請求書の再発行|日付の扱い・未入金時の対応と依頼/お詫び文例

請求書の再発行とは(まず結論)
請求書の再発行とは、一度発行した請求書を同じ内容のまま出し直すことです。金額や品目はそのまま、発行する書類だけをもう一通用意するイメージで、次のような場面で発生します。
- 取引先が請求書を紛失した
- 宛名や送付先を変えてほしいと言われた
- 郵送やメールが届かず、未入金になっている
再発行でつまずく原因はほぼ2つに集約されます。日付をどうするかと、同じ請求が2件あるように見えてしまう二重計上です。先に結論を言うと、日付は元の発行日のまま、備考に「再発行」と明記すれば両方とも防げます。理由と具体的な書き方をこのあと順番に見ていきます。
「インボイスの場合と免税事業者で対応は違う?」とよく聞かれますが、再発行の基本の流れはどちらも同じです。違うのは、加わる義務だけです。
- 適格請求書発行事業者(インボイス):出し直す書類にも登録番号(T+13桁)を入れた適格請求書として再交付し、交付した写しを保存します。中身の誤りを直すときは、売り手が修正した適格請求書を交付する義務があり、買い手は直せません。
- 免税事業者:適格請求書を出さないので、これらの義務はなく、通常の請求書を同じ内容で出し直すだけです(買い手が控除できる割合は経過措置の範囲)。
金額・税率・品目など中身に誤りがあって直す場合は「再発行」ではなく「訂正」の話になり、お詫びの書き方も変わります。誤記の直し方(訂正印か出し直しか)とお詫び文は請求書の訂正方法の記事にまとめています。ここでは中身を変えずに出し直すケースに絞って解説します。
再発行する請求書の日付は元の発行日のまま
再発行のときの日付は、最初に発行した日(請求日)をそのまま使うのが原則です。請求書は取引が成立した事実を記録する書類なので、出し直すたびに日付が動くと取引の実態とズレてしまいます。
- 請求日(書類上部の日付)は元のままにし、再発行した当日の日付には書き換えない。
- 当日の日付に変えると売上が二重計上されるおそれがある(月末締めや決算期をまたぐ請求は計上月がずれやすく要注意)。
- 再発行日は備考欄に「再発行」と併記する(請求日そのものは動かさない)。

支払期日(入金期限)も、原則は当初の期日のままです。紛失や未着で先方が支払えなかった事情があり、期日を延ばすことに合意した場合だけ、新しい期日を記載し直します。勝手に期日を後ろ倒しにすると入金管理がずれるので、変更するなら必ず先方と取り決めてからにします。
請求書番号は変えず、二重計上を防ぐ
請求書番号も、元の番号を基本そのまま使います。新しい通し番号を振ると、別の請求が増えたように見えて二重計上につながります。再発行だと分かるようにしたいときは、元番号に枝番を足すのが分かりやすい方法です。
- 元の番号をそのまま使う(最もシンプル。備考で再発行と明記する)
- 元の番号に枝番を足す(例:123456 → 123456-1)。新規売上ではないと一目で分かる
- 避けたいのは「次の新しい通し番号を振る」こと。別の請求と区別がつかず二重計上の原因になる
二重計上を防ぐうえで効くのが、書類そのものに「再発行」と明記することです。番号や日付の工夫だけでは先方が気づかないことがあるため、タイトル横や余白に赤字で「再発行」と入れる、または「再発行」スタンプを押すと確実です。あわせて、初回分の請求書の破棄(PDFなら削除)を一言お願いしておくと、後から元の請求書が出てきて二件分払われる事故を防げます。

- 請求日・請求書番号は元のまま(番号は必要なら枝番を付与)
- 書類に「再発行」と赤字またはスタンプで明記する
- 備考に再発行日と「初回分は破棄を依頼」する旨を記載する
- 自社では、いつ・誰に・どの請求を再発行したかを記録(再発行日・元番号・依頼者・理由)として残す
自社側の記録は監査や問い合わせ対応の備えになります。Excelの一覧で十分なので、再発行日・元の請求書番号・依頼者・理由(紛失/宛先変更/未着)を残しておきましょう。電子(PDF)で発行していれば履歴が残るため、紙より管理が楽になります。
未入金を理由に再発行・再送するとき
「請求書を送ったのに入金がない」ときは、いきなり再発行・再送せず、まず先方に連絡して状況を確認します。原因によって取るべき対応が変わるからです。
- 請求書が届いていない(郵送・メールの未着)→ 同じ内容で再送する=再発行の対応
- 先方が請求書を紛失した → 同じ内容で再発行する
- 請求書は届いているが入金されていない(支払い忘れ・遅延)→ 再発行ではなく入金の催促が必要
ポイントは、未入金の原因が「届いていない」のか「払われていない」のかを切り分けることです。未着・紛失なら再送すれば解決することが多く、入金忘れなら一本連絡を入れるだけで対応してもらえるケースがほとんどです。
再送・再発行する場合も、日付と金額は最初の請求書のままにします。督促のつもりで日付を新しくすると二重請求と受け取られかねません。督促として支払いを促す段階に入ったら、再送よりも催促の連絡が中心になります。書き方は入金催促メールの記事を参照してください。
ケース別 再発行の依頼・お詫び文例
再発行した請求書を送るときに添えるメール文例です。原因が自社側か先方側かでお詫びの度合いを変えるのがコツです。自社の未着・ミスならしっかり謝り、先方の紛失なら淡々と対応を伝えます。請求書番号や日付は自社の内容に置き換えて使ってください。
適格請求書(インボイス)として発行している場合、宛名は「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」として記載が必要な項目です(適格簡易請求書を除く)。宛名に誤りがあるときは、受け取った側が勝手に直せず、発行側が正しい宛名で再交付することになります(消費税法57条の4)。再発行と同じ要領で、宛名だけ修正した適格請求書を出し直してください。
送付状を1枚添えると、再発行であることと「初回分は破棄してほしい」という意図が伝わりやすくなります。封筒や添え状の整え方は請求書の送付状(送付案内)の書き方も参考になります。
再発行で迷いやすい点(印紙・控え)
再発行に収入印紙は要りません。請求書はそもそも印紙税の課税文書ではないため、初回も再発行も貼付は不要です(国税庁の印紙税額一覧でも請求書は対象外)。印紙が必要なのは領収書(金銭の受取書)で、再発行でも金額が一定額以上なら貼付が必要になる別の書類です。
ただし請求書に「代済」「相済」などと書いて領収の事実を兼ねさせると、受取書(第17号文書)として印紙税の対象になり得ます。領収書側の再発行と印紙の扱いは領収書の再発行の記事で詳しく解説しています。
控え(自社保管分)については、初回分の控えは破棄せず残すのが基本です。再発行分とあわせて保管し、いつ・なぜ再発行したかが追えるようにしておけば、二重計上の疑いや問い合わせにも落ち着いて対応できます。
なお、紙の請求書は紛失・未着の再発行が起きやすい書類です。PDFで発行・送付すれば再発行も控えの管理もデータで完結し、印紙の心配もありません。TEMPLEX の請求書テンプレートなら、同じ内容を入力し直して再発行分のPDFをすぐ作成できます。
PDFをメールでやり取りした請求書は、再発行分も含めて電子帳簿保存法の電子取引データとして、発行側・受領側ともに電子のまま保存する必要があります(印刷した紙だけ残すのはNG)。保存年数や具体的な保存要件は請求書の保管期間と電子保存の記事で解説しています。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。










