覚書の取り交わし方|手順・郵送・メール依頼の例文

覚書の取り交わし手順
覚書の取り交わしは、大きく分けて6つのステップで完了します。書き方そのものは別記事に譲り、ここでは「できた覚書をどう仕上げて相手と交換するか」の流れに絞って説明します。
- ドラフト作成 — 合意したい内容を条項にまとめ、覚書の原案を作る。タイトル・前文・条項・日付・署名欄を含めた完成形で用意する
- 内容確認・交渉 — ドラフトを相手に送り、条項の追加・修正・削除を協議する。メールや対面で修正を重ね、双方が合意できる最終稿を確定させる
- 製本(2通作成) — 最終稿を2通印刷する。複数ページの場合は袋とじにするか、ページの見開きに契印を押す
- 署名・押印 — 当事者全員が署名または記名し、押印する。法人の場合は代表者の記名と会社実印が一般的
- 割印 — 2通の覚書を少しずらして重ね、またがるように押印する。同一内容の原本であることの証明と改ざん防止が目的
- 各自保管 — 1通ずつ原本を保管する。保管期間は法人で7〜10年が目安(詳細は後述)
※複数ページの綴じ目に押す「契印」とは異なり、割印は2通の独立した文書が同一内容であることを示すために押します。

覚書の割印や契印は必要?押す位置と正しいやり方
覚書に割印は必要か、押す位置・正しいやり方を解説。割印と契印・消印の違い、複数ページの綴じ方まで、実務で迷いやすいポイントをまとめました。
記事を読む対面であればステップ3〜6をその場で済ませられます。遠方の相手と取り交わす場合は、次のセクションの郵送手順を使ってください。
覚書の内容が課税文書に該当する場合は収入印紙を貼ってから署名・押印します。印紙の要否は名称ではなく書面の中身で判定されるため(国税庁タックスアンサーNo.7127)、金額変更や請負の変更を含む場合は事前に確認してください。
収入印紙が必要な場合、印紙代の負担方法は法律で決まっていません。実務では各自が保管する1通分を負担するか、あらかじめ折半を合意しておくのが一般的です。
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郵送で取り交わす場合
対面できない相手とは郵送で取り交わします。一般的な流れは「自分が先に2通とも署名・押印した覚書を送り、相手に署名・押印と割印をしてもらった上で1通を返送してもらう」方法です。
郵送の流れ
- 最終稿を2通印刷し、自分側の署名・押印を済ませる
- 2通とも相手に郵送する(送付状を同封)
- 相手が内容を確認し、2通に署名・押印・割印をする
- 相手が1通を自分で保管し、もう1通を返送する
封筒の書き方・送り方
封筒の表面左下に「覚書在中」と赤字で記載します。郵送方法は簡易書留が標準です。簡易書留は配達記録が残り、5万円までの損害賠償が付くため、契約関連書類の送付に適しています。相手が受け取った事実を公的に証明する必要がある場合は、配達証明を付けるとより確実です。

送付状の例文
覚書に同封する送付状には、同封書類の内容・部数と返送のお願いを明記します。返送用封筒(切手貼付済み)を同封すると相手の手間が減り、返送がスムーズです。
送付状テンプレートをそのまま使いたい場合は、TEMPLEXの送付状テンプレートもあわせてご活用ください。
覚書の取り交わしを依頼するメール例文
ドラフトをメールで送り、締結を依頼する場面の例文です。ドラフトはPDFで添付し、修正がある場合の連絡先と回答期限を明記しておくとやり取りが円滑に進みます。
ドラフト段階では、相手が変更履歴機能を使って直接修正できるWordファイルで送るのが実務上好まれるケースもあります。改ざん防止を優先する場合はPDF、修正箇所を柔軟にすり合わせたい場合はWordでの送付がおすすめです。
ドラフトの段階で正本(署名済み原本)を送らないのがポイントです。内容を確定してから正本を郵送するほうが、修正のたびに署名し直す手間を避けられます。
覚書の取り交わしを依頼された側の対応
相手からドラフトや正本が届いたら、署名・押印の前に以下の点を確認してください。
署名前に確認すべきポイント
- 原契約(がある場合)との整合性 — 変更対象の条項番号・日付が原契約と一致しているか
- 変更内容の正確性 — 協議で合意した金額・期日・条件がドラフトに正しく反映されているか
- 自社に不利な条項がないか — 損害賠償の上限、解除条件、違約金の規定など
- 日付の記載 — 覚書の締結日と適用開始日が正しく設定されているか
- 署名者の権限 — 自社側の署名者が契約締結の権限を持っているか(社内稟議が必要なケースもある)
内容に問題がなければ署名・押印して返送します。修正が必要な場合は、署名せずにまずメールで修正箇所を伝えるのが原則です。一度署名した書面の修正は手間がかかるため、必ず内容を確定してから署名してください。
修正を依頼するメール例文
修正箇所は「どこを」「どう変えたいか」「なぜか」をセットで書くと、やり取りの往復が減ります。複数箇所ある場合は箇条書きで整理してください。
電子署名で取り交わす方法
覚書は電子契約でも締結できます。電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)3条により、電子署名が付された電磁的記録は書面の署名・押印と同等の法的効力を持つと認められています。
電子契約サービスの流れ
- 覚書のPDFをサービスにアップロードする
- 署名欄の位置を指定し、相手のメールアドレスに送信する
- 相手が画面上で内容を確認し、電子署名を行う
- 双方の署名が完了すると、署名済みPDFが自動で双方に保存される
クラウドサイン、GMOサイン、DocuSignなど複数のサービスがあり、いずれも上記の基本的な流れは同じです。
電子契約のメリット
電子契約の最大のメリットは収入印紙が不要な点です。印紙税法上「課税文書の作成」は紙への記録を指すため、電子ファイルのみで完結する契約には印紙税が課されません。金額変更など本来は課税文書に該当する覚書でも、電子契約なら印紙代がかかりません。また、郵送の往復がなくなるため、数日〜数週間かかっていた取り交わしが最短で即日完了します。
電子契約で締結した覚書を印刷して「正本」として使用すると、印刷した紙が課税文書に該当する可能性があります。電子ファイルを原本として保管し、印刷物はあくまで控えとして扱うのが安全です。
なお、社内での確認・保管用にプリントアウトするだけであれば単なるコピー(写し)扱いとなり、課税されません。「正本」や「原本と相違ない」旨を記載して契約当事者に交付する場合に課税対象となります。
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保管方法と保管期間
取り交わした覚書の原本は、原契約書と一緒にファイリングして保管します。紛失や改ざんを防ぐため、コピーを別の場所にも保管しておくと安心です。PDFでスキャンし、電子データとしても残しておけば検索性も上がります。
法律で定められた保管期間
| 区分 | 保管期間 | 根拠法 |
|---|---|---|
| 法人(会社法) | 10年 | 会社法432条・435条 |
| 法人(法人税法) | 7年(欠損金がある年度は10年) | 法人税法施行規則59条 |
| 個人事業主 | 5年(消費税の課税事業者は7年) | 所得税法 |
(出典:会社法432条・435条、法人税法施行規則59条)
法人の場合は会社法の10年を基準にしておけば、法人税法の7年も自動的にクリアできます。起算点は書類の作成日ではなく、確定申告書の提出期限の翌日からです。
なお、覚書の内容が継続中の取引に関するものであれば、保管期間に関係なく取引が終了するまでは破棄しないでください。原契約と覚書はセットで保管しておくことで、契約条件の変更履歴をたどれるようになります。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。







