発注書・請求書・納品書の違い|発行順と兼用書類・電帳法・インボイスの実務

4書類の発行順と役割
商取引では「発注書 → 注文請書 → 納品書 → 請求書」の順に書類がやり取りされます。それぞれ発行する主体が異なる点がポイントです。

| 書類 | 発行者 | 受取者 | タイミング |
|---|---|---|---|
| 発注書(注文書) | 買い手 | 売り手 | 見積確認後、正式に発注するとき |
| 注文請書(受注確認書) | 売り手 | 買い手 | 発注書を受けて承諾するとき |
| 納品書 | 売り手 | 買い手 | 商品・成果物を納品するとき |
| 請求書 | 売り手 | 買い手 | 代金を請求するとき |
このほか、買い手側が納品物の検査合格を通知する検収書と、代金の受領を証明する領収書を加えると、取引の全工程が書面でカバーされます。
必須記載項目の違い(テーブル比較)
4書類の記載項目には共通部分が多いですが、それぞれ固有の項目がある点に注意してください。
| 項目 | 発注書 | 注文請書 | 納品書 | 請求書 |
|---|---|---|---|---|
| 表題 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 宛先 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 発行者情報 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 発行日 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 書類番号 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 品名・数量・金額 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 納期 | ○ | ○ | — | — |
| 納品場所 | ○ | ○ | ○ | — |
| 支払条件 | ○ | — | — | ○ |
| 振込先 | — | — | — | ○ |
| 登録番号(インボイス) | — | — | — | ○ |
| 税率区分 | — | — | — | ○ |
印紙税と保存期間(書類ごと)
4書類のうち、通常の取引で収入印紙が必要になるのは注文請書だけです(請負契約に該当する場合。1万円未満は非課税)。発注書・納品書・請求書は原則不要です。
| 書類 | 収入印紙 | 保存期間(法人) |
|---|---|---|
| 発注書(注文書) | 原則不要 | 7年(欠損金ありは10年) |
| 注文請書 | 請負契約の場合は必要(売買契約なら不要) | 7年 |
| 納品書 | 不要 | 7年 |
| 請求書 | 不要 | 7年 |
注文請書の印紙について補足すると、システム開発や工事など「請負」の取引が対象であり、既製品・物品の売買であれば注文請書にも印紙は不要(不課税文書)です。自社の取引が売買と請負のどちらに当たるか判断が難しい場合は、税理士に確認するのが安全です。
いずれの書類も、PDFやメールなど電子的に発行すれば印紙税は不要です。ただし電子データのまま保存する義務(電帳法)が生じます。
兼用書類のパターン
取引の規模や慣行に応じて、2つの書類を1枚にまとめた「兼用書類」が使われることがあります。
発注書兼納品書(即時納品の取引)
発注と納品が同日で完了する取引(店頭受取・現場渡しなど)では、発注書と納品書を1枚にまとめることで書類のやり取りを削減できます。
その他の兼用パターン
- 発注書兼注文請書 — 発注と受諾を1枚で完結。少額・定型取引で書面を減らしたいとき
- 納品書兼請求書 — 納品と同時に請求する取引(都度精算など)で利用
- 請求書兼領収書 — 代金と引き換えに発行する場面(現金取引など)で利用
兼用書類を使う場合、インボイス(適格請求書)として機能させるには請求書側の要件を満たす必要があります。登録番号・税率区分・消費税額の記載を忘れずに。
インボイス制度における4書類の関係
インボイス制度(適格請求書等保存方式)で仕入税額控除の対象となるのは、原則として適格請求書発行事業者が発行した「適格請求書」です。4書類のうち、請求書だけがインボイスの本体になるのが一般的ですが、複数の書類を組み合わせて要件を満たす運用も認められています。
| 書類 | インボイスになるか | 備考 |
|---|---|---|
| 発注書 | ならない | 買い手側の書類であり、適格請求書の要件を満たさない |
| 注文請書 | 通常ならない | 売上側の書類だが、インボイス要件(登録番号・税率区分)を含まないことが多い |
| 納品書 | 条件付き | 登録番号・税率区分・消費税額を記載すれば適格請求書として機能する場合あり |
| 請求書 | なる(要件を満たす場合) | 適格請求書の主な書式。登録番号・税率ごとの合計・消費税額が必須 |
実務では、納品書に消費税額や税率区分を記載し、月まとめの請求書に登録番号と納品書番号を記載することで、2つの書類を組み合わせて1つのインボイスとして成立させる運用も広く行われています。月まとめ請求を行っているBtoB取引では、この方法が現実的です。
電子帳簿保存法と4書類の電子保存
メール・PDF・システム上でやり取りした4書類はすべて、電子データのまま保存する義務があります(2024年1月〜完全義務化)。紙に印刷しての保存は認められません。
保存時は「取引年月日・金額・取引先」で検索できるようにし、改ざん防止措置を講じることが求められます。4書類のファイル名を統一ルールで管理しておくと、発注から請求までの書類を番号で一気に検索できます。
ファイル名のリネーム以外にも、Excelなどで日付・金額・取引先を記録した索引簿(管理台帳)を作成して検索要件を満たす方法や、電帳法対応の専用ソフトにインポートして管理する方法もあります。自社の運用に合った方法を選んでください。
4書類を整合的に運用するチェックリスト
発注から請求まで、書類間の情報に齟齬がないかを確認するためのチェックポイントです。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








