不倫相手に書かせる誓約書|求償権の放棄・接触禁止・口外禁止の条項と例文

不倫相手に書かせる誓約書は配偶者向けと何が違うか
配偶者の不倫相手に誓約書を書かせる目的は2つあります。関係を完全に断ち切らせること、そして慰謝料の請求・回収を有利に進めることです。
配偶者に書かせる誓約書との違いは、まず条項の組み立てです。不倫相手は他人なので通常の契約として扱われ、合意した内容はそのまま効力を持ちます。そのうえで条項の中身が変わります。配偶者向けは再発防止と誠実義務が中心なのに対し、不倫相手向けでは求償権の放棄と口外禁止という特有の条項を押さえる必要があります。
配偶者本人に書かせる誓約書(再発防止・違約金・再構築の条件)は、次の記事で扱っています。

不倫誓約書の書き方と効力|必須条項・違約金の決め方・例文テンプレート
配偶者の不倫・浮気の再発防止に書かせる不倫誓約書の作り方。必須4条項(不貞の事実の自認・接触禁止・違約金・誠実義務)、「夫婦間の契約は取り消せる」の心配が不要になった理由、違約金の相場、公正証書化まで、そのまま使える例文つきでまとめました。
記事を読むスポンサーリンク
入れるべき条項
不倫相手向けの誓約書に入れる条項は次の6つです。とくに接触禁止は、「自分から接触しない」だけでなく「相手から連絡が来ても応じない・報告する」まで書くのがポイントです。配偶者側から誘った場合に「自分からは連絡していない」と言い逃れされるのを防ぎます。
- 不貞行為の事実の自認と謝罪:期間と相手(あなたの配偶者)を特定して認めさせる。慰謝料を請求する際の動かぬ証拠になる。
- 関係の解消と接触の禁止:面会・電話・メール・SNSなど手段を列挙して禁止し、配偶者から連絡が来た場合の対応(応じない・報告する)も定める。同じ職場なら「業務上やむを得ない場合を除く」と例外を設計する。
- 求償権の放棄:支払った慰謝料の一部を配偶者に請求し返す権利をあらかじめ放棄させる(詳しくは後述)。
- 口外の禁止:不貞の事実や誓約書・示談の内容を第三者に漏らさないこと。
- 違約金:「接触1回につき金○○円」のように違反時の金額を定める。目安は1回につき50万〜100万円程度。実害とかけ離れた高額の設定は公序良俗(民法90条)に反し、無効・大幅な減額となるおそれがある。
- (慰謝料も同時に決める場合)支払条件と清算条項:金額・期限・振込先と、本件についてこれ以上の債権債務がないことの確認。
接触禁止は厳しく書けばよいわけではありません。偶然の遭遇まで違反扱いにしたり、特定の市町村への立入禁止のような生活が成り立たないレベルの制限を課したりすると、公序良俗に反して無効と判断されるおそれがあります。
求償権の放棄とは(入れ忘れると慰謝料が実質目減りする)
不貞行為は、配偶者と不倫相手による共同不法行為(民法719条)にあたり、2人は連帯して損害賠償義務を負います。だからあなたは不倫相手だけに慰謝料の全額を請求できるのですが、ここに落とし穴があります。全額を支払った不倫相手は、配偶者の責任分(負担部分)を配偶者に請求し返すことができるのです。この権利を求償権といいます(民法442条1項)。
婚姻を続ける場合、配偶者が求償に応じれば夫婦の家計から支払うことになり、受け取った慰謝料が実質的に目減りします。これを防ぐのが「求償権を放棄する」という1条項です。不倫相手だけに請求して婚姻を続ける方針なら、入れない理由はありません。
なお実務では、不倫相手側から「求償権を放棄する代わりに慰謝料を減額してほしい」という交渉がよく行われます。放棄させれば相手は配偶者から1円も回収できなくなるため、金額と求償権の放棄はセットで損得を考えるのが現実的です。
例文全文(2パターン)
パターンA:接触禁止中心(慰謝料はまだ決めない)
慰謝料の金額交渉は後に回し、まず関係の断絶と事実の自認だけを書面化する場合の文面です。損害賠償請求権を留保する一文(第5条)を入れておくと、「誓約書を書いたのだから慰謝料はもう請求されない」と主張される余地をなくせます。

