社名変更の覚書の書き方|取引先への通知と例文テンプレート

社名変更の覚書の書き方|取引先への通知と例文テンプレート

社名変更で覚書が必要になる理由

会社の商号を変更しても法人格は同一のままなので、既存の契約はすべてそのまま有効です。法律上、覚書を締結する義務はありません。しかし実務では、契約書に記載された旧社名と登記上の新社名が食い違ったまま放置されると、請求書や領収書の名義不一致が起きたり、相手方の社内で契約管理ができなくなるケースがあります。

こうしたトラブルを防ぐために、契約の当事者表記を新社名に読み替える覚書を交わしておくのが一般的です。覚書で確認しておくべき要点は次の3つです。

  • 旧社名から新社名への変更の事実と変更日
  • 既存契約における旧社名の表記を新社名に読み替えること
  • 社名変更以外の契約条件は一切変更しないこと

特に取引先が多い場合は、1社ずつ覚書を締結するだけでなく、社名変更のお知らせ(通知文)を送り、覚書の締結を依頼する流れが効率的です。通知文のテンプレートもこの記事の後半で紹介します。

取引先が数百社に及ぶ場合など、すべてと覚書を取り交わすのが困難なケースでは、社名変更の通知書を送付するのみに留める実務運用も少なくありません。法的にも商号変更で法人格は変わらないため、通知だけでも契約関係は維持されます。自社の取引規模に合わせて判断しましょう。

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社名変更覚書のテンプレート

既存の契約1本に対して、旧社名を新社名に読み替える覚書です。ポイントは、社名変更以外の条件は変更しないことを明記すること。これにより、覚書の範囲が社名の読替えだけであることが明確になります。

社名変更覚書のテンプレート
社名変更覚書のテンプレート
社名変更の覚書(1契約ずつ対応する場合)
覚書 株式会社○○(以下「甲」という)と株式会社△△(以下「乙」という)は、甲乙間で2025年○月○日付にて締結した○○業務委託契約書(以下「原契約」という)に関し、下記のとおり合意した。 記 第1条(商号変更) 甲は、2026年○月○日をもって商号を「株式会社○○」から「株式会社□□」に変更した。 第2条(読替え) 原契約において「株式会社○○」とあるのは、前条の商号変更日以降「株式会社□□」と読み替えるものとする。 第3条(その他の条件) 本覚書に定めるほか、原契約の条項はすべて従前のとおり有効に存続するものとし、社名変更を理由とする契約内容の変更は一切行わない。 本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。 2026年○月○日 甲 住所 ○○県○○市○○町1-2-3 株式会社□□(旧商号 株式会社○○) 代表取締役 ○○ ○○ 印 乙 住所 ○○県○○市○○町4-5-6 株式会社△△ 代表取締役 △△ △△ 印

甲の署名欄には「旧商号」を併記しておくと、原契約の当事者と同一であることが一目で分かります。なお、代表印は新社名のものを使用してください(法務局に届出済みの印鑑)。

テンプレートは自社(甲)が社名変更した例ですが、取引先(乙)が社名変更した場合は、第1条を「乙は、○年○月○日をもって商号を○○株式会社から△△株式会社に変更した」に書き換えてご利用ください。覚書の発行元(甲)は自社名のままで問題ありません。

複数の契約を一括で対応する包括覚書のテンプレート

同じ取引先と複数の契約を交わしている場合、1契約ずつ覚書を作成するのは非効率です。対象契約を別紙リストにまとめ、1通の覚書で一括処理する包括覚書を使えば、取引先の負担も最小限に抑えられます。

包括覚書(複数契約を一括で処理する場合)
覚書 株式会社○○(以下「甲」という)と株式会社△△(以下「乙」という)は、甲乙間で締結した別紙記載の各契約(以下総称して「対象契約」という)に関し、下記のとおり合意した。 記 第1条(商号変更) 甲は、2026年○月○日をもって商号を「株式会社○○」から「株式会社□□」に変更した。 第2条(読替え) 対象契約において「株式会社○○」とあるのは、前条の商号変更日以降「株式会社□□」と読み替えるものとする。 第3条(その他の条件) 本覚書に定めるほか、対象契約の各条項はすべて従前のとおり有効に存続するものとし、社名変更を理由とする契約内容の変更は一切行わない。 本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。 2026年○月○日 甲 住所 ○○県○○市○○町1-2-3 株式会社□□(旧商号 株式会社○○) 代表取締役 ○○ ○○ 印 乙 住所 ○○県○○市○○町4-5-6 株式会社△△ 代表取締役 △△ △△ 印 (別紙)対象契約一覧 番号 / 契約名 / 締結日 1 / ○○業務委託契約書 / 2024年○月○日 2 / ○○売買基本契約書 / 2025年○月○日 3 / 秘密保持契約書 / 2025年○月○日

