注文請書の印紙ガイド|税額一覧・貼り方・割印の方法をまとめて解説

注文請書の印紙ガイド|税額一覧・貼り方・割印の方法をまとめて解説

印紙が必要なケースと不要なケース

結論から言うと、注文請書に収入印紙が必要かどうかは「請負契約か売買契約か」で決まります。PDFやメールで交付する場合は、契約の種類を問わず印紙は不要です。

請負契約(工事・制作・加工・修繕など仕事の完成を約束する契約)の注文請書は、印紙税法上の「第2号文書(請負に関する契約書)」に該当し、契約金額が1万円以上なら収入印紙が必要です。IT開発・デザイン制作・建設工事・設備メンテナンスなどの注文請書が典型例です。

一方、物品の売買契約(既製品の購入・仕入れなど)の注文請書は課税文書に該当せず、金額にかかわらず印紙は不要です(国税庁「物品販売の注文請書」)。売買契約は印紙税の課税対象となる文書の一覧(印紙税法別表第一)に含まれていないためです。

請負と売買の判断基準

国税庁は、契約の目的が「仕事の完成」に重きを置いているか、「物の所有権移転」に重きを置いているかで請負・売買を区分するとしています。たとえば既製品のまとめ買いなら売買、カスタム仕様の制作物を納品するなら請負です。迷ったときは、契約内容が「完成した結果物の引渡し」を求めているかどうかが判断のポイントになります。

区分印紙の要否具体例
請負契約の注文請書必要(1万円以上)建設工事、ソフトウェア開発、デザイン制作、設備修繕
売買契約の注文請書不要既製品の購入、原材料の仕入れ、備品の注文
契約金額1万円未満不要(非課税)少額の請負契約
PDF・メールで交付不要電子データでの送付は課税対象外

印紙を貼るべき文書に貼らなかった場合、本来の印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます(印紙税法第20条)。ただし税務調査前に自主的に申し出れば1.1倍に軽減されます。「迷ったら貼る」が安全です。

印紙税額の一覧(第2号文書)

請負契約の注文請書に貼る印紙税額は、記載された契約金額によって200円〜60万円の13段階に分かれます。以下は国税庁「印紙税額一覧表」(No.7140)に基づく第2号文書の税額表です。

契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下1,000円
300万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下1万円
1,000万円超 5,000万円以下2万円
5,000万円超 1億円以下6万円
1億円超 5億円以下10万円
5億円超 10億円以下20万円
10億円超 50億円以下40万円
50億円超60万円
契約金額の記載のないもの200円
出典:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」No.7140

たとえば契約金額が150万円のソフトウェア開発なら印紙税は400円、800万円の建設工事なら1万円です。契約金額が記載されていない注文請書は一律200円になるため、金額を明記しないほうが税額が安くなるわけではありません(500万円以下なら明記したほうが安くなるケースもあります)。

契約金額は「税込」「税抜」どちらで判定する?

消費税額の書き方によって判定基準が変わります。消費税額が明確に区分されていれば税抜金額で判定でき、区分されていなければ税込金額が契約金額になります。

  • 税抜で判定できる書き方:「請負金額 1,100万円(うち消費税等 100万円)」「請負金額 1,000万円、消費税等 100万円」→ 契約金額は1,000万円(印紙税 2万円)
  • 税込で判定される書き方:「請負金額 1,100万円(税込)」→ 契約金額は1,100万円(印紙税 2万円)

わずかな書き方の差で印紙税額が変わるケースがあります。たとえば税込 550万円(税抜 500万円)の場合、消費税額を区分記載すれば2,000円で済むところが、区分しないと1万円になります。注文請書を作成する際は消費税額を別記することを推奨します。

注文請書が個別の注文に対するものではなく、3か月以上の継続的な取引条件(単価・支払条件など)を定める場合、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当し、一律4,000円の印紙が必要になるケースがあります。個別注文ごとの注文請書であれば通常は第2号文書の判定です。

