保育園の事故報告書の書き方|怪我の記入例とヒヤリハット・重大事故報告の違い

保育園の事故報告書は「園内の記録」と「自治体への報告」の二層構造
保育園で子どもが怪我をしたときに作る事故報告書は、よく似た書類と混同しやすいので、まず立ち位置を整理します。保育の現場で扱う「危ない・怪我」の記録は、ヒヤリハット・園内の事故記録・自治体への重大事故報告の3段階に分かれます。どれを書く場面かを取り違えると、必要な手続きが抜けたり、逆に過剰な対応になったりします。
| 書類 | どんなとき | 提出先・保管 |
|---|---|---|
| ヒヤリハット報告 | 怪我には至らなかったが「ヒヤッ」とした(未発生) | 園内で共有・保管(行政・保護者への報告義務なし) |
| 事故報告書(園内) | 実際に怪我・事故が起きた(軽微〜中程度) | 園内で記録し、保護者へ説明 |
| 重大事故の報告 | 死亡・意識不明・治療30日以上の負傷など | 市町村→都道府県→国(こども家庭庁)へ報告 |
このうち本記事が扱うのは真ん中の「実際に怪我・事故が起きたときの園内の事故報告書」です。怪我に至らなかった場合はヒヤリハット報告、命に関わるような重大事故は自治体・国への報告へと切り替わります。重要なのは、ほとんどの怪我は園内の事故報告書(=再発防止のための記録)で完結し、自治体への報告が必要なのは限られた重大事故だけだという点です。重大事故のラインは記事の後半で具体的に示します。
「ヒヤッとしたが怪我はなかった」ケースは事故報告書ではなくヒヤリハット報告の出番です。事故報告書は実際に怪我・事故が発生した「発生済み」のときに書く、と覚えておくと迷いません。
怪我に至らなかった「ヒヤッとした」段階の記録の書き方は、こちらもあわせてご覧ください。

保育園のヒヤリハット報告書の例文|誤飲・噛みつき・午睡・プール…シーン別例文
保育園のヒヤリハット報告書を、誤飲・噛みつき・転倒/衝突・遊具からの転落・午睡中・プール/水遊び・園外活動・置き去りなど、保育特有のシーン別にそのまま使える例文でまとめました。事故報告書との違い(未発生か発生済みか)、報告書に書く項目、人を責めずに書くコツ、こども家庭庁ガイドラインが示す重大事故が起きやすい場面との接続まで、保育士向けに解説します。
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事故報告書に書く項目|空欄を作らず「事実」を埋める
保育園の事故報告書は園ごとに様式が違いますが、書く項目はほぼ共通です。「いつ・どこで・誰が・どんな状況で怪我をし、どう対応したか」を時系列で押さえ、原因と再発防止策まで書くのが基本形です。子どもの年齢・月齢は、発達段階によって事故の起こり方が変わるため欠かせません。
| 項目 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 発生日時・場所 | ○月○日○時○分頃/保育室・園庭・プールなど | 「お昼寝の前」ではなく時刻で。場所は具体的に |
| 子どもの情報 | クラス・年齢・月齢(必要に応じ匿名表記) | 0〜2歳児はとくに月齢を明記 |
| 発見・発生の状況 | 何をしていて、どう怪我をしたか | 見ていた事実と、後から聞いた話を区別する |
| 怪我の状態 | 部位・程度(擦り傷/打撲/出血/腫れ等) | 「軽い怪我」で済ませず部位と程度を具体的に |
| 応急処置・対応 | その場の処置・受診・保護者への連絡 | 誰が・何時に・何をしたかを時系列で |
| 原因 | なぜ起きたか(環境・人員・子どもの動き) | 個人を責めず、状況の要因として書く |
| 再発防止策 | 今後どう防ぐか | 「注意する」で終わらせず具体策を |
| 報告者・確認者 | 記入した職員、確認した園長・主任 | 口頭報告のあとに書面化するのが基本 |
保育の事故報告書でつまずきやすいのが空欄の扱いです。わからない欄は空欄のままにせず、「不明」「該当なし」「後日記載」と埋めるのが鉄則です。空欄があると「書き忘れなのか、本当に無かったのか」が後から判断できません。子どもの氏名を様式に直接書かず「A児」などの匿名表記にする運用を取る園もあるので、自園のルールを確認しておきましょう。

提出は記憶が鮮明なその日のうちが原則です。まず口頭で園長・主任へ一報を入れ、応急処置と保護者対応が落ち着いてから書面にまとめると、事実が正確に残ります。
