不倫・浮気の念書の書き方|夫婦間での効力とそのまま使える例文

浮気の念書に書かせるべき内容
配偶者の浮気が発覚し、離婚はせずにやり直すと決めたとき、口約束だけで済ませるのは避けてください。本人に不貞の事実を認めさせた念書は、万一また裏切られたときの慰謝料請求や離婚で強力な証拠になります。書かせる過程そのものが「次はない」という心理的な歯止めにもなります。
念書に入れさせたい項目は次の5つです。なかでも重要なのは、「いつから・誰と・どのような関係だったか」を特定して認めさせることです。「異性と親しくしすぎた」のような曖昧な表現では、後から「肉体関係はなかった」と争われる余地が残ります。
- 不貞の事実の自認:時期・相手の氏名・不貞行為(肉体関係)があったことを特定して認める。
- 謝罪:配偶者に対する謝罪の言葉を本人の言葉で入れる。
- 関係解消と接触禁止:不倫相手との関係をすでに解消したこと、今後一切連絡・接触しないこと。
- 再発防止の約束:不倫相手に限らず、配偶者以外の者と不貞行為をしないこと。
- 違反した場合の取り決め:違反したら直ちに離婚に応じる、慰謝料として金○○万円を支払う、など。
末尾の日付と署名は必ず本人の自筆にしてください。本文まで全文自筆で書かせると、「書かされた覚えはない」という言い逃れを防ぎやすくなります。パソコンで作成する場合も、氏名だけは自筆で署名させ、押印をもらいます。また、脅すような形ではなく冷静な状態で書かせることも大切です。無理に書かせた念書は後から取り消されるリスクがあります(詳しくは記事の後半で説明します)。
スポンサーリンク
そのまま使える浮気の念書の例文
5つの項目を押さえたフル版と、その場で便箋などに手書きさせる最低限版の2つを用意しました。氏名・日付・金額を実際の内容に置き換えて使ってください。

違反した場合の条項は、実情に合わせて「直ちに離婚に応じる」だけ、「慰謝料を支払う」だけにしてもかまいません。ただし金額を書く場合、相場とかけ離れた高額は無効・減額と判断される恐れがあります(次のセクションで説明します)。
「直ちに離婚に応じる」という条項は強い心理的な歯止めになりますが、離婚は届出の時点で双方の意思が必要なため、この一文だけで離婚を強制できるわけではありません。実際に違反があったときは、念書を証拠として離婚調停・裁判を進める際の材料になります。
宛名は配偶者(自分)の氏名にし、書かせた原本は自分の手元で保管します。念書という書類そのものの基本の書き方や効力は、次の記事で詳しく扱っています。

