移転のお知らせ例文|取引先・顧客への案内と必要な手続き一覧

移転案内で最初に決める3つのこと
移転のお知らせは、「誰に・いつ・どの手段で」を先に決めてから文面を作ると迷いません。相手によって最適な手段が変わるためです。取引先には体裁の整った挨拶状、日常的にやりとりする担当者にはメール、来店客には店頭の掲示やはがき、と使い分けます。
| 相手 | おすすめの手段 | トーン |
|---|---|---|
| 主要取引先・金融機関 | 挨拶状(封書)/はがき | 拝啓・敬具を用いたフォーマル |
| 日常的にやりとりする担当者 | メール | 通常のビジネスメール |
| 来店客・一般顧客 | 店頭掲示・POP・はがき・SNS | 丁寧だが平易 |
| 社内・関係部署 | 社内メール・チャット | 簡潔に事実を共有 |
送る時期は移転日の1か月前が目安です。取引先には請求書の送付先や納品先を切り替える準備期間が必要なので、直前の連絡は避けます。挨拶状は移転日のおおむね1〜2週間前に先方へ届くよう投函すると、移転の事実を踏まえて行動してもらいやすくなります。
移転案内に必ず書く項目
文面が丁寧でも、肝心の情報が抜けると相手は問い合わせの手間が増えます。次の項目は手段を問わず必ず入れてください。特に電話番号・FAX番号が変わるかどうかは明記するのが鉄則です。「変更なし」も立派な情報で、書いておけば相手は連絡先を直す必要がないと判断できます。
- 新住所(郵便番号・ビル名・階数まで正確に)
- 移転日(いつ移転するか)
- 新オフィス・新店舗での業務/営業開始日
- 電話番号・FAX番号の変更有無(変わらない場合も「変更なし」と記載)
- 最寄り駅やアクセス(来店・来訪がある場合)
- 移転に伴う休業日・電話がつながりにくい期間
見落としやすいのが「移転日」と「業務開始日」の違いです。引っ越し作業で1〜2日休む場合、移転日と実際に通常営業へ戻る日がずれます。両方を書き分けると、相手はいつ連絡してよいか正確に判断できます。

取引先への移転挨拶状(フォーマル)
取引先や金融機関には、頭語・結語を備えた挨拶状を送ります。本文で移転の事実とお礼を述べ、新住所などの具体情報は「記」以下に箇条書きでまとめるのが定型です。会社名で出すため、差出人は代表者名または会社名にします。
冒頭の「時下ますますご清栄〜」は季節を問わず使える便利な書き出しです。月に合わせた時候の挨拶に差し替えたい場合や、「時下」の正しい使い方はこちらの記事を参考にしてください。月別の挨拶文は別記事にまとめています。
取引先への移転案内メール
日常的にやりとりしている相手にはメールで十分です。挨拶状と違い頭語・結語は不要で、件名に「移転のお知らせ」と社名を入れて一目で用件が伝わるようにするのがポイント。新住所への登録変更をお願いする一文を添えると、相手の社内処理を促せます。
電話番号が変わる場合は、旧番号を残す期間も書き添えると親切です。「旧番号は○月末まで新番号へ転送されます」のように案内すると、連絡先の更新が遅れた相手も困りません。
店舗移転のお知らせ(顧客向け)
来店客向けは、堅い時候の挨拶よりも新店舗の場所・アクセス・営業開始日をわかりやすく伝えることが最優先です。店頭の掲示やSNS、はがきDMにそのまま使える文面を用意しました。臨時休業がある場合はその期間も忘れず明記します。
近隣に移る場合でも「○○の隣」「旧店舗から徒歩○分」など、常連客が迷わない目印を添えると来店につながりやすくなります。地図画像やQRコードを併記できる掲示・はがきなら、なお親切です。
移転に伴う届出・手続きの期限一覧
取引先への案内と並行して、行政への届出も進める必要があります。法人の所在地変更には法律で期限が定められたものがあり、本店移転登記は移転日から2週間以内が義務です(会社法915条)。期限を過ぎると登記懈怠として代表者個人に過料が科される可能性があるため、移転案内よりこちらを優先して段取りします。
登記そのものの前に、社内の機関決定が必要なケースがあります。定款に定めた最小行政区画(市区町村)を超える移転は、株主総会の定款変更決議が必要です。同じ市区町村内での移転なら取締役会の決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の一致)で足ります。ただし定款に番地まで記載している場合は同一市区町村内でも定款変更が要るため、自社の定款の書き方を先に確認してください。移転日が決まったら、登記の段取りは司法書士へ早めに相談しておくと、2週間の期限に余裕を持って間に合わせられます。
| 手続き | 提出先 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 本店移転登記 | 法務局(登記所) | 移転日から2週間以内 |
| 異動届出書(法人) | 管轄の税務署・都道府県・市区町村 | 移転後速やかに |
| 給与支払事務所等の移転届出書 | 税務署 | 移転日から1か月以内 |
| 社会保険 所在地変更届 | 年金事務所 | 変更後5日以内 |
| 労働保険 名称・所在地等変更届 | 労働基準監督署 | 移転の翌日から10日以内 |
| 雇用保険 事業主事業所各種変更届 | ハローワーク | 移転の翌日から10日以内 |
登記費用にも注意が必要です。本店移転の登録免許税は同じ法務局の管轄内なら3万円、管轄が変わる移転なら旧・新2か所への申請で6万円になります。同じ東京都内でも区が変わると管轄外になるケースがあるため、移転先の管轄法務局を事前に確認しておきましょう。
許認可を受けて営業している場合は、上の届出に加えて管轄の行政庁への変更届が別途必要になります。飲食業は保健所、古物商は公安委員会(警察署経由)、建設業は許可行政庁、宅地建物取引業は都道府県など、届出先も期限も許認可ごとに異なります。事業所の移転が許可要件に関わるものもあるため、自社が持つ許認可の変更手続きを早めに確認してください。
行政手続きのほかに、取引先・銀行・名刺・会社案内・自社サイト・各種登録サービスの住所変更も漏れなく進めます。請求書や領収書のフォーマット、Googleビジネスプロフィール、ドメイン登録情報なども更新対象です。担当を割り振り、チェックリストにして消し込むと抜け漏れを防げます。
案内が行き渡らない相手の保険として、郵便局の転居届を出しておくと旧住所宛の郵便物が新住所へ無料で転送されます。転送期間は届出日から1年間で、窓口やポスト投函のほか、オンラインの「e転居」からも申し込めます。住所変更が間に合わなかった取引先からの請求書や重要書類を取りこぼさないための、簡単で効果的な備えです。
登記や社会保険の届出は専門家に任せる手もあります。登記は司法書士、社会保険・労働保険は社会保険労務士の業務範囲です。手続きが重なる時期は外部に委託し、社内は取引先案内と引っ越し準備に集中する、という分担も現実的です。
移転案内状をすぐ作るには
新住所や移転日を差し替えるだけで体裁の整った案内状を作りたいときは、TEMPLEX の案内状テンプレートが使えます。フォームに項目を入力すると印刷用のPDFが作れるので、挨拶状やはがきの下書きとして活用してください。記載必須項目を埋めれば、書き漏れの心配もありません。
コラム著者・編集者
TEMPLEX編集チーム
TEMPLEX編集チームは、ビジネス文書の作成・管理に精通した実務経験者と技術ライターで構成されています。送付状・請求書・見積書をはじめとする各種ビジネス書類のフォーマットや書き方のノウハウを、わかりやすく丁寧にお届けします。「Office不要で誰でもすぐ使える」をコンセプトに、忙しいビジネスパーソンの書類作成をサポートします。











