注文書と注文請書のやり取り事例|5ステップの流れと業種別の実例を解説

注文書と注文請書の基本の流れ(5ステップ)
取引で交わされる書類は多いものの、全体の流れはシンプルです。見積書から始まり、注文書・注文請書を経て、納品・請求へと進みます。
- 見積書 — 受注者が金額・納期・条件を提示する
- 注文書(発注書) — 発注者が「この条件で注文します」と書面で意思表示する
- 注文請書 — 受注者が「承りました」と書面で返答する。ここで契約が成立する
- 納品書 — 受注者が商品・成果物を納品し、内容を書面で通知する
- 請求書 — 受注者が代金を請求し、発注者が支払う
最も重要なのはステップ2と3の組み合わせです。注文書が民法上の「申込み」、注文請書が「承諾」にあたり、注文請書が発注者に届いた時点で契約が成立します(民法第522条・第97条1項、到達主義)。口頭やメールだけの合意でも契約自体は成立しますが、書面を交わしておくことで「言った・言わない」のトラブルを防げます。
注文請書に法律上の発行義務はありません。ただし、金額・納期・仕様を書面で確認しておくことで、納品後のトラブルを大幅に減らせます。実務上は発行するのが一般的です。
業種別の実例|注文書と注文請書のやり取り
基本の流れは同じでも、業種によって書類の呼び方やタイミングは少しずつ異なります。代表的な3パターンを見てみましょう。
製造業:部品・原材料の発注
製造業では「注文書」「注文請書」という呼び方が一般的です。流れは次のとおりです。
- 購買担当が仕入先に見積依頼を出す
- 仕入先が見積書を返送する
- 社内稟議を通した後、注文書をFAXまたはメール(PDF添付)で送付する
- 仕入先が注文請書を返送し、受注確定
- 部品が納品され、検収→請求書→支払い
製造業では同じ仕入先と繰り返し取引するため、年間の基本契約書を結んだうえで、個別の注文書・注文請書で都度発注する形が多いです。基本契約があれば支払条件・品質基準などを毎回書く必要がなく、注文書には品番・数量・納期だけを記載すれば済みます。
IT業界:システム開発・業務委託
IT業界では「発注書」「発注請書」と呼ぶことが多く、業務委託契約とセットで運用されます。
- 発注者がRFP(提案依頼書)または仕様書を提示する
- 開発会社が見積書を提出する
- 発注者が発注書を発行し、開発範囲・金額・納期を明記する
- 開発会社が発注請書を返送し、契約成立
- 開発完了後、検収→請求→支払い
IT業務委託の注文請書は印紙税法上の「請負に関する契約書」(第2号文書)に該当し、契約金額に応じた収入印紙が必要です。ただし、PDFをメール送信する方法であれば「文書の交付」にあたらず、印紙税は課税されません。
建設業:工事の請負
建設業は法律上の縛りが最も多い業種です。
- 発注者が工事の見積依頼を出す
- 施工業者が現場調査のうえ見積書を提出する
- 発注者が注文書(工事発注書)を発行する
- 施工業者が注文請書を返送し、着工日・完工予定日を確認する
- 工事完了後、完了報告書→検査→請求書→支払い
建設業法第19条では、工事内容・請負代金・工期・支払条件など16項目を書面に記載して契約する義務があります(令和6年12月改正で「工事を施工しない日・時間帯」が追加され16項目に)。注文書と注文請書の組み合わせでこの法定項目を網羅する形が一般的で、口頭だけの発注は法令違反になります。
建設業では工事金額が高額になりやすく、紙の注文請書に貼る収入印紙の額も大きくなります(例:1,000万円超〜5,000万円以下で本則2万円。建設工事の請負契約書には令和9年3月31日まで軽減税率が適用され、同区分で1万円になります)。PDF送信による電子化で印紙税を節約する企業が増えています。
注文請書の送付メール例文
注文請書をPDFで作成し、メールに添付して返送するケースが増えています。PDF送信なら印紙税が不要になるうえ、郵送の手間もなくなるため、双方にとってメリットがあります。以下はそのまま使えるメール例文です。
メール送信時のポイントは次の3点です。
- 件名に「注文請書」と注文番号を入れ、受信者がすぐ判別できるようにする
- 添付ファイル名は「書類名_会社名_日付.pdf」の形式にすると管理しやすい
- 金額・納期など主要項目をメール本文にも転記しておくと確認の手間が減る
取引先から「紙の原本を郵送してほしい」と求められることもあります。その場合は紙に印刷して収入印紙を貼付のうえ郵送する必要があります。先にPDFをメール送付し、紙の原本は別途郵送する二段構えにすると、受注確認のスピードと正式書面の両立ができます。
PDFで注文請書をやり取りした場合、送る側・受け取る側の双方とも電子帳簿保存法に基づき電子データのまま保存する義務があります(2024年1月以降、紙に印刷しての保存は原則不可)。改ざん防止措置・検索要件などの保存要件を満たす必要があるため、社内の電子取引データ保存ルールを事前に確認しておきましょう。
注文請書を省略できるケース
注文請書には法的な発行義務がないため、実務では省略されるケースもあります。ただし、省略してよいのはトラブルリスクが低い取引に限られます。以下の3パターンが典型です。
少額・定型の取引
文房具や消耗品など、1回あたりの金額が少額で、仕様のずれが起きにくい定型品の購入では注文請書を省略するケースが多く見られます。カタログ品の売買は「請負」ではなく「売買契約」にあたるため、注文請書を紙で発行しても印紙税は非課税です。
継続取引(基本契約+個別発注)
取引基本契約書で支払条件や品質基準などの大枠を取り決めている場合、個別の注文書に対して毎回注文請書を返送しない運用も一般的です。基本契約に「注文書の受領をもって個別契約成立とする」旨を定めておけば、注文請書の省略が契約上も裏付けられます。
メール承諾で代替する
注文書に対して「承りました。添付の注文書の内容で進めます」とメールで返信し、注文請書の代わりとする方法です。メール自体が承諾の証拠になるため、契約の成立には問題ありません。ただし、メールでは金額・納期・仕様の確認が曖昧になりやすいため、金額が大きい取引やカスタム仕様の案件では書面の注文請書を発行するほうが安全です。
建設業法が適用される工事請負では、口頭やメールだけの合意は法令違反になります。工事の場合は必ず書面(注文書+注文請書、または契約書)で契約してください。
取適法(旧下請法)が適用される取引では、委託事業者(発注者)に4条書面(旧3条書面)の交付義務があります(公正取引委員会リーフレット)。注文請書を省略しても発注書(注文書)の交付は絶対に省略できません。
TEMPLEXで注文書と注文請書をセットで作成
TEMPLEX では、注文書と注文請書を1回の入力でまとめて作成できるセットテンプレートを用意しています。発注者名・受注者名・品名・金額などを一度入力すると、注文書と注文請書の両方に自動で反映されるため、転記ミスがありません。
- 注文書と注文請書を同時にPDF出力できる
- 注文者と受注者の情報が自動で入れ替わるため、宛名の書き間違いを防げる
- ログイン不要・無料で何度でも作成可能
「注文書を送ったけれど注文請書のテンプレートがない」「毎回Excelで作り直している」という方は、セットテンプレートで両方まとめて作成するのが効率的です。
セットテンプレートは 注文書・注文請書セットテンプレート のページからすぐに使えます。PDF出力した注文請書をメール添付すれば印紙税もかかりません。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。