念書とは?法的効力と書き方|無効になるケースと効力の高め方
念書とは、約束した内容や認めた事実を差入人が署名押印して相手に渡す書類です。証拠としての法的効力、署名押印による推定、強制執行できない限界、効力のある書き方と例文、無効になるケース、公正証書で強める方法までまとめました。
記事を読む浮気の念書の法的効力はどこまである?
まず限界から押さえておくと、念書を書かせただけでは、慰謝料の支払いなどを強制執行(差押え)することはできません。念書は当事者が作る私文書なので、約束を破られたときは、最終的に調停や裁判で請求し、認められて初めて差押えに進めます。
それでも浮気の場面で念書の価値が大きいのは、本人が不貞を自認した書面が、後の慰謝料請求や離婚調停で有力な証拠になるからです。メッセージの履歴や写真といった証拠を集めるのが難しいケースでも、自認した念書が1枚あれば、不貞の立証は大きく前進します。
違約金や慰謝料の金額にも注意が必要です。不貞行為の慰謝料は、離婚しない場合で50万〜100万円程度、離婚に至った場合で150万〜300万円程度(中心は150万〜200万円)が一般的な目安とされます。これと大きくかけ離れた高額の違約金を書かせても、公序良俗(民法90条)に反するとして無効や減額と判断される恐れがあります。金額を入れるなら、この相場観を意識してください。
不倫相手にも別途慰謝料を請求する予定がある場合は、ひとつ注意があります。配偶者と不倫相手は浮気について法律上連帯して責任を負うため、不倫相手だけに支払わせると、不倫相手から配偶者へ負担分の支払いを求められる可能性があります(求償といいます)。不倫相手側に書かせる誓約書では、この求償権の放棄を盛り込むのが一般的です。不倫相手への請求まで考えている場合は、全体の進め方を弁護士に相談してから動くことをおすすめします。
「夫婦間の契約は取り消せる」(民法754条)の心配は不要になった
「夫婦間の約束は後から取り消せるから、念書を書かせても無駄」という解説を見かけた方もいるかもしれません。かつての民法754条が、夫婦間の契約は婚姻中いつでも一方から取り消せると定めていたためです。しかし、民法754条は2026年4月1日施行の民法改正(令和6年法律第33号)で削除されました。現在は、夫婦間の契約だからという理由で念書を一方的に取り消す制度そのものが存在しません。
つまり、これから書かせる夫婦間の念書に、取消しの心配はありません。改正前に交わした念書についても、施行後は新たに取り消すことはできないと解説されています。また削除前の時代でも、最高裁昭和42年2月2日判決が「婚姻関係が実質的に破綻した後の取消しは認めない」としており、念書が本当に必要になる場面では取消しは機能しませんでした。
さらに、仮に約束部分の効力が争われたとしても、不貞の事実を認めた部分は「事実の記録」なので、後から消すことはできません。証拠としての価値はそのまま残ります。古い情報を理由に念書をあきらめる必要はありません。
違約金の額や条項の有効性に不安がある場合や、相手が作成を強く拒んで話がこじれそうな場合は、離婚・男女問題を扱う弁護士に相談すると、状況に応じた書面の形を提案してもらえます。
より確実にしたいとき|誓約書・公正証書という選択肢
接触禁止や違約金などの条件をきちんと整理して約束させたい場合は、念書よりも条項立ての誓約書形式が向いています。条項の決め方や書かせ方は、次の記事で詳しく扱っています。

不倫誓約書の書き方と効力|必須条項・違約金の決め方・例文テンプレート
配偶者の不倫・浮気の再発防止に書かせる不倫誓約書の作り方。必須4条項(不貞の事実の自認・接触禁止・違約金・誠実義務)、「夫婦間の契約は取り消せる」の心配が不要になった理由、違約金の相場、公正証書化まで、そのまま使える例文つきでまとめました。
記事を読む金銭の約束の実効性を最大限高めたいなら、念書や誓約書の内容を強制執行認諾文言付きの公正証書にする方法があります。公証役場で作成する公文書で、約束が破られたときに裁判を経ずに給与などの差押えを申し立てられます。
書かせ方にも注意してください。脅したり長時間問い詰めたりして無理に書かせた念書は、強迫を理由に取り消されるリスクがあります。冷静に話せる場で、内容を本人に理解させたうえで署名させることが、結果的に念書の効力を守ります。
話し合いの結果、再構築ではなく離婚に進むことになった場合は、書面に残すべき内容が養育費・慰謝料・財産分与へと変わります。その場合は次の記事を参照してください。

離婚の念書に効力はある?養育費・慰謝料を念書だけで残すリスクと公正証書
養育費・慰謝料・財産分与の約束を念書で残して大丈夫か不安な方へ。念書と離婚協議書・公正証書の違い、強制執行できない念書が役立つ場面と例文、2026年4月施行の改正民法による請求期限の延長までまとめました。
記事を読む浮気の念書をTEMPLEXで作成する

念書を整った書式で作るなら、TEMPLEXの不倫・夫婦の念書テンプレートが使えます。この記事のフル版・手書き用の最低限版の例文を収録しており、フォームで氏名や金額を書き換えるだけでA4の念書PDFを登録不要・無料でダウンロードできます。本文は自由に書き換えられるので、夫婦の実情に合わせて調整して印刷できます。
印刷した念書に本人の自筆で署名・押印させれば完成です。全文を自筆で書かせたい場合も、印刷した例文を手本として見せながら書かせると、必要な項目の抜け漏れを防げます。
スポンサーリンク
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。







