作業事故報告書の書き方と例文|労災(労働者死傷病報告)の様式・5要素

この記事で扱う作業事故報告書|作業中のケガ(労災)の報告・呼び方は会社によりさまざま
この記事では、製造・建設・物流などの現場で作業中にケガ人が出た(労働災害が起きた)ケースの報告書を扱います。呼び方は会社によって「作業事故報告書」「労災報告書」「事故報告書」などさまざまですが、共通して必要なのは状況・原因・再発防止です。一方で、誤発送や入力ミスのようにケガを伴わない手順上のミスは、書き方の力点が変わるため別の記事(作業ミス・業務ミスの報告書)で扱います。

作業ミス・業務ミスの報告書 例文|言い訳より「事実・原因・再発防止」で書く
誤発送・入力ミス・連絡漏れなど、自分の作業ミスを上司に報告する報告書の書き方と例文をまとめます。報告書は謝罪文ではなく中立の事実報告。言い訳を足さず「事実→原因→再発防止策」で書くのが基本です。ミスの類型別にそのまま使えるコピペ例文と、始末書・作業事故報告との使い分けも解説します。
記事を読む内容で迷ったときは、ざっくり次のように切り分けてください。ケガ・身体被害があるなら作業事故(労災)報告、ケガはなく手順や判断のミスなら作業ミス報告です。物が壊れただけ(人は無事)の場合は、物損・備品破損の報告書を使います。
| 何が起きたか | 使う報告書 | ねらい |
|---|---|---|
| 作業中にケガ人が出た(労働災害) | 作業事故報告書(本記事) | 状況・原因・再発防止+労基署への法定報告 |
| ケガはなく、手順・判断のミスだった | 作業ミス・業務ミスの報告書 | 事実と原因の共有・再発防止 |
| ヒヤリとしたがケガも被害もなかった | ヒヤリハット報告書 | 未然の危険の共有 |
迷ったときの判断軸はシンプルで、「人がケガをしたか」です。ケガがあれば作業事故(労災)として扱い、後述の労働基準監督署への報告が必要かどうかも併せて確認します。
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作業事故の報告書には「社内向け」と「労基署提出」の2つがある
作業事故が起きたとき、書類は社内で共有する「作業事故報告書」と、労働基準監督署へ提出する「労働者死傷病報告」の2階建てで考えると整理できます。多くの現場では、まず社内の報告書で事実をまとめ、その内容をもとに法定の様式へ転記します。
| 社内の作業事故報告書 | 労働者死傷病報告 | |
|---|---|---|
| 目的 | 社内での状況共有・原因究明・再発防止 | 国(労基署)への法定報告 |
| 提出先 | 上長・安全衛生部門など社内 | 所轄の労働基準監督署長 |
| 様式 | 自由(会社の書式・本記事のテンプレ) | 様式第23号/様式第24号(決まった様式) |
| 義務 | 社内ルールによる | 法律上の義務(怠ると罰則) |
ポイントは、ケガの程度によっては労基署への「労働者死傷病報告」が必須になることです。社内の報告書を作って終わりにせず、提出義務に当たらないかを次の章で確認してください。
労働者死傷病報告の提出義務|様式23号と24号の違い
労働者死傷病報告は、労働安全衛生規則第97条にもとづき、労働者が労働災害でケガをして休業・死亡したときに事業者が提出を義務づけられている報告書です(出典:厚生労働省「労働者死傷病報告の提出の仕方」)。休業日数によって使う様式と提出タイミングが変わります。
| 様式 | 対象 | 提出のタイミング |
|---|---|---|
| 様式第23号 | 死亡、または休業4日以上 | 事故後、遅滞なく(おおむね1〜2週間以内) |
| 様式第24号 | 休業4日未満 | 四半期ごとにまとめて(下記) |
様式第24号は、1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の四半期ごとに、その期間最後の月の翌月末日までにまとめて提出します(1〜3月分は4月末まで、4〜6月分は7月末まで、7〜9月分は10月末まで、10〜12月分は翌年1月末まで)。提出先はいずれも事業場を所轄する労働基準監督署長です。