パターンB:慰謝料+求償権放棄+清算条項(合意書・示談書として作成)
慰謝料の金額まで合意できた場合の文面です。第4条(求償権の放棄)と第7条(清算条項)をセットで入れるのがポイントです。清算条項を入れると、以後この件での追加請求はお互いにできなくなります。お互いを拘束する内容になるため、この書面は実務上、合意書・示談書の性質を持ちます。

慰謝料の支払いや清算条項まで盛り込むなら、本人だけが署名する差入れ型の誓約書より、双方が署名する示談書(合意書)の形式にするほうが確実です。受け取る側も合意したことが書面上明確になります。高額・分割払いの場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書化も検討してください。
慰謝料と同時に処理する場合の注意
不貞慰謝料の一般的な相場は、離婚しない場合で50万〜100万円程度、離婚に至った場合で100万〜300万円程度が目安とされます。別居に至った場合は100万円を超える例も多く、交際期間・どちらが主導したか・相手の資力などで上下します。
注意したいのは清算条項を入れるタイミングです。清算条項つきの書面を交わした後に離婚を決めても、同じ件で追加の慰謝料を請求するのは難しくなります。離婚するかどうか迷っている段階で、清算条項つきの書面に署名するのは慎重にしてください。先にパターンAで事実と接触禁止だけを固め、金額は方針が決まってから交渉する順序が安全です。離婚した場合に追加の支払いを求める条件付きの条項を設ける方法もありますが、文言の設計が難しいため弁護士に相談するのが確実です。
スポンサーリンク
書かせるときの法的リスク(強要罪・脅迫罪にならない範囲)
不倫相手を呼び出して話し合い、誓約書への署名を求めること自体は正当な行動です。ただし、その場の言動には明確な一線があります。脅して署名させた誓約書は、強迫を理由に取り消すことができ(民法96条)、こちらが刑事責任を問われるおそれすらあります。
- 「書くまで帰さない」と拘束する:義務のないことを無理に行わせる行為として、強要罪(刑法223条・3年以下の拘禁刑)が成立するおそれがある。
- 「会社や家族にばらす」と告げて迫る:脅迫罪(刑法222条)に当たるおそれがある。慰謝料を請求する正当な権利があっても、害悪の告知とセットにした要求は違法と評価されかねない。
- 大人数で取り囲む・深夜に長時間拘束する:自由な意思での署名と言えなくなり、取消し・無効の主張を許す材料になる。
感情的になりそうな場面では、弁護士に交渉を依頼するか、同席してもらうのが安全です。書面の効力を保ちながら、相手と直接対峙する負担も減らせます。
相手が誓約書に応じない場合
署名を強制する方法はありません。拒否されたら、書面にこだわらず請求の手続きに切り替えます。誓約書がなくても、不貞の証拠(メッセージのやりとり・写真・調査報告書など)があれば慰謝料請求は可能です。
- 内容証明郵便で慰謝料を請求する(弁護士名義のほうが応じられやすい)
- 交渉で合意できれば、示談書(合意書)を取り交わす
- 合意できなければ、訴訟(不貞慰謝料請求)を検討する
相手が交渉のテーブルに着かない・証拠の評価に自信がない場合は、早めに離婚・男女問題を扱う弁護士の無料相談を使ってください。請求の見通しと適正額がわかれば、その後の交渉も組み立てやすくなります。
誓約書のPDFをTEMPLEXで作成
文面が固まったら、TEMPLEXの誓約書テンプレートで清書できます。宛先・誓約事項・差出人を入力するだけで、登録不要・無料でPDFをダウンロードできます。印刷して相手に署名・押印させれば、そのまま証拠として保管できる書面になります。
誓約事項の欄に、この記事の例文の条項を貼り付けて、氏名・期間・金額を実際の内容に書き換えて使ってください。
スポンサーリンク
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。