別紙の契約リストには、契約名と締結日を最低限記載してください。契約番号を付けている場合はそれも加えると、対象契約の特定がより確実になります。契約が多い場合は、リストを事前に相手方に確認してから覚書に添付すると、漏れや認識違いを防げます。

取引先への社名変更通知文テンプレート

取引先に社名変更を知らせると同時に、覚書の締結を依頼する案内文のテンプレートです。覚書2通を同封して郵送し、1通に記名押印のうえ返送してもらう流れが一般的です。

社名変更のお知らせ+覚書締結の依頼文
2026年○月○日 株式会社△△ ○○部 ○○ ○○ 様 株式会社□□(旧商号 株式会社○○) 代表取締役 ○○ ○○ 社名変更のお知らせおよび覚書締結のお願い 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、弊社は2026年○月○日をもちまして、商号を下記のとおり変更いたしましたので、ご案内申し上げます。 旧商号:株式会社○○ 新商号:株式会社□□ なお、商号の変更のみであり、代表者・所在地・事業内容・お取引条件等に変更はございません。 つきましては、貴社との既存契約における当事者名の表記を更新するため、覚書を2通同封いたしました。ご多用のところ恐れ入りますが、内容をご確認のうえ、1通にご記名・ご押印いただき、同封の返信用封筒にてご返送くださいますようお願いいたします。 お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 敬具 【同封書類】 1. 覚書 2通 2. 返信用封筒 1通 【本件に関するお問い合わせ先】 株式会社□□ 管理部 担当:○○ 電話:03-0000-0000 メール:○○@○○.co.jp

通知文のポイントは、社名以外は何も変わらないことを明記する点です。代表者・所在地・取引条件が変わらないとはっきり書いておくことで、取引先に余計な不安を与えずに済みます。代表者や所在地も同時に変わる場合は、その旨も通知文に追記してください。

覚書はすでに自社側の記名押印を済ませた状態で2通を同封すると、相手方は署名・押印して1通を返送するだけで完了します。返送までの期限(2週間程度)を通知文に添えておくと、対応を後回しにされにくくなります。

社名変更と収入印紙

結論から言うと、社名変更だけの覚書には収入印紙は不要(非課税)です。

覚書が印紙税の課税対象になるかどうかは、原契約と同じ号の「重要な事項」を変更しているかで決まります(国税庁タックスアンサーNo.7127)。「重要な事項」は印紙税法基本通達の別表第2に列挙されていますが、契約当事者の名称(商号)はいずれの文書の号においても重要な事項に該当しません。つまり、社名の読替えだけを定めた覚書は課税文書に当たらないため、印紙を貼る必要はありません。

ただし注意が必要なのは、社名変更を機に契約金額や支払条件も一緒に見直す場合です。金額・支払方法・履行期間などは別表第2に列挙された重要な事項に該当するため、社名変更と金額変更を1通の覚書にまとめると課税文書になる可能性があります。印紙税額は変更後の記載金額に応じて決まります。

社名変更のタイミングで契約条件も変更したい場合は、社名変更の覚書と条件変更の覚書を別々に作成すると、社名変更のほうは非課税のまま処理できます。条件変更のほうだけ印紙税の要否を判断すれば済むため、事務処理もシンプルになります。

なお、単なる商号変更ではなく、合併事業譲渡に伴って契約の当事者自体が別の法人に変わる場合は、「当事者の変更」という重要な事項の変更に該当し、収入印紙が必要になることがあります。商号変更と当事者変更は税務上の扱いが異なるため注意してください。

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TEMPLEX覚書テンプレートを使えば、フォームに入力するだけで覚書のPDFを登録不要・無料でダウンロードできます。社名変更の覚書を用意したら、取引先へのお知らせと一緒に早めに送付しておきましょう。

TEMPLEXの覚書テンプレート
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