覚書に収入印紙は必要?金額一覧と4000円のケース

覚書に収入印紙は必要?金額一覧と4000円のケース

覚書に印紙が必要かは「中身」で決まる

結論から言うと、覚書に収入印紙が必要かどうかはタイトルではなく、書かれている内容で決まります。国税庁は「文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行います」と明記しています(出典:国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。

つまり「覚書」というタイトルだから印紙が要る・要らないという判定はできません。覚書の中身が印紙税法別表第1に定められた20種類の課税文書のいずれかに該当すれば課税、どれにも当たらなければ非課税です。覚書で特に関係しやすいのは、第1号文書(金銭消費貸借や不動産譲渡に関する契約)、第2号文書(請負に関する契約)、第7号文書(継続的取引の基本となる契約)の3つです。

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課税文書になる覚書・ならない覚書

覚書は既存契約の条件変更や新たな合意をまとめる文書として使われます。契約内容を変更する覚書は、変更する事項が「重要な事項」に該当するかどうかで課税・非課税が分かれます(出典:国税庁 No.7127 契約内容を変更する文書)。「重要な事項」は印紙税法基本通達別表第2で文書の号ごとに定められています。

課税文書になる覚書の例

覚書の内容該当する号理由
請負代金・委託料の金額変更第2号文書請負契約の契約金額は重要な事項
売買単価や支払方法の変更第1号または第7号文書売買契約・継続的取引契約の金額条件は重要な事項
金銭消費貸借の利率・返済方法の変更第1号文書消費貸借契約の利率・弁済方法は重要な事項
工事請負契約の支払方法の変更第2号文書代金支払方法は請負契約の重要な事項
継続的取引の基本契約の新規締結第7号文書取引基本契約書そのものが課税対象
課税文書になる覚書の例
課税文書になる覚書の例

課税文書にならない覚書の例

覚書の内容非課税の理由
秘密保持契約(NDA)の締結・変更20種類の課税文書のいずれにも該当しない
業務委託の担当者・連絡先の変更担当者は重要な事項に含まれない
損害賠償金の支払いに関する合意金銭による損害賠償は課税文書に該当しない
解約日の確認だけの覚書契約条件の変更を伴わない事実確認は課税対象外

迷ったときは「この覚書で変わる中身は、元の契約書が該当する号の重要な事項に当たるか?」を基準に判断します。重要な事項の一覧は国税庁の印紙税法基本通達別表第2で確認できます。

印紙税額の一覧表

覚書が課税文書に該当した場合の印紙税額は、該当する号と記載金額で決まります。覚書で特に関係する第1号・第2号・第7号文書の税額をまとめました。

第1号文書(不動産譲渡・金銭消費貸借等の契約書)

記載金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上 10万円以下200円
10万円超 50万円以下400円
50万円超 100万円以下1,000円
100万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下1万円
1,000万円超 5,000万円以下2万円
5,000万円超 1億円以下6万円
1億円超 5億円以下10万円
5億円超 10億円以下20万円
10億円超 50億円以下40万円
50億円超60万円
金額記載なし200円

第2号文書(請負に関する契約書)

記載金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下1,000円
300万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下1万円
1,000万円超 5,000万円以下2万円
5,000万円超 1億円以下6万円
1億円超 5億円以下10万円
5億円超 10億円以下20万円
10億円超 50億円以下40万円
50億円超60万円
金額記載なし200円

第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)

文書の種類印紙税額
継続的取引の基本となる契約書(契約期間3か月超または更新の定めあり)4,000円
出典:国税庁 No.7140・No.7141 印紙税額の一覧表

(出典:国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表(その2)

不動産の譲渡に関する契約書(第1号文書の1)や建設工事の請負に関する契約書(第2号文書)で記載金額が一定額を超える場合は、令和9年(2027年)3月31日まで印紙税の軽減措置が適用され、上記の表より税額が安くなります(出典:国税庁タックスアンサーNo.7108国税庁タックスアンサーNo.7140)。覚書であっても、追加工事や不動産条件の変更など内容が該当すれば軽減の対象です。

金額変更の覚書では、増額の場合は「増加額」が記載金額になります。たとえば月額50万円を60万円に変更する覚書なら、記載金額は差額の10万円です。一方、減額の覚書は、元の契約が明記されていれば記載金額なしとして扱われ、印紙税は200円です(出典:国税庁 No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額)。

「4,000円」の覚書印紙とは

「覚書であれば収入印紙4,000円」と認識されている方も多いかと思いますが、第7号文書=継続的取引の基本となる契約書に該当するケースです。第7号文書は記載金額に関係なく一律4,000円と定められています(出典:国税庁 No.7104 継続的取引の基本となる契約書)。

具体的には、特定の相手方との間で継続的に発生する取引について、基本的な取引条件(目的物の種類・取扱数量・単価・対価の支払方法・損害賠償方法・再販売価格のうち1つ以上)を定める契約書が該当します。売買取引基本契約書、代理店契約書、業務委託基本契約書、銀行取引約定書などが典型例です。

覚書が4,000円になるのは、こうした継続的取引の基本契約を新たに締結するとき、または基本契約の重要な事項を変更するときです。たとえば、売買基本契約の支払方法や単価を変更する覚書は第7号文書として4,000円の印紙が必要になります。

ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めがない場合は第7号文書からは除外されます。ただし、その覚書の中に請負金額や売買代金などが記載されていれば、第1号文書や第2号文書として課税される可能性があるため、内容の確認が必要です。

電子覚書なら印紙不要

覚書をPDFやメールなど電子データでやり取りする場合、印紙税はかかりません。印紙税法上の「課税文書の作成」とは、紙の用紙に課税事項を記載して交付する行為を指します。電磁的記録(電子データ)は紙の文書ではないため、課税文書の作成には当たりません。

国税庁も「注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しない」と公式に回答しています(出典:国税庁 電磁的記録に関する印紙税の取扱い)。この見解は覚書にも同様に当てはまります。

ただし注意点が1つあります。電子データを印刷して紙に改めて署名・押印し、紙の書面として締結した場合は課税対象です。印刷だけなら問題ありませんが、紙を原本として扱う場合は印紙が必要になります。

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印紙を貼り忘れたらどうなる

課税文書に印紙を貼らなかった場合、本来の印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます。正確には「納付しなかった印紙税の額+その2倍の金額」で、合計が本来額の3倍です(出典:国税庁 No.7131 印紙税を納めなかったとき)。

たとえば4,000円の印紙が必要な第7号文書の覚書に貼り忘れた場合、過怠税は12,000円です。ただし、税務調査の前に自分から税務署に「貼り忘れた」と申し出れば、過怠税は本来額の1.1倍に軽減されます(4,000円の場合は4,400円)。

また、印紙を貼ったのに消印(割り印)を忘れた場合は、消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が別途かかります。

一方で、印紙の貼り忘れは税金の問題であって、覚書そのものの法的効力には影響しません。印紙が貼られていなくても、当事者間の合意としては有効です。ただし過怠税のリスクがあるため、課税文書に該当する覚書を作成したら速やかに印紙を貼って消印してください。

覚書を2通作成して各1通を保管する場合、印紙税法上は作成者全員が連帯して納税義務を負います印紙税法3条2項)。実務では各自が保管する1通分の印紙代を負担するか、あらかじめ折半を合意しておくのが一般的です。

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