納品書に印鑑は必要?|角印の位置・電子印鑑・シャチハタの可否

納品書に印鑑は必要?|角印の位置・電子印鑑・シャチハタの可否

納品書への押印は義務ではない(でも角印を押すのが一般的)

結論から言うと、納品書への押印は法律上の義務ではありません。納品書の様式や押印の有無を定めた法律はなく、印鑑が押されていなくても納品書としての効力は変わりません。

それでも実務では、納品書に角印(社印)を押して発行する商習慣が今も広く残っています。印鑑があると「会社が正式に発行した書類だ」という印象になり、受け取った相手の安心感や、改ざん防止につながるためです。取引先や経理部門から「印鑑のない納品書は受け取れない」と言われることも珍しくないので、迷ったら角印を押しておくのが無難です。

押印が無意味なわけではありません。内閣府・法務省・経済産業省の「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日)では、契約書ですら「押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」と明記されています(参照: 法務省「押印についてのQ&A」)。納品書は契約書ですらないので、なおさら押印の有無で効力が左右されることはありません。それでも押すのは、効力の問題ではなく「正式さの証」と「偽造防止」のためです。

インボイス制度(適格請求書)が始まってからも、この点は変わりません。適格請求書の記載事項に押印は含まれておらず(参照: 国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」)、納品書に押印が必須になったわけではありません。納品書とインボイスの関係は次の記事でくわしく整理しています。

納品書とインボイス制度|適格請求書にする条件・登録番号・納品書+請求書での対応
納品書

納品書とインボイス制度|適格請求書にする条件・登録番号・納品書+請求書での対応

納品書はインボイス(適格請求書)にできるのか。記載事項6項目を納品書の欄に当てはめ、登録番号の書き方、納品書と請求書を組み合わせて要件を満たす方法、端数処理の決め方、受け取った側の保存、免税事業者からの仕入れの経過措置まで、国税庁の一次情報をもとに整理します。

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使う印鑑は「角印」が基本(代表者印・個人事業主の場合)

納品書に押すのは、会社名が彫られた角印(社印)が基本です。角印は見積書・納品書・請求書・領収書・受領書など、取引先に渡す日常的な書類に広く使う印鑑で、納品書もこれにあたります。

納品書に押された角印の例
納品書に押された角印の例
印鑑の種類形状納品書での使い方
角印(社印)四角形最も一般的。会社名が彫られた法人の認印で、納品書・請求書・見積書など社外文書に広く使う
代表者印(丸印・実印)丸形(二重丸)通常は使わない。法務局に届け出た会社の実印で、契約書など重要書類に限定
個人の認印(丸印)丸形個人事業主が発行する納品書で使用。屋号があれば屋号入りの角印でもよい
担当者印個人の認印角印と併用して押すことがある(必須ではない)

ここで間違えやすいのが、角印と代表者印(丸印)の使い分けです。代表者印は法務局に登録した会社の実印で、納品書のような日常的な書類には使いません。紛失・悪用のリスクが大きく、契約書や登記書類など限られた場面でだけ使い、ふだんは金庫などで厳重に保管するのが実務上の慣行です。日常的に発行する納品書は角印で押すのが正解です。

個人事業主・フリーランスの納品書も、押印は必須ではありません。押すなら個人の認印(丸形)で十分で、印鑑登録した実印を使う必要はありません。ただし、シャチハタ(インク浸透印)以外の、朱肉を使う認印(三文判など)を選んでおくと無難です(理由は後半のシャチハタの項で説明します)。屋号で事業をしているなら、屋号入りの角印を一本作っておくと、納品書・見積書・請求書に共通で使えて便利です。

納品書に押す印鑑の位置

押す位置に法的な決まりはありませんが、慣行として発行者の会社名・住所のあたり、右寄りに押すのが定番です。納品書のどこに押すか迷ったら、まずここを押さえれば問題ありません。

納品書に押す印鑑の位置
納品書に押す印鑑の位置
  1. 会社名・住所の右側に配置 — 発行者名(社名・住所)の右端あたりに印影が来るように押す。明細表など中身の文字に大きくかぶらない位置にする
  2. 文字に少し重ねる — 社名の最後の文字に印影の左端が4分の1〜3分の1ほど重なるように押すと、印影だけを切り取ってコピー・偽造されるのを防げる。社名も印影も両方はっきり読み取れる状態は保つ
  3. インクは赤(朱肉) — 黒インクは文字と重なって読みにくいので、赤い朱肉を使うのが基本。色そのものに有効・無効の決まりはない

大ぶりの角印は、明細など中身の文字に重なると読みにくくなります。その場合は無理に文字へ重ねず、印影が重なっても影響の小さい社名の近くに押せば十分です。担当者の認印を併用するなら、担当者名の下か右側に小さく押します(必須ではありません)。

発行者が押す「角印」と、相手が押す「受領印」は別物

ここを混同しやすいのですが、発行者(納品する側)が押す角印と、受け取った相手が押す「受領印」はまったくの別物です。あなたが納品書に押すのは角印(社印)で、納品物を受け取ったことを相手が証明するために押すのが受領印です。

受領印は、納品書とセットになった「受領書」や、納品書の控えにある受領印欄に、受け取った側が押すものです。「納品書兼受領書」のように1枚で2役を兼ねる様式では、発行者の角印を押す欄と、相手が受領印を押す欄が別に用意されています。発行者であるあなたが受領印欄まで埋める必要はありません。

