神式・キリスト教式の香典返し挨拶状の書き方と例文|五十日祭・召天記念日対応

仏式以外の挨拶状を書く前に|故人の宗派で文面を決める
香典返しに添える挨拶状は、故人を送った宗派の言葉で書きます。仏式以外(神式・キリスト教式・無宗教)でいただいた香典への礼状をそのまま仏式の文面で送ると、「冥福」「供養」「成仏」など、その宗派では用いない用語が混じってしまい、ご遺族の意向と矛盾する不自然な挨拶状になります。
ここでは、神式・キリスト教式(プロテスタント/カトリック)・無宗教葬の4パターンを宗派ごとに分け、用語の対比表とコピーしてすぐ使える例文を並べます。受け取り手の宗派が違うときの判断や、教派神道(天理教など)の注意点も最後にまとめています。
そもそも「香典」「香典返し」は仏教の作法に由来する用語(『香』を捧げ、その代わりのお供えを『典』として贈る慣習)です。神道では「玉串料」、キリスト教では「お花料」が本来の弔慰金にあたり、教義としては忌明けに品物をお返しする習慣も本来はありません。それでも現代では「日本の葬送文化」として宗教を超えて定着しており、神式・キリスト教式でも実務として挨拶状+お返しの品を贈るのが一般的です。本記事の例文も、この『日本の慣習に合わせた』前提でまとめています。
- 決め方の基準は「故人を送った宗派」。受け取り手の宗派は関係ない
- 「忌明け」の呼称も日数も宗派で違う(仏式49日/神式50日/キリスト教式30日目)
- 「香典」「忌明け」「冥福」など仏式の言葉を機械的に転用しない
- 教派が不明なときは「諸式」「諸事」と中立的に表現する
仏式(浄土真宗を含む)の香典返し挨拶状はこちらに集約しています。仏式の方は本記事ではなく総合記事をご覧ください。
葬儀関連
香典返しの挨拶状の書き方と例文|仏式・神式・キリスト教式・浄土真宗まで網羅
宗派別 用語対比表|葬儀・香典・忌明け・表書き・避ける表現
挨拶状の文面に出てくる主要な5つの要素を、仏式・神式・プロテスタント・カトリックの4列で並べた早見表です。文面を組み立てるときは、まずこの表で使う語を確認してから本文に取りかかると、用語のねじれが起きません。
| 項目 | 仏式 | 神式 | プロテスタント | カトリック |
|---|---|---|---|---|
| 葬儀の呼称 | 葬儀/告別式 | 神葬祭/諸祭儀 | 葬儀/召天 | 葬儀ミサ/帰天 |
| 香典の呼称 | 御香典/御香料/ご厚志 | 御玉串料/御榊料/御神饌料 | 御花料/御白花料 | 御花料/御ミサ料 |
| 亡くなる | 永眠/逝去 | 帰幽(きゆう) | 召天(しょうてん) | 帰天(きてん) |
| 忌明け | 七七日忌(四十九日) | 五十日祭 | 召天記念日/召天記念式(1ヶ月目) | 追悼ミサ(30日目) |
| 品物の表書き | 志/満中陰志/粗供養 | 偲び草/志 | 召天記念/偲び草 | 偲び草/感謝(帰天記念) |
| 避ける表現 | (特になし) | 冥福/供養/成仏/往生/永眠 | 冥福/供養/成仏/往生 | 冥福/供養/成仏/往生 |
神式は仏式の「葬儀」「故人」「ご厚志」をそれぞれ「神葬祭」「故人(または御霊)」「御玉串料」に置き換えるイメージです。キリスト教式は「葬儀」を「召天/帰天」、「香典」を「お花料」、「四十九日法要」を「召天記念式/追悼ミサ」に置き換えます。
神式の香典返し挨拶状|五十日祭・玉串料への礼
神道では、亡くなることを「帰幽(きゆう)」と表現し、忌明けは亡くなってから50日目に行う「五十日祭」となります。五十日祭をもって霊璽(れいじ)を祖霊舎にお祀りし、忌中が明けます。香典返しの挨拶状は、この五十日祭を済ませた報告と、いただいた御玉串料への御礼を兼ねて発送します。
文面では「神葬祭並びに諸祭儀の砌(みぎり)は」「五十日祭を滞りなく相済ませました」のように、神道の用語を用います。「冥福」「供養」「成仏」「往生」は仏教の死生観に基づく語のため、神式では用いません。神道では故人の御霊(みたま)は家の守り神となる存在で、極楽浄土へ送り出すという考えは取りません。

