きく2つの方式があります。

  • 当事者型(ローカル署名型):署名者本人の電子証明書を使って署名する方式。マイナンバーカードの署名用電子証明書が代表例。証拠力が最も高い。
  • 事業者署名型(立会人型):クラウドサイン等のサービス事業者が署名を付与し、本人確認はメール認証等で行う方式。手軽だが、証拠力は当事者型より一段下がる。ビジネスの誓約書では実務上十分なケースが多い。

電子署名の誓約書でも内容の有効性は紙と同じです。公序良俗違反・強行法規違反の条項が無効になる点は変わらないので、書く内容自体の適切さが重要です。

収入印紙の要否

結論から言うと、誓約書に収入印紙は原則不要です。印紙税法の課税文書は「契約書」「領収書」など法律で限定列挙されており、一方差入れ型の誓約書は一般的に課税文書に該当しません。

ただし例外があります。誓約書のタイトルであっても、内容が実質的に「金銭消費貸借契約」や「請負契約」に該当する場合は課税文書として扱われる可能性があります。たとえば「○○円を○月○日までに返済することを誓約します」という内容は、金銭消費貸借契約書(1号文書)に分類されるリスクがあります。

誓約書の内容印紙税
入社時の秘密保持・服務規律不要
退職時の競業避止・秘密保持不要
個人情報の取扱い不要
支払い遅延の履行誓約不要(原則)※下記補足あり
金銭の貸借を実質的に定める内容課税の可能性あり(税務署に確認)
誓約書の内容と印紙税の要否

支払い遅延の誓約書であっても、分割返済の条件・遅延損害金・期限の利益喪失条項などを詳細に定めた内容は、実質的に「債務承認弁済契約書」として課税文書(1号文書)に該当する可能性がゼロではありません。高額な支払いに関する誓約書の場合は、念のため税務署や税理士に確認すると安心です。

誓約書の保管期間の目安

作成した誓約書は、内容に応じた期間の保管が必要です。労働関係の書類(入社誓約書など)は退職日から5年が法定の保存期間です(労基法109条、2020年改正。経過措置により当分の間は3年)。秘密保持・競業避止に関する誓約書は、その効力が続く期間(退職後2〜5年など)が満了するまで保管し、万一のトラブルに備えてさらに1〜2年程度の余裕を持たせるのが実務的です。

誓約書の種類保管期間の目安
入社誓約書退職日から5年(経過措置: 3年)
秘密保持誓約書効力期間+1〜2年
競業避止誓約書効力期間+1〜2年
支払い誓約書債務完済から5年(消滅時効に合わせる)
誓約書の種類別 保管期間の目安

電子化した誓約書を保管する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件(タイムスタンプの付与・検索機能の確保)を満たす必要があります。クラウドサイン等の電子契約サービスを利用した場合は、サービス側で要件を満たしていることが一般的です。

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

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