「休業4日未満」は、おおむね休業1〜3日のケガが該当します。軽いケガでも休業が出れば四半期報告の対象です。報告漏れが起きやすいので、軽傷でも社内で記録し、四半期末にまとめて確認する運用にしておくと安全です。
なお、この報告を怠ったり虚偽の内容で提出したりすると「労災かくし」とみなされ、労働安全衛生法により50万円以下の罰金が科される場合があります。ケガを軽く見せようとせず、事実のとおりに報告することが大前提です。
通勤途中の事故(駅の階段での転倒、通勤中の交通事故など)でこのページに来た方へ。通勤途中の事故(通勤災害)は労災保険の給付対象ですが、労働基準監督署への「労働者死傷病報告」の提出は不要です。死傷病報告の対象は、就業中や事業場内などで起きた業務上の災害に限られます。
2025年1月から電子申請(e-Gov)が原則義務化
提出方法も変わりました。2025年(令和7年)1月1日から、労働者死傷病報告は電子申請(e-Gov)で行うことが原則義務化されています。あわせて、様式の記載項目が見直され、事業の種類・職種などはコードで入力する形に変わりました。
ただし、電子申請が困難な場合は、当分の間は書面(紙の様式)での提出も認められています。社内に電子申請の環境がまだ整っていない場合でも、報告自体を止めてはいけません。詳しい手続きや最新の様式は職場のあんぜんサイトで確認できます(参考:職場のあんぜんサイト「労働災害統計・様式」)。
e-Govの画面に直接入力しようとすると、入力中のセッション切れや、文章を練り直すたびのやり直しで思いのほか手間取りがちです。申請画面を開く前に、社内の作業事故報告書(やTEMPLEXのPDF作成)でブラウザの外に5要素を組み立てておくと、あとは転記するだけで申請が格段にスムーズになります。電子申請の様式は自由記述の幅が狭いぶん、文章を固めた下書きが手元にあると迷いません。
最重要|災害発生状況及び原因「5要素」の書き方
作業事故報告書でいちばん差がつくのが、「災害発生状況及び原因」をどう書くかです。労働者死傷病報告の様式でも、ここは現場を見ていない人が読んでも事故の様子が再現できるレベルの具体性が求められます。そのために、次の5つの要素を順番に書くのが基本の型です。
| 要素 | 書くこと | 記入のヒント |
|---|---|---|
| ①どのような場所で | 事故が起きた場所・床や足場の状態 | 「第2工場の機械加工エリア、床に油が付着した通路」まで具体に |
| ②どのような作業をしているときに | 本人が行っていた作業の内容 | 「完成品を台車で運搬中」など動作レベルで |
| ③どのような物又は環境に | 事故に関わった物・設備・環境 | 機械・工具・段差・置かれていた物など |
| ④どのような不安全な又は有害な状態があって | 危険の原因となった状態や行動 | ガードがなかった・通路にはみ出していた等 |
| ⑤どのような災害が発生したか | 結果として起きたケガ・事故 | 「つまずいて転倒し右足首を骨折」と部位まで |
この5要素を①→⑤の順につなげると、「どこで・何をしていて・何に・どんな危険があって・どうなったか」が一筆書きで伝わる文章になります。逆に「不注意で転倒した」のように要素を飛ばすと、原因が見えず再発防止につながりません。
原因がその場で特定できないときは、推測で断定せず「調査中」と明記するのが正しい書き方です。④の不安全な状態は、後から原因究明で確定したものに更新していけば問題ありません。
5要素を埋めた作業事故報告書の記入例(製造・建設・物流)
5要素をひとつながりにした「災害発生状況及び原因」の記入例を、製造・建設・物流の3場面で用意しました。〇〇の部分を自分の現場の設備名・場所に置き換えて、社内の報告書やe-Govの入力欄にそのままご利用ください。
