請求書の支払期日の決め方|発行側が設定する期日の目安と記載例

請求書の支払期日の決め方|発行側が設定する期日の目安と記載例

支払期日は自社で決めてよい(決め方の結論)

請求書の支払期日(支払い期日)に法律で決まった日数のルールはなく、原則として当事者で自由に決められます。請求する側が自社の希望で設定し、相手が了承すればそれが期日になります。とはいえ商習慣から外れた条件は通りにくいので、まずは目安に沿って決めるのが現実的です。

迷ったときの基本は「月末締め・翌月末払い」です。継続して取引するならこの締め支払を、単発の取引なら「請求書発行日から30日以内」など具体的な日付で区切ると相手にも自社にも分かりやすくなります。以下では目安・決め方・そのまま書ける記載例の順に説明します。

この記事は請求書を発行して入金を待つ側の目線です。受け取った請求書の期日が過ぎていた・期日が書かれていなかったといった支払う側の対処は、請求書の支払期日が過ぎた・記載なしのとき をご覧ください。

一般的な支払期日の目安(締め支払と支払サイト)

実務で多いのは、月内の取引をまとめて区切る「締め日」と「支払日」をセットにした締め支払です。代表的な組み合わせは次の3つで、下にいくほど相手の支払い猶予が長くなります。

条件締め日から支払日までの長さ向いている取引
月末締め・翌月末払い約30日(30日サイト)もっとも一般的。標準として提示しやすい
月末締め・翌々月末払い約60日(60日サイト)相手が大手で社内の支払処理に時間がかかる場合
請求書発行日から30日以内発行日起算で30日締め日を設けない単発・スポット取引

この「締め日から支払日までの日数」を支払サイトと呼びます。たとえば月末締め翌月末払いなら30日サイト、翌々月末払いなら60日サイトです。発行する側にとってはサイトが短いほど入金が早く、資金繰りが楽になります。自社から条件を出せる場面では、まず30日サイト(翌月末払い)を提案するとよいでしょう。

実際の支払日は条件によってずれます。たとえば7月15日に納品して請求書を発行した場合、「月末締め・翌月末払い」なら7月末で締めて8月31日払い、「発行日から30日以内」なら発行日の7月15日から30日後の8月14日払いになります。同じ取引でも、どの条件で書くかで入金日が半月以上変わるので、相手に提示する前に自社で実日付を計算しておくと安心です。

なお請求書を出す前に、発注書や見積書の段階で支払条件を取り決めているなら、請求書の支払期日はその合意どおりに書くのが原則です。見積段階での支払条件の決め方は 見積書の支払条件の書き方 も参考になります。

発行側が期日を決めるときの3つのポイント

目安をそのまま使うのが基本ですが、自社で期日を決めるときは次の3点を押さえると、入金遅れや認識のズレを防げます。

  • 起算点をはっきりさせる — 「○日以内」と書くなら、何の日から数えるのかを必ず添える。請求書発行日基準か、納品・検収の日基準かで支払日が変わるため。
  • 相手の締め日・支払日に合わせる — 取引先には「毎月○日締め・翌月○日払い」と社内ルールがあることが多い。自社の希望だけで決めず、相手の支払サイクルを確認すると入金がスムーズになる。
  • 曖昧な期限にしない — 「請求書到着後すみやかに」のような書き方は避け、最終的には「○年○月○日まで」と具体的な日付に落とす。

とくに継続取引や、検査・検収を経て代金が確定する取引では、「検収後○日以内」という検収基準で起算することがあります。請求のタイミングを納品より後ろにずらせる一方、検収が遅れると入金も遅れるため、検収の期限もあわせて取り決めておくと安心です。日付の起算については 請求書の日付の書き方 でも整理しています。

請求書への支払期日の記載例

請求書では、支払期日を具体的な日付で1行書くのが基本です。「お支払期限」「お支払期日」のどちらの見出しでもかまいません。まずは単発取引で使える、日付を確定させた書き方です。

請求書への支払期日の記載例
請求書への支払期日の記載例
支払期日:日付を確定して書く(単発取引)
お支払期限:2026年7月31日

毎月の請求で、相手の締め支払サイクルに合わせる場合は、締めと支払日をまとめて書きます。請求書の発行ごとに具体日付を入れておくと、相手が予定を立てやすくなります。

支払期日:月末締め翌月末払い(継続取引)
締め日:毎月末日締め お支払期限:翌月末日(2026年7月31日)

