領収書の但し書きがないとき|自分で書ける?書き忘れ・欄なしの対処法

領収書の但し書きがないとき|自分で書ける?書き忘れ・欄なしの対処法

但し書きがない領収書は有効か?

但し書きがない領収書の例
但し書きがない領収書の例

結論から言うと、但し書きが空欄でも領収書そのものは「無効」にはなりません。民法上、領収書(受取証書)に記載すべき事項は法定されておらず、金銭を受領した事実を証明できれば書面として成立します。

ただし、但し書きがないと実務では次のような問題が起きます。

  • 経費精算で差し戻される ── 経理担当者が勘定科目を判断できず、「何を買ったのか」の確認が必要になる
  • 税務調査で使途不明金を疑われる ── 但し書きなしの領収書が多いと、架空経費や私的流用のチェック対象になりやすい
  • インボイスの記載要件を満たさない ── 適格請求書・適格簡易請求書には「取引の内容」の記載が必須。但し書きが空欄だと仕入税額控除を否認されるおそれがある

つまり「法的には有効だが、経費として使おうとすると問題になる」というのが実態です。但し書きが空欄の領収書を受け取った場合は、早めに対処しておくのが安全です。

受領者が自分で但し書きを書き足してよいか

自分で但し書きを書き足すのはNGです。たとえ実際の取引内容と合っていたとしても、領収書は「発行者が作成する文書」です。受領者が勝手に記入すると、文書の改ざんとみなされます。

改ざんに該当しうる法的根拠

刑法第159条(私文書偽造等)では、他人が作成した権利・義務・事実証明に関する文書を変造した場合に刑事罰が定められています。印鑑や署名のある領収書(有印私文書)を変造した場合は3月以上5年以下の拘禁刑(同条2項)、印鑑・署名のない領収書(無印私文書)でも1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金(同条3項)の対象です。領収書は「事実証明に関する文書」に該当するため、受領者が但し書きを書き足す行為は「変造」にあたる可能性があります。

  • 手書きの領収書に自分でペンで但し書きを記入する → 変造に該当しうる
  • Amazon等のPDF領収書をPDF編集ソフトで加工する → 電子帳簿保存法(電帳法)でも電子データの改ざんは禁止されており、発覚すると重加算税に10%が上乗せされる
  • 白紙の但し書き欄に自分で記入する → 発行者から記入を依頼されていない限りNG

「正しい内容を書いただけ」であっても、発行権限のない者が文書を書き換えた事実が問題です。但し書きが必要なら、必ず発行者に記入・再発行を依頼してください。

店頭で「但し書きはどうしますか?」と聞かれた場合は、自分で書いているわけではなく、口頭で伝えた内容を発行者が記入する形なので問題ありません。

但し書きを書き忘れた・空欄だった場合の対処法

受け取った領収書の但し書きが空欄だった場合、最も確実な対処法は発行者(店舗・取引先)に再発行を依頼することです。早ければ早いほどスムーズに対応してもらえるので、気付いた時点ですぐに連絡しましょう。

店舗に電話で依頼する場合のトーク例

再発行の電話依頼 ── 店舗向け
お忙しいところ恐れ入ります。〇月〇日にそちらで買い物をした〇〇と申します。 その際にいただいた領収書なのですが、但し書きが空欄になっておりまして、会社の経費精算で取引内容の記載が必要になりました。 お手数ですが、但し書きを「〇〇代として」と記入したものに書き直していただくか、再発行していただくことは可能でしょうか。

取引先にメールで依頼する場合の文例

再発行のメール依頼 ── 取引先向け
件名:領収書の但し書き追記のお願い(〇月〇日付分) 〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様 いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の〇〇です。 〇月〇日付で頂戴した領収書について、但し書き欄が未記入となっておりました。 弊社の経費精算にあたり、取引内容の記載が必要なため、 但し書きを「〇〇代として」と追記いただくか、再発行をお願いできますでしょうか。 元の領収書は再発行の際にお返しいたします。 お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

再発行が難しい場合の代替手段

店舗が閉店している、海外の店で連絡が取れないなど、どうしても再発行できないケースもあります。その場合は以下の方法で補完します。

  1. レシートが手元にあれば一緒に保管する ── レシートには品目が印字されており、但し書きの代わりになる
  2. クレジットカードの利用明細を添付する ── 日付・金額・店名が一致していれば法人税法上の補強証拠になる。ただしカード利用明細はカード会社が発行した書類であり、実際の売り手(加盟店)が発行したものではないため、インボイスの記載要件を満たさない。インボイス制度下で仕入税額控除を受けるには、加盟店が発行した適格請求書(レシート・領収書等)の保存が別途必要
  3. 出金伝票を作成して添付する ── 詳しくは後述の「出金伝票での補完方法」を参照

インボイス(適格請求書)の場合、記載要件の不備は訂正インボイスの交付で対応するのが原則です。受領者が自分で修正するのではなく、必ず発行者に訂正インボイスを出してもらいましょう。なお、基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除が可能です(少額特例・2029年9月30日まで)。