いずれの例も、①場所 →⑤災害の順で、原因(④)と結果(⑤)が線でつながるように書いています。休業日数も「30日」「5日」のように具体的に入れると、様式第23号か第24号かの判断もそのままできます。
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社内向け作業事故報告書のテンプレート
労基署提出の様式とは別に、社内で事実を固め、上長・安全衛生部門に共有するための作業事故報告書のテンプレートです。被災者・傷病の情報に加え、5要素の発生状況と再発防止策まで一枚にまとめられます。
末尾に「労働者死傷病報告:要/不要」の確認欄を設けておくと、社内報告で終わらせずに法定報告の要否を必ずチェックできます。休業4日以上なら様式第23号、4日未満なら第24号、と判断結果まで書き込んでおくのがおすすめです。
再発防止策は「人の注意」ではなく「仕組み」で書く
作業事故報告書の評価は、再発防止策が具体的で実行可能かで決まります。「以後注意する」「全員に周知徹底する」だけで終わらせると、同じ事故がまた起きます。人の心がけに頼らず、設備・手順・表示など「物と仕組み」を変える対策に置き換えるのがコツです。
| NG(人頼みで終わる) | OK(仕組みで防ぐ) |
|---|---|
| 今後は手をはさまれないよう注意する。 | かみ込み除去は必ず機械を停止してから行う手順を定め、停止手順を機械のそばに掲示する。 |
| 高所では気をつけて作業する。 | 開口部にはカバーと表示を設置し、高さ2m以上は墜落制止用器具の使用を作業開始前チェックで確認する。 |
| 通路に物を置かないよう周知する。 | 通路への仮置きを禁止し、パレット置き場を白線で表示。終業前に通路の整理状況を点検する。 |
もう一つ大切なのが、報告書は犯人探しではなく再発防止のために書くという姿勢です。被災者個人の責任を追及する書き方をすると、現場が事故を隠すようになり、かえって危険が見えなくなります。原因は人ではなく、その作業環境・手順に置いて書きましょう。
報告書の基本の型をおさえる
結論から書く・事実と推測を分けるといった、作業事故報告書にも共通する報告書の基本の型は、種類を問わず同じです。表題・宛先・5W1H・記書きの並べ方を一度おさえておくと、どの報告書も迷わず書けます。詳しくは以下の記事も参考にしてください。

報告書の書き方|基本構成・5W1H・例文テンプレと種類別の使い分け
報告書の書き方を、表題・宛先・5W1Hの基本構成、結論から書く・事実と意見を分けるといったビジネス報告の鉄則、そのまま使える構成テンプレ付きで解説。業務・調査・事故・トラブル・クレーム・改善など種類別の使い分けと、「報告書・始末書・顛末書・経緯報告書の違い」も整理します。
記事を読む作業事故報告書テンプレートでPDFを即作成
作業事故報告書をWordやExcelで一から作ると、被災者欄や5要素のレイアウトを整えるのに手間がかかります。TEMPLEXの作業事故報告書テンプレートなら、労働者死傷病報告(様式第23号)に準拠した項目と、災害発生状況の5要素をフォームに入力するだけでA4のPDFが作れます。社内共有用の作業事故報告書としても、e-Gov入力前の下書きとしても使えます。作業事故報告書はこちらから作成できます。
- 事業場・被災労働者・傷病の状況をフォームに入力
- 災害発生状況は5要素(①場所〜⑤災害)の欄に分けて記入
- 本記事の記入例をコピペして、発生状況・再発防止欄まで完成
- プレビューで体裁を確認しながらPDFをダウンロード(Microsoft Office不要)
労働者死傷病報告そのものは2025年からe-Govでの電子申請が原則ですが、提出前に事実を固める社内の作業事故報告書を用意しておくと、入力ミスや報告漏れを防げます。本記事の記入例をたたき台に、自社の現場の言葉で仕上げてください。
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








