納品書を捨ててしまった・なくしたときの対処|再発行依頼と代替できる証憑

納品書をなくしても、多くの場合リカバリできる ── まず結論
受け取ったはずの納品書が見当たらない、間違えて捨ててしまった。経理や税務で困るのではと不安でこの記事にたどり着いた方に、まず結論からお伝えします。
納品書を1枚なくしても、取引があった事実は他の書類で証明でき、多くの場合リカバリできます。納品書は「いつ・誰に・何を・いくつ納めたか」を示す証憑の一つにすぎず、同じ取引を裏づける書類は請求書・受領書・発注書・銀行の振込記録・取引メールなど他にも残っているのが普通だからです。
やることはシンプルです。(1) まず社内とメール・PDFフォルダを探す、見つからなければ (2) 取引先に再発行・再送を依頼する、それも難しければ (3) 請求書など別の証憑で取引を裏づける。この順番で進めれば、たいていは収まります。
焦って一番やってはいけないのが、自分でそれらしい納品書を作り直して原本のように扱うことです。日付や番号がずれた書類が二重に存在すると、かえって取引内容が分からなくなります。まずは探す・取引先に頼む、を先にしてください。
この記事は「受け取った納品書、または自社で保管していた控えを失くした・捨ててしまった」側を想定しています。取引先から「納品書を再発行してほしい」と頼まれた発行者側の対応は、二重発行を防ぐ書き方など気をつける点が変わるため、次の記事にまとめています。

納品書の再発行を頼まれたら|日付の扱い・二重計上の防ぎ方・送付文例
取引先から納品書の再発行を頼まれた発行側(売り手)向けに、正しい対応手順を解説。再発行に法的義務はない点、日付は元の発行日のまま据え置く理由、番号管理で二重計上を防ぐコツ、紛失・記載ミス・宛先変更のケース別対応、そのまま使える送付・お詫び文例まで、トラブルなく応じるための実務をまとめました。
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納品書がないと経費や税務で困る?影響を整理する
まず「なくしたらどれだけまずいのか」をはっきりさせます。結論として、納品書そのものに、領収書のような法定の発行義務・再発行義務はありません。納品書は取引を円滑にするための商慣習上の書類で、税法も「納品書の現物がなければ経費にできない」とは定めていません。
税務調査などで問われるのは、「いつ・誰と・何を・いくらで取引したか」を合理的に説明できるかです。納品書が1枚欠けていても、同じ取引を示す請求書・受領書・発注書・振込記録などがそろっていれば、取引の事実は裏づけられます。
ただし、注意したい点が二つあります。一つは、受け取った納品書を消費税の仕入税額控除(インボイス)の保存書類として使っていた場合で、これは後半で詳しく扱います。もう一つは、勤務先の経理規程です。社内ルールで「納品書の原本がないと検収・支払い処理ができない」と決められている場合があるため、社内の立場で困っているなら、先に経理・上長へ「納品書を紛失したがどう処理すべきか」を相談しておくと後がスムーズです。
納品書には「領収書のような交付義務がある」と誤解されがちですが、弁済時の受取証書(領収書)の交付を請求できる民法486条は、あくまで「支払いを受け取ったことを示す書類」の規定で、納品書(物・サービスを納めたことを示す書類)には及びません。納品書の再発行はあくまで発行者の任意・契約や慣習によるもの、と理解しておくと依頼の仕方を間違えません。
手順1:まず社内・メール・PDFフォルダを探す
取引先に連絡する前に、もう一度自分の手元と社内を探すのが先です。紙でなくしたと思っていても、別の場所にデータが残っていることが多くあります。次の順で確認してください。
- メールの検索 ── 「納品書」「ご納品」「○○(取引先名)」「PDF」などで受信トレイを検索する。納品書はメール添付のPDFで届いていることが多い
- PDF・ダウンロードフォルダ ── 受信した添付や、Webからダウンロードした納品書がパソコンに残っていないか確認する
- 取引先の購買サイト・マイページ ── 通販やBtoBの取引サイトは、注文履歴から納品書・購入明細書を再表示・再ダウンロードできることがある
- 社内の書類・ファイリング ── 検収部門・経理・発注担当など、自分以外が保管・回付している可能性。回覧の途中で止まっていることもある
- 会計・経費精算システム ── スキャン取り込み済みなら、システム内に画像データが残っている
- 自社控えを探す場合 ── 発行控えの綴り、共有フォルダ、会計ソフトの帳票出力履歴を確認する
特にメールでPDFを受け取った納品書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存することが義務づけられています(2024年1月から本格適用)。紙に印刷した分だけ処分してデータを消していなければ、メールやフォルダに原本が残っているはずです。まずはデータを探しましょう。
手順2:取引先に再発行・再送を依頼する(電話トーク例・メール例文)
探しても見つからなければ、納品書を発行した取引先に再発行(または再送)を依頼します。前述のとおり再発行は相手の義務ではなく、善意による対応です。だからこそ、相手が売上記録を照合しやすいよう、紛失のお詫び・取引を特定できる情報(納品日/注文番号/品目/金額)・希望する送付方法をセットで伝えると、対応がぐっと早くなります。まずは電話で一報を入れ、正式にはメールで依頼する流れがスムーズです。
電話で一報を入れるときのトーク例
メールで依頼するときの例文
再発行された納品書には、元の納品日のまま「再発行」と明記され、納品書番号も元のものが使われるのが一般的です。これは二重計上を防ぐためで、依頼した側が「日付を今日に直してほしい」などと求めるものではありません。受け取ったら元のデータと内容が一致しているか確認しておきましょう。
なお、依頼しても再発行を断られることがあります。発行者側が二重発行を避けたい事情や、発行する側の正しい手順を知りたいときは、依頼先の立場をまとめた次の記事が参考になります。