納品書と受領書の違い|発行者の方向・取引フロー・兼用書類の運用
納品書

納品書と受領書の違い|発行者の方向・取引フロー・兼用書類の運用

納品書は売り手→買い手、受領書は買い手→売り手と発行者の方向が逆になる書類です。役割・タイミング・必須項目の対比表、納品書兼受領書の運用、検収書との段階差、印紙税の扱い、受領サインが取れない場合の代替証跡まで、実務目線で解説します。

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PDFの納品書に電子印影(角印)を重ねる方法

納品書をPDFやメールで送る場合は、紙に朱肉で押すのではなく、印影の画像をPDF上に重ねる「電子印影」で代用するのが一般的です。押印自体がもともと任意なので、電子印影でも納品書としての効力は変わりません。作り方は大きく2通りあります。

  1. 手持ちの角印をスキャンして画像にする — 白い紙にきれいに押した角印をスキャナーやスマホで撮影し、背景を白く整えてからPDFに重ねる。既存の印鑑をそのまま使えるのが利点
  2. ツールで印影を新しく作る — 印鑑が手元になくても、社名を入力するだけで角印の電子印影(透過PNG)を作れる。スキャンの手間や背景の処理がいらない

電子印影の場合も、押す位置は紙と同じく発行者の社名・住所に近い右寄りが自然です。色を白黒で印刷されても効力に影響はありません。そもそも押印が要件ではないため、印影が朱色か黒かで有効・無効が変わることはないからです。

角印の画像が手元になくても、社名を入力するだけで角印の電子印影(透過PNG)を無料・登録不要で作れる電子印鑑作成ツールが使えます。朱肉のかすれまで再現でき、背景が透過しているので納品書の文字に重ねても自然です。作った印影(またはスキャンした角印)は、すでに手元にあるPDFの納品書にドラッグで位置とサイズを合わせてそのまま重ねられます。電子印影の作り方や効力をくわしく知りたい場合は、次の記事で解説しています。

電子印鑑の作り方|無料で作る手順と、用途別の選び方・サービス比較
電子印鑑

電子印鑑の作り方|無料で作る手順と、用途別の選び方・サービス比較

電子印鑑を無料で作る方法を、文字から作る・手持ちの印鑑をスキャンするの2通りで解説。法人の角印や個人の丸印を無料ツールで作る手順、印影画像で足りる場合と本人性・改ざん防止まで要る場合の選び方、主要サービスの比較表まで。

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TEMPLEX の納品書テンプレートなら角印を重ねたまま出力できる

納品書そのものをこれから作るなら、納品書テンプレートが便利です。フォームに入力するだけで納品書をPDF出力でき、角印の電子印影をドラッグ式で重ねたまま書き出せます。印影の位置やサイズは自由に調整でき、押印が不要な相手向けには印影を外して出力することもできます。登録不要・無料で使えます。

印鑑だけでなく納品書の項目の書き方そのものを確認したいときは、次の記事も参考にしてください。

納品書の書き方|項目別の記入例・サンプル・テンプレートの作り方ガイド
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納品書の書き方|項目別の記入例・サンプル・テンプレートの作り方ガイド

納品書 書き方を項目別に徹底解説。タイトル・発行日・宛名・明細・合計・押印など必須10項目の記入例、インボイス制度に対応した登録番号や税率区分の書き方、納品書番号の付け方、値引き・マイナス表記、よくあるミス、紙とPDFの使い分けまでサンプル付きで網羅します。

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シャチハタ(インク浸透印)は使える?

シャチハタ(インク浸透印)も手軽ですが、取引先に渡す納品書には不向きとされています。法律で禁止されているわけではありませんが、商習慣として避けられがちな印鑑です。理由は主に3つあります。

  1. 印面がゴム製で変形しやすい — 使い続けるうちに印影の形が少しずつ変わり、照合が難しくなる
  2. インクが経年で薄くなる — 浸透性インクは紫外線や保管状態で褪色が進みやすい。納品書は取引関係書類として保存義務があるため長期保存に不向き
  3. 同じ印影の既製品が広く出回っている — 同一規格の量産品が市販されているため、偽造防止の観点で信頼性が低い

社内の回覧やメモならシャチハタでも問題ありませんが、取引先に渡す納品書には朱肉を使う角印(電子化するならその電子印影)が無難です。

手書き納品書の訂正印・複写式について

複写式の伝票などに手書きで納品書を発行する場合は、書き損じたときの訂正印(二重線+訂正印)と、ここで説明した角印は役割が別物です。手書き納品書ならではの訂正の手順・角印と訂正印の使い分け・複写式の選び方は、次の記事でまとめています。

手書き納品書の書き方|訂正・印鑑・複写式・インボイス対応の実務ガイド
納品書

手書き納品書の書き方|訂正・印鑑・複写式・インボイス対応の実務ガイド

手書き 納品書の書き方を実務目線で解説。複写式・ノーカーボン式の選び方、必須記載項目、二重線+訂正印による訂正手順、角印と訂正印の使い分け、登録番号13桁の手書きインボイス対応、ボールペンの選び方、備考欄の文例まで現場で迷わない手順を網羅したガイドです。

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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