家賃滞納の督促状・文例|初回・再督促・連帯保証人宛・契約解除予告まで

家賃督促の段階|電話→督促状→催告書→契約解除予告
家賃が振り込まれないとき、いきなり強い書面を送るのではなく、「電話・口頭 → 督促状 → 催告書(内容証明)→ 契約解除の予告」と段階を踏むのが基本です。最初の数日は単なる振込忘れや残高不足のことも多く、いきなり高圧的に出ると、その後の入居者との関係や明渡し交渉をかえってこじらせます。一方で、口頭の連絡だけを繰り返しても回収は進まず、後で法的手続きに移るときの証拠も残りません。
| 段階 | 目安の時期 | 手段とねらい |
|---|---|---|
| ①電話・口頭 | 支払日の翌日〜3日後 | 電話・訪問(振込忘れの確認。相手を責めず事実だけ伝える) |
| ②督促状(初回) | 1週間〜10日後 | 普通郵便(未入金の事実と支払いのお願い。柔らかめ) |
| ③再督促状 | 2週間〜1か月後 | 普通郵便(支払期限を明示。連帯保証人への連絡を予告) |
| ④催告書 | 滞納2〜3か月 | 内容証明郵便(期限を切って催告。契約解除の前提となる) |
| ⑤契約解除の予告 | 催告にも応じない | 内容証明郵便(期限内に支払わなければ契約を解除する旨を通知) |
督促状を送る前に、まず自社(自分)側を確認します。口座への入金が本当に確認できていないか、振込先や引き落とし口座の案内に誤りがなかったか、過去の前家賃・敷金との相殺漏れがないか――この3点を確かめてから督促に入ると、行き違いによる無用なトラブルを防げます。
「督促状」と「催告書」は段階が違います。督促状は支払いを促す書面、催告書は契約解除など法的効果を前提に「期限を切って催告する」書面です。後半で触れるとおり、家賃滞納で契約を解除するには、この催告書を経るのが原則です。督促・催促・催告の使い分けや、催告書そのものの書き方は次の記事で詳しく解説しています。

督促・催促・催告の違い|催促状・督促状・催告書の使い分け早わかり
督促と催促と催告の違いを比較表で即答。催促=穏便に促す、督促=正式に強く求める、催告=法的効果を伴う最終警告という温度差を、催促状・督促状・催告書という3つの書類の違いと、どの段階でどれを送るかのフローまで整理しました。
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催告書とは?督促状との違い・法的効果と書き方・例文
催告書(催告状)とは何か、督促状との違いを「法的効果の有無」から端的に解説。時効の完成猶予・契約解除の前提という2つの効果、記載項目、そのままコピーできる例文、内容証明で送る理由までまとめました。
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初回の督促状の文例(普通郵便・柔らかめ)
滞納から1週間〜10日ほどの初回は、督促というより「行き違いかもしれませんが」という確認のトーンに徹します。物件名・部屋番号・滞納している月・金額を必ず明記し、入居者がすぐ照合できるようにします。この段階では支払期限を厳しく区切らず、思い出してもらうつもりで送るのが角を立てないコツです。

再督促状の文例(支払期限を明示)
初回で反応がない場合は、支払期限を具体的な日付で区切り、応じない場合は連帯保証人へ連絡する旨を予告します。滞納が複数月にわたるときは、対象月と合計額を一覧にして「いくら滞納しているか」を明確に示します。期限を切らない督促は先送りされやすく、後で催告書や法的手続きに進む際の「催促した事実」も残りにくくなります。

連帯保証人宛の督促状の文例
入居者本人が応じないときは、連帯保証人に直接請求できます。連帯保証人には「まず本人に請求してほしい」と求める催告の抗弁権(民法452条)も、「本人に財産があるから先に取り立ててほしい」と求める検索の抗弁権(民法453条)もないため、本人と並んで直接の支払義務を負います(民法454条・e-Gov)。保証人宛の書面でも、物件名・部屋番号・滞納月・金額は本人宛と同じく明記します。

請求できる金額には上限があるかもしれません。2020年4月1日施行の改正民法で、個人が連帯保証人になる賃貸借(個人根保証契約)は、契約書に「極度額」(保証人が負う上限額)を定めていないと保証契約そのものが無効になります(民法465条の2/法務省「2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります」)。2020年4月以降に結んだ・更新した契約で極度額の定めがあるなら、保証人へ請求できるのはその額が上限です。契約書を確認してから請求しましょう。
契約解除予告付きの催告書の文例(内容証明)
滞納が長期化し、督促に応じない場合は、「期限内に支払わなければ契約を解除する」と通知する催告書を、内容証明郵便で送る段階に進みます。後述のとおり家賃滞納での契約解除は催告を経るのが原則で、この書面が「催告した事実」と到達日を客観的に残す証拠になります。文面はあくまで事実と期限を淡々と書き、威圧的にしすぎないことが大切です。