「諸祭儀(しょさいぎ)」は神葬祭に続く十日祭・二十日祭・三十日祭・四十日祭・五十日祭の一連の祭儀をまとめて指す言い回しで、神式の挨拶状で頻出します。仏式の「諸法要」に対応する神道側の常套句です。
神式・家族葬の場合の挨拶状
家族葬で神葬祭を執り行った場合、参列はご家族・近親者のみとなるため、葬儀後にいただいた御玉串料への礼状を兼ねた香典返し挨拶状を送る形になります。葬儀をご家族のみで済ませた事情を冒頭で簡潔に触れ、それでも御玉串料・お心遣いを賜ったことへの感謝を中心に据えるのが基本構成です。
家族葬で香典返し全般を扱う総合記事はこちらにまとめています。神式以外の家族葬パターンや、葬儀後の事後通知と兼ねたい場合はあわせてご確認ください。
キリスト教式の基本|プロテスタントとカトリックで用語が異なる
キリスト教式の挨拶状を書くときは、まず故人の教派が「プロテスタント」か「カトリック」かを確認します。死去や追悼にあたる用語が両派で異なり、文面に取り違えがあると不自然になります。
| 項目 | プロテスタント | カトリック |
|---|---|---|
| 亡くなる | 召天(しょうてん)/天に召される | 帰天(きてん)/神のもとに帰る |
| 葬儀・式の呼称 | 葬儀/召天記念礼拝 | 葬儀ミサ/追悼ミサ |
| 忌明けにあたる式 | 召天記念日/召天記念式(亡くなってから1ヶ月目) | 追悼ミサ(亡くなってから30日目) |
| 香典の呼称 | 御花料/御白花料 | 御花料/御ミサ料 |
| 司式者 | 牧師 | 神父/司祭 |
両派に共通するのは、「お花料(御花料)」が香典に相当する表書きとして用いられる点、亡くなって30日〜1ヶ月目に追悼の式を行う点、そして仏教用語(冥福/供養/成仏/往生)を用いない点です。キリスト教では死を「神に召される」「神のもとへ帰る」と捉え、地上での生涯の完了として祝福されるべき出来事と位置づけるため、仏式の慰めの言葉とは前提が異なります。
教派がわからない場合は、故人がどの教会に通っていたか、葬儀を担当した教職者が「牧師」か「神父/司祭」かで判別できます。プロテスタントは牧師が司式し、カトリックは神父(司祭)がミサを司ります。
プロテスタント・召天記念日(1ヶ月目)の挨拶状
プロテスタントでは、亡くなってから1ヶ月目を「召天記念日」とし、教会または自宅で「召天記念式(召天記念礼拝)」を行います。この日をもって忌明けにあたる区切りとし、香典返しを発送します。文面では「召天」「召天記念礼拝」「お花料」を用い、仏教用語は使いません。

プロテスタントの場合、香典返しの品物の表書きは「召天記念」または「偲び草」が一般的です。カードや挨拶状の意匠に十字架や百合を添えるなど、キリスト教的なモチーフを使うこともあります。
カトリック・追悼ミサ(30日目)の挨拶状
カトリックでは、亡くなってから30日目に「追悼ミサ」を教会で執り行い、この日をもって忌明けの区切りとします。文面では「帰天」「追悼ミサ」「お花料」を用い、プロテスタントの「召天」とは漢字を使い分けます。挨拶状の本文構成は神式・プロテスタントと同じく「御礼」「忌明けの報告」「品物の案内」「拝眉できないお詫び」の4要素です。

カトリックでは「召天」はプロテスタント用語(神に召される)のため、本来は避けるのが正確です。市販の印刷物では教派をまたいで「召天記念」を兼用する例もありますが、厳格な信者の方や神父様からは「誤り」と指摘されるリスクがあります。カトリックの表書きとしては「偲び草」のほか、宗教色を問わない「感謝」「志」を選ぶと安全です。「帰天記念」と書くケースもありますが、既製品の挨拶状やのし紙では流通量が少なめです。
無宗教葬の場合|宗教用語を避けた挨拶状
故人が特定の宗教を持たず、葬儀も無宗教葬(自由葬・お別れの会など)で執り行った場合は、「四十九日法要」「五十日祭」「召天記念式」「追悼ミサ」のいずれの宗教用語も用いません。代わりに「諸式(しょしき)」「諸事」「納骨を相済ませました」と中立的に表現します。「冥福」「供養」「成仏」「往生」「霊前」も使いません。