建設工事の請負契約書に限り、令和9年(2027年)3月31日まで軽減税率が適用されます。対象は契約金額100万円超の建設工事請負契約書です。注文請書が建設工事の請負に該当する場合は、軽減後の税額を適用できます。

割印(消印)の正しいやり方

注文請書に収入印紙を貼ったら、必ず「割印」をします。一般的に割印と呼ばれていますが、印紙税法上の正式名称は「消印」です(印紙税法第8条第2項)。目的は収入印紙の再利用を防ぐことで、印紙と書面の両方にまたがるように印影を残します。

消印の手順

  1. 収入印紙を注文請書の空白部分(通常は右上や左上)に貼り付ける
  2. 印紙の縁と注文請書の紙面にまたがるように印鑑を押す
  3. 印影が印紙と書面の両方に半分ずつかかっていればOK
  4. 印紙の上下左右どの位置に押しても有効

消印をしなかった場合、印紙を貼っていても消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が別途徴収されます。たとえば200円の印紙に消印を忘れると、追加で200円の過怠税がかかります。貼ったら必ず消印まで済ませましょう。

消印で鮮明な印影は必須ではありません。印紙と書面にまたがって押されていることが確認できれば、多少かすれていても有効です。ただし、鉛筆など消せる筆記具での署名は認められません。

割印に使える印鑑と「誰が押すか」

消印に使う印鑑の種類に厳密な決まりはありません。実印・角印・認印・シャチハタ(浸透印)・日付印のいずれでも有効です。また、印鑑の代わりにボールペンなどで自署(署名)しても消印として認められます。

印鑑の種類使えるか備考
実印(代表者印)最もフォーマル。高額契約で使われることが多い
角印(社印)日常的な請書で最も使われる
認印担当者の認印でも問題なし
シャチハタ(浸透印)手軽で実務上よく使われる
日付印・ゴム印会社名入りの日付印も可
署名(手書き)印鑑がなくてもボールペンで自署すればOK

消印は誰が押す?

印紙税法上、消印を行うのは「文書の作成者またはその代理人、使用人その他の従業者」とされています(印紙税法施行令第5条)。注文請書は受注者が作成する書類なので、原則として受注者側が消印します。

ただし、法的には発注者(相手方)が消印しても有効です。連名で作成した契約書の場合、どちらか一方が消印すれば足ります。「発行者と受領者のどちらが押すか」で迷う場面がありますが、実務では注文請書を作成した受注者側が消印してから送付するのが一般的です。

契約書に押した印鑑と消印の印鑑が異なっていても問題ありません。契約書には代表者印を押し、消印は経理担当者の認印で済ませる、というのもよくある運用です。

PDF・メール交付なら印紙は不要

注文請書をPDFファイルで作成し、メールやクラウドサービスで送信する場合、印紙税は課税されません。印紙税法が課税対象としているのは「紙の文書」であり、電子データ(電磁的記録)は「文書」に該当しないためです。

この取扱いは国税庁(福岡国税局の文書回答事例・平成20年10月24日付)で明確に示されており、注文請書を電磁的記録に変換してメール送信した場合は課税文書の作成に該当しないとされています。FAX送信も同様の扱いです。

ただし注意点がひとつあります。PDFをメール送信した後に、原本(紙の注文請書)を別途持参・郵送した場合は、その紙の文書に印紙税が課されます。印紙代を節約するには、電子データのみで交付を完結させることが条件です。

TEMPLEX なら注文請書をブラウザ上で作成し、そのままPDFとしてダウンロードできます。ダウンロードしたPDFをメールで送れば印紙は不要。高額な請負契約ほど節約効果が大きく、たとえば契約金額3,000万円の工事なら、1通あたり2万円の印紙代がゼロになります。

電子帳簿保存法への対応も忘れずに。PDF交付した注文請書は電子取引データとして保存義務があります。受信側・送信側ともにPDFデータを要件に沿って保存してください。

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コラム著者・編集者

TEMPLEX編集チーム

TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。

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