覚書の書き方|構成・例文テンプレートと注意点

覚書の書き方|構成・例文テンプレートと注意点

覚書とは

覚書は、当事者間の合意内容を書面に残す文書です。契約書を全面的に作り直すほどではない取り決めや、契約前の段階で双方の認識を揃えておきたい場合に使います。法的には契約書と同等の効力を持ち、双方が署名・押印した覚書は裁判でも合意の証拠として扱われます(民事訴訟法228条4項)。念書や契約書との使い分けについては以下の記事で詳しく比較しています。

覚書の例
覚書の例
覚書と契約書の違い|使い分けの判断基準と法的効力
覚書

覚書と契約書の違い|使い分けの判断基準と法的効力

覚書と契約書の法的効力に差はなく、裁判所はタイトルではなく中身で判断します。一覧表で違いを比較し、覚書を使うべき場面・契約書を使うべき場面・覚書の積み重ねリスクと改訂タイミングまで解説。

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念書と覚書の違い|どちらで書くべきかの判断基準と書き換え例文
念書

念書と覚書の違い|どちらで書くべきかの判断基準と書き換え例文

念書と覚書の違いは「署名する人数」です。一方だけが約束を差し入れるなら念書、双方の合意を残すなら覚書。迷ったときの判断基準、同じ内容を念書・覚書それぞれで書いた例文、法的効力と収入印紙の扱いまでまとめました。

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覚書に書くべき6項目

覚書には法律で決まった書式はありませんが、合意の証拠として機能させるために最低限押さえるべき項目が6つあります。これらが揃っていれば、万一トラブルになった際にも合意内容を客観的に証明できます。

覚書に書くべき6項目
覚書に書くべき6項目
  1. タイトル――「覚書」だけでも有効だが、「○○に関する覚書」と内容を示すほうが管理しやすい
  2. 前文(当事者の特定)――「○○(以下「甲」という)と△△(以下「乙」という)は、以下のとおり合意した」のように甲乙を定義する。既存契約がある場合は契約名・締結日も明記する
  3. 合意条項――取り決めの中身を条文形式で記載する。「第1条」「第2条」と番号を振り、1条1項目が基本
  4. 締結文言――「本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する」のような後文
  5. 日付――合意した日または効力発生日を記載する。日付がないと「いつの合意か」を後から立証しづらい
  6. 署名・押印と通数――当事者全員が署名または記名押印し、人数分の原本を作成する。2者間なら2通が基本

署名(自筆で名前を書くこと)と記名押印(印字した名前に押印すること)は法的にはどちらでも有効です。ただし署名のほうが本人確認の証拠力が強いため、重要な合意では署名+押印の併用が安心です。

基本合意の覚書テンプレート

新規の取引条件や共同プロジェクトの役割分担など、ゼロから双方の合意を書面化するときの汎用テンプレートです。条項の数は内容に応じて増減してください。

基本合意の覚書(汎用テンプレート)
覚書 ○○○○(以下「甲」という)と△△△△(以下「乙」という)は、○○○○に関し、以下のとおり合意した。 第1条(目的) 甲と乙は、○○○○を目的として、相互に協力するものとする。 第2条(甲の役割) 甲は、以下の事項を担当する。 (1) ○○○○ (2) ○○○○ 第3条(乙の役割) 乙は、以下の事項を担当する。 (1) ○○○○ (2) ○○○○ 第4条(費用負担) 本覚書に基づく費用は、以下のとおり負担する。 (1) ○○に関する費用は甲の負担とする。 (2) ○○に関する費用は乙の負担とする。 第5条(有効期間) 本覚書の有効期間は、○年○月○日から○年○月○日までとする。 第6条(協議事項) 本覚書に定めのない事項または解釈に疑義が生じた事項は、甲乙誠意をもって協議のうえ解決する。 本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。 ○年○月○日 甲 住所 ○○○○ 氏名 ○○ ○○ 印 乙 住所 ○○○○ 氏名 △△ △△ 印

法人同士の場合は「氏名」を「商号」「代表取締役 ○○ ○○」に置き換え、会社の代表印(丸印)を押します。個人間の覚書の書き方やポイントは以下の記事で詳しく扱っています。

個人間の覚書の書き方|友人・家族・近隣で使える例文
覚書

個人間の覚書の書き方|友人・家族・近隣で使える例文

個人間の覚書も法的に有効です。金銭貸借・騒音トラブル・不動産売買など、友人・家族・近隣住民との取り決めに使える覚書の書き方と例文を紹介。書くべき項目、印紙の要否、念書との使い分けまで。

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秘密保持の覚書テンプレート

商談や業務提携の検討段階で、開示する情報を第三者に漏らさないよう約束する覚書です。正式なNDA(秘密保持契約書)と同等の効力がありますが、短期間の情報交換や規模の小さい取引では覚書形式が使われることもあります。