- 「ご香典」は「お心遣い」「ご厚情」と中立化できる
- 「故人を偲ぶ会を相済ませました」と書くと無宗教葬らしい表現になる
- 品物の表書きは「志」または「偲び草」が無難
- 「永眠」は仏式寄り、「逝去」は中立的に使えるが宗教の制約を厳しく見るなら「○月○日に旅立ちました」と書く方法もある
無宗教葬では明確な忌明けの儀式がないため、葬儀後すみやかに香典返しを発送することも多くあります。仏式・神式の「忌明けを過ぎてから」というルールに縛られる必要はありません。
受け取り手の宗派が違う場合どうする?
挨拶状の文面は「故人を送った宗派」で決めます。受け取る相手が別の宗派の方であっても、相手に合わせて文面を切り替える必要はありません。たとえばご家族がキリスト教式の葬儀を行ったのであれば、相手が仏教徒であってもキリスト教式の文面でお送りして問題ありません。
- 判断基準は「故人がどの宗派で送られたか」のみ
- 相手の宗派は文面に影響しない(相手は宛先・宛名にのみ反映)
- ただし受け取り手が宗教用語に違和感を持たないか不安なときは、無宗教葬寄りの「諸式」「お心遣い」を使った中立的な文面に寄せると角が立たない
- 親族・近親者で全員が同じ宗派なら、神式・キリスト教式の用語をそのまま使って問題ない
天理教・教派神道など神社神道以外への注意
天理教・金光教・黒住教などの教派神道は、神社本庁系の神社神道とは儀式・用語が異なります。たとえば天理教では亡くなることを「出直し(でなおし)」と表現し、忌明けにあたるのは「五十日祭」ではなく「五十日祭・百日祭・年祭」と独自の体系を持ちます。教派が天理教・金光教等の場合は、所属する教会本部の慣習に従うのが確実です。神社神道(神社本庁系)の挨拶状文例を機械的に流用すると、用語が合わない可能性があります。
教派が複雑で判断に迷う場合は、葬儀を担当した神社・教会・教団に確認するのが最も確実です。喪主側で迷ったまま文面を確定させるより、所属の祭官・牧師・神父に一文だけでも確認すると安心して送れます。
宗派をまたぐ共通の作法|句読点・差出人・発送タイミング
神式・キリスト教式・無宗教いずれの場合も、香典返し挨拶状の体裁ルールは仏式と共通します。文面の中身だけが変わり、句読点を打たない作法・差出人の書き方・発送のタイミングなどは同じです。
- 句読点(。、)を打たない/全角スペースと改行で区切る
- 差出人は「差出月+喪主氏名」を基本に「親族一同」「遺族一同」を添える
- 宗派ごとの忌明けに合わせて発送する(神式は五十日祭後、プロテスタントは1ヶ月目以降、カトリックは30日目以降)
- 宅配便の伝票内容物欄は「お茶」「タオル」など具体的な品名か「贈答品」と書く(「香典返し」「忌明け」「内祝」とは書かない/「内祝」は本来お祝い事用の表現でマナー違反)
- 封筒・はがきの切手は弔事用の普通切手を貼る
- 日付・住所は漢数字を使い「令和八年六月十五日」「○○県○○市○○町一丁目二番三号」と書くのが正式
「喪主」表記は宗派を問わずそのまま使える
署名に用いる「喪主」という呼び方は仏教由来の語感がありますが、現代の日本では宗派を問わず実務的に定着している呼称で、神式・キリスト教式・無宗教葬の挨拶状でも「喪主 ○○○○」と署名して問題ありません。本記事の各例文も宗派を問わず統一して「喪主」を用いています。厳密さを重んじる場合の代替表現は以下のとおりです。
- 神式:本来「斎主(さいしゅ)」は祭祀を司る神職を指す語のため、施主側は「喪主」をそのまま用いて差し支えない
- キリスト教式:「喪主」のままで問題ないが、教会側の文書や厳格な信者向けには「遺族代表」「告別式主催者」と書く例もある
- 無宗教葬:「喪主」「施主」「故人代表」のいずれも可。家族の好みで選んでよい
- いずれの宗派でも「親族一同」「遺族一同」を添えて連名で締めるのが定型
宗派別の掛け紙(のし紙)の選び方
香典返しの品物にかける掛け紙(のし紙)は、宗派ごとに水引やモチーフが異なります。挨拶状の文面と合わせて、品物側の体裁も以下を目安に選んでください。
- 仏式:黒白または黄白の結び切り水引。表書きは「志」「満中陰志」「粗供養」。蓮の花の絵柄もOK
- 神式:黒白または黄白の結び切り水引。表書きは「偲び草」「志」。蓮の花の絵柄は仏教モチーフのため避ける
- キリスト教式:本来は水引を使わず、白無地に「偲び草」「感謝」、または十字架や百合の花が描かれたキリスト教専用の掛け紙を用いる(カトリックは特に「召天記念」を避ける)
- 無宗教葬:白無地に「志」「偲び草」が無難。十字架・蓮・神道モチーフを避けた中立的なデザインを選ぶ
句読点を打たない理由は、葬儀・忌明けの諸事が滞りなく流れていきますようにという意味合いと、毛筆書きの伝統に由来する慣例です。現代でも香典返し挨拶状・会葬礼状・喪中はがきなどの弔事文書ではこの作法が踏襲されています。
宗派別の挨拶状をPDFで作る
TEMPLEXの香典お礼状テンプレートは、神式(五十日祭・玉串料)/プロテスタント(召天記念日・お花料)/カトリック(追悼ミサ・帰天・お花料)/無宗教葬の文例プリセットを用意しています。フォームに故人名・喪主名・日付を入力するだけで、宗派ごとの正しい用語に置き換わったPDFを縦書きで出力できます。句読点を打たない作法・漢数字の日付表記にも自動対応します。
- 宗派別の文例プリセットから選んで、必要箇所を差し替えるだけ
- 印刷会社への発注不要・即PDFダウンロード
- 縦書きハガキ・カードの体裁で出力
- 本文は直接クリックで編集可能(文字サイズ・太字・色調整)
香典お礼状テンプレートはこちらからご利用いただけます。神式・キリスト教式の文例も初期収録済みです。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