書き方のコツ|「事実」と「推測」を分けて書く
事故報告書が読みにくくなる原因のほとんどは、見ていた事実と、書き手の推測・感想が同じ文に混ざっていることです。とくに保育では「目を離した一瞬」に起きる怪我が多く、つい「たぶん転んだと思われる」と推測で埋めてしまいがちですが、これは後の検証の妨げになります。
| NG(推測・主観が混在) | OK(事実と推測を分ける) |
|---|---|
| 走っていて転んだようで、ひざをすりむいたと思います。 | 園庭で他児を追いかけて走っていた(事実)。転倒し、左ひざに擦り傷を負った(事実)。段差につまずいた可能性が高い(推測)。 |
| 気づいたら泣いていて、たぶん友達に噛まれたんだと思います。 | 保育室でブロック遊び中、B児の泣き声で気づいた(事実)。左前腕に歯型の内出血を確認(事実)。直前に玩具の取り合いがあり、噛みつきによるものと考えられる(推測)。 |
コツは、自分が見た・確認したことは「〜した」「〜を確認した」と言い切り、見ていない部分は「〜と考えられる」「〜の可能性が高い」と推測の語尾で締めることです。誰も発生の瞬間を見ていなかったときは、見ていなかった事実を隠さず「発生の瞬間は確認できていない」と正直に書くほうが、報告書としての信頼性も再発防止の精度も上がります。
原因や再発防止策は「○○先生の不注意」と個人を責める書き方にしないのが保育の事故記録の大原則です。「死角になりやすい配置だった」「人員が手薄な時間帯だった」のように環境・仕組みの要因として書くと、園全体で防げる対策につながります。
【類型別】怪我・事故の記入例(コピーして使える)
保育で起きやすい怪我は、転倒・衝突・噛みつき・遊具からの転落・誤嚥・午睡中・食物アレルギー・プール/水遊びなど、ある程度パターンが決まっています。よくある類型ごとに、そのまま下敷きにできる記入例を用意しました。日時・部位・対応などは自園の状況に合わせて差し替えてください。
午睡中の事故は重大事故につながりやすく、こども家庭庁のガイドラインでも睡眠中・プール/水遊び中・食事中の誤嚥は特に注意すべき場面とされています。とくに乳児は、医学的な理由がない限りあおむけ寝が基本です。なお、何の予兆もなく乳幼児が亡くなるSIDS(乳幼児突然死症候群)は窒息などの事故とは異なる原因不明の病気で、あおむけ寝・母乳育児・周囲の禁煙が発症リスクを下げると示されています(出典:こども家庭庁 SIDS(乳幼児突然死症候群)について)。
保護者への説明|患部・状況・対応・お願いを正確に
事故報告書を書くのと並行して欠かせないのが、保護者への説明です。怪我の事実を隠したり曖昧にしたりすると、保育園への信頼が一気に損なわれます。お迎え時や電話で、次の4点を順に伝えると過不足がありません。
- 怪我の部位と現在の状態(出血は止まっている/腫れている 等)
- いつ・どこで・どう怪我をしたか(分かっている事実を正確に)
- 園で行った応急処置・受診の有無
- 帰宅後に見てほしい点(腫れ・痛み・様子の変化があれば受診を)
園児同士の噛みつき・引っかきのように相手の子どもがいるトラブルでは、相手児の名前を保護者に伝えないのが一般的な配慮です。「お友達との関わりの中で」といった形で状況を説明し、子ども同士の関係に角が立たないよう配慮します。説明の際は責任の押し付け合いにせず、見ていた範囲で何が起きたかを誠実に伝え、園としての再発防止の姿勢を示すことが、その後の関係を左右します。
頭を打った・意識や顔色がいつもと違うなど様子が気になる怪我は、その場で保護者へ電話連絡し、受診の要否を相談するのが安全です。お迎えまで報告を待たず、早めの一報を心がけましょう。
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自治体・こども家庭庁への報告が必要な「重大事故」のライン
園内の記録で完結する怪我とは別に、一定の重大事故は市町村・都道府県を通じて国(こども家庭庁)へ報告する義務があります。報告対象になるのは、こども家庭庁・文部科学省の通知で次のように定められた事故です(出典:こども家庭庁「教育・保育施設等における事故の報告等について」)。
- 死亡事故
- 治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等
