覚書の割印や契印は必要?押す位置と正しいやり方

覚書の割印は必要?押す位置と正しいやり方

割印の目的

割印(わりいん)とは、2通以上の書面にまたがるように印鑑を押すことです。目的は大きく2つあります。

  1. 改ざん防止 ── 原本を差し替えたり、あとから内容を書き換えたりしても、割印の位置がずれるため不正が分かる
  2. 同一文書の証明 ── 双方が持ち帰った書面が「同じ原本から分かれたもの」であることを物理的に示せる

覚書は通常2通作成して甲乙が1通ずつ保管します。割印を押しておくと、2通の書面が同じタイミングで作られた同一内容の原本であることを、印影の一致で証明できます。のちに一方が「こんな内容ではなかった」と主張しても、割印が改ざんの有無を判断する手がかりになります。

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覚書に割印は必要か

結論から言うと、割印に法的義務はありません。民法にも商法にも「割印を押さなければならない」という規定はなく、割印がなくても覚書の効力に影響はありません。契約は当事者の意思の合致で成立するものであり、割印の有無は成立要件ではないためです。

ただし実務では、覚書の原本を2通作成するなら割印を押すのが一般的です。とくに金額の変更や支払条件の見直しなど、あとで争いになりやすい内容を覚書にする場合は、割印で改ざんリスクを下げておくほうが安全です。押さなくても無効にはなりませんが、「押しておいて損はない」と覚えておけば判断に迷いません。

割印がなくても、署名・押印があれば書面は「真正に成立した文書」と推定されます(民事訴訟法228条4項)。割印は効力を補強する追加の安全策という位置づけです。

割印の押し方と位置

割印は「2通の書面を少しずらして重ね、境目にまたがるように押す」のが基本です。手順は3ステップで済みます。

  1. 覚書2通を上下に少しずらして重ねる(1cmほどずらすと押しやすい)
  2. 上の書面の端と下の書面にまたがる位置に印鑑を押す
  3. 甲の印と乙の印の両方で同じように割印する
割印の押し方と位置
割印の押し方と位置

押す場所は書面の上部(タイトル付近)の余白が一般的です。本文にかかると読みにくくなるため、文字のない余白部分を選んでください。左右どちらに寄せるかの決まりは特になく、余白が広い側に押せば問題ありません。

甲乙それぞれの印鑑で割印を押す理由は、片方の印鑑だけでは「もう一方が差し替えた」と疑われる余地が残るためです。双方の印鑑で割印することで、お互いの原本が同一であることを相互に保証できます。使う印鑑は、覚書本文の署名欄に押したものと同じ印鑑にしてください。

割印がかすれたり位置がずれたりしても、やり直して横に押し直して構いません。失敗した印影に二重線を引く必要はなく、隣に改めて押し直すだけで対応できます。

当事者が3名以上いる場合は、全通を少しずつずらして重ね、境目に全員の印を押す方法と、2通ずつペアにして順番に割印を押す方法があります。通数が多いほどずらして重ねる方法は押しにくくなるため、ペア方式のほうが実務的です。甲乙丙の表記ルールについては下記の記事を参照してください。

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なお、収入印紙にまたがって押す印は消印(けしいん)であり、割印とは目的が異なります。消印は印紙の再使用を防ぐためのもので、割印は文書の同一性を証明するためのものです。覚書の印紙税については下記の記事で詳しく解説しています。

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契印との違い

割印と混同されやすいのが「契印(けいいん)」です。名前は似ていますが、押す目的がまったく違います。

割印(わりいん)契印(けいいん)
何に押すか別々の書面(原本2通など)の境目同じ書面の複数ページの見開き
目的書面同士が同一内容であることの証明ページの差し替え・抜き取り防止
使う場面覚書・契約書を2通作成して各自保管するとき契約書が2枚以上になるとき
割印と契印の違い

ひと言でまとめると、割印は「別の書面同士」の一体性、契印は「同一書面内のページ」の連続性を担保するものです。覚書が1枚で完結し、2通作成するなら必要なのは割印だけです。覚書が複数ページにわたる場合は、割印に加えて契印も押すと万全です。

覚書が複数ページになる場合(契印の押し方)

覚書が2枚以上になるときは、ページの差し替え・抜き取りを防ぐために契印(けいいん)を押します。契印は同一書面内のページの連続性を保証するもので、別の書面同士の同一性を証明する割印とは役割が異なります。契印を押す位置は以下の通りです。

袋とじ(製本テープ)

  1. 表面
  2. 裏面
製本時に契印を押す位置
製本時に契印を押す位置

複数ページの覚書を製本テープや帯で袋とじにし、テープと用紙の境目に契印を押す方法です。これにより各ページへの契印が1箇所で済み、ページの差し替えも防げます。2通作成する場合は、袋とじで各書面内のページ連続性を確保したうえで、2通の境目に割印も押すと万全です。

ホチキス止め+契印

ホチキスで綴じたうえで見開きのページ境目に契印を押す方法もあります。袋とじほど手間はかかりませんが、ホチキスを外して差し替えるリスクが袋とじより高いため、重要な覚書では袋とじのほうが安全です。

ホチキスの場合は見開きページごとに契印を押す
ホチキスの場合は見開きページごとに契印を押す

なお、電子契約であれば割印・契印ともに不要です。電子署名とタイムスタンプによって文書の真正性と非改ざん性がデジタルで保証されるため、物理的な印鑑を押す必要がありません。遠方の相手との覚書や、頻繁に覚書を取り交わす場合は電子契約への切り替えが効率的です。

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TEMPLEXの覚書テンプレート
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