納品書の再発行を頼まれたら|日付の扱い・二重計上の防ぎ方・送付文例
取引先から納品書の再発行を頼まれた発行側(売り手)向けに、正しい対応手順を解説。再発行に法的義務はない点、日付は元の発行日のまま据え置く理由、番号管理で二重計上を防ぐコツ、紛失・記載ミス・宛先変更のケース別対応、そのまま使える送付・お詫び文例まで、トラブルなく応じるための実務をまとめました。
記事を読む手順3:再発行が難しいときは別の証憑で取引を裏づける
取引先が再発行に応じてくれない、あるいは連絡が取りづらい場合でも、取引の事実は他の書類の組み合わせで十分に裏づけられます。同じ取引について、次のような証憑が残っていないか確認してください。
- 請求書 ── 同じ取引の請求書があれば、品目・数量・金額が確認できる。納品書と内容が重なるため有力
- 受領書・検収書 ── 自社が「受け取った/検収した」ことを示す控えが残っていれば、納品の事実を裏づけられる
- 発注書・注文請書 ── 何をいくつ注文し、相手が請けたかが分かる
- 銀行の振込記録・通帳 ── 振込や口座引き落としなら、支払いの事実と金額・相手先を確認できる
- 取引メール・チャット ── 納品連絡や受領のやり取り、数量・金額の合意が残っていれば、取引内容を補強できる
- 社内の検収・入荷記録 ── 入荷伝票や検収システムの記録など、現物を受け取った社内記録
ポイントは「単体」ではなく「組み合わせ」で示すことです。たとえば請求書だけでは支払い済みかどうか分かりませんが、請求書と振込記録をそろえれば「この取引について、いくら支払った」まで示せます。
自社が発行した納品書の控えを失くした場合に手早いのが、同じ取引の請求書のコピーを納品書の代わりとして綴り、余白に「納品書を紛失したため請求書で代用」と備忘記録を残しておく方法です。税務相談でも実務的な対処として案内されている方法で、取引内容が一致していれば実態の説明には十分役立ちます。
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インボイス(仕入税額控除)で使っていた納品書を失くした場合
ここまでは取引の事実や経費の話でしたが、消費税の仕入税額控除は別のルールで、注意が必要です。インボイス制度(2023年10月開始)のもとで仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要だからです。
取引先によっては、請求書ではなく納品書をインボイスとして交付しているケースや、請求書と納品書の2枚を合わせて適格請求書の記載事項を満たしているケースがあります。国税庁も、一の書類だけで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、取引内容を正確に認識できる方法(例えば請求書に納品書番号を記載するなど)であれば、複数書類で記載事項を満たせるとしています。この場合、納品書はインボイスの一部なので、なくしたままだと記載事項が欠けてしまいます。
したがって、買い手として控除を受けるつもりなら、失くしたのが適格請求書(インボイス)の一部なら、再発行を受けるか、記載事項を満たす別の適格書類を保存し直す必要があります。経費(法人税・所得税)としては別の証憑で説明できても、消費税の控除はインボイスの保存がないと受けられないことがある、と分けて考えてください。
納品書とインボイスの関係や、どの書類で記載事項をそろえるかは、次の記事で詳しく扱っています。

納品書とインボイス制度|適格請求書にする条件・登録番号・納品書+請求書での対応
納品書はインボイス(適格請求書)にできるのか。記載事項6項目を納品書の欄に当てはめ、登録番号の書き方、納品書と請求書を組み合わせて要件を満たす方法、端数処理の決め方、受け取った側の保存、免税事業者からの仕入れの経過措置まで、国税庁の一次情報をもとに整理します。
記事を読む今後なくさないための保存のしかた
再発しないための対策はシンプルで、受け取ったらすぐ電子データで保存するに尽きます。
- 紙で受け取った納品書は、その日のうちにスキャンまたはスマホで撮影してデータ化する
- メールで受け取ったPDFは、ファイル名に「日付・取引先・金額」を入れて保存する(例:20260622_○○株式会社_55000)
- 取引先・年月などで決まったフォルダに保管し、紙の原本も保存期間が終わるまでまとめて保管する
- 自社発行分は、発行と同時に控え(PDF・控え綴り)を残す運用にする
納品書の保存期間や、紙・電子それぞれの保存方法、控えの残し方は次の記事にまとめています。

納品書の保管期間・保管義務|不要な場合と保管方法・電子保存
納品書の保管期間を、受け取った納品書と自社が出した控えに分けて解説。法人は原則7年(赤字の年は10年)、個人事業主は原則5年、消費税の課税事業者は7年です。「納品書は保管不要では?」への答え、控えのどっちを残すか、PDFの電子保存ルールまで国税庁の情報をもとにまとめました。
記事を読む納品書を作り直す・新たに発行するなら
ここで作り直せるのは、あくまで自社が発行元の納品書です。自社で発行した納品書の控えを失くして「再発行」として作り直したいときや、取引先に渡す納品書が新たに必要になったときは、TEMPLEX の無料テンプレートでそのまま作成・PDF化できます(取引先から受け取った納品書を自分で作り直すのはNGです)。品目・数量・金額を入力するだけで、印刷やメール添付に使える納品書が整います。納品書兼請求書・納品書兼受領書など兼用タイプも選べます。納品書を作成する
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。