- 意識不明(どんな刺激にも反応しない状態に陥ったもの)
あわせて、送迎バス等での置き去り事故は、怪我の程度に関わらず報告対象とする自治体が多く、こども家庭庁の報告様式にも「自動車への置き去り事故」用のものが用意されています。けががなくても、置き去り・行方不明が起きた場合は速やかに市町村へ一報してください。
つまり、擦り傷・打撲・軽い噛みつきといった日常の怪我は自治体への報告対象ではなく、園内の事故記録と保護者への説明で対応します。一方で、骨折など治療に30日以上かかる怪我は報告対象になり得るため、受診の結果しだいで自治体への報告が必要になることがあります。報告は施設 → 市町村 → 都道府県 → 国(こども家庭庁)という経路で行い、自園の所在する市町村の担当課が窓口になります。具体的な提出先・様式は自治体ごとに案内されているため、自園の市町村のルールを必ず確認してください。
報告のタイミングにも目安があります。第1報は原則として事故発生当日(遅くとも翌日)、第2報は原則1か月以内程度に提出し、事故の要因分析や検証の結果は別途、まとまりしだい報告するのが基本です。報告にはこども家庭庁の「教育・保育施設等事故報告書(重大事故)」などの様式が用意されており、報告された情報は同庁の事故情報データベースに集約・公表されています(出典:こども家庭庁「教育・保育施設等における事故情報データベース」)。
なお、こうした重大事故の防止と発生時の対応については、こども家庭庁が「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」を示しています。睡眠中・プール活動/水遊び・食事中の誤嚥など、重大事故が起きやすい場面ごとの留意点がまとまっているので、園のマニュアル整備の際に確認しておくと安心です(出典:こども家庭庁「事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」)。
報告様式の番号や宛先は年度ごとに更新されるため、提出のたびに自治体・こども家庭庁の最新の案内を確認しましょう。古いPDFの様式をそのまま使い回さないのがポイントです。
報告書の基本の書き方を確認したいとき
5W1Hの押さえ方や、結論から書く・事実と意見を分けるといった報告書全般の基本の型は、業種を問わず共通します。事故報告書に限らず報告書の書き方を一から確認したいときは、以下の記事も参考にしてください。

報告書の書き方|基本構成・5W1H・例文テンプレと種類別の使い分け
報告書の書き方を、表題・宛先・5W1Hの基本構成、結論から書く・事実と意見を分けるといったビジネス報告の鉄則、そのまま使える構成テンプレ付きで解説。業務・調査・事故・トラブル・クレーム・改善など種類別の使い分けと、「報告書・始末書・顛末書・経緯報告書の違い」も整理します。
記事を読む事故報告書のテンプレートでPDFを即作成
事故報告書をWordやExcelで一から整えると、表題・宛先・記書きのレイアウトに手間が取られがちです。TEMPLEXの事故報告書テンプレートなら、発生日時・場所・状況・対応・原因・再発防止策をフォームに入力するだけでA4のPDFが即発行できます。本記事の類型別の記入例をそのまま貼り付ければ、園長・主任へ提出できる報告書がすぐ完成します。詳しくは事故報告書テンプレートをご利用ください。
汎用の事故報告書様式のため、保育園の園内記録としても、被害状況(人身・物損)や初動対応の欄をそのまま活用できます。専用の園児名欄を探さなくても、「被害状況(人身・物損を分けて)」欄に園児の怪我の部位・程度・処置を、「初動対応・処置」欄に保護者への連絡時刻や受診内容を入力すれば、園内の事故記録として機能します。自治体への重大事故報告は各自治体・こども家庭庁の指定様式を使う点だけ注意してください。
- 発生日時・場所・園児情報・状況をフォームに入力
- 記入例は本記事の類型別テンプレをコピペで貼り付け
- プレビューで体裁を確認しながらリアルタイム編集
- PDFとして即ダウンロード(Microsoft Office 不要)
- 差出人(園名・担任)情報は次回以降自動入力
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コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。







