注文請書と注文書の違い|発行者・法的効力・印紙税を比較表でわかりやすく解説

注文請書と注文書の違い|発行者・法的効力・印紙税を比較表でわかりやすく解説

結論:注文書は「買い手の申込み」、注文請書は「売り手の承諾」

注文書と注文請書の最大の違いは発行者が逆という点です。注文書は買い手(発注者)が「この条件で買います」と申し込む書類で、注文請書は売り手(受注者)が「その条件で承ります」と応じる書類です。

民法上、契約は「申込み」と「承諾」が合致したときに成立します(民法522条)。注文書が申込み、注文請書が承諾にあたるため、この2つが揃って初めて契約が成立した証拠が書面で残ることになります。注文書だけでは、相手が引き受けたかどうかが不明なままです。

注文書と注文請書の比較表

両者の違いを5つの軸で整理します。

比較項目注文書注文請書
発行者買い手(発注者)売り手(受注者)
受領者売り手(受注者)買い手(発注者)
法的性質契約の「申込み」契約の「承諾」
印紙税原則不要請負契約で1万円以上なら必要
発行タイミング見積り合意後、最初に発行注文書を受け取った後に返送

特に実務で混乱しやすいのが印紙税です。注文書は契約がまだ成立していない段階の書類なので原則として課税文書に該当しません。一方、注文請書は請負契約の承諾を証明する文書として印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)に該当する場合があるため、収入印紙の貼付が必要になります。

物品の売買契約(既製品の購入など)に対する注文請書は第2号文書に該当しないため、印紙税は不要です(国税庁「物品販売の注文請書」)。印紙が必要になるのは「仕事の完成を約束する」請負契約の場合に限られます。

注文請書の発行は義務?

結論として、注文請書の発行は法的義務ではありません。民法では契約は口頭でも成立するため(民法522条)、注文請書がなくても契約自体は有効です。

ただし、書面がないと「注文を受けた・受けていない」「金額が違う」といったトラブルの原因になります。特に金額の大きい取引や請負契約では、双方の合意内容を書面で残すために注文請書を発行するのが実務上の定石です。なお、建設業法では請負契約の書面化が義務づけられており(建設業法19条)、この場合は実質的に注文請書に相当する書面が必要になります。

注文請書が必要なケース・不要なケースの具体例は「注文請書は不要?必要なケースと不要なケース」で詳しく解説しています。

注文請書に記載すべき項目

注文請書には法定の書式はありませんが、トラブル防止のために以下の項目を記載するのが一般的です。

  1. 書類の表題(「注文請書」)
  2. 発行日(承諾の意思を示した日付)
  3. 注文番号(元の注文書と紐付けるため)
  4. 宛先(注文者の会社名・担当者名)
  5. 発行者(受注者の会社名・住所・連絡先)
  6. 取引内容(品目・仕様・数量・単価・金額)
  7. 合計金額(小計・消費税・税込合計)
  8. 納期・納品場所
  9. 支払条件(締め日・支払日など)
  10. 備考(特記事項があれば)
注文請書に記載すべき項目
注文請書に記載すべき項目

基本的には注文書に書かれている内容と一致させるのが原則です。受注側で条件を変更する場合は、変更箇所を備考欄に明記したうえで発注者と合意を取ります。

注文請書の印紙税額一覧(第2号文書)

請負契約に該当する注文請書には、契約金額に応じた収入印紙が必要です。国税庁の印紙税額一覧表(第2号文書)に基づく金額は以下のとおりです。

契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下1,000円
300万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下1万円
1,000万円超 5,000万円以下2万円
5,000万円超 1億円以下6万円
出典:国税庁「No.7102 請負に関する契約書」

消費税額が区分記載されている場合は、税抜金額が契約金額になります。また、注文請書をPDFやメールなど電子データで発行すれば、印紙税は一切かかりません。紙で発行するかどうかでコストが変わるため、電子発行への切り替えを検討する価値があります。

注文請書が個別の注文に対するものではなく、継続的な取引条件を定める内容(基本契約に相当する内容)を含む場合、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当し、一律4,000円の印紙が必要になるケースがあります。個別注文ごとの注文請書であれば通常は第2号文書の判定になります。

発注書・注文書・注文請書の3書類の関係

「発注書」と「注文書」は名称が違うだけで法的にまったく同じ書類です。民法にも商法にも「発注書」「注文書」という法律用語はなく、どちらも買い手が売り手に送る申込み書面です。業界によって呼び方が異なるだけで、記載項目も法的な効力も同一です。

  • 発注書 = 注文書(同じ書類、呼び方の違いだけ)
  • 注文請書(別の書類。受注者が返送する承諾の書面)

つまり3書類の関係は「発注書=注文書 → 注文請書」という流れになります。買い手が発注書(注文書)を送り、売り手が注文請書を返すことで、申込みと承諾が書面で揃い、契約成立の証拠になります。発注書と注文書の詳しい違い(業界ごとの呼び方の傾向など)は下記の関連記事で解説しています。

発注書

発注書と注文書の違いは?|法的な扱い・業界慣行・使い分けを実例で解説

受注書・受注確認書との違い

「受注書」「受注確認書」「発注請書」など、企業によって名称はさまざまですが、いずれも注文請書と同じ役割(受注者が注文を承諾したことを示す書面)です。法律でこれらの名称が定義されているわけではないため、どの名前を使っても法的効力に差はありません。

名称使われやすい場面
注文請書(ちゅうもんうけしょ)建設業・製造業など、請負契約が多い業界
受注書(じゅちゅうしょ)物品売買・小売・ECなど
受注確認書BtoB取引で社内管理上の呼称として使用
発注請書(はっちゅううけしょ)「発注書」に対応する形で使用(IT・広告業界など)

名称に関わらず、請負契約に対する承諾書面であれば印紙税の扱いは同じです。書類のタイトルが「受注確認書」であっても、内容が請負契約の承諾であれば第2号文書に該当し、収入印紙が必要になります。

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コラム著者・編集者

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