振込手数料の負担をどちらが持つかも、支払期日と一緒に書いておくとトラブルになりません。支払方法・振込先・支払期日・手数料負担はワンセットで記載するのがおすすめです。

支払条件をまとめて書く(振込先・期日・手数料)
【お支払いについて】 お支払方法:銀行振込 お支払期限:2026年7月31日 お振込先:○○銀行 △△支店 普通 1234567 カ)テンプレツクス 振込手数料:恐れ入りますが、貴社にてご負担をお願いいたします。

確定日付で書くときに見落としがちなのが、その日が土日祝など金融機関の休業日に当たるケースです。振込実務では期限日が休業日なら翌営業日までの入金で可とするのが一般的なので、誤解を避けたいなら一言添えておくと親切です。

支払期日:休業日に当たる場合の補足を添える
お支払期限:2026年7月31日 ※期限日が金融機関の休業日の場合は、翌営業日までにお振込みください。

「請求書発行日から30日以内」のように起算点を入れて書くこともできますが、最終的にいつまでかを相手に計算させないのが親切です。可能なら確定した年月日まで書き切りましょう。振込先口座の正しい書き方は 請求書の振込先の書き方 で解説しています。

取適法(旧・下請法)の60日ルールに注意

自由に決められるとはいえ、取引の形によっては上限があります。取適法(中小受託取引適正化法、旧・下請法)の対象となる委託取引では、発注する側(委託事業者)に支払期日のルールが課されます。代金の支払期日は、給付を受領した日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間に定めなければなりません(公正取引委員会 親事業者の義務)。

ここで間違えやすいのが起算点です。60日の起算は「検収日」ではなく「給付を受領した日」から。検査が終わっていないなどの理由で、発注側の都合で起算日を後ろにずらすことはできません。仮に支払期日をそもそも定めなかった場合は受領日そのものが支払期日とみなされ、60日を超えて定めた場合は受領日から60日を経過した日の前日が支払期日とみなされます。これを過ぎると、受領日から60日を経過した日から実際の支払日まで年14.6%の遅延利息公正取引委員会規則で定める率)が発生します。

立場で分けて読むと分かりやすいです。自社が発注を出す側なら、相手への支払期日を受領日から60日以内に設定する必要があります。逆に自社が発注を受けて請求する側なら、極端に長い支払サイトを提示されてもこのルールが盾になります。対象取引であれば60日を超える条件に応じる義務はありません。

対象になるかどうかは、発注側と受注側の規模差で決まります。製造・修理などの委託では、発注側が資本金1,000万円超または従業員300人超で相手がそれ以下、プログラム作成や各種サービスの委託では発注側が資本金5,000万円超または従業員100人超で相手がそれ以下のとき(個人・フリーランスを含む)が対象です。2026年1月の改正で従業員数の基準が加わり、資本金が小さい会社でも従業員が多ければ発注側として規制対象になるようになりました。自社が受注側で、相手がこの規模に当てはまるなら、長い支払サイトを提示されても60日ルールが使えます。

2026年1月1日施行の取適法では、対象となる委託取引で手形での支払い(手形の交付)が禁止されました。支払期日までに満額を現金化できない電子記録債権なども同様です。資本金・従業員数の要件を満たす委託取引が対象で、すべての手形払いが一律に違法になるわけではありませんが、対象取引なら長期の手形払いを提案されても銀行振込を指定して問題ありません。具体的なしきい値は取引ごとに公正取引委員会の取適法リーフレットで確認してください。

支払期日を書かないと発行側が損をする

支払期日は請求書の必須項目ではありませんが、書かないと損をするのは請求した側です。期日がないと相手は「いつ払えばいいか」の基準を持てず、入金が後回しにされがちになります。

法律上も、支払期日(確定期限)を定めていない代金は、相手が支払いの請求を受けた時から遅滞の責任を負う扱いになります(民法412条3項)。つまり期日を書いていないと、こちらから改めて請求するまで「支払いが遅れている」と主張しづらく、督促や遅延損害金の起算もあいまいになります。期日を1行入れておくだけで、入金督促の根拠がはっきりします。

期日を過ぎても入金されないときの督促の進め方は 入金催促メールの例文と売掛金の回収方法 にまとめています。

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