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但し書き欄がない領収書の場合

市販の小さな領収書用紙や、POSレジで発行される簡易領収書には、そもそも「但し書き」の記入欄がないものがあります。欄がないこと自体は違法ではありませんが、経費精算やインボイス対応では不利になります。

但し書き欄がない領収書でよくあるパターン

  • 100均やコンビニで売っている小型の領収書用紙 ── 金額・日付・宛名だけの簡素な様式が多い
  • タクシーの乗車券型領収書 ── 金額と日付のみ印字され、但し書き欄がないことがある
  • 自動精算機(コインパーキング・自動販売機等)の領収書 ── 機械発行のため取引内容が記載されない場合がある

こうした領収書を受け取った場合の対処法は2つあります。

  1. 発行者に但し書きを余白に手書きしてもらう ── 欄がなくても、発行者が余白に「タクシー代として」等と書き添えてくれれば有効
  2. レシートや利用明細と一緒に保管する ── 取引内容がわかる別の書類で補完する

日常的に但し書き欄のない領収書を受け取る場合は、自社で領収書の様式を指定できないか検討しましょう。継続的な取引先であれば「次回から但し書き入りの領収書をお願いします」と伝えておくだけで改善されることが多いです。

レシートに但し書きがない場合の扱い

レシートには通常「但し書き」という欄はありませんが、購入した品目名・単価が個別に印字されています。品目が印字されているレシートは、但し書きが曖昧な手書き領収書よりもむしろ証拠力が高いとされています。

レシートが領収書の代わりになる条件

税務上、書類の名称が「領収書」か「レシート」かは重要ではありません。次の情報が読み取れれば、レシートでも経費の証拠書類として有効です。

  • 発行者の名称(店名・所在地)
  • 取引年月日
  • 取引内容(品目名)
  • 金額

むしろ「お品代として」としか書かれていない手書きの領収書よりも、品目が1点ずつ印字されたレシートのほうが取引内容を正確に証明できるため、税務調査でも信頼されやすい傾向があります。手書きの領収書は但し書きだけでなく宛名も「上様」や空欄のまま渡されることが多く、情報が二重に不足しがちです。POS印字のレシートは機械出力で改ざんが難しい点も、税務調査で信用されやすい理由の一つです。

レシートで注意すべき点

  • 感熱紙のレシートは時間が経つと印字が薄れる ── スキャンやコピーで保存しておくと安心
  • 社内ルールで「領収書のみ可」と定められている場合がある ── レシートで問題ないか、経理部門に確認しておく
  • 宛名がないため、高額な経費では追加の説明を求められることがある ── 裏面に用途や担当者名をメモしておくとよい

インボイス制度の適格簡易請求書(小売業・飲食店・タクシー等が発行可能)では、宛名の省略が認められています。そのため、登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額が印字されたレシートであれば、インボイスとしても有効です。

経費精算で但し書きなしを補完する方法

再発行もレシートの添付もできない場合、社内で取引内容を補完する方法があります。最も一般的なのが「出金伝票」の作成です。

出金伝票の書き方

出金伝票は、領収書やレシートがない場合に「いつ・どこで・何に・いくら払ったか」を自社で記録するための伝票です。市販の出金伝票用紙に以下の項目を記入します。

出金伝票の記入例
日付:令和〇年〇月〇日 支払先:〇〇株式会社(または店舗名) 勘定科目:消耗品費 摘要:事務用品購入(コピー用紙・ファイル) 金額:3,300円(税込)

出金伝票を使うときの注意点

  • 出金伝票だけでは証拠力が弱い ── 可能な限り、領収書(但し書きなしでも)やクレジットカードの利用明細、銀行の振込控えなどを一緒に添付する
  • 頻繁に使いすぎない ── 出金伝票ばかりの経費精算は、税務調査で「証拠書類の管理が杜撰」と判断されるリスクがある
  • 上長の承認を取る ── 出金伝票には承認欄があるので、必ず上長の確認・押印をもらう

その他の補完手段

  • メモを領収書に添付する ── 「〇月〇日 〇〇店にて事務用品購入」のように、日付・店名・用途を記載したメモを領収書と一緒にファイリングする
  • メール・チャットの記録を保管する ── 取引先とのやり取りで購入内容がわかるメッセージがあれば、印刷して添付する
  • 社内の経費精算システムの備考欄に記入する ── システム上で取引内容を入力できる場合は、必ず記入しておく

いずれの方法も、社内の経費精算規程に従うことが前提です。出金伝票やメモの取り扱いルールは会社によって異なるため、初めて使う場合は経理部門に確認しておくと安心です。

TEMPLEX で領収書を作成する

TEMPLEX では、但し書き入りの領収書PDFを無料で作成できます。但し書き欄にあらかじめ入力できるので、空欄のまま発行してしまうミスを防げます。

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