秘密保持に関する覚書
秘密保持に関する覚書 ○○○○(以下「甲」という)と△△△△(以下「乙」という)は、○○○○の検討(以下「本件」という)に関して相互に開示する情報の取扱いについて、以下のとおり合意した。 第1条(秘密情報の定義) 本覚書における秘密情報とは、本件に関連して甲または乙が相手方に開示する技術上、営業上その他一切の情報をいう。ただし、次の各号に該当するものを除く。 (1) 開示を受けた時点で既に公知であった情報 (2) 開示を受けた後、受領者の責に帰すべき事由によらず公知となった情報 (3) 開示を受ける前から受領者が正当に保有していた情報 (4) 正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく取得した情報 第2条(秘密保持義務) 甲および乙は、相手方から開示された秘密情報を本件の検討以外の目的に使用してはならず、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示または漏洩してはならない。 第3条(情報の返還・廃棄) 甲および乙は、本件の検討が終了したとき、または相手方から請求があったときは、秘密情報を含む資料等を速やかに返還または廃棄する。 第4条(有効期間) 本覚書の有効期間は、締結日から○年間とする。ただし、本覚書の終了後も、第2条の義務はさらに○年間存続する。 第5条(協議事項) 本覚書に定めのない事項は、甲乙誠意をもって協議のうえ解決する。 本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。 ○年○月○日 甲 住所 ○○○○ 氏名 ○○ ○○ 印 乙 住所 ○○○○ 氏名 △△ △△ 印

第1条の除外事由((1)〜(4))は秘密保持契約の定番条項です。これを入れておかないと、すでに知っていた情報まで秘密扱いになり、日常的な業務に支障が出るおそれがあります。秘密保持の有効期間は1〜3年が一般的です。契約終了後も一定期間(残存期間)秘密保持義務を存続させる条項を設定しておくと安心です。

業務委託変更の覚書テンプレート

既存の業務委託契約の一部(報酬額・作業範囲など)を変更するときの覚書です。原契約の契約名・締結日・変更する条文番号を正確に引用するのがポイントです。

業務委託契約の一部変更に関する覚書
業務委託契約の一部変更に関する覚書 ○○○○(以下「甲」という)と△△△△(以下「乙」という)は、甲乙間で○年○月○日付にて締結した業務委託契約書(以下「原契約」という)の一部を、以下のとおり変更することに合意した。 第1条(変更内容) 原契約第○条に定める業務委託料を以下のとおり変更する。 (変更前)月額 ○○○,○○○円(税別) (変更後)月額 ○○○,○○○円(税別) 第2条(適用開始日) 前条の変更は、○年○月○日より適用する。 第3条(その他) 本覚書に定めのない事項については、原契約の定めに従う。 本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。 ○年○月○日 甲 住所 ○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 印 乙 住所 ○○○○ 代表取締役 △△ △△ 印

金額変更・期間延長・担当者変更など、変更パターン別の例文を以下の記事でさらに詳しく紹介しています。

契約変更の覚書の書き方|金額・期間・業務範囲の例文テンプレート
覚書

契約変更の覚書の書き方|金額・期間・業務範囲の例文テンプレート

契約書を作り直さずに条件だけ変更できる覚書の書き方。金額変更・契約期間延長・業務範囲変更・支払条件変更・担当者変更の5パターンの例文テンプレートをコピーしてすぐ使えます。

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覚書を書くときの注意点

形式が整っていても、内容面で落とし穴があると覚書の効果が薄れます。とくに多いのが次の3点です。

曖昧な表現を避ける

「速やかに」「適切に」「必要に応じて」といった表現は、当事者ごとに解釈が分かれます。期限は日付、金額は数字、対象は固有名詞で特定するのが鉄則です。たとえば「速やかに対応する」は「○年○月○日までに対応する」、「適切な金額を支払う」は「金○○○,○○○円を支払う」と書き換えてください。

原契約との関係を明示する

既存契約を変更する覚書では、前文に原契約の正式名称・締結日・変更する条文番号を正確に記載してください。これが曖昧だと「どの契約のどの部分を変更したのか」が不明確になり、覚書の意味がなくなります。また「本覚書に定めのない事項は原契約の定めに従う」の一文を入れておくことで、変更していない部分は従来どおり有効であることを明確にできます。

通数・保管のルール

覚書は当事者の人数分の原本を作成し、各自が1通ずつ保管するのが原則です。原本が1通しかないと、手元に控えがない側は合意内容を確認できないだけでなく、改ざんリスクも高まります。後文に「本書○通を作成し、各1通を保有する」と明記しておきましょう。覚書が2枚以上になる場合は、ページの綴じ目に両者の契印を押すと改ざん防止になります。

覚書の割印は必要?押す位置と正しいやり方
覚書

覚書の割印や契印は必要?押す位置と正しいやり方

覚書に割印は必要か、押す位置・正しいやり方を解説。割印と契印・消印の違い、複数ページの綴じ方まで、実務で迷いやすいポイントをまとめました。

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電子契約サービスを利用して覚書を締結する場合、原本は電子データとなるため押印は不要です。また、課税文書に該当する内容であっても、電子データには収入印紙が不要になります(出典:国税庁「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」)。

覚書の内容によっては収入印紙が必要になるケースがあります。「覚書だから印紙は不要」は誤りで、印紙税は文書のタイトルではなく記載内容で課税の有無が決まります(国税庁タックスアンサーNo.7127)。印紙が必要なケースや金額の詳細は以下の記事で解説しています。

覚書に収入印紙は必要?金額一覧と4000円のケース
覚書

覚書に収入印紙は必要?金額一覧と4000円のケース

覚書に収入印紙が必要かどうかは文書の名称ではなく記載内容で決まります。課税・非課税の具体シーン、第1号・第2号・第7号文書の印紙税額一覧、4000円になるケース、電子覚書の非課税根拠、貼り忘れの過怠税まで解説。

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TEMPLEX覚書テンプレートを使えば、フォームに入力するだけで覚書のPDFが完成します。登録不要・無料で何度でもダウンロードできるので、まずは上の例文をアレンジして試してみてください。

TEMPLEXの覚書テンプレート
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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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