高額・長期の滞納や、相手と争いになりそうなケースでは、解除通知を出す前に弁護士へ相談するのが安全です。解除が有効かどうか(後述の信頼関係の破壊があるか)は個別の事情で変わり、文面の作り方も結果を左右します。内容証明の出し方そのものは郵便局や弁護士に確認してください。
この文例をそのまま紙で持ち込むと、字数・行数制限ではねられることがあります。紙の内容証明は1枚に書ける字数・行数が決まっており、縦書きは1行20字以内・1枚26行以内、横書きは「1行20字×26行」「1行13字×40行」「1行26字×20行」のいずれかに収める必要があります(日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」)。一方、Word文書で差し出せる電子内容証明(e内容証明)はこの字数制限が緩く、長文でも送りやすくなっています(日本郵便「e内容証明」)。書式の詳細は内容証明の案内ページをご確認ください。
契約を解除するのは簡単ではない|信頼関係破壊の法理
督促状を送って解除を予告しても、短い滞納だけで賃貸借契約を解除することは原則できません。賃貸借は当事者の信頼関係を基礎とする継続的な契約であるため、判例上、「信頼関係が破壊された」と言える程度の事情がなければ解除は認められない(信頼関係破壊の法理)という考え方が確立しています(弁護士法人ポート「家賃滞納による賃貸借契約の解除」)。
そのため、1か月程度の滞納では信頼関係が破壊されたとは認められにくく、契約解除はできないのが通常です。実務上は、おおむね家賃3か月分以上の滞納があり、催告したのに支払わない、という事情があってはじめて解除が認められるケースが多いとされています(吉川綜合法律事務所「家賃滞納の期間がどのくらいあれば解除できますか」)。あくまで目安で、滞納の経緯や入居者の対応など個別事情で判断が変わる点に注意してください。
賃貸借契約には、賃借人を保護する借地借家法という特別法があり、賃借人に不利な特約は無効になる規定(片面的強行規定)が多く置かれています。「1か月でも滞納したら無催告で解除できる」といった特約があっても、信頼関係が破壊されていなければ、その特約どおりの解除は認められないのが実務です。督促状で解除をちらつかせても、すぐ追い出せるわけではないことを前提に進めましょう。
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鍵交換・荷物撤去などの「自力救済」は違法
滞納が続くと「鍵を替えて入れないようにする」「部屋の荷物を運び出す」といった対応を考えがちですが、裁判所の手続きを経ずに貸主が実力で部屋を取り戻す行為(自力救済)は、法律上原則として禁止されています。最高裁も、私力の行使は原則として法の禁止するところであり、緊急やむを得ない特別の事情がある場合にのみ例外的に許されるとしています(最高裁昭和40年12月7日判決)。
具体的には、入居者に無断での鍵交換、室内への無断立ち入り、荷物の撤去・処分、電気・ガス・水道の供給停止などは、不法行為(民法709条)として損害賠償の対象になります。場合によっては住居侵入罪(刑法130条)など刑事責任を問われることもあります。実際に、貸主が無断で鍵を交換して入居者を閉め出した事案で不法行為が認められ、損害賠償(慰謝料)が命じられた裁判例もあります(いえらぶパートナーズ「自力救済とは」)。
部屋を明け渡してもらうには、契約解除のうえ建物明渡しの訴訟・強制執行という正規の手続きが必要です。滞納にいら立って自力で追い出すと、回収どころか逆に貸主が高額の賠償を負うことになりかねません。督促状で解決しないときは、感情的に動かず弁護士へ相談しましょう。
解除通知を送っても出ていかないとき|明渡しまでの流れ
契約を解除しても、入居者が任意に出ていかない場合、貸主が自分で追い出すことはできません(自力救済の禁止)。明渡しを実現するには、裁判所に建物明渡請求訴訟を起こして勝訴判決(債務名義)を得たうえで、その判決をもとに執行官による強制執行(明渡しの強制執行)に進む、という法的手続きを踏みます(民事執行法168条等・e-Gov/裁判所)。督促・催告から明渡しまでの全体像は、次のような流れになります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ①督促・催告 | 未入金の連絡・支払いのお願い(督促状)から、期限を切った催告書(内容証明)まで |
| ②契約解除 | 催告期限を過ぎても支払いがなければ、内容証明で契約解除を通知 |
| ③建物明渡請求訴訟 | 任意に退去しない場合、裁判所に提訴。勝訴で判決(債務名義)を得る |
| ④強制執行(明渡し) | 判決をもとに申立て。執行官が明渡しの催告を経て断行する(民事執行法168条等) |
③④は手続きが専門的で、訴状の作成や債務名義に基づく執行の申立てには法律の知識が要ります。解除通知を送っても退去されない段階に来たら、自力で動かず弁護士に依頼するのが確実です。督促状・催告書の送付までは自分で進め、訴訟以降は専門家に任せる、という切り分けが現実的です。
家賃滞納の督促状をすぐ作るなら
督促状は、物件名・部屋番号・滞納月・滞納額・支払期限といった項目を、行き違いを避けるために正確に記載することが大切です。TEMPLEX なら、フォームに入力するだけでこれらの項目を整えた家賃滞納の督促状をPDFですぐ作成できます。テンプレートは家賃滞納の督促状からご利用いただけます。督促状・催告書ほかの書式は督促状カテゴリ一覧にまとまっています。内容証明で送る場合は内容証明のテンプレートもあわせてご活